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コラボは効く!『流れ旅 匂うが紅』本番終わってあれこれ3

2016-12-29 10:10:45 | 演劇

 なんてったって、藤柳美香次社中とのコラボだよ、大きいのは。他劇団から役者をお招きして作る、なんてことは何度かしてきたが、他の表現集団と一対一で取っ組んで舞台仕上げる、なんて初の試み、ここんとこ、しっかり総括しておかないとね。

 まず、異分野との共演、しかも二つを、ただくっつけるってだけじゃないから、これはかなり大変な仕事だった。同じように舞台で勝負してるにしても、日本舞踊と演劇では、まるで違う。あちらは音楽決まれば、振りを付けをし、それをひたすら磨くのが稽古の主体。曲が別なら踊り手同士のコミュニケーションとかは不要だ。ところが、芝居となると、役者同士で息を合わせるってことが基本、とっても大事になる。セリフ覚えたり、動きを復習したりと、個々での稽古も重要だが、なんてたって、一緒に絡まないことにゃ進まない。聞けば、発表会等では専門の着付け師さん、鬘屋さんなんかが寄ってたかって舞台姿に整えてくれるそうだが、アマチュア劇団じゃそうはいかない。手伝いスタッフはいるものの、基本は自己責任。装置を作るなんてことも、踊りの方たちは経験されてはいなかった。

 今回の舞台に対する思いというものも、計りかねるところもあって、こちらとしては、なるべく先方の負担を減らすように考えて進めたのだが、そんな気遣いはまったく不要だった。鬘の手配から着物の準備、こちらの手の届きにくいところをこまめにお世話いただけたし、後半には率先して稽古に参加してくたさり、一つにまとまることができた。

 異分野格闘ともいえるこの公演だったが、得るものはとても大きかった。踊りの所作や着付けの基本など、これまで縁遠かった部分を学ぶことができた。必要だから覚える、というレベルを超えて、楽しい、もっと稽古したいと意欲が湧いたこと、これは大きい。日頃からダンスも踊りも着物の仕草もすべて身につけて欲しいって思ってたからね。これを機会に定期的に習い事をレッスンの中に取り入れてもいいんじゃないかな。そうすれば、演目の幅も大いに広がるはず。できれば、楽器の演奏も。

 

 外部の人たちの目に晒されて稽古できたってことも良い効果をもたらした。自分たちだけだと、なあなあで済ませてしまう部分を厳しく突き詰めて行けた。この緊張感があったから、こんな短期間で大きな課題を達成できたんだと思う。

 350人ものお客さんを呼べたのも、コラボのお陰だ。この集客には、美香次社中の力もかなり大きかった。おそらく、初めて菜の花座を見たとか、いやいや、演劇そのものが初体験なんて人たちもいたようだし、菜の花座の知名度を大いに上げることができた。

 問題点もないわけじゃなかった。これは、主に作者と演出の限界だ。今回、日本舞踊を組み込むにあたって、できるだけ違和感、が生じないよう気を配ったつもりだったが、実際の舞台ではやはり唐突な感じは残ってしまった。それは、子役を除き踊り手にセリフと、踊り以外の出番が無かったことが原因だ。

 どうしても、舞踊だけでお手伝い、と言った具合になってしまった。要するに寄合コラボを越えられなかったってことだ。こちらからの一方的なお誘いではこの壁を越えるのは難しいだろうな。何度も、何度も、ご一緒してお互いが共に作っていこうとの意欲を高めることが鍵だな。

 舞台としての統一感、ひとつながりの芝居を求めていたお客さんには、この点不満も残ったようで、「いろいろ詰め込み過ぎて何をやりたいのかわからない」と手厳しい指摘もいただいた。ただ、そんな、レビューのようなごちゃまぜ舞台が大衆演劇の魅力の一つでもあるわけで、こっちの狙いもわかってよ!って言い分もないわけじゃない。演劇って言ったら、これ!的な枠からはみ出したくて挑んだ舞台、なんじゃこれ?って不審に見つめる目があるのは仕方ないかもしれない。

 他分野とのコラボ、これからもどしどしやっていきたいって思っているが、できれば、町とか芸文とかの音頭取りでどちらの団体からも盛り上がって一緒にやれるといいんだけど、今の地域にそんな余力はなさそうだし、これからも、菜の花座からの片思いコラボを積み上げるしかないのだろうな。

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