ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

剣岳 点の記

2009-08-23 18:11:27 | 生活
今、中国に来ている。来る途中の飛行機の中で「剣岳、点の記」を見た。作者、新田次郎は好きな作家なので結構読んでいるつもりだったが、「点の記」は読んでいなかった。

私は新婚の頃にみくりが池温泉に泊まって室堂から立山に夫婦で登ったことがある。その時に立山から剣岳を見て、登りたい気持ちもあったのだが、険しい岩肌を見て夫婦では無理だろうと諦めたことを思い出した。当時は二人とも今よりかなりスリムだったし、家内と一緒に(他の人もいたのだが)槍ヶ岳には登っていたので、全くの山の素人というわけでもなかった。しかし、やはり剣岳は無理だろうと感じたものだった。

新田次郎の「槍ヶ岳開山」は読んだことがあって江戸時代より前にルートが確立されていたのだが剣岳は明治40年まで未踏であったということが、その険しさを物語っていると思う。行者が登っていたという歴史はあってもそれは「開山」ではなかった。

しかし、今は剣岳はおろかエベレストだってとっくにたくさんの人が登っている。20世紀に入ってからの様々な面での科学技術の進歩を改めて感じる。考えてみれば、私が仕事をしているネタである電波の存在そのものが20世紀になって発見されたものだ。

登山家にとっては初登頂という言葉はものすごく魅力的なものらしい。しかし「点の記」の良さは彼らが地図を作るという業務でやっている点にある。登山が目的ではなく手段である。その一方で訳の分らぬ上司が名誉のために登山家のグループと競争させる。この辺りは少し安っぽい感じがしたが、測量隊はあくまでも地図作りをメインに考えているのでそれほど気にならなかった。陸軍を悪役にしないで、登山隊と同様に名誉もほしいが実用性も大事というようにもっと話の分かる人に仕立てていたらこの映画はもっと深みが出ていたと思う。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿