私は東京郊外の調布市に住む年金生活の5年生の身であるが、
この一週間は憂鬱な心情となっている・・。
過日、月刊雑誌『フォーサイト』(新潮社)を8月号から購読開始したのであるが、
この中のひとつの記事を読み、深く考えさせられたのである・・。
学習院大学・経済学部教授の鈴木亘(すずき・わたる)氏が、
『「骨太2009」で立ち行かなくなる社会保障』
と題され寄稿されていた。
この命題の横には、
《医療や介護の現場が崩壊したのは、小泉改革のせいではない。
業界と行政の「構造」を変えない限り、さらに悲惨な未来が待ち受けている。》
と明記されている。
私は民間会社のサラリーマンを定年退職後、年金生活を過ごしている身であるが、
私の余生は幾10数年か不明であるが、
特に現役で奮闘しながら働いて下さる方たちの未来は、悲惨と強く感じたのである。
今回、鈴木亘(すずき・わたる)氏の客観性ある現状問題と今後の冷静な視点に導かれて、
改めて、社会保障を多岐にわたり教示させられたので、多くの人たちと共有致したく、
無断であるが引用させて頂く。
《・・
わが国の社会保障制度は、年金であろうと医療・介護であろうと、
高齢者が使う費用を、その時の現役世代が保険料や税で負担する財政方式(賦課方式)を取っている。
つまり、現役世代がその時の高齢者を支えているのである。
わが国のように少子高齢化が急速に進む社会では、
高齢者数が増える一方で、現役世代の数が減るため、
現役世代一人当たりの負担が急増してしまう。》
この後、著者は具体的に『「高齢者(65歳以上)/現役(15歳~64歳)の比率」推移』をグラフで、
1950年から実績値と今後の予測値を明示し、掲載している。
《・・
小泉改革が始まる直前の2000年、高齢者/現役比率は25.5%と、
四人の現役世代で一人の高齢者を負担する状況であった。
・・
わずか八年後の2008年の比率は33.6%まで上昇し、
三人の現役世代で一人の高齢者を支えている。
一人の高齢者にかかる一ヶ月当たりの生活費、医療・介護費の合計を仮に20万円とすると、
2000年において、現役一人当たり一ヶ月5万円の負担が、
わずか8年の間に6.6万円まで上昇する計算である。
保険料や税負担の引き上げに対する国民の激しい抵抗を考えれば、
これだけ大きな負担増を僅かな期間で実施するのは、政治的に困難を極めたであろう。
そのため、歳出抑制を行って、負担の急増を少しでも緩和する選択肢を選んだのが、
小泉改革の本質なのである。
さらに言えば、1997年の医療制度改革(本人自己負担率を1割から2割に引上げ)、
2000年の年金改革(給付の2割カット)と、
社会保障政は小泉改革の前から既に抑制策に舵が切られていたのであり、
小泉改革は、その方向を「センセーショナル」に前に推し進めたに過ぎない。》
この後、著者は
《・・今から14年後の2023年には高齢者/現役比率は50.2%
と、
なんと二人の現役世代で一人の高齢者を支えることになる。
先の例で言えば、現役一人当たり一ヶ月10万円と2000年時点の倍増である。
・・
2072年の高齢者/現役比率のピーク時には85.7%と、
ほぼ一対一の水準になる。・・》
と余りにも過酷な現役負担を明示している。
こうしたことは、園児でも解かるとおり、
立ち行かなくなることは明らかであるが、著者は現状の問題実態を明言している。
《・・
わが国の医療・介護・福祉の各業界や厚生労働省は、
この必然的な流れに逆らって政治的な抵抗ばかり力を注いできたため、
ついにビジネスモデル・行政モデルを切り替えられなかった。
このことこそが、医療・介護現場の崩壊や社会保障制度のほころびを生んだ真相なのである。
》
この後、著者は具体的に、
勤務医不足の深刻な状況の原因、
声の大きな業界団体を持たない弱者へのしわ寄せの原因と状況を明確に表し、
今回の「骨太2009」も危惧している。
《・・安定財源を確保した上での「中福祉・中負担」の構築を展望しているが、
もとより欧米諸国は既に少子高齢化は終っているが、
わが国は未曾有の少子高齢化が進展する真最中であり、
今、歳出を拡大させてしまうと、その負担増は現在だけに止まらず、
近い将来のもっと大きな負担増に繋がる。
つまり、「中福祉・中負担」を今の高齢者たちが享受すると、
近い将来の世代は、「中福祉・超高負担」、
或いは「低福祉・高負担」のどちらかの惨状に直面してしまうのである。
こうした事情は、国民に全く知らされていない。
》
その上、昨今の諸情勢にも、
《・・
歳出拡大に伴う負担増すら、景気対策の名の下に先き送り、
国民健康保険の不足財源への公費充当、
後期高齢者医療制度への公費拡大・・》
このような実態に、
《・・コスト感覚すら失った・・一時的な快楽の後には、
国民を絶望の淵に追いやることは間違いない。・・》
と警告している。
注)著者の原文をあえて改行などを多くした。
私はこの記事を拝読した後、この一週間は憂鬱な心情となっている・・。
高い経済の成長してきた時、私が40代に於いて、
昭和2年生まれの家内の父に、
『お義父(とう)さんの世代の年金・・現役の七人で一人を担ぐのだから・・
安楽に高い年金は頂けるが・・
ぼく達が年金生活に入った時は、現役4人で一人を担ぐ時代と思われるので・・
お義父さんの世代は一番恵まれている・・』
と談笑しながら、私は言ったことがある。
私達夫婦は子供に恵まれなかったので、もとより孫もいないし、
あと数10年先はあの世でお世話になっている身だし、
と私は身勝手なことも思ったりした。
そして、このようなことも妄想したのである。
①現状の厚生労働省、医療・介護・福祉の各業界を抜本的に改正し、新たな行政モデルを構築し、実施する。
②働いて下さる現役世代に、過酷な高負担をして頂く。
③後期高齢者は負担の元凶であるから、70代で亡くなるのが尊ばれる社会風潮にする。
④『消費税』を撤廃する代わりに、明確に『社会保障税』として少なくとも15%とする。
このように妄想したのであるが、①理想であるが現実性に乏しく、
②と③はもとより不可能だし、
やむえず④しかない、と思ったりしたのである。
高齢者の人たちも、これ以上のレベルで現役の方に負担をさせるのは、
余りにも酷であり、程々に負担をするのが、適切と思われる。
a href="http://www.blogmura.com/">
この一週間は憂鬱な心情となっている・・。
過日、月刊雑誌『フォーサイト』(新潮社)を8月号から購読開始したのであるが、
この中のひとつの記事を読み、深く考えさせられたのである・・。
学習院大学・経済学部教授の鈴木亘(すずき・わたる)氏が、
『「骨太2009」で立ち行かなくなる社会保障』
と題され寄稿されていた。
この命題の横には、
《医療や介護の現場が崩壊したのは、小泉改革のせいではない。
業界と行政の「構造」を変えない限り、さらに悲惨な未来が待ち受けている。》
と明記されている。
私は民間会社のサラリーマンを定年退職後、年金生活を過ごしている身であるが、
私の余生は幾10数年か不明であるが、
特に現役で奮闘しながら働いて下さる方たちの未来は、悲惨と強く感じたのである。
今回、鈴木亘(すずき・わたる)氏の客観性ある現状問題と今後の冷静な視点に導かれて、
改めて、社会保障を多岐にわたり教示させられたので、多くの人たちと共有致したく、
無断であるが引用させて頂く。
《・・
わが国の社会保障制度は、年金であろうと医療・介護であろうと、
高齢者が使う費用を、その時の現役世代が保険料や税で負担する財政方式(賦課方式)を取っている。
つまり、現役世代がその時の高齢者を支えているのである。
わが国のように少子高齢化が急速に進む社会では、
高齢者数が増える一方で、現役世代の数が減るため、
現役世代一人当たりの負担が急増してしまう。》
この後、著者は具体的に『「高齢者(65歳以上)/現役(15歳~64歳)の比率」推移』をグラフで、
1950年から実績値と今後の予測値を明示し、掲載している。
《・・
小泉改革が始まる直前の2000年、高齢者/現役比率は25.5%と、
四人の現役世代で一人の高齢者を負担する状況であった。
・・
わずか八年後の2008年の比率は33.6%まで上昇し、
三人の現役世代で一人の高齢者を支えている。
一人の高齢者にかかる一ヶ月当たりの生活費、医療・介護費の合計を仮に20万円とすると、
2000年において、現役一人当たり一ヶ月5万円の負担が、
わずか8年の間に6.6万円まで上昇する計算である。
保険料や税負担の引き上げに対する国民の激しい抵抗を考えれば、
これだけ大きな負担増を僅かな期間で実施するのは、政治的に困難を極めたであろう。
そのため、歳出抑制を行って、負担の急増を少しでも緩和する選択肢を選んだのが、
小泉改革の本質なのである。
さらに言えば、1997年の医療制度改革(本人自己負担率を1割から2割に引上げ)、
2000年の年金改革(給付の2割カット)と、
社会保障政は小泉改革の前から既に抑制策に舵が切られていたのであり、
小泉改革は、その方向を「センセーショナル」に前に推し進めたに過ぎない。》
この後、著者は
《・・今から14年後の2023年には高齢者/現役比率は50.2%
と、
なんと二人の現役世代で一人の高齢者を支えることになる。
先の例で言えば、現役一人当たり一ヶ月10万円と2000年時点の倍増である。
・・
2072年の高齢者/現役比率のピーク時には85.7%と、
ほぼ一対一の水準になる。・・》
と余りにも過酷な現役負担を明示している。
こうしたことは、園児でも解かるとおり、
立ち行かなくなることは明らかであるが、著者は現状の問題実態を明言している。
《・・
わが国の医療・介護・福祉の各業界や厚生労働省は、
この必然的な流れに逆らって政治的な抵抗ばかり力を注いできたため、
ついにビジネスモデル・行政モデルを切り替えられなかった。
このことこそが、医療・介護現場の崩壊や社会保障制度のほころびを生んだ真相なのである。
》
この後、著者は具体的に、
勤務医不足の深刻な状況の原因、
声の大きな業界団体を持たない弱者へのしわ寄せの原因と状況を明確に表し、
今回の「骨太2009」も危惧している。
《・・安定財源を確保した上での「中福祉・中負担」の構築を展望しているが、
もとより欧米諸国は既に少子高齢化は終っているが、
わが国は未曾有の少子高齢化が進展する真最中であり、
今、歳出を拡大させてしまうと、その負担増は現在だけに止まらず、
近い将来のもっと大きな負担増に繋がる。
つまり、「中福祉・中負担」を今の高齢者たちが享受すると、
近い将来の世代は、「中福祉・超高負担」、
或いは「低福祉・高負担」のどちらかの惨状に直面してしまうのである。
こうした事情は、国民に全く知らされていない。
》
その上、昨今の諸情勢にも、
《・・
歳出拡大に伴う負担増すら、景気対策の名の下に先き送り、
国民健康保険の不足財源への公費充当、
後期高齢者医療制度への公費拡大・・》
このような実態に、
《・・コスト感覚すら失った・・一時的な快楽の後には、
国民を絶望の淵に追いやることは間違いない。・・》
と警告している。
注)著者の原文をあえて改行などを多くした。
私はこの記事を拝読した後、この一週間は憂鬱な心情となっている・・。
高い経済の成長してきた時、私が40代に於いて、
昭和2年生まれの家内の父に、
『お義父(とう)さんの世代の年金・・現役の七人で一人を担ぐのだから・・
安楽に高い年金は頂けるが・・
ぼく達が年金生活に入った時は、現役4人で一人を担ぐ時代と思われるので・・
お義父さんの世代は一番恵まれている・・』
と談笑しながら、私は言ったことがある。
私達夫婦は子供に恵まれなかったので、もとより孫もいないし、
あと数10年先はあの世でお世話になっている身だし、
と私は身勝手なことも思ったりした。
そして、このようなことも妄想したのである。
①現状の厚生労働省、医療・介護・福祉の各業界を抜本的に改正し、新たな行政モデルを構築し、実施する。
②働いて下さる現役世代に、過酷な高負担をして頂く。
③後期高齢者は負担の元凶であるから、70代で亡くなるのが尊ばれる社会風潮にする。
④『消費税』を撤廃する代わりに、明確に『社会保障税』として少なくとも15%とする。
このように妄想したのであるが、①理想であるが現実性に乏しく、
②と③はもとより不可能だし、
やむえず④しかない、と思ったりしたのである。
高齢者の人たちも、これ以上のレベルで現役の方に負担をさせるのは、
余りにも酷であり、程々に負担をするのが、適切と思われる。
a href="http://www.blogmura.com/">
