久々に福島原発事故関連。
池谷泰文なる人の、原発事故の重大さを住民の健康障害に無責任にも置き換えた暴言が問題になっている。
これは昭和20年の原爆投下の悲惨さを、広島・長崎出身者に対する偏見・差別に置き換えてしまったかつての社会現象とまったく同じ。
たとえば原爆から20年後の映画「若者たち」にもその場面がある。
幼い時に被ばくした(広島にいた)若者が結婚年齢に達した時に、
結婚問題で差別を受けるのだ。
これが「○○県の人とは結婚しない方がいい」という感覚。
しかも今回はその範囲を200km以上離れた南関東の都県にまで拡げている。
原爆と原発事故の両方を経験した日本人だからこそ、
このような言説に動揺しない知性を維持したい。
われわれは放射線の問題について、無知はもとより生半可ではすまされない。
放射線被曝者のさまざまな障害発生率は、実際にこれら原爆被爆者の調査から客観的データが出ており、それが医学的基準になっている。
本当に気になる人は、このあたりの情報にあたってほしい
(さらに、最近なされた高線量地帯の住民たちの疫学調査についても)。
このような基本的な値(線量)すら無視しての発言は、当然医学的ではなく、
むしろ政治的意図によるものであろう(”政策塾”での発言だし)。
すなわち原発の是非の論拠として、”問題”を捏造するのである。
私が政治的すぎる社会運動(正義感から出ているのだが)に与しないのは、
目的のためならホラ話も平気でつく不誠実さがはびこっているためだ。
つまり正義を謳っているとはいえ、人間として信頼できない。
そもそも放射線と健康との科学的な知見は、このブログでも幾度も記しているが、
”放射線医学”での実証データ以外に存在しない。
この問題については、どんなに原発に詳しい核物理学者といえども、
一次データをもたない素人なのだ。
なので信頼できるデータ(信頼できない”臨床”データもたくさんある)に基づいて書かれた放射線医学者による一般書を読んだ人は、次には、放射線医学の最新の成果にもとづく専門書をおすすめする。
専門書を読む最大の効果は、学的に無根拠な”思い込み”から自由になれる点にある。
ただ、研究世界は、情報量が増えるほど”不確かさ”も増えるというパラドックスが存在することを覚悟で。
放射線医学者でない私が、ある程度の自信をもって発言しているのも、
原発事故以降はもちろん、事故前から放射線量を測定し続けてきたほかに、
文献をそれなりに読んできたことによる。
そんな私でも心配しているのは、今現在、毎日現場に足を運んでいる原発作業員たちだ。
被ばく線量を管理されているとはいえ、それでは仕事に支障をきたすので、あえて被ばく線量をごまかした事実があった。
作業は今後もずっと続くし、より線量の高い空間がまだ手つかず。
彼らの被ばく積算量は限界まで達する(達している)。
それから、原発北西部の高線量帯にあえて”避難”させられた浪江町の人や
高線量下で二ヶ月ほったらかしにされた飯舘村南部の人
(とりわけ、屋内退避すべきなのに何も知らずに雪合戦した子供たち)。
これらの人たちの健康チェックも継続してほしい。
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