3びきの子ブタの話を思い出してほしい。
ワラの家と木の家とレンガの家があった。
暴風(オオカミの吐息)に弱いのはこの順だった。
では、地震に一番向かないのはどの家だろうか。
ネパールの地震被害は、日本にはない理由によって拡大している。
それはレンガ造りの家。
レンガを積み重ねただけの家は、広くユーラシアに拡がっている。
そして、アルプスヒマラヤ造山帯、すなわち激しい地殻変動の地帯もほぼおなじ領域になっている。
だから、四川省から、アフガニスタン、イラン、トルコに至る所で地震被害がひろがってしまう。
アルプスヒマラヤ造山帯以上に激しい地殻変動をしている環太平洋造山帯にずっぽり入っている日本は、
とてもじゃないが石造りの家には住めなかった。
明治になって一時的にレンガ造りが導入されたが、地震時に被害を大きくするため、廃れた。
日本の伝統的なわらぶき屋根こそ、地震に適している。
倒壊しても屋根が軽いため、圧死を免れるからだ。
だが、災害国日本は、地震よりも台風や火災の頻度が高い。
わらぶき屋根はそれらにはめっぽう弱い。
これがジレンマだった。
江戸時代には、地震被害を減らすため、瓦屋根を禁止した所もあった。
日本ほど地震が多い所はなく、だからこそ地震対策をきちんとせざるをえない。
アルプスヒマラヤ造山帯周辺の地域には、
一生に一度来るかわからない地震に備えるほどの経済的・技術的余力がある所は少ない。
しかも乾燥地帯なので、ワラはもちろん木だってふんだんにつかえない。
一方、石なら至るところにある。
ということは、せめて鉄筋を入れるようにするべきだ。
日本のブロック塀も鉄筋を入れるのが義務化されてから、倒壊被害は激減した。