緊急事態宣言下の旅行は、もちろん一人でマスクをして、3密を避けて、地域経済に貢献する。
定宿に泊った翌日、素泊りなので朝食は持参した「スープはるさめ」(86kcal)で軽く済ませ、
まずは車で近くの馬籠(まごめ)※に行ってみた(旧中山道宿の風情を楽しみ、木曽の土産物を物色するため)。
※:木曽路にある文豪島崎藤村の出身地である馬籠は、長野県・山口村に属していたが、平成になって岐阜県・中津川市に編入された。
斜面に沿った馬籠宿の下の入口にあって広い無料駐車場を併設する「まごめや」こそ開店しているが、坂を登っての馬籠宿を構成する店はことごとく休業。
そして道を歩く人影がまったくない(写真)。
数え切れないほどここには来ているが、見渡しても人影がない「無人の馬籠宿」という風景を見たのは始めて。
これこそ”異常事態”。
馬籠宿の上半分は見ていないが、少なくとも下半分では「坂の家」という店だけが一軒気を吐いて営業中で、食事もできる(「まごめや」の食事処は休業)。
その意気や立派。
今なら、誰もいない映画のセットのような、ある意味貴重な風景を味わえる。
ここから旧中山道沿いの細い道に沿って木曽路南端の新茶屋を抜け、山中薬師への更に細い道を行く。
ここは宿から一番近い薬師様で、2020年4月の”薬師巡り”(→記事)の時印象に残っていた。
向いの駐車場に車を停めて、本堂に上がって厨子に入った本尊前立の薬師様を拝む(疫病退散を祈念)。
ここから木曽の山を降り切って中津川駅前に行き、2時間無料の市営駐車場に車を置く(これ便利)。
朝食が”はるさめ”だったこともあって、昼食を摂りに来た。
こういう時こそ、日頃は行列の人気の高級蕎麦店に入るチャンスなのだが、店の前で中を探ると、カウンタ席のカップルが楽しそうに会話している。
狭い店なので、二人から距離をとれるかわからない。
それに、もともと昼食を摂る/摂らないの境界状態ということもあり、心理的・財布的に余分な負荷をかけたくない。
ということで、2020年7月(→記事)に入った地元B級グルメの”焼そば”にした(これならワンコイン)。
地域経済への貢献を謳っていながら、どうしてもケチってしまう自分の性(さが)にあきれる。
償いのため、駅前のビルにある地元物産品を集めた「にぎわい特産館」に行き、そこで地元伝統野菜の「あじめコショウ」(唐辛子)とアメリカ人が地元で開業しているコーヒーショップのドリップコーヒーをそれぞれ1袋買った。
ここから少し歩いて自動車用トンネルの脇を上がった処にある「扇薬師」を訪れる。
昨年の薬師巡りの時は、市営駐車場が使える事を知らなかったため、交通量の多い道路に車を停めることもできず、ここの薬師だけ参拝できなかったのだ。
地元の花崗岩を使った石造りの小さなお堂で、木の格子がはめてあって中は見えない(写真)。
ただ周囲に石仏もあり、狭いながらも信仰の形跡がはっきりしている(ここ中津川は藩主自ら排仏毀釈を断行した地)。
これで中津川での心残りは、高級蕎麦店だけとなった。