ギリシャではシリザというポピュリスト系の政党が「緊縮財政を止めて、EUにもっと援助を求める」という公約を掲げて選挙で圧勝し、実際に解雇した公務員の再雇用などを始めているらしい。もちろん財政の裏付けなどなく、ユーロ離脱をちらつかせてEUの支援を獲得することが狙いである。交渉は始まっているようである。
EUの中心となっているドイツのメルケル首相は緊縮財政を続けないと追加支援は行わない、と断言する一方「ギリシャにはユーロに留まってほしい」とも言っている。メルケル首相としては「ギリシャのユーロ離脱はやむなし」と考えていると思うが、「ドイツがギリシャを追い出した」とは言われないようにしたいというところだと思う。ギリシャに対してある程度支援する用意はあるが、ギリシャ国民がシリザを選んだことを後悔させる決着でないとEUとしては失敗になると私は思っている。
私はこのブログで何度か「日本は北欧型の社会を目指してはどうか」と書いているが、ギリシャも北欧も大きな政府の資本主義国であり、政体としては良く似ている。おそらく国民性がギリシャと北欧を分けているのだと思う。日本が大きな政府を目指した場合にギリシャになるか北欧になるかは紙一重だと思っている。北欧になれる見込みが立たないなら大きな政府を目指すべきではなく、今時点ではギリシャのようになるリスクのほうが高いと感じているので、私は小さな政府を志向する安倍政権を容認している。
ギリシャは文明発祥の地なのにどうしてこうなったのだろうか。地中海沿岸を制覇した古代ローマも今は見る影もなく、イタリア人というと遊び好きのジゴロというイメージである。塩野七生氏の「ローマ人の物語」を読むと、古代ローマ人の気質は今のドイツ人のような感じである。どうしてこんなに変わってしまったのか、地球温暖化の影響だろうかなどと考えている。
ギリシャと北欧はどう違うか、日本がギリシャにならずに北欧のようになるようにするにはどうすれば良いかを真剣に検討するべきだと思う。
「(北欧の政府が国民の信頼を受けているのは)中央政府が小さく地方分権化されていることだ。人口が最大のスウェーデンでも900万人と大阪府ぐらいで、それがさらに小さな州にわかれて予算の独立性も高いので、国民は「足による投票」で地方政府を選べる。政府予算は公共事業や補助金ではなく所得の直接再分配に使われているので、負担と受益の関係がわかりやすい。」
即ち、地方行政に競合原理を導入する事により、効率的なサービスを提供する形になっています。
因みに日本の人口千人当たりの公務員数は世界でも最低レベル、GDPに対する政府歳出も40パーセント程度と、先進国では決して大きい方ではありません。
問題は財政赤字ですが、これは恐らく少子高齢化に伴う社会コストの増大という説明になるかと思います。これは年齢構成のアンバランスから来るもので如何ともし難いのですが、欧米で対策の先例がありながらもこのような今日の事態になったのか、明確にする必要があるのではないかと思います。縦割り行政の為、複数の省庁にまたがる政策が効果を出しにくい(=税金を無駄に使っている)のかもしれません。
つまり、自助、共助、公助のうちで「共助」の部分をもっと充実させる仕組みを考えると、世の中は、もう少し、効率よく、かつ、参加意識、帰属意識を高められるような仕組みができるのではないかと思っています。
具体的な一例は、マンションや町内会を共同体とみなした時の共助の部分を、もう少し増やせないだろうかという点です。
30代や40代の頃は、あまり関心を持てなかった地域社会との結びつきや助け合いも、50代から60台を過ぎるころになると、大規模災害、備蓄品の購入、運営、マンションの管理組合などを通じて、身の回りでも関心さえ持てば、もっともっと改善、工夫が可能な領域がたくさんあると感じるようになりました。自助でなければ、すべて公助で賄い支えるという発想も、見直す必要があります。
その為にも、たとえばポイント制の様に、何かの活動をしたときにポイントとして蓄積しておき、自分が必要となった場合に活用できる仕組みがあればとおもうのですが....
ギリシャと北欧に違いは、政治のクリーンさでしょう。北欧はオンブズマン制度が発達していて、政治をしっかり監視しています。
池田信夫氏も日本は北欧型を目指すべきだと言っていますね。以前の日本企業は社員の面倒見が良く法人税など社会コストもたくさん払い、政府と企業は持ちつもたれつでしたが、国際競争が厳しくなり政府は法人税を下げ、代わりに消費税を上げざるを得なくなっています。企業の方も厳しくなり、社員の面倒を見なくなっているのはご存知の通り。安易な企業依存を断ち、社会的責任を明確に背負う事が、政府の目指すべき道かもしれませんね。