Willow's Island

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常識外日中論

2011年08月07日 06時53分33秒 | 

 加藤嘉一と李小牧の対談本「常識外日中論」を読んだ。
 加藤嘉一氏は弱冠27歳で「中国で最も有名な日本人」なのだそうだ。彼がブログを書けば50万人以上のアクセスがあり、中国の各種メディアで発表したコラムは膨大な数にのぼり、影響力はかなりのものらしい。そのうえ、共産党上層部の偉い人達とも面識があるとのことだ。彼は18歳で北京大学に国費留学し、なんとわずか3ヶ月で中国語を完全にマスターしたという。まさに超エリートである。そして李小牧氏は、日本に移り住んで20年以上、新宿歌舞伎町を中心に日本社会を眺め続けてきたベテランだ。
 そのような二人が日中の問題について熱く語り合うので、非常に面白い。二人とも実にシャープな視点を持っている。なおかつ、中国社会の実態について私の知らないことも多く語っており、勉強にもなった。中国だけでなく、日本についても私が気づかなかった点(日本の欠点、美点)を見事に指摘しており、刺激にもなる。これはまさに、買ってでも読む価値のある本だと思う。
 中でも私が感心したのは、日本社会の閉鎖性とマスコミに対する辛辣な批判だ。p73とp142から、以下に引用する。

李:日本って、外国人を日本に受け入れるのは怖いくせに、日本人が海外で活躍してると喜ぶでしょ? これって矛盾してないですか? アメリカなんてそれを何百年もやっていて、それゆえに世界大国になったわけですよ。
加藤:日本の政治かたちは日本としての誇りを持って海外で活躍している人たちを応援しているのだけど、外国人の受け入れには保守的なんですよ。矛盾しているんです。グローバリゼーションの時代において、外国人の脅威を感じている。日本を支配されるのではないかと、安全保障の論理を持ち出す。戦々恐々としているから、受け入れない。


 これは本当にそのとおりだと思う。ネットの掲示板でも、私が「日本に中国人が増えたところで、簡単に支配されるほど日本人は弱くないですよ」と書きこんだだけで、その他大多数の連中に袋だたきにされてしまった。どうやら、日本に外国人が増えれば日本人が支配される、というのは絶対的な定理らしい。なぜ、自分の民族が持つ力にこれほど自信がないのだろうか。情けない話である。

加藤:マスコミはよく政治家の発言に対し「国民は、有権者はそんなことを臨んでいない」と我が物顔で言いますが、あなたは国民に聞いたのかって聞きたくなります。何を勝手に代弁してるんですかって。日本のマスコミは言論の自由を盾にして中国にはできない政府批判を繰り広げていますけど、それは国民が望んでいることなのか。ただ、国民を洗脳しているだけじゃないのかとたまに思ってしまう。五大新聞が束になって右向け右で、同じことを垂れ流しているだけ。だから日本の民度は下がる一方なんです。

 日本のマスコミはフジ、朝日、読売、毎日、日経、の五大メディアグループがあまりにも圧倒的な力を持っており、しかもそれぞれが横並びで、似たような報道しかしない。日本のマスコミの腐れ具合については、高岡蒼甫の騒動でも明らかになったばかりだ。メディアが腐り、国民もバカになってしまった結果、2年前の選挙で民主党議員が大量当選する羽目になったのだろう。嘆かわしいことだ。