ステージおきたま

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『転換期の大正』、転換期の令和?

2022-02-11 11:47:50 | 本と雑誌

 大正時代についての本を読んでる。

 そうさ、そろそろ台本『ダンスホールMitsu』の書き換えに入らにゃならんもの。時代の空気、漂わせた作品にしたいのさ。それには、まず、当時の世の中のこと知らなくっちゃ。世相についてはこれからってことで数冊必読本を積んである。まずは、政治・経済・社会の動きだな。

 以前から、明治末から昭和の戦争期までについては、ちょくちょく覗き見してきた。中央公論の「日本の歴史」シリーズとか筑摩学芸文庫の「日本の百年」とか、そうそう講談社の「日本の歴史」もあったっけ。

 今回はこの2冊を立て続けにめくった。筒井清忠:著『大正史講義』、岡義武:著『転換期の大正』

 うん、読書百遍意自ずから通ず、ってわけじゃないが、集中して一つの時代眺めてると、以前は馴染みのなかった政治家や政党の姿が、かなりくっきりと浮かび上がって来るって感じだなぁ。大正期の首相、続けて全部言えるようになったとか?うへっ、歴代天皇の名前暗唱かよ!それ意味あるか?

 ただ名前がそらで言えるってだけじゃない。その政権がどう誕生し、何を目指し、どこで失敗し、どう退場していったか、なんてこともおぼろげながら一つながり歴史として定着したってことだ。うん、やっぱり、繰り返しは重要だぜ。

 この大正って時代、明治維新から大戦終了までの歴史の中で、まれに見るはじけた時代だった。ほら、大正モダンなんて言われるくらいね。女性について言えば、断髪が進んだし、青鞜の「新しい女」たちも活躍した。でも、それについちゃ、これからさらにじっくり。

 この2冊じゃ主に政治と経済と社会運動だ。中でも政治。

 原敬が庶民宰相になったりとか、ようやく明治の元勲支配から抜け出し始めた時代だ。護憲運動、とか普選運動とかも大いに盛り上がって、その成果として制限的な普通選挙も実現し、大衆的な人気によって大隈内閣が誕生したりした。さらに、護憲三派内閣から、昭和初年にはついに男限定だが完全な普選も実施されることになる。

 当時の憲政擁護運動なんかじゃ、3万人とか5万人が集会につめかけたなんて、へぇ、先々代さんたち頑張ってたんじゃん!ちょっと驚きの事実もある。筒井清忠なんかは、ポピュリズムの時代ってまとめてるくらい、大衆が社会の全面に押し出て来た時代なんだ。

 それが、わずか5、6年後には5・15事件の血なまぐさい軍人の逸脱、暴走へと急転回していく。えっ?!なんでや?盛り上がった大衆運動はどこ行った?鎬を削り合った政党や政治家はなにしてた?

 長引く大戦後不況とか、帝国主義国家間の軋轢とか、社会運動の先鋭化とか、関東大震災とか理由は様々なんだが、政党政治に対する幻滅、失望というのがとても大きな原因となっていたようなんだ。期待していた政治の刷新、普選の実現なんかをほったらかしにして党離党略に現を抜かす政友会と憲政党、国民党、相次ぐ不祥事。一部地主、資本家層の利益のみはかり、政権の奪い合いと自己保身に走る政党人たち、民衆はとことん愛想尽かしして、議会政治からそっぽを向いてしまったってことなんだ。

 それが救世主を待ち望む意識へと移り変わって行く。この腐った世の中を一気にひっくり返して欲しい、利権に走り邪魔するばかりの政治家、財界人を葬り去って欲しい。そんな土壌からテロが続発し軍部の復権、ひいては独裁へと道を開いて行くことになる。その行きついた先は・・・

 政治の退廃と大衆の政治不信!

 転換期は大正ばかりじゃなく、令和にも巡ってきてるんじゃないのか?

 金ばら撒く選挙は広島ばかりじゃなかった。京都でも、国会議員選挙前には地方議員に50万円の配布。役に立たない布マスクを強引に配るために8億円無駄遣い。友人知人が設立する学校への税金使っての優遇とその証拠公文書の改竄、抹消。国会でのウソは首相だけでも100回を超え、官僚たちは忖度の名のもとに媚びへつらう。給料上がらず物価は上がる。コロナ対応は成り行き任せ。

 いい加減うんざりだよ。いくら声上げ立った政治は変わらないしぃぃぃ。だから、選挙だって行く意味ないしぃぃぃ。

 なんか、似てきてないか?転換期の大正に。

 頻発する道連れ自殺、あれって、行き詰る時代への暴発だと思う。あれらの行き場を失った怒りの爆発が、この先政治テロに向かうのか、対外的な緊張、戦争へと歩むのか。

 そんなの妄想だよ、って軽くいなせるといいんだがね。わずか10年足らずで急転換するんだぜ、世の中ってのは。そいつはくどいくらい言い張っておきたいんだよ。ちょっとは過去を知ってる年寄りの責任としてな。

 


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