ステージおきたま

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気楽におやりよ、地域おこし協力隊

2015-06-22 16:08:13 | 地域文化
 高畠町の地域おこし協力隊のHさんが訪ねてきた。町内を回って様々な人から話を聞いているところだと言う。

 えっ、家へ?今更地域おこしで話しなんてできないよ、・・・

 20年くらい前には、たかはた共生塾の事務局とか担当していたから、それらしきことに縁がなかったわけじゃないけど、今はね、とんとね。地域おこし?あっ、そうですね、頑張ってください、程度の関心しかないから、時間の無駄だと思うよ。

 初対面のHさんは山形市の出身、関東の大学を出て、この4月から地域おこし協力隊員として活動している。3年間の任期、まずは地域の人たちから話しを聞くこと、この姿勢は謙虚だし、地域に入っていく方法としても間違いない。これまでにもかなり多くの人とつながりを作ったようで、高畠町に疎い僕などがぽつらぽつらと上げる人材にはほぼ全員面談済みのようだった。大したもんだなぁ、この行動力と臆することなきコミュニケーション力!人見知りの激しい僕など到底及ばない。これで大卒一年目だっていうんだから。

 いろんな人から話を聞きつつ、自分が関われそうな部面を見いだして行きたいとは言っていたもの、すでに彼の中にはやりたい企画のイメージはできているようで、それは、たかはた共生塾が長らく続けてきた「まほろばの里農学校」の現代版みたいなものらしい。高畠の魅力をアピールして都会人を呼び込み、高畠ファンになってもらって、あわよくば移住者も生み出したい、ほれほれ、「まほろばの里農学校」じゃないですか。

 最初は若き熱気に煽られて頼もしく聞いていたものの、話しが核心に近づくにしたがい、だんだん気が重くなってきた。

 まず、彼が高畠の魅力と認識するものの内容だ。里山に囲まれた美しい田園風景、まっ、これはそうだ。だが、訪問者を優しく包み込むコミュニティ、となると、う~~~ん、どこの話ししてんの?たしかに高畠の人はよそ者に寛容だし、どちらかと言えば人なつこい。でも、それだけで、都会から人呼べるのか?概して山里の住人は人恋しいのだ。なにも高畠に限った売りではないだろう。

 じゃあ、「まほろばの里農学校」はなぜ成功したんだ?それは、有機農業を先かげて実践した農民たちが受け入れの主体だったからだ。世間の蔑みの言動にもめげす、農法を確立し、都市の消費者と「提携」という新しい関係を築いた彼ら高畠の有機農業者には、語るべき思想があり、提供すべき農産物があり、都市生活者を魅了する話術を持っていた。だから、こぞって高畠を訪れ、高畠に魅了され、ついには数十名もの移住者を生み出すことができたのだ。

 まさか、過去のスター?たちの再登場を狙っているわけではないだろうから、彼が魅力的なコミュニティと言う時、それはどこのどんな人たちなのか、どうもぴんと来なかった。多分、彼を受け入れて様々な面倒を見てくれている人たちの優しさなんだろ。でも、それで都会から人を呼べるのだろうか?日本全国、都市との交流人口を増やそうってやっきになってるんだもの。

 話しを聞くうちにますます気が滅入り、長い気詰まりの間なんてものも生じてきた。なんだか、聞いているのが辛い。動画配信とか、ソーシャルネットワークの活用とか、今流行の手法が話題に上れば上るほど、どうもなぁ、と不安は募った。なにか、違う、なにか、欠けている。

 それは、時間なんじゃないか?大卒1年、地域に入って3年間でなんか形を残したいって、無理があるような気がするんだ。高畠にはたくさんの大学生や院生が研修に来た。いや、今も続けている大学のゼミも多い。そう、Hさんと同じ年頃の若者たちが、何かを学ぼうと高畠詣でを続けている。僕の貧しい経験から言っても、20代前半は、必死に食い扶持を稼ぎつつ、片隅から社会を睨み続けていた。若いうちに成功しなくたって、一向にかまわない。

 起業ブーム、あれの影響かな。若くたってアイディア一つでぬきんでることができるし、それが活力源になる。たしかにIT関連のベンチャーとかならそれもあるだろうけど、ずーっとこの地で暮らす人たち相手の仕事には不向きのペースじゃなかろうか。何か役に立ちたい、その熱い気持ちは大切だ。必死でアイディアを振り絞り、実現に向けて走り回る、これも重要だ。

 でも、大したことできっこない、失敗したっていいんだって、気持ちのゆとりも持っていて欲しい。3年間、高畠にみっちりどっぷりのめり込み、悪戦苦闘を楽しんでくれれば、それがいつか、協力隊員にも地域にもなんらかの役に立つ。そのぐらいのなあなあな感でいいんだと思う。教師だって、最初の一年は研修中心だし、二年目には副担任として見習い、3年目でようやく担任を任される、これがフツーのペースなんだから。

 即戦力!騙されるなよ。役場だってきっと期待しちゃいないんだから。気負うなよ、転けたら大けがするから。それより、一生の宝になる何かをしっかりと掴んで行って欲しい。なんたって、『協力』隊なんだから。地域おこし請負隊じゃないんだから。
 
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