自ら科した締め切りを一週間超過して、ようやく完成、タイトルは『クロスロード:人生の岐路』だ。クロスロードだけでいいかとも思ったが、具体的なイメージが湧きやすいように、副題を付けた。重複の感なきにしもあらずだね。
ずばりタイトル通り、過去の何度かあった人生の岐路、そこでやり直しが効くならどうだろう?ってお話しだ。老いさらばえたダンサーが過去の決断の時に舞い戻る。案内するのは時空案内人・エトランジェクーリエ、時渡。大がかりなタイムマシーンなんてない。あるのはちっぽけなタイマーだけ。20年前、30年前、そして最後は15歳のせつない別れの時にたどり着く。彼女が引っかかっているのは、騙された過去だったり、仲間を傷つけた悔いだっり、自身の意思を貫けなかった不甲斐なさだったりする。彼女が遡った時間には小さな物語が待っている。それら過去の思い出を生き直すことで、一人の女性の生様が浮かび上がる。これが狙いだ。
なんだってキャバレーのダンサーか?まずは、シニア団公演恒例のオープニングダンスをストーリーに合わせて踊らせるってたくらみが一番だ。次に、歌えて踊れる役者がいるってことも大きい。シニアの女性たちを、およそ疎遠な男と女の淫らな世界に引き入れてみたいって邪な欲求、これもある。終戦直後の渋谷、水商売の家に生まれ育ち、間近に見たホステスさんや仲居さんたちへの追慕の念も大きい。こじつければいくらだって思いつくのが動機ってやつだ。
この舞台では、女が立ち寄る各時代の手触りをなんとか描きたいとの思惑もあった。当時の流行語を取り込んだり、流行りの歌を流したり歌ったり踊ったりさせている。時代を映すには、歌謡曲の方がてっとり早いのだが、敢えて洋楽で歴史をたどることにした。「テネシーワルツ」「スィングスィングスィング」「素敵なあなたBei mir bist du schön」「Rock Around the Clock」「マンボNO5」「サマータイム」、ビートルズにつながる輸入音楽の流れだ。生演奏が売りのキャバレーを彩った懐かしい曲の数々。おっと、ギターやサックスが演奏できる役者がいるってことも大きいなぁ。今では忘れられた世界だが、洋楽に憧れ、洋楽に抱きしめられ、洋楽とともに生きた青春も間違いなくあったのだ。それを取り込むためにも、舞台はキャバレー!ってことかな。
2時間を超える大作?稽古期間はわずかに2か月、シニア13人が歌い、踊り、演じる。これまでにまく厳しい舞台になりそうな予感。公演は7月31日(日)だ。
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