パワースポットの指標の1つである地磁気(磁力というパワー)を、各地で計測している私からみると、磁気を正しく理解せずに間違った方法で計測し、その値を盲信して”ゼロ磁場※”や”磁場逆転”だと誤解しているフシがあるようだ。
※:磁気が分布している空間を磁場あるいは磁界という。
そこで、正しい地磁気の測り方を示すことにする。
まず、地磁気は、磁南極から磁北極(以下北極)に向って流れる惑星規模の磁気で、磁気なので強さと方向(極性)をもつベクトルである。
ご存知のように磁気の同極側は反発し、異極同士で引き合う。
この理屈で、方位磁石のN極側が北極方向に向いているわけだから、北極自体はS極※である。
※:違和感があるが、歴史的に磁極よりも先に方位磁石が発見され、北を向く磁針がまずはN極とされたため。
そもそも磁気はN→Sの方向のベクトル。現在の地球では南極にN極があり、北極にS極があるが、長い地球の歴史では両地の極性は幾度も入れ替わっている。
磁場の中心地に近いほど磁力は強くなるので、地磁気の磁力は、緯度に比例して強くなる。
逆にいえば緯度が0の赤道付近は磁場が0となるので、「ゼロ磁場」は地球上では広範囲に分布している。
地磁気は3次元空間での特定方向をもつベクトルなので、経度面での水平角度の違いはもちろんだが、緯度に従って磁気ベクトルの鉛直面での角度が異なる。
北半球では地中に入りこむ俯角であり、その角度は赤道付近が0°で、北極が90°、すなわち緯度=磁気ベクトルの俯角となる(赤道上で地磁気が0となるのも、磁気ベクトルが地面と平行になるため)。
だから北半球では、空中にある磁針のN極は北を指すだけでなく、下向きになる。
ちなみに、磁気は電気とともに電磁波を構成するから、電気があるところに磁気もある。
我々が使っている電気製品の電磁波を測る場合は、電気が交流だから磁気も交流となる。
それに対して地磁気は、直流といっていい(厳密には24時間という大周期の交流だが、ほとんど変化がないので直流とみなせる)。
なので、交流(AC)専門の電磁波計では地磁気は測れない(交流の電磁波計で測定される磁気は、電気製品の交流磁気)。
交直両用の電磁波計ならスイッチを直流(DC)にして測る。
直流の地磁気を測る時は、地磁気のベクトルに合わせて測らなくてはならない。
これをきちんとやらないと正しい数値を得られない。
地磁気を測る場合、極性情報が必要なのだが、安い電磁波計やスマホのアプリにはこれがない。
その場合は、方位磁石で北極の正しい方位を確認し、その方向に計器のセンサーを向けること。
私が使う計器は極性も出るので、計器のセンサーを北方向にゆっくり水平回転をして、S極への磁気が最大となる方角(=北)で回転を止める。
その方角でセンサーの水平軸の向きを固定した状態で、今度はセンサーをゆっくり下向きにする。
その向きが磁力の俯角と合った時が、磁気の最大値となり、その値(全磁力)がその地の地磁気の値とみなせる。
すなわち、方位と俯角を正しく合わせて初めてその地の正しい地磁気がわかる。
私が、分杭峠は”ゼロ磁場”ではなく磁気は正常値※だと断言し、一方で茶臼山カエル館は磁気異常だと明言するのも以上の計測結果による。
※:地磁気の等磁力線は緯度に沿って平行に分布しているので、その緯度でのおよその正常値がわかる。日本の地磁気分布図は国土地理院で作成されている☞地理院磁気図
その図で、異常を示す場所は愛知県の東栄町など☞磁気異常地帯を訪れる
いいかえれば、正しい磁気ベクトル(磁力線)から外れると計器の値はそれより小さくなる。
たとえば、正しい磁気ベクトルの球面上の正反対(方位も角度も180°逆)方向にセンサーを向けると、極性は逆になり、磁力の数値はマイナスの同値となる。
ということは、正しい磁気ベクトルの球面上の正反対の中間値(方位も角度も90°ずらす)にセンサーを向けると計器の磁力は極性なしの0(μT)を示す。
このような磁気の特性とそれを理解した計測法を知らない人は、ある場所で計器を適当な方向に向け、それが0を示したら”ゼロ磁場”だと騒ぎ、値がマイナスになったら”逆転磁場だ”と騒ぎそう。
なので私は、素人さんの磁気計測報告は、そのまま鵜呑みにしない。