今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

なぜ人は川べりに住むのか

2019年10月14日 | 防災・安全

台風19号は、結果的に多くの被害をもたらしたが、事前に懸念された風害ではなく、雨による河川災害だった点で、被害予想が外れたといってもいい。
15号で予想外の風害に遭ったせいで、冷静な被害予想ができなかったといえる。

それにしても、台風が通過した地域の間で被害の差が大きかった。
東京区部はほとんど無傷だったが、神奈川から岩手まで河川沿いが軒並み被害にあった。

大都市内部の住民からすれば、なんで危ない川べりに居を構えるのかといいたくなるのだが、
それは現代文明下の都市が逆に河川を必要としなくなったからにすぎない。

そもそも古代文明がいずれも大河沿い(ナイル、チグリス・ユーフラテス、インダス、黄河)に生まれたように、人は川べりに住むものだった。
いや正しくは、河川が作る沖積平野が人に生活する場所を与えた。

その沖積平野は河川の氾濫原が成長したものだ。
すなわち、川の氾濫は長い目で恩恵でもあった。
時に暴れるものの、川が与える恩恵が得難いため、人は川から離れなかった(木曽三川の中洲の集落である「輪中」が典型。暴れ川にへばりついてまで川沿いに住みたいのだ)。
なので昔の輪中や南関東の荒川沿いの住民は、舟を常備していた。

上水・下水道という人工的な水路を作る事によって、それまで水がなく人が住めなかった(水田も作れなかった)台地にも住めるようになった。
かような用水開発によって台地は居住可能になり、その結果、山地と低地の中間にある台地こそが、水害も土砂災害も無い防災上もっとも安全な所となった。 

だからこそ、現代では川沿いに住む利点はない。
ただし、国土の75%が山地の日本には、川が作った沖積平野さえ少ないため(一番広い関東平野に人が集まるのは必然)、ましてや台地はもっと少ない。
なのでやはり平野の川沿いに住まざるをえない。

昨年の西日本豪雨で、西日本の人は、洪水ハザードマップの正確さを痛感した。
今回、東日本の人がそうする番だ。
私が防災の授業で学生に真っ先にやらせるのが、ハザードマップ(地震、洪水)での自宅の災害危険度の確認だ。
こうやって、授業で強制しないと、やらないため。

これを見た読者も、今すぐに、居住自治体のサイトでハザードマップを確認し、自宅の災害危険性を把握しよう。


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