前回の追浜散策で回り切れなかった場所を訪ねてみました。
京急「追浜」駅を出て目の前のR16を、商店街に沿って右へ。
「陣屋跡」
嘗てこの辺りには、後北条氏の家臣朝倉能登守が屋敷を構え
領地支配や海上警護にあたっていました。その後、屋敷跡に
「浦郷陣屋」が置かれましたが、今は何の痕跡も残っていません。
京急線の踏切を渡った所にあるのは
「久遠山 大悲院 良心寺」
浄土宗のお寺です。 ご本尊は阿弥陀如来。
開基は領主 朝倉能登守の夫人。明治維新までは
大名の菩提寺として、格式ある寺院だったようです。
モダンな建築のご本堂
参道に祀られている地蔵像や庚申塔群
中央の大きな庚申塔には「寛文十二年」と刻まれています。
R16を少し戻り、途中から右手の小路に入って行きます。
右奥に見える長い石段を上っていくと
「無量山 正光寺」
此処も浄土宗のお寺です。
ご本尊の阿弥陀如来は、中国・宋元時代の特徴を有する
仏像で、横須賀市重要文化財の指定を受けているとか。
正光寺の石段を下りてそのまま人家の方へ進んでいくと
右手の空き地の真ん中に、黒いオブジェ?
これが前回「雷神社」でご紹介した、小屋にお籠りしていた少女達の
代わりに雷に当たって焼け焦げた柏槇の古木だそうです。
この辺りは「築島」と呼ばれています。
その当時は入り江で、大潮が満ちると小島になったそうです。
女性の生理が不浄とされていた時代、その期間女性達は
この島の小屋で過ごすという因習があったということです。
正光寺石段下の道に戻って先へ進み、道標を右に入ると
「補陀山 自得寺」
臨済宗のお寺。 ご本尊は聖観世音菩薩。
(以下 説明板より)
「木造 十王坐像」 市指定重要文化財
ご本堂に安置されている10体の像で、寺伝によると
元は雷神社付近の地蔵堂に祀られていたもので
明治年間に当寺へ移転安置されたようです。
高さ40cm弱の像は寄木造の彫眼で、中国風の道服姿。
胎内などに1433(永享5)年という制作年や、作者の
林貞家という墨書銘があったということです。
十王信仰についてはよく知りませんが、見たことのない
像なので、機会があれば一度拝観してみたいものです。
今回は、前回散策の補足ということで
歩数も少なめの8,680歩
情報通の知人M氏から桜の情報を頂きました。
昨4日(金)は、ポカポカの小春日和で 風も無く絶好のお花見日和♪
カメラをポケットに入れて、いそいそ出かけました。
東京・品川の「戸越公園」
公園東門の「冠木門」は、1991(平成3)年築だそうです。
この公園は、元 熊本藩主 細川越中守重利公の下屋敷の
庭園(一部)で面積が18,255㎡。湧水と水道水を併用した
面積1,815㎡の池を巡る回遊式大名庭園になっています。
園内は秋(?)たけなわ
これが正門の「薬医門」
1992(平成4)年の建築ですが、台湾檜や三州瓦を
使用するなど本格的な造りになっています。
門前の植え込みの2本のヒマラヤ桜が、ピンクの花をつけています。
写真を撮っていた男性が「今年は花が早かったねぇ」と。
間に合って良かった~!
ヒマラヤ桜
バラ科サクラ属
ヒマラヤの標高1,100m~2,300mの温暖帯に分布する常緑樹で
花期は12月上旬~下旬。日本のサクラの原種と言われています。
日本では、留学中だったネパール皇太子から熱海市に寄贈された
3本の苗木が最初だとか。近年、環境汚染物質の吸収同化能力に
優れているとして注目されるようになりました。
古いものですが、我が家の「世界の植物」(発行・朝日新聞社)と
いう本に、ヒマラヤ桜について次のような記述があります。
「近年になってサクラの新顔が外国から出現してきた。それはヒマラヤ種の
2種で、ソメイヨシノやヤマザクラに似た感じの『ヒマラヤザクラ』と、
カンヒザクラを思わせる『ヒマラヤヒザクラ』である。
ヒマラヤザクラは秋咲きで、ヒマラヤヒザクラは春咲きである。
このほかにヒマラヤの高地には日本の高山や高原で見られる
タカネザクラに似た種もあることを考え合わせると、日本の植物相と
ヒマラヤの植物相が似ていると言う学説にサクラも当てはまる。
この事実をもとに考えると、サクラの故郷は日本よりもむしろ、
地史学的にはヒマラヤであると言ってもよいのではあるまいか。」
さらに;
「サクラだけでなく、ヒマラヤと日本の植物相は関係が深い。
太古 陸続きで気候が一様だった頃には共通していた植物相が
地形の変動で一方は高山になり一方は島になって、植物が
それぞれの環境に適応するように分化したのである。
例えば、ヒマラヤザクラとヤマザクラは祖先型が同じであるといえる。
秋咲きという性質は、最初春咲きであったものからヒマラヤの
気候に適応して分化したと考えられる。」と。
ふ~ん、奥が深いですねぇ・・・
♪「桜 桜 歩いた道を恥じるなと~」♪
「冬桜」
作詞: たきのえいじ
作曲: 杉本眞人
[追記]
M氏から、熱海で咲いているヒマラヤ桜の画像が届きましたので
ご紹介しますね。熱海市多賀の熱海高校下にあるそうです。
Mさん、ありがとうございます!
(撮影:12月4日)
ススキと桜の取り合わせがおもしろいですね。
こちらの花は、色も一段と濃くてあでやかですね~!
再び京急線の下をくぐって旧東海道の道筋へ戻る通りには
魅力的な建築がまだ残っています。しかも現役!
頑張れ~
旧東海道を西へ上って行きます。
「恭敬山 長徳寺」
時宗のお寺です。 ご本尊は阿弥陀如来。
「品川のお閻魔様」と呼ばれています。
左手の閻魔堂に、鎌倉時代の木造閻魔坐像。
「鳳凰山 天妙國寺」
法華宗のお寺。 ご本尊は釈迦如来。
将軍家の庇護を受け、多くの文化財を所蔵しているそうです。
桃中軒雲右衛門・剣豪 伊藤一刀斎などのお墓があるとか。
街道筋で目に留まった畳屋さん。右から「畳 松岡」と読むようです。
ここも右書き看板 下見板張壁の医院
「海照山 普門院 品川(ほんせん)寺」
曹洞宗のお寺です。 創建年代は不詳。
参道左手に、江戸六地蔵の一体が安置されています。
ご本尊の正観世音菩薩像は太田道灌公の持仏で、
武運長久、江戸警護のため伽藍を建立して祀ったとか。
「龍吟山 瑞林院 海雲寺」
曹洞宗のお寺。 ご本尊は十一面観世音菩薩。
元は近くにある海晏寺の塔頭で、元禄期に一寺となったそうです。
火と水を司る千躰荒神を祀り、「品川の荒神様」と親しまれています。
木彫が美しい鐘楼
「平蔵地蔵」
正直者の平蔵という男が、拾った袱紗包みの大金を落とし主に届け礼金を
貰ったことを後日仲間に話したところ、怒った仲間に殺されてしまいました。
その話を聞いた落とし主が平蔵を哀れみ、建立したものだそうです。
もう一度、京急線の高架の向こう側へ。R15に面して
「補陀落山 海晏寺」
曹洞宗。 ご本尊は観世音菩薩。
1251(建長3)年頃 鮫洲に大鮫の死体が浮上し、体内から観音像が
出てきたことから堂宇を建立しこれを祀ったのに始まります。
その後荒廃しましたが、徳川家康公の命により1593(文禄2)年に
本多正信公が中興し、臨済宗から曹洞宗に改宗しました。
禅寺らしい静謐で凛とした雰囲気のあるお寺でした。
R15 と交差する池上通りの坂は「仙台坂」。
昔、坂上辺りに仙台藩の下屋敷があったそうです。
池上通りは池上本門寺に続く参道で、農家が農作物を持ち寄って市が
立っていたことから、「青物横丁」の名が生まれ京急の駅名になっています。
仙台坂の傍の「大井公園」の下を通り、突き当たりの石段を上ると
「山内豊信公墓所」
山内豊信(とよしげ)公:号は「容堂」
第15代土佐藩主で藩政刷新に努め、国政についても論議・建策して
幕末の幕政に大きな影響を与え、大政奉還をはじめ幕府と朝廷間の
斡旋に尽力。1872(明治5)年没し、遺言によりこの地に埋葬されました。
(説明板より)
陽がないので、夕方近くなると肌寒さを感じます。
鮫洲から先は、またの機会に!
品川から鮫洲までの4駅で 19,253歩
前回は目黒川の手前で日が暮れてしまいました(笑)
ので、今回はその先へ足を伸ばしてみたいと思います。
生憎の天候ですが、足元に注意してぼちぼち行きましょう。
目黒川沿いの道筋にあるお寺は
「自覚山 海徳寺」
昔 鳥海和泉守という人の屋敷だったのをお寺にしたとか。
ご本尊は三宝祖師像
ご本堂は、約250年前の建築当時の古材を再利用して
建て替えられたものだそうです。
高札が立っていました。 「慶應四年」とありますね。
「邪宗門之俄ハ固く禁止候事」と読めますが・・?
「軍艦千歳殉難者之碑」
明治39年12月9日のことだったのですね。
京急線「新馬場」駅の横を通りR15を横断して間もなく右手に
「経王山 本光寺」
古くは真言宗でしたが日什上人のとき改宗、法華宗となりました。
ご本尊の釈迦如来像のほか、木造日蓮聖人坐像(区指定文化財)。
五輪塔 三重塔
南品川は本当にお寺が多いですね!
「瑞雲山 天龍寺」
曹洞宗のお寺です。 ご本尊は釈迦如来坐像
台東区下谷の天龍寺さんは昔、当寺の出張寺だったとか。
天龍寺横の長~いレンガ塀
天龍寺前の道を挟んで
「馬頭観音堂」
「深廣山 無涯院 海蔵寺」
時宗のお寺です。 ご本尊は阿弥陀如来像
「品川の投げ込み寺」と呼ばれるように、多くの無縁塔や供養塔があります。
「即成山 光明院 願行寺」
浄土宗のお寺。 ご本尊は阿弥陀如来像
1462(寛正3)年 ある念仏聖が草庵を結んだのが始まりとか。
その後文明年間(1490年頃)に祐崇上人が現在地にお堂を建立。
「しばり地蔵」
祈願する人が首を持ち帰り、成就すると首2つにして奉納する
そうで、地蔵像の後ろにたくさんの首が並んでいました。
お寺巡りのようになってきました(笑)
格別お寺が大好きというワケじゃないのですが・・
歴史を訪ねると、そういうことになるのかもしれません。
では、ちょっとお口直しに☆
海苔屋さんの駐車場に、こんな浮世絵の大パネル。
海苔を干しているところでしょうか。
こちらは品川の潮干狩りのようです。
賑わってますね~
(続)
「龍馬」
ひょんなことから思いがけなくチケットが手に入ったので、
友人とミュージカル・オペラ「龍馬」の舞台を観に行きました。
坂本龍馬さんといえば、ご存知日本人の永遠のカリスマ、
脚本はジェームス三木氏で、演出が江守徹氏、
場所は本格的オペラ設備の横須賀芸術劇場大ホール。
しかも、前から3列目のss席☆
今回が千秋楽とあって、完成された舞台が
観られるのではないかと期待が高まりました
浦賀に停泊中の黒船が撃ち放つ大砲の轟音で幕が揚がり
終幕まで、15分の休憩を挟んで約2時間半の楽しい舞台でした。
(詳細は上記サイトからどうぞ!)
プログラムパンフレットの写真から、雰囲気をお届けできれば・・
「龍馬」役のオペラ歌手 平良交一氏のすばらしいバリトン
「よさこい踊り」あり、「龍の舞」あり、「おてもやん」あり、
「ええじゃないか」もありの賑やかな舞台
私の中にある龍馬さんとは少し違うかなという部分もありましたが、
史実云々というよりも、娯楽の舞台として観客を楽しませようと
いうのが趣旨であるように感じました。
それにしても、¥12,000のチケット×2が当たってしまい
もう、今年の運は使い切っちゃった感じだな~
年末ジャンボは買ってもムダ?(笑)