ステージおきたま

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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

むむっ、こりゃいい本だ!

2024-02-27 10:00:02 | 本と雑誌
『排外主義克服のための朝鮮史』梶村秀樹著・平凡社刊。
群馬の慰霊碑も取り払われちまったし、朝鮮学校へのヘイト攻撃は相変わらず。どうしてこうも朝鮮人を嫌悪し続けるんだろ?
朝鮮人だけじゃないか、中国人も、最近はクルド人も、自分と違う人たちの暮らしぶりが我慢ならんって、どんだけ狭量なんだよ。

ますます広がる、外国人出てけ!の風潮、ヤバいよねぇ、ここんとこ、しっかりひっくり返さないと、また、関東大震災時の二の舞、朝鮮人とか外国人とか虐殺が再来しちまうぜ。
能登地震でも、中国人の窃盗団がバスで大挙到来!なんてヘイトデマ流れたくらいだから。

ずっと気になってたんだが、ここらで朝鮮の近現代史をじっくり、まっ、さらっとかな?知っておこうか、で、何冊か手に入れたうちの1冊がこれ。



えっ、なんか読みにくいんだけどぉ!?

朝鮮史を考える上での基本から解き明かす、そこからかよ。福沢諭吉の朝鮮蔑視は知ってたけど、わっ、大井憲太郎までやり玉に挙がってるぜ。うんでも言いたいことはわかる、大阪で強盗やって資金集め挑戦に渡って革命だって、日本で政治改革できない奴が朝鮮でならなんとかって、甘く見過ぎだろ、その感覚が大陸浪人たちの横暴な行動につながったわけだ。

つまり、著者がとことん否定したいのは、朝鮮は自ら変われない、ずっと停滞社会だったって、それまでの歴史学説や巷に流布した共通認識は決めつけで現実じゃないってことなんだ。
つまり、他律性史観と停滞史観、これが日本の韓国併合、植民地化の口実になったってわけだ。お前ら自分じゃ近代国家に変われんだろうから日本が引っ張り上げてやるよってお節介。今でも信じてる奴らうようよいるよな。

って、他人事で済ませられないんだぜ。俺もなんとなくこの印象、差別感に囚われてたもの。解放以降の朝鮮半島の歴史なんかも興味なし、漠然と知らないまま過ごしてきた。この無意識の無視、漠然と、遅れた国なんだぁ、って蔑視感覚に流されてた。まっ、ヘイト発言繰り返すネトウヨたちと大差ねえよな。

実際の歴史じゃ、何もなかった、なんてとんでもない。日本の植民地化の強圧の中で、様々な抵抗が諦めることなく繰り広げられていたんだ。民衆の粘り強い活動が歴史が時代を追って紹介されている。

朝鮮史の主人公は朝鮮人人民だっ!
この事実を明らかにすることが本書の最大の目的なんだ。

地を這い、山野を駆け巡った人々の絶えることなき抵抗活動、東学党の甲午農民戦争から3/1独立運動、厳しい弾圧にさらされながらも、言論で、組織で、民衆運動で引き継がれていく反日独立闘争。

それは決し途切れることなく8/15の解放以降にさらに大きく盛り上がって行く。が、自主的即時独立を目指すうねりは、ソ連とアメリカの身勝手な意図で引き裂かれ、ついには朝鮮戦争の惨事へと流れ込んでしまう経緯、戦線が畝ローラーのように国土を国民を押しつぶして行った悲惨。
こんなこともほとんど知ろうとしなかったなぁ。

その後の繰り返される独裁政権、幾多の犠牲を出しつつも自主独立と民主主義を求めた人たちの尊い活動の連続性。彼らには決して屈しない反骨の精神がずっと受け継がれているんだ。
ほとんど民主主義が機能しなくなって久しい日本の現状、好き勝手やり玉たい放題の政治に効果的な反撃一つ打てない日本、学ぶものはいくらでもある。

どんなに苦しくとも、どんなに屈辱的であっても、怒りの炎を絶やすことなく粘り強く行動し、言うべきことは発言し続ける朝鮮の人たちの姿、著者の断固とした主張、民衆への信頼、たしかに受け取ったぜ。

ただ、この本には疑問点もあった。
一つは、左翼運動に偏り過ぎちゃいないか?ってこととか、民衆ってもんを型に嵌め過ぎじゃないか?ってことなどだ。
それと、なんせ古い本、刊行は1990年、再刊が2014年、でも、実際に書かれたのは1970年代。韓国の漢江の奇跡以降の韓国には当然触れようがない。北朝鮮の軍事国家化、独裁化と経済停滞についも当然言及しようがない。著者が今の時代に生きていたら、どんなまとめ方をしてくれるんだろうか?

そんなないものねだりしてたって仕方ない。もっともっと知りたい韓国のこと、北朝鮮のこと。その容易ならざる紆余曲折の歴史。だったら、さらにじゃかじゃか読めばいい。

『語り継ぐ済州島四・三事件』『司馬遼太郎の歴史観』『新・韓国現代史』『義兵闘争から三・一独立運動へ』・・・次から次と購入クリック。

当分は朝鮮、韓国読書月間が続くな。





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2 コメント

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Unknown (桂蓮)
2024-03-01 07:01:59
朝鮮王朝の時期はもう終わっているので、
本とかで朝鮮云々するのは
日本の江戸人を現代人のように指すのと同じかもです。

私は韓国人で日本に26年住んで、
アメリカ住まいになってからアメリカ国籍に変えました。
日本に住んでた時は
韓国についてほぼ情報が無く
私も仕事とか学業に忙しかったので
気にすることは無かったです。

なので、私の中では韓国は80年末のままでした。
それがアメリカで生活すると
経済、市場の売られているものは
ほぼ韓国製品でした。
日本のは車だけで、日本製の物は市場に出回ってなかったです。

日本政府は国際事情をありのまま伝えていないです。
北朝鮮よりひどいなーと思ったほどです。
日本政府に騙された感じですかね。

アメリカで日本は、忍者、寿司、アニメ、車のように代表さますが、
それらもみんな下落中なのです。
日本政府はそれらに直面して
事実を報道して、現実を国民に知らせる必要があります。
ならば、経済の危機とか
競争への危機が芽生えると思います。

愛国心は大切ですが、偏ってはいけないかなと。

今、その本に書かれた韓国情勢は
まるで逆転しています。
それが、韓国戦争後のわずか半世紀の間に起きたことなのです。 

私は韓国の愛国心とか丸っ切り無いのですが、
ただ、言いたいのは
事実を偏見無しで直視するのが望ましいと思ってはいます。

別に日本の人の見方を批判するつもりは無いのですが、
未だに朝鮮人とかの言葉を聞くと
朝鮮王朝時代の政治問題を連想させます。
それ、あまり愉快な気分になれませんね。

失礼な表現がありましたら、
失礼しました。
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Unknown (taowatarukaze)
2024-03-01 11:31:52
貴重なご指摘ありがとうございました。
昔の歴史だけを知ろうとしているわけではありません。ただ、昔は今に通じる。過去をどのように生き、どのように今に繋いできたかを知ることが、日本人の差別意識の根幹を知ることになると思っています。私の読んだ本が、偏りのあることは理解していますし、書かれた時以降、大きな変化のあったことも知っています。そのことの問題についてはブログにも書きました。朝鮮王朝時代のことをどのような意識で学ぼうとするかが大切だと思います。
日本では、ここまで政府が好き勝手やってきてもさっぱり反対の声が大きくなりません。まして、行動など一握り以下という現実です。
それに対して、韓国では理不尽な政策、政治家に対しては激しく糾弾する素晴らしい伝統を保持しています。
その行動力の淵源も知りたくて、過去の朝鮮時代を知ろうとしています。その秘密を民衆の絶えざる行動として解き明かしてくれたのが本書の意義であると思っています。
これまで、ほとんど意識になかった隣国のことを知ることはとても大切だと思っています。
日本人一般の意図的?無意識の、韓国、朝鮮無視の姿勢を改めて行くためにも多くの人が、過去も現在もそこをつなぐ歴史もしっすり目を向けて行く機運が生まれることを願ってこのブログを書きました。
今私の机の上にはさらに多くの関連本が積まれています。一つ一つ読み進めながら、多くの人に伝えていきたいと思っています。さらなるご批評をお待ちしています。
時代と向き合う韓国の映画やドラマも素晴らしいと思っています。っというより、その圧倒的な表現に魅せられて興味を開かれた者です。本のみならず、それら視聴覚メディアにもどんどん触れて行くつもりです。
なお、ブログ中で、朝鮮人と記したのは、本の著者が朝鮮を一つのものとしてとらえ続けたいとの意図がありそのように表記していた点、それに倣ったに過ぎません。現在の韓国の人々を朝鮮人と書いたことこれまでもないと思います。朝鮮人ということばにまとわりつく差別意識はそれなりに理解しているつもりだからです。念のため。
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