昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(247)第26回読書ミーティング(3)

2018-01-30 04:29:56 | 三鷹通信
 ボクの推薦本です。藤原正彦「日本人の矜持・九人との対話」
 
 国家は将来ある子どもたちの芽を摘もうとしている。
 英語早期教育、薄い国語教科書、愚かな平等教育、歪んだ個性の尊重。
 真に身につけるべきは、読書による国語力、基礎反復訓練による我慢力、儚いもの美を感得する感受性、歌う心、卑怯を憎む心。
 そして大人たちは、カネと論理を妄信するアメリカ化を避けねばならない。
 碩学賢者九人が我らが藤原正彦先生と縦横無尽に語り合う。(文庫版より)
 (対談相手:斎藤孝・中西輝政・曽野綾子・山田太一・佐藤優・五木寛之・ビートたけし・佐藤愛子・阿川弘之)

 <斎藤正彦>
 1943年、旧満州新京生まれ。東京大学理学部数学科大学院修士課程修了。お茶の水女子大学名誉教授。
 1987年、数学者の視点から眺めた清新な留学記「若き数学者のアメリカ」で日本エッセイスト・クラブ賞を受賞。
 ユーモアと知性に根ざした独自の随筆スタイルを確立する。
 著書に「国家の品格」(2005年流行語大賞)、「この国のけじめ」「名著講義」など。
 新田次郎と藤原ていの次男。

 曽野綾子
 文化には<受動態の文化>と<動態の文化>がある。
 今隆盛を極めているのはテレビやゲームなど、どれも<受動態の文化>でとにかく楽。しかし、受け身の文化からは何も生まれてきません。

 斎藤孝
 難しい数学の問題を考えさせるよりも、むしろ音読や計算のような地味な作業を繰り返すことで、脳の持久力がつく。
 「日本人らしさ」を作るのは<日本語>という言語。

 山田太一
 全能であると信じ込んでいる人間の恣意性に、どうやって歯止めをかけていくか。
 一つの手段は「人間の弱さ」を感じること。
 (藤原:アメリカの女性が日本に居るとすごく気が休まる」と言う。日本は弱さを出しても認められる。
 ドナルド・キーンさんが、儚いものに対して美を見いだしているのは日本人だけで、これは日本人の独壇場だ、と。
 「自然にひれ伏す」自分よりはるかに偉大なものに対して<畏怖心>というものがある。
 アンドレ・マルローによれば、「人間が自然の一部であるという神道的な考え方が世界を救う」とまで言っている。
 欧米が日本を植民地にしなかったのも、圧倒的な<道徳>の高さをはじめとする一人一人の文化的底力を見たから。すなわち国家の品格を高めることは、防衛力にもなるし、世界を変えていく力にもなる)
  
 ボク:今や西洋文明に毒されて人間の強欲は留まるところをしらない。
    単なる金欲や物欲に留まらず、「<欲望>を満たす可能性への欲望」いわゆる<メタ欲望>の時代になっている。
    科学は<核兵器>を生み、ことあれば人類を消滅しかねない。
    経済は<貨幣>が<貨幣>を生む、国家のコントロールの効かない投機的グローバリゼーションの時代に突入している。
    今こそ<日本の矜持>の出番であると思うが・・・。