今日こんなことが

山根一郎の極私的近況・雑感です。職場と実家以外はたいていソロ活です。

二度読みを避ける読書法

2015年02月23日 | 雑感

小説というのは、たいてい1度読んだらおしまいが多い。
テキストというのは、情報的に冗長でない(マクルーハン的にいうと”クール”)ので一度で情報はすべて得てしまうから。

それに対し、映画は情報量が一度の観賞では処理しきれないほど多い(”ホット”)ため、観るたびに発見がある。 

実際、映画は何度観ても感動できるが、1度感動した小説をもう1度読んだらちっとも感動しなかった。

ところが学術的な専門書となると、頭に蓄積すべき情報に満ちているから、1度読んだだけでは、頭に入りきれない(逆に1度の流し読みで済んでしまう本は、そもそも読む価値に乏しい)。

かといって、同じ本を幾度も読むのは時間が無駄になる。

なので私は、頭に入れるべき専門書に限ってだが、次のようにしている。

まず、シャーペン片手に読む。自分の判断で頭に入れるべき箇所にうすく線を引く(借りた本などで線を引けない場合は付箋をつける)。

読み終えたら、他の本に移る前に(ここが肝心)、
その本を前の記事で紹介した書見台に載せ、パソコンのワードを「アウトライン」モードにして、線を引いた箇所とその周辺を打込む。
要するに読書ノート作りだ。
この作業が終わったら、本に引いた線を消しゴムで消して、原状復帰する。 

ポイントは、ワードのアウトライン画面にする点。
アウトライン画面だと、文章を構造化しやすい(この話はここでは深入りしない)。
線を引いた箇所を箇条書きで入れていけばいい。

そして、本ごとにそれぞれファイルにしてもいいし、同じテーマの複数の本を1つのアウトラインにつぎ足してもいい(こうした方がテーマの理解が深まる)。

このファイルを作っておけば、2度読みとか、あるいは引用したい箇所を探す必要がなくなる。

ワードのファイルにしておくことで、どんどん情報を蓄積できる。もちろん単語検索も簡単。

私は、論文原稿も講義ノートもそして読書ノートを含めた研究ノートもすべてワードのアウトラインで作成してある。

私にとっての読書とは、アウトライン画面の研究ノートを作成・追加することですらある。

これだと思う箇所に線を引き、つぎにその箇所をパソコンに打込むという2度の作業をすることで、大事な箇所の理解が進み、そのまま頭に入ってしまう。

1冊の読書時間は多少増えるが、逆に2度読みする必要がなく、頭にもより多く入るので結果的には効率的だと思っている。

唯一の余計な作業を引いた線を全部消すこと。

もちろん、最初から線を引かずに、読みながらアウトライン作成してもよい。
図書館で作業する時はもっぱらこうしている。
つまり、読書=大学の講義として、ノート作成するわけだ。
その分野の世界的権威の講義を、熱心にノートを取りながら聴いているのに等しい。