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今日こんなことが

私は「はてなブログ」に引っ越しました。
こちらは過去の記事だけ残しています。またコメントも停止しています。

甲状腺被曝を導いた政府

2012年03月09日 | 東日本大震災関連
今日の朝刊(朝日)によると、
浪江町津島地区にいた人(住民、避難者)から
国際基準値(50mSv)を超える放射性ヨウ素による甲状腺被曝者がいることがわかった。
その人たちは、甲状腺ガンのリスクが高まった可能性がある
(ちなみに、週刊文春では2月にもっとセンセーショナルな記事があったが、
それはガセだと分かっていたので、言及しなかった)。

人の災難に対して、”それみたことか”といいたくないが、
これは国(政府)がSPEEDIの情報を無視し、避難区域を”距離”に固定した結果である。

同地区は、原発から北西に30キロ離れており、
原発事故直後の12日に10キロ圏内の避難区域に指定された人たちが避難先にした所。

原発事故が起きた際、まずは原発からの”距離”で避難区域を設定するのは致し方ない。
しかし、現実の放射性物質はきれいに同心円上に拡散するわけではなく、
主に風向に沿って拡散される。
それゆえ、気象状況にもとずく拡散シミュレーションができるなら
(風向の予測は気圧配置と地形から高精度にできる)、
それを用いた方が拡散の予測精度が高くなる。

実際、国はSPEEDIという莫大な予算を使ったシミュレーションシステムを構築していた。
そしてSPEEDIは原発から北西方向への飛散を的確に予測した。
だがご存知のように、国はその情報を黙殺した。

それによって、放射性物質から逃げたつもりの人々を、
それが流れていく方向へ導いただけでなく、
本来なら屋内退避をすべきその地の住民に平気で外出(被曝)させた。
その結果がこれである。

避難区域は”距離”ではなく、早ければシミュレーション、
遅くても線量の実測値によって、
”線量分布”にもとづいたものに変更すべきであった
(このことはこのブログでも再三言ってきた)。
ところが国はずっと”距離”にこだわっていたため、
浪江町やその北西部の飯舘村の線量の高い地域の住民の被曝量をいたずらに増やし、
逆に南相馬市の海岸部のような線量がまったく低く、
津波被害が大きかった所の復旧を妨げた。

今さら蒸し返しても仕方ない事ともいえるが、
原発事故につき物の”隠ぺい事例”はどんどんあぶり出し、糾弾すべきである。
だからといって、”次回”はちゃんとSPEEDIを公表してね、と言うのもなんだか…

震災がれきの広域処理の限界

2012年03月05日 | 東日本大震災関連
宮城・岩手の震災がれきの広域処理の困難さが問題になっている。
東京と名古屋の二ヶ所に足場のある私にとって、この問題は二重の反応になる。
東京都民(住民票上)の立場でいえば、石原都知事の(半ば強引な)がれき受け入れは、原因が東電という後ろめたさもあって、賛成する。
たが、名古屋市民として(市民税を払っている)は、あんな遠いところからの放射線のあるがれきを濃縮してこの地に埋め立てることに違和感をおぼえる。
この違いは何か。

端的に、距離感、そしてこの地の線量に依るといえる。
自然放射線量を考慮するとややこしくなるが、東京は福島原発からの放射線をもろに受け、名古屋はその範囲外といっていい。

今のマスコミの論調では、がれき受け入れを反対する住民に対して、どちらかというと批判的なスタンスに見える。
確かに、客観的には、宮城・岩手のがれきであれば実害は発生しない。
私自身、放射線に対する人々の過敏な反応に忸怩たる思いがあるため、
過敏な反対者に対して、「この”放射脳”が!」と一喝したくなる。

ならば、たとえば、外国からの放射線が含まれているガレキを、日本が受け入れて、
近所に埋め立てる場合はどうか。
あるいは、東京にとって、宮城・岩手ではなく、”福島”のがれきは、同じ気持ちで受けれられるだろうか。

もっと分かりやすく言えば、アカの他人の唾液や他の分泌物が混入した食べ物を、
客観的には「身体に害はない」と言われても、
食べる気持ちになれるだろうか。

タバコを吸わない私が、喫煙者の副流煙を嫌悪すのも同じ心理である。
1吸気分の副流煙が自分の健康を害するとは思わないが、だからといって平然と受け入れられるものではない。

宮城・岩手はがれきの問題だが、福島はもろに汚染土の問題になる。
たとえば原発周辺の双葉郡の汚染土を福島市や郡山市に持っていって埋め立てることは可能だろうか。

がれきを含めた汚染度の処理は、次の大原則に従うしかない。
すなわち、より値の低い所には移動せず、より値の高い所に移動する。

だから、宮城や岩手のがれきは、すでに汚染されている関東が受け入れるしかない
(実際、千葉のがれきが秋田で拒否された)。
善意は義務ではない。
箱根の山の向うは、外国なのだ。





そこの空間線量は福島原発由来かを判断

2012年02月22日 | 東日本大震災関連
文科省のサイトに、航空機モニタリングの測定結果が載っている。
そこでは、空間線量と放射性セシウムの地面沈着量(以下、セシウム)について、
東日本以西の中部地方まで測定されている(公開は昨年11月→リンクページ)。

それを見ると、福島原発由来の放射線がどこまで達しているか、いいかえると、その地域の空間線量が福島由来によるのか、地元起源の天然核種によるのかが、おおよそ判断できる
(地上の正確な値ではないと思った方がいい。
そもそも福島由来の放射性物質は、ごくごく微量なら西日本はもとより地球の半分に達しているだろう)。
元々は自然放射線の測定が趣味だった私にとって、各地の天然放射線の分布がわかるのはうれしい。

たとえば、長野県でみると、軽井沢から南の佐久穂にかけての群馬との県境地帯が、空間線量も高く、セシウムも高い。
すなわち、福島原発由来だとわかるる。
それに対して、西端の富山県境の北アルプス東面は空間線量が高いが、セシウムはない。
これは地元の花崗岩に由来する自然放射線だと判断できる。

同様に、山梨県の東北部の雲取山南西面は福島由来の線量だと判断できるが、秩父山地西端の瑞牆山南面の増富ラジウム温泉がある所はセシウムがないので、地元の花崗岩由来と判断できる。

岐阜県の中津川市(湯の島ラジウム温泉をはじめとする放射能泉が点在)や愛知県の瀬戸市と豊田市の境界(猿投山付近)も花崗岩によるものだ。

ただし静岡県川根町(南アルプス南西麓)は、空間線量が高いもののセシウムは0となっているが、ここの茶葉からセシウムが検出されている。

ちなみに福島県はもとより関東全域と宮城の空間線量は福島原発由来とみるべきである(逆にいえば、福島の一部を除き、天然核種はもともと微量な地域)。

雪の遮蔽効果

2012年02月06日 | 東日本大震災関連
1月22日の日の出前の夜、ふくいち原発敷地を含む福島県東部でいっせいに放射線量が下がった。
そして数時間後、もとの値に戻った。
その地域の天気をチェックしてみるとだった。
なるほど雪による遮蔽効果か。

積雪地帯ならば、この冬ずっと放射線量が低いままだったのだろう。
高原の上にある飯舘村役場では、12月まで2μSv/hだったのが、1月の間に階段状に下がり続け、0.6μSv/hまで下がり、2月に入ってもその状態を維持している。
おそらく積雪が深まっているのだろう(飯舘村のアメダスは積雪深の計測がないので確認できない)。
線量が低いこのスキに何かできないだろうか。
雪溶けになるとリバウンドするだろうから。

発がんリスクを上げない

2012年01月27日 | 東日本大震災関連
被災地域の人々に対する健康問題として、発がんリスクが高まることが懸念される。
津波被害の人たちにもだ。
なぜなら、長期のストレスに見舞われているから。

仮設住宅に住んでいる人は、寒さや騒音などの物理的ストレッサーに見舞われているだろう。
では、放射線の恐怖に襲われている人たちはどうか。
可居住地域における”放射線”という物理的ストレッサーは、実は微量で影響は0に近い。
ただ、これを強調すると除染対策がおろそかになってしまうので、不要な心配を抑える程度にしたい。とにかく第一義は、空間線量を0.1μSv/h(≒年間線量1mSv)に下げることである。

むしろ問題は、精神的ストレス。
精神的ストレスは発ガンの直接要因にならないが(免疫力は弱める)、生活習慣を悪化させることで(喫煙、飲酒、過食、運動不足)、発がんのリスクを高める。
小さい子をもつ親の精神的ストレスが、自身の発ガンリスクを高めているかもしれない。
精神的ストレスは、発がんリスクを高めるだけでなく、神経症(不安障害)やうつ病(気分障害)など精神症状にこそ注意が必要。

線量が高いなら、その分だけ発がんリスクを下げる努力を余分にすればいい。
すなわち、トータルな発がんリスクを上げなければいい。
喫煙は、発がんリスク上、どれほどの放射線被曝量に等しいかご存知か(だいぶ前の記事で述べてある)。
愛煙家が禁煙することで精神的ストレスが高まってしまうという理屈もあろうが、
発がんリスク上では、禁煙に勝るものはない。
喫煙者は、わざわざお金を払って、強い放射性物質を吸い込んでいるようなものだ
(しかも周囲に副流煙をまき散らしている)。

半減期8日の放射線ヨウ素に対する防御はもう(とっくに)不要。
チェルノブイリ事故で子供たちが甲状腺ガンの被害にあったのは放射性ヨウ素であるから、
3月後半に、原発近辺での牛乳やキノコを常用していなければ大丈夫
(この時期、正しい放射線情報を公開しなかった政府の罪は大きい)。
実際、現地の牛乳は、酪農家が泣く泣く廃棄したので出回っていない(これに関しては政府の素早い対策が奏効)。

キノコは屋内の栽培物なら安全で、エノキタケは抗がん作用が期待できる。
露地物の野菜は、きちんと洗う(農薬除去と同じ発想)。
それでも心配なら煮沸すれば大丈夫(煮物料理ではなく、煮汁は捨てること!)。
魚も心配なら食塩水に漬けるか煮沸して後から味付けする(この辺の話は、昨年9/13の記事でより詳しく紹介)。
こういうことは、学校給食にも反映してくれた方が親も安心するはず。

過度に心配するのではなく、リスクを見極め、冷静に注意すること(意識の低い民間業者に注意が必要)。
これが精神的ストレスを高めずに安全を保つ方法だ。

「フクシマではがんは増えない」

2012年01月21日 | 東日本大震災関連

これは先日入手した、中川恵一著『被ばくと発がんの真実』(KKベストセラーズ)の帯にある言葉。

最近、ようやく表題のような発言を冷静に受けとめられる空気がでてきた(半年前だったらコテンパンに叩かれていたろう)。
私が昨年3月以来繰り返してきたことは、放射線と健康との問題について、正しい情報を得るには、放射線医学からの情報以外にはない、ということ。
つまり、放射線の健康への影響についての確かな情報源は放射線医学者であって、(京大助教や中部大教授のような)核物理学者ではない。
情報として信頼できないのは、原発の安全神話を垂れ流した推進派の御用学者だけではなく、
核技術を全面否定する世論を作ることに躍起の反原発運動家たち(とその御用学者)とて同じ。

この本は、放射線量と発がんリスクをともに定量的に評価することがまだできていない人に向いている。
この本では、東京から関西へ避難することのナンセンスさもきちんと述べられている(私が昨年3月のブログで言っていたこと)。
それと”内部被曝”を過大にアピールする筋に対して、サプリメント販売との連繋性を示唆していた
(体内除染は日常の食品の選択で可能)。

だが(本の話題から離れる)、
福島での建材への放射性物質の混入にはあきれ果てた(業者の法律違反ではないが)。
関東以南の”過敏症”に苦々しい気持ちになる一方、
福島県内での”鈍感症”の蔓延にいっそう心が痛む(業者は浪江町の汚染状態に鈍感すぎ)。

今日、東京の実家に区報が届き、区内のいろんな所の放射線の計測値が載っていた。
そこに載っている値は、地上1mの計測値。つまり空気中の値。
いずれも0.1-0.2μSv/h(γ線のみの値)。
これらは事故前のおよそ2倍の値。
この値が今後もずっと続くだろう。

ついでのこの値は、私がずっと計ってきた愛知・岐阜の平常値とほぼ同じ(専門家なら知っている)。
今の東京の値は西日本では平常値。
なので、東京から関西に避難する意味はまったくない。
次は東海・東南海・南海のM9の三連動地震(西日本大震災)かもしれないし。

ただ西日本と違うのは、東京では地面の値が高いのだ。
福島以外の東日本では、今は地上ではなく、地面の値が重要(それらは測定も公表もされていない)。
東京では雨どいの下などは1μSv/hを越す(γ線+β線の値)。
これは福島市の空気中の値に等しい。
もちろん、空気中と地面の値の人体に対する影響度(つまりβ線の影響度)は異なる。
なので、避難する必要はないが、地面に対して、それなりに注意を怠ってならない。


2011年、一番感じたことは

2011年12月31日 | 東日本大震災関連
大晦日、一年を振り返って感慨にふける事が許されるとすれば、
それは我がガイガーカウンター(以下、ガイガー)についてである。

今年、これほど頻繁に使うことになろうとは、しかもあんなに高い値を出すとは、予想だにしなかった。
我がガイガーがはじき出した最高値は、空気中で40μSv/h、地表で200μSv/h。
いずれも5月上旬の浪江町。

そもそも私が原発事故前からガイガーを所有して、当時なんでもない東京や名古屋の値を計測していたのは、
ラドン温泉が好きで、各地の温泉地の値を測り、その”効能”を確認したかったから。
そのため、温泉地でない東京などとの値の差を知っておく必要があった。

ラドン・ラジウムなどの”放射能泉”はそもそも危なくないのかが、まずは気になった。
なので低線量放射線の研究成果を勉強した。
また日常の計測により、われわれは自然放射線の中で生きていることを改めて実感した。
そのおかげで、幼少時にインプットされていた放射能恐怖症から脱することができた。
すべては、実際の放射線量を測定して、量的に評価することから始まる。

私が買ったガイガーはアメリカ製のInspector+という物で、
それは放射能事故に対応したものなので、かなり高い線量まで測れる。
説明書には、とんでもない事態になった場合のことも書いてあったが、他人事として目を通していた。

それが、東京の自宅で原発から飛んでくる放射線を恐怖心をもって計測する事態になろうとは…

実は、事故後の半月間(3月いっぱい)、私は祈る心境だった。祈るしかなかった。
神にではなく、事故現場で必死に作業している人たちに。
すべては彼らにかかっていた。
もう1度、水素爆発が起きたら、実家の家族5名を、狭い名古屋宅にでも避難させる必要があろうと思っていた。

今思えば、アメリカでは、放射能事故に備えたガイガーが普段から売られていたのだ。
これこそ、危機管理である。

それに対して、日本では原発を運用する当事者が、住民の説得のために作った”安全神話”に、自らがハマってしまった。
事故を想定することすら、タブーになっていたという。
このような組織に原発をまかすことは絶対にできない。

あと、人々の反応で感じたのは、行動経済学でおなじみの人間の認知的バイアス(偏り)について。
たとえば、「低確率の現象は過大評価され、高確率の現象は過小評価される」というバイアス。
これは、西日本の人が放射線の危険を過大評価する一方、福島の人は過小評価している現状(コメントの指摘があった)に当てはまる。
さらに、放射線は目に見えないだけに、恐怖が過大評価され、また逆に過小評価されるともいえる(つまり主観性に左右される)。
しかも、それぞれの評価にお墨付きを与える”専門家”まで揃っている。

ただ、現実的な”安全基準”も事態の深刻さに応じて、使い分けされているのも事実だ。
つまり、原発敷地内の作業員に対する安全基準と、汚染地域のそれと、その外側の非汚染地域のそれとでは異なる。
前者はそれを超えたら本当に危険というデッドラインに近く、後者になればなるほど、まちがっても健康に影響を与えないような厳しい基準となる。
実は、私も同じように、福島県内の人と隣接県の人と南関東の人とで、コメントを使い分けていた。
このため、多くの人にとって線量値が一義的評価に結びつかなかった。

一義的にするには、たとえば「発がんリスク」という確率値に変換するのが一番いいと思う。
放射線量という定量的現象に対しては、リスク確率という定量的評価をするのが一番”正しい”のだ。
ただその確率値(発がんリスク)をどう評価するかは、個人にまかせるしかない。

原発事故で、今一番腹立たしいのは、除染が進まないこと。
除染は原発の電源が回復した4月からとっとと開始すべきだった。
遅きに失してはいるが、来年は総力(予算、技術力、知恵)を挙げて、取組んでほしい。
予算が足りなければ、国民に募金すればいい。
もちろん、津波の復興も同じこと。
来年は、復興の年でありますように。

雪の北軽井沢で計測

2011年12月27日 | 東日本大震災関連
群馬の山間部は意外に放射線量が高いことが分かっている。
ここ「ホテルグリーンプラザ軽井沢」(浅間北麓)に夏に来た時は油断して測らなかったので、今回は線量計を持参した。
雪に覆われている地面ではなく、地肌が出ている土の表面を測ると(α-γ線込みで)0.35μSv/h(γ線のみだと0.17)、
雪の路面は込みで0.2であった。
やはり関東平野よりは高めといえる。

まだまだ義援金

2011年12月19日 | 東日本大震災関連
今月、ボーナスをもらったので、東日本大震災の被災地に久しぶりに些少ながら義援金を送った。
3月に急いで赤十字社に義援金を送ったが、有効に使われない事態に鼻白んでしまい、それ以降は足が遠のいた。
それでも、資金が足りないのは変わらない。

今回は、郵便局で、福島・宮城・岩手それぞれの県向けの振込用紙を使って、3県に平等に振り込んだ。
(ボーナスもらってから送るのに今日まで要したのは、
昼間仕事を持っている身には、郵便局を利用するのは至難の業だから)。

除染費用やがれき撤去費用の一助にとは思うが、せいぜい正月の餅代の一助だろう。
復興費用が足りないなら、もっと国民にアピールすればいい。
増税よりもまずは義援金を募ってくれた方が国民にはありがたい。
まだまだ億レべルで集まるはず(1万円出す人がたった1万人いればいい)。
この記事を見て、”我も”と思わん方は、ぜひ実行してほしい。

放射線のリスクを”考え”よう

2011年12月17日 | 東日本大震災関連
今朝NHKでにやっていた「ニュース深読み」で放射線についての議論があり、私なりに感じるところがあった。

視聴者から「明確な基準がほしい」という要望が紹介され、
また出演していた桂文珍氏も素人代表として 「どうしてもはっきり言う方を信じてしまう」(実際の発言をあえて意訳)と述べた。
”専門家”のお墨付きを求めているのだ。

それに対し、解説する側の唐木名誉教授は「最終的には自分で判断するしかない」(その目安として国が基準を設けている、それを信用するかしないかだ)とつっぱね、
解説委員の小出氏は「もはやわれわれは思考停止では済まされない」と言い切った。
私はこの発言に一番賛同した。

つまり、放射線の安全基準の根拠となっているのは、「しきい値なし直線モデル」であるから、まずは”明確な基準”(=しきい値)は存在しない”ということ。
すなわち、「安全か危険か」という定性的二分法の判断は不可能・無益で、”リスク”という定量的確率現象として判断すべきものということである。
私はこのブログでこの判断法を事故当初から強調してきた。

なぜなら、最終的に問題となる”発ガン”という現象そのものが確率現象にほかならないから。
そして発ガンは、放射線だけが原因ではなく、多重な原因による複合現象であるということ。
さらに、放射線は発ガンに対して、低線量域においても単純な直線モデルが適用できるか疑問も出されている。
ただし”安全基準”としては、”しきい値ありホルミシス効果派”の私でも、既存の直線モデルを使うべきであると思っており、自分自身それに則って対処している。

このような定量的現象のどこに人工的な”境界線”を設けるか(それは行動判断にとって必要)は、客観的な基準が存在しないがゆえに、最終的には個人にゆだねられるということになる。

「思考停止」のかわりにどうすればいいか。
まずは「リスク」という確率論的思考ができるように頭をトレーニングすること
(数学の教科書を開かなくても、麻雀やトランプゲームでトレーニングできる。あるいは秋山先生の本がいいかも)。
実習課題として「発がんリスク」を考えてみよう。
これをきちんと考られる人こそ、放射線を”正しく”怖がることができる。

そして個人の判断基準をどうするか。
まず国の安全基準値が準拠となろうが、それを思考停止的に盲信/否定すべきではない。
安全基準の根拠を知るべきで、その根拠に自分がどうかかわるかを判断すべきである。
すなわち、情報を入手する必要がある(ネット社会でそれが容易になった)。

次に、これこそ個人差があるから、個人で判断する理由だが、自分の生活スタイルを考える。
一年間でその物質をどれほど摂取するのか、生活スタイルで異なるからである。
すなわち自分の生活を振り返り・集計する必要がある
(その際、日常的に自然放射線をどれくらい浴びているのかも知るべき。これも情報入手が必要)。

そこでたとえば神戸大の山内教授が述べたように「乳幼児には厳しくすべき」という判断が意味を持つ。
それは摂取の影響が大きいだけでなく、自己判断で摂取してるわけではないからである。

このような知的作業なくして、判断はできない。
図体のわりにひ弱な人類は、知恵を使って氷河期を生き抜いてきた。
「思考停止」はその逆方向だ。
今、われわれの思考習慣が、大きく改善されるチャンスである。

飯舘村民の存在は

2011年12月10日 | 東日本大震災関連
やっっっっっっっっっと今ごろになって、原発周辺住民の累積被曝量の推定値が公表された
(試算だったら4月中にできているはず)。
原発からの距離を基準にしたままの(無策の)避難地域の指定により、高線量帯に入った(こんなこと原発事故の翌日には最高機密の「スピーディ」で政府は知っていたはず)ものの、避難地域から外れて放置された飯舘村民の値が高いのは当然。
5月上旬に飯舘村のあちこちに測りに行って、私も実感している(その頃からこの問題を指摘してきた)。
すでに累積20 mSvを越えた人がいる(私なりに安全といえる生活圏での上限は10mSv。
それより上は明らかな危険域ではないが、医師の監視が必要だ)。
原発での作業員を除いた、防護服もない一般住民に、政府はあえて(知っていて)この値を越えさせた。
いったい何をしたかったんだろう。

雨どい下の除染試験

2011年11月12日 | 東日本大震災関連
東京の実家の雨どいの下のコンクリ面の除染に着手した。
線量は、手前の雨どい下が1μSv/hr、奥の雨どい下が1.7μSv/hr(いずれもα・β線込み)。

まず高圧洗浄をやっても値は下らなかった。
今日は、ネットで注文しておいたゼオライトの粉末に、水と片栗粉をまぜてねっとりさせ、
それをコンクリ面にたらして、浸透させて、水で洗った。
しかし、値は変化なし。
すなわち、除染はもう無理。

そこで、次善の策として、コンクリ面を覆うことにする。
線量が高い面積は狭いので、蓋状のものを上からかぶせればいい。
問題は蓋にする材質。
基本的に材質は密度が高く、厚いほどよいはず。
試しに、ハンズで、同じ面積(10cm四方)のアルミ合金、硬質ゴム、ウレタン、セラミック板を買ってきた。
それらをかわるがわる手前の雨どいのコンクリ面にかぶせ、その上1cmで線量を測った。
下に結果を示す。

なし           1.0(μSv/hr、以下同)
アルミ合金(厚1cm) 0.25 価格1200円
硬質ゴム(厚1cm)   0.25     140円
ウレタン(厚1cm)   0.3     110円
セラミック(厚0.5cm) 0.5     110円

アルミ合金と硬質ゴムがほぼ同じ効果だった。
ウレタンが意外に健闘し、セラミックが最下位だったのは、厚さが影響したのかもしれない。
ただウレタンは軽く、耐久性がないので、屋外での設置には向かない。
コスパ的にベストなのは硬質ゴムだ。

それらをせっかく買ったので、手前の雨どいに硬質ゴムとウレタンを置き、奥の雨どいにはアルミとセラミックを置いた。
ちなみに奥の雨どい下に置いたアルミ上での値は0.5μSv/hr。

福1も眠ってはいなかった

2011年11月02日 | 東日本大震災関連
東京世田谷のラジウムに注目が集まったためでもなかろうが、
放射能の本拠地はこっちだよとばかりに、福島第1原発で核分裂が続いていることが判明した
(キセノンはごく微量なので”臨界”の心配はない)。

私のブログでの”SLOWLY”と名付けた福1を始めとする放射線サイトを集めたページは、6月以降ほったらかしにしていたが、
危機はまだ去っていなかったことを思い知らされた。

久々に、SLOWLYのページから福1のモニタリング結果を見たら、敷地内の線量がちっとも減ってないではないか。
原子炉内部の安定化に精いっぱいで、瓦礫の撤去も除染もされていないためだ。
むしろここは、周辺地域で除かれた汚染土の集積地にすべき所だから(それ以外に使い道がない)、このままでもいいか…

ここのモニタリングデータには、敷地内での中性子線量の毎時の測定結果がある(公表には数時間の遅れがある)。
しばらく、これを注視しておこうか。

東京のマンション最上階の線量

2011年10月23日 | 東日本大震災関連
近所の弟一家が住んでいるマンション12階を測りに行った。
最上階なので、半分屋上的で、屋根の無いコンクリート面がある。
まず12階の通路上(路面はゴム風)1mは、地上の半分ほどの0.07μSv/h(以下同単位)。
ベランダのコンクリ面は、地上1cm・αβ線込み(以下同)で0.3、雨どいの下は0.4,側溝は0.5。

各戸の扉が並ぶ通路側(屋根はあるが、横から吹きさらし)は、人が通る通路上は上述の通り低かったが、
外側のコンクリの側溝はフロアの端から端まで1μSv/hを超えた。
最高値は1.8で、我家の駐車場のコンクリ面の雨どい下より高かった。

ただ、コンクリ面でなく防水処理してある上だけは、0.3以下に激減した。
すなわち裸のコンクリ面だからセシウムが頑固に吸着してしまっているのだ。

次にγ線のみで測り直すと、コンクリの側溝上でも0.3に達しなかった。
つまり先の高い値は透過性の強いγ線でないので、触れた手を口の中に入れなければ(=内部被曝さえ防げば)心配はない。
ただ、不気味な状態なのでなんらかの対処はした方がいい。
上から全面的に覆ってしまうのもいいかも。

柏の件もあるし、横浜の件もある。
自治体が測っているのは地上のγ線のみなので、マイクロスポットの発見には使えない。
いわゆるホットスポットでない地域でも、雨どい・側溝をきちんと測り直したほうがいい。

東京宅で1μSv/h超え

2011年10月22日 | 東日本大震災関連
東京の実家に帰り、さっそく家の周囲のマイクロスポット(極少範囲のホットスポット)を探した。
基準値となる空気中でおよそ0.1μSv/h(以下同単位。東京のやや東部にあるためか、新宿のモニタリングポストの約2倍)。
駐車場スペースにある雨どいの下がやはり高かった。
地上1cmで(以下同じ高さ)γ線が0.25。
また駐車場の後ろ側にある無人の隣家の雨どい下が0.3を超えた。
これらは、線量計を水平移動すると値が大きく変化するほどの極少範囲(直径20cm程度)。

さて、次に線量計のシールドを外して、α線・β線込みの合計量を計測をする。
すると前者の雨どい下で、ガリガリ音が激しくなり、1.1μSv/hに達した。
後者の雨どい下では、もっと激しく音がして、なんと1.7μSv/h。

迂闊だった。
春の頃は空気中の値のみに関心が集中していたし、
夏には平常値に近づいたので、空気中の計測もやめていた。
事故から半年以上過ぎて、国が東日本全体の線量地図をやっと公表し、
東京の東部と西多摩に意外に高い地帯があるのがわかったので、自宅付近の値が気になりだしたのだ。

さっそく、近所の店にデッキブラシを買いに行き、
マスクにゴム手袋のいでたちで
それぞれの雨どいの下に液体状の界面活性剤(要するに洗剤)を散布して、その後、デッキブラシでごしごしした。
しかし、数分程度の(蚊に喰われながらの)作業では効果がまったくない。
なので、気休めに、使用済みのボール状のゼオライトをすりつぶして、少量だが蒔いておいた。

両場所とも、地上1mでは0.17-0.19μSv/hとたいしたことなく、
地面だけがα・β線による1μSv/h超えなので、
空気中で皮膚を貫通することはなく、じかに触らなければいい。

でも自宅に1μSv/h以上の場所があるのは心地悪い。
ゼオライトが効かなかったら鉄板で覆うのも手だ。