町田市議会議員 山下てつや “獅子奮迅”

てつやではたらく“山下てつや”が日々の活動や出来事、お知らせしたいことを報告します。

文教社会常任委員会視察 多賀城市

2016年10月12日 | 活動日誌

昨日から文教社会常任委員会の行政視察を行っています。
 昨日は東日本日本大震災で多大な被害を受けた多賀城市にうかがい、減災都市戦略について説明を受けました。
 多賀城市は、仙台のベッドタウン、仙台市の中心部から約12km、人口62700人、東北で人口密度が一番高い市といわれています。
 発災時には、市面積の1/3、市街地の90%が浸水被害を受けました。
 津波被害の特徴として、臨海部の港湾や工業地帯などさまざま方向から津波被害を受けました。また、マンションやビルなどの建物の隙間を縫うようにて襲来した津波は、威力や高さを増しながら、大きな被害を与えるました。このことから、多賀城市を襲った津波被害は都市型津波被害と呼ばれ、津波被害の想定を改めるものとなりました。
 臨海部では、港湾での特徴とされる荷役などに携わる仕事も多く、若い年代層の中には、津波を予想できず、途中で仕事を止めなかったために、犠牲となった方もいたようです。
 津波被害は、想定を超えたものであったことも確かですが、想定すらできなかった現象が発生したことや
過去の経験から想定をするに至らなかったものでもあったことは、災害対策を考える上で参考とすべきものであると感じました。

上水道、下水道、道路

発災当日市内全戸断水となりました。これは市水道創設以来初めてのことで、ようやく一週間後に一部通水が開始され、市全域の給水復旧には3ヶ月近くかかっています。下水道は宮城県管理の浄化センターで行われていましたが、これが水没したことにより汚水処理がてきなくなり、市内マンホールから汚水が逆流、さらには、この浄化センターが3市3町の汚水処理がされていたことから、水道が使用され始めると、一番地盤が低い同市に汚水が流れ、市内のいたるところで、噴射する被害が発生したとのことで、これも、想定外のことであったようです。また、同市全域が、地震により地盤沈下が発生したことから、これも下水道の復旧の大きな障壁となった。震災直後に取り組んだことの一つとして、がれきや車等で主要観戦道路が塞がれていたことから、これを撤去する作業が挙げられます。

復興計画立案に向けて、住民や企業へのアンケートを行うこととなった。アンケートの結果として得られたものとして、6割以上が、現地での再建を希望しており、自己所有物件に住む人たちの多くが居住意向を持っていることが確認された。そのことから、現地での再建を基本とした震災復興計画を策定することとした。

多賀城市減災都市戦略

これまでの災害被害、地震・津波・大雨などの災害リスク、東日本大震災における被災経験・教訓を踏まえ、被害の最小化「減災」に着目した災害に強いまちを目指し「多賀城市減災都市戦略」を策定した。減災都市戦略の体系は、災害に強い都市形成、自助・共助の減災力向上、被災経験の伝承、減災技術の集積・創出からなり、災害に対する安全性の向上、住みやすさ向上、地域経済活性化、まちの活力向上という将来像を描いたものとなっている。

災害に強い都市形成

災害に強い都市形成では、津波対策・多重防御、地震に強いまちづくり、雨水浸水被害軽減、災害体制確立を戦略の柱としています。津波対策・多重防御という点では、被害軽減の施設の整備、仕組みの構築をねらいとしています。施設整備では、防潮堤や避難道路の整備を行い、仕組みという点では避難ビルの確保や防災行政無線の整備等の広報施設の整備を行っています。避難ビルの確保では、既存建物を有効活用するために、既存のビルやマンションとの協定を結んでいます。地震に強いまちづくりでは、道路・橋梁の耐震化をすでに100%終えています。災害体制確立では、避難所運営マニュアル策定、防災備蓄施設整備、支援物資物流拠点整備を行うこととしています。また、これに基づき津波復興拠点整備を行っています。この拠点整備では、大きく二つの機能のある団地を整備しています。防災・減災機能では、帰宅困難者受入、食料提供を行い、産業復興支援機能では、生産ラインの融通や技術支援、販路の開拓支援を想定しています。また、被災時において荷捌きスペースの確保が課題となったことから支援物資の物流拠点整備も行っています。

自助・共助の減災力向上

自助力強化として、備え充実をはかるために、防災・減災講座実施、防災手帳作成、津波ハザードマップ作成などを行い、また、多賀城市では、防災副読本を独自に作成して小中学校の授業に活用しています。これには、実際の被災体験を基にした児童生徒の作文も掲載されています。地域防災力・減災力の向上はかるために、防災訓練の実施とともに、防災手帳を活用した地域防災活動の支援を行っています。

被災経験の伝承

被災経験、記録の伝承を活発化させることを目的として、これまでの災害記録をデータベース化し、多賀城見聞憶と名付け取り纏め、インターネット公開を行っています。最近では、被災前に市民意識が戻る傾向にあることや防災意識の地域差が大きくなってきていることが大きな課題となりつつあるとのことであり、それらを踏まえた取り組みでもある。

防災・技術の集積・創出

活力あるまちの将来像を描くうえで、災害による被害を軽減させる様々な技術・製品が集積・創出されることを狙いとした減災リサーチパーク構想を戦略に掲げています。実施事業では、減災技術開発の支援、産学官の促進、企業・大学との共同研究を柱としてしています。具体化されたものの中には、被災時の野菜の摂取が極端に減少したことを踏まえ、野菜を粉状にしてゼリーにできる高栄養非常食などの開発や災害時に渋滞が起きることを想定した移動体システムの研究などを行っています。

今後の課題

災害公営住宅整備など住環境の整備を進めているが、新たな住民と元々の住民組織をいかに融合させていくか。住環境の整備により発生する維持管理費。復旧工事が進み、、災害に対する意識が薄れつつあることから、いかにして災害の記憶や記録を伝承していくか。自助・共助以上に公助への意識が高まりつつあることなど課題としてあげています。