今ベストセラーとなっている「デフレの正体」を読んでみた。この本によると日本経済の問題は、20年前にバブルがはじけたことだとか、好景気・不景気の波だとかということではなく、「人口の波」が重要なのであり、消費が旺盛な世代の人口がいかに多いか少ないか、ということがカギである、とのことだ。詳しい内容は本を読んでいただくしかないが、統計を基に論理的に説明されており、すごく説得力があると感じた。まさに「目から鱗」である。著者自身も言っているように、これは本当に「良書」だ。文体も洗練されて読みやすい。これはぜひ多くの人に読んでもらいたい。
この本に対しては、もちろん批判もある。このブログで紹介した「本当はヤバイ! 韓国経済」の著者、三橋貴明氏もその一人で、彼の最新の著書では「デフレの正体」を批判している。同じように少子化が進んでいるドイツなどは逆にGDPが伸びているので、おかしいではないか、というのだ。なるほど経済成長の問題を、たった一つのキーワードだけで解説すること自体に無理があるのかもしれない。経済というのは実に数多くの事象が積み重なって動いているものだからだ。
しかし、そういう三橋氏も果たしてどうなんだろうか。もし彼の考えが正しいなら、韓国経済は今ごろ本当に崩壊していないとおかしいはずなのだが、現実にはそうなっていない。彼もまた、事象の一面しか見ていなかったのだ。