ステージおきたま

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春一番の共同作業、堰の掘上げ!

2018-04-30 08:57:06 | 農業

 4月29日は堰の掘上げの日。川から取水した水路が流れる二つの集落から各戸1名が出て、水路の清掃作業だ。農家も非農家も関係ねえさ。どこの家からも出んなね。流水の主たる利用者は田んぼ作ってる人だが、下水道がまったく整わないここ準山間地じゃあ、生活雑排水の排水路でもあるからな。だから均等ってわけじゃないが、管理費用も全戸で負担だ。汲み取り便所で生活排水は地下浸透、なんて家、まっ、我が家くらいのもんだが、でも、費用負担は逃れられない。水路は貴重な防火用水の働きも兼ねてるわけだから。万一火災発生、なんて時にゃ、水路を堰き止めて水を溜め、それを吸い上げて消火活動にあたるってわけなのさ。

 集落の下部単位が隣組で、だいたい10戸前後の家からなってて、役員は各隣組から一名出る。水路の補修工事やら、清掃作業の音頭取り、分担金の徴収とかの仕事を担う。うちなんか片手間仕事の田んぼ作りだから、役員に出んのにふさわしくないんだが、なんせ、隣組10軒のうち農家もどきでさえ、わずかに2軒、出ないわけにいかんのよ。

 水路の堀上げ作業は、ほぼ自分の家の近くを流れる水路の草をむしったり、溜まった砂を堀上げたりして下流に向かっていく。主水路はU字溝が埋められているので、周囲から倒れ込んだ雑草の枯れ葉を取り除く程度、比較的楽な作業だ。それに対して、自然水路の堀上げは大変だ。我が隣組、年寄りと女ばっかだから、仕方ねえなぁ、で、うちとお隣さんのIさん、おっと、女性なんだが、が引き受けている。

 今年は、それを見かねた別の隣組からきつい助言が出て、少なくともその自然水路に排水流してる家は、そっちにあたるべきだべ、ってことになった。と言っても、対象者は女性と病気持ちで歩くのもままならぬってジイサン。いいんじゃねえか、これまで通り、こっちで頑張っから、って思ったんだが、地域社会の掟は厳しい。任務は任務だ、ってことで押し切られ、その二人以外にも数人が自然水路に来てくれた。そのお陰で、いつもの半分の時間で終了することができた。一部のボランティア的な犠牲じゃなくて、ともかく全員力を合わせる、これが集落の考え方、それはたしかに大切だよなと実感できた。

 でもなぁ、独居の婆さんなんかもずいぶん増えて、その人らに同じ労働強いるってのも、酷な話しでもあるし、なんて思っていたら、案の定、一人欠席。連絡は間違いなく行ってるはずだだが。なんか用事でもできたんか、それとも忘れたんか?罰金2000円、必ず徴収してけろな、ときつく注文された。厳しいなぁ、人足、出られ無けりゃ負担金って。ここらも意外とシビアだ。年寄りだもの、忘れることだってあっこで、なんて考えは、甘いんだろう。一人だって例外を認めれば、地域の基盤が崩れてしまう、全員が力合わせるからこの地の暮らしが成り立っている、そうやって、容易でない準山間地の集落が保たれてきたってことなんだろう。水路のU字溝だって、道路際はともかく、農地を通る部分はすべて、自分たちで資金を出し合い、労働を寄せ合って敷設してきたものなんだ。そんなことは、自治体の仕事だろ、なんて言ってたって、貧乏町村じゃ何も始まらない。

 お互いの決まり事、厳しい負担、共同作業の割り当て、こういった自助努力でどうにか、ここまで暮らしや地域社会を保って来れたってことだ。甘えや権利意識なんかは、二の次、三の次、まず、やるべきことをする、ってことだ。

 夜、堀上げに出なかった婆ちゃんが、訪ねて来た。すっかり忘っちぇた、ダメだぁ、呆けちまってぇ!忘れんように紙に書いておいておいたのに、それ見んの忘っちゃもの。と、2000円を置いていった。きついだろうな、年金暮らしの2000円!厳しいよなぁ、集落の掟!

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