ウィトラのつぶやき

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「天地明察」を読んだ

2010-05-10 06:47:30 | 生活

本屋大賞を取った歴史小説の「天地明察」を読んだ。
新刊書を買ったのは10年ぶりくらいだろうか。私は移動時間が読書時間なので、大きくて値段も高い新刊書はまず買わない。文庫本が出るまで
待つのが普通である。

「天地明察」を買う気になったのは主人公が実在の人物で江戸時代の囲碁の家元、安井算哲だと聞いたからである。
ちょうど手元に図書カードがあったということもある。
内容は囲碁というより数学と天文学の話だが、囲碁の話も結構出てくる。

私は吉川英治、池波正太郎、藤沢周平、柴田錬三郎、平岩弓枝などが好きでかなりの本を読んでいるが、これらの大家と比べるとごつごつしていて引っかかる、するっと読めない。むしろ宮城谷昌光などと比較するべきなのかもしれないが、それでも文章はあまりうまいとは言えないと思う。

囲碁に関しては「この作家は囲碁は打たないのではないか」と思った。囲碁のプロが感じるであろう心の動き、作戦、悩みなどは殆ど感じなかった。その意味では期待はずれである。

しかし、内容は力作である。江戸時代の日本の数学のレベルの高さ、それを支えた政治家などの周り環境が作家本人のこの作品に対する思い入れとともに感じられる。また作家としては珍しく数学が好きな人の気持ちを理解しし、そんな人物が暦の作成に人生をかけたことに対する感動が伝わってくる。

作者の冲方丁はおそらく寡作の人だろう。次の作品はかなり先になるだろうし、何年かすると作風が変わってくるのではないかと思うが、こういう渾身の作という感じの作品をまた読んでみたいと思った。


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