旧甲州街道での武蔵と相模の国境は小仏(こぼとけ)峠(548m)。
現甲州街道での東京・神奈川の境はその南にある大垂水(おおだるみ)峠(391m)。
両峠の間にある山が小仏城山(670m)で、もちろんこの山も県境となっている。
現甲州街道(国道20号線)が越える大垂水峠は、まさに国道上にあり、歩きの対象ではない。
ということもあり、幾度も行っている小仏城山だが、大垂水峠から登るルートを唯一歩いていなかった。
幸い、ここには峠越えの路線バス(八王子〜相模湖)が走っている。
問題は時刻だが、10時台に一本あり、丁度いい。
というわけで、1月3連休の最終日(成人の日)、山手線の工事が唯一ないこの日に、京王線で高尾山口に行き、
そこからバスに乗り、大垂水峠で降りた。
実はこの峠で降りたのは2度目で、1度目はここから城山とは反対側の南高尾山陵を歩き、峰の薬師から津久井湖に降りた。
なので今回は、歩き残しの部分を埋めるというわけ。
大垂水峠からは高尾山に向かう道もあるが、それを素通りして、丁度道路が下りになる所(神奈川県側)で、小仏城山への山道に入る。
沢沿いの道から斜面の登りに移り、緩い尾根道に出る。
一旦下って登り返し、高尾山からの縦走路に合流すると城山の頂に出る(峠から歩程50分)。
広い頂上には茶屋が2軒あり、一方は都心・関東平野を望む東京の店、他方は富士を望む神奈川の店。
今日は白い富士がきれいに見えるので、神奈川の店で名物なめこ汁(300円)と田楽(200円)を食べる。
これが目当てで昼食は持参しなかった(昼食にしては軽すぎるが、山を降りてとろろそばを食べる予定)。
昼食不携帯での山行は、茶屋が充実しているこの山域だから許される。
双方の茶屋にはビール・日本酒・ワインも置いてあり、周囲の人はそのどれかを賞味しているが、
私は心を鬼にして山中でのアルコールには手を出さない※。
今回も”峰入り行”のつもりだし。
※:酒を”人生の友”としたい者にとっては、”友”との付き合いの境界をどこかで明確にし、それを堅持することも大切だと思っている。
腹を落ち着かせた後、改めて富士を眺める。
高尾山からよりも大きく見えて存在感抜群(写真)。
正月の富士を充分堪能して、高尾山(599m)に向かう。
途中のピークは水平な巻道を通り、高尾山も5号路で山頂を巻いて薬王院に向かう。
奥の院の不動堂に参拝し、薬王院の四国八十八ヶ所の砂場巡りも初めてやって、愛染堂も参拝※。
※:仏の参拝は、できるだけ身・口・意の三密、すなわち手印と真言と念を合わせる。峰入の時はなおさら。
薬王院周辺の杉の神木と気の交流(老木には気を放射)をし、
かすみ台展望台から琵琶滝への山道を下る。
今回は、左脚の腸脛靭帯用サポーターもつけずに歩いたがなんともない。
だが逆に今までなんともなかった右脚の腸脛靭帯が疼く。
それをなんとか騙し騙し歩いて高尾病院前に降り立つ(山道終わり)。
この付近に異形の木があると本にあったので探したら、それとは別かもしれないが、
幹の洞の中に別の木が伸びている珍しい木があった(写真)。
ケーブル駅のある高尾山登り口に着き、高尾山を振り返って感謝の意を込めて光明真言を唱える。
とろろそばを食べようと思っていたが、サポーターなしでも腸脛靭帯が痛まなかったので、
駅の売店で缶ビールとつまみを買って、歩道脇の広場のベンチで祝杯をあげた。
長年患っていた左の腸脛靭帯炎は完治した感じだ。