東京の奥庭・秋川渓谷に「瀬音(セオト)の湯」という新しい温泉宿がある。
宿はコテージ形式で別荘気分が味わえる。
しかも一人客もOK。
いつか泊ってみたいと思っていたが、いかんせん東京都内なのであえて泊るには及ばない距離にある。
そこに、高校同期会の宿泊企画。
企画に参加できなかったものの、一日遅れで参加したつもりになって一人で宿泊した。
一泊朝食付きで11000円。
夕食は施設のレストランか、コテージ内にキッチン(食器と電子レンジも)があるので自前(or コンビニ弁当)でも可。
バスで行くには、武蔵五日市駅から西東京バスで「十里木」で下車(直通バスもあるが本数が少ない)。
長い吊り橋の「石舟橋」で秋川を渡って少し林の中を歩いて到着。
コテージのベランダは秋川側に面しており、 河原に降りていける。
降り立った所は”The秋川渓谷”という風景(写真)。
水の透明さに驚く。
さっそく湯に入る。
日曜の午後なので混んでいたが、宿泊客は離れたロッカーを与えられる。
内湯は源泉かけ流し、露天は塩素循環と書いてある。
泉質は「アルカリ単純泉」 なので、成分的に薄いわけだが、そのアルカリ性がpH10と半端ない(源泉での値)。
内湯を計測してみるとpH9.3。
この値はすごい方だ。
実際アルカリ泉特有のぬるっとした軟らかさを感じる。
内湯の酸化還元電位を測ると、-105mVと完全な「還元水」
かけ流しの源泉だから新鮮なわけだが、電位が−側に傾くのはアルカリ性が強いためでもある。
温泉の濃さの指標である全溶存量は473ppmなので、単純泉としては中程度で、入浴剤よりはずっと濃い。
ちなみに、脱衣場でいつものように計測値を記録しようとiPadを開いたら、係の人に使用禁止を言われた、
東海地方では無いことなので戸惑った。
どうやら首都圏の日帰り温泉では盗撮行為があるようで、カメラ・通信機能付きのタブレットは使用禁止なのだ。
今後は紙でメモするか。
夜、一人酒宴のお相手は持参したDVDビデオ 『五日市物語』(2011年公開)。
ここ瀬音の湯もコテージ、レストラン、河原、そして石舟橋がロケ地になっている。
映画の中でも遠藤久美子演じる主人公がたまたま空きがあったということでコテージに一人で泊った。
メゾネットのコテージって居住性はいいが、一人だと空間の中にぽつんといて寂しさが身にしみる。
ここは仲間やカップルに向いている。
翌朝、浴場の営業前なので、コテージ内のバスタブに湯を浸し、備え付けの「瀬音の湯」の入浴剤を入れる。
せせらぎを聴きながらの朝風呂はやはり気持ちいい。
レストランに行き、宿泊客だけの朝食。
実際の宿泊客は友人同士・カップルばかりで、やはりコテージに一人客は不釣り合いか。
ロケーションそのものは素晴らしい(写真は宿に向かう途中の石舟橋)。
といっても派手な風景はなく、清流と山の木々があるだけだが、その素朴な自然美を素直に味わえる(私はもともと奥多摩が好きだし)。
同じ東京都内にこんな素晴らしいロケーションの温泉宿ができたことはうれしい。
今までは日帰りでせわしなく素通りした風景を湯に浸かりながら味わえるのだ。
何もあえて遠方の他県に行く必要を感じなくなるほどだ。