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日本外交の孤立? 孤立とは何なのか

2013年06月20日 22時19分00秒 | 時事

 先日の日曜日、TBS-BSの報道番組で、元外交官の田中均が出演していた。安倍政権の産業政策、外交政策を検証する、という主旨の番組であったが、スタンスとしては、明らかに安倍外交に否定的な見方をしていた。標題からして「孤立する日本外交」などと言っている。田中均はもう少し慎重な言い方をしていたが、キャスターのメガネをかけたヲッサンは、「日本が孤立してしまう!」としきりに喚いていた。要するに、中国・韓国との関係が最悪となり、この2国とは首脳会談が行われず、アメリカからも慰安婦問題で批判され始めたことを指して、「孤立している」と言いたいらしい。
 この「日本が孤立する」という言い方は、日本のメディア(特に新聞)が非常によく好んで用いるフレーズである。日本の置かれた国際状況をふまえ、政府を批判したい時には必ず利用される。しかし、頻繁にこのような言い方でメディアが外交政策を批判する国というのは、日本以外にあるのだろうか。どうも、日本固有の現象に思えてならない。通常の人間関係においても「孤立する」ことを極端に恐れる、日本人らしい言い方である。
 しかし日本が孤立している、というは正しくない。世界には日本、中国、韓国、北朝鮮の4国しか存在しないのであれば、確かに孤立していると言えるのかもしれない。しかしもちろん、現実はそうではない。アメリカも結局は、日米同盟に基づいた上で中国に対処してくれているし、安倍外交の積極的な動きにより、東南アジア諸国、アフリカ諸国、そしてロシアとも関係は良好に推移しているのが現状だ。実にTBSらしい偏向報道、プロパガンダであった。果たしてこいつらは本当に日本の放送局なのか、甚だ疑問である。
 ところで思うのだが、そもそも一つの国家である以上、どの国だって「孤立している」と言えるのではないか? 国益の衝突がまったく無く、常に友好関係にある国同士の関係というのは、よっぽど地理的に離れており関係が薄いか、明確な主従関係にある国同士にしか、ありえないのではないか。国情も、何を国益とするかも全く異なるからこそ、世界には複数の国々が存在するわけである。どの国にとっても外国である以上、完全に信用できる国など存在しない。特定の国同士が常にべったりとくっついて「孤立していない」状態というのは、そもそもありえないだろう。別々の国である理由がなくなるからだ。ありうるとすれば、その国が「独立国ではない」場合だけだ。
 上述のキャスターが言わんとすることは、何となく分かる。中国や韓国ならともかく、アメリカにまで見捨てられたらどうしよう、と恐れているのだろう。これはメディアだけでなく、日本人が戦後、ずっと不安に思ってきたことだ。第2次世界大戦では文字通り孤立してしまい、悲惨な結果に終わったことから、とにかく国際的に孤立することへの恐怖心は、日本人には非常に強い。
 しかし既に述べたように、一つの国である以上、孤立しているというのは普通の状態なのである。たとえ同盟国のアメリカであっても、自国の国益にならなければ、日本のために動くことなどは最初からない。日本は常にアメリカとくっついている、と考えることは妄想に過ぎないから止めた方がよい。
 アメリカが日本をどう思っているのか絶えず気になって仕方がない日本人も多いようだが、そういった連中は、終戦直後のアメリカ占領時代から精神的に変わっていないのではないか。日本は日本の意思を持たなければならない。終戦後70年近くが経とうとしている今、もういいかげんに真の独立を目指すべきではないのか。それとも、中国やロシア等に囲まれているという地理上の条件により、そんなことは不可能なのだろうか。そんなことはないと思う。日本国民一人一人が外交・防衛に対する意識をしっかりと持っていけば、変わっていくことも可能だと考えている。
 独立した国を目指すということは、何も反米的になるということではない。アメリカとの同盟関係が非常に重要であることに変わりはない。しかしその上で、しっかりとした日本の意思を持っていくこともできるはずである。