

2年半ぶりのマラソン、完走できた。よしよし、やったね!おめでとう、パチパチ、なんて気分じゃ全然ないんだよな。
もう、ほんと疲れ果てて、8周回のうち、ラスト2周なんて、まるでウォーキングだもの。あと2周、あと1周、あと最後の直線、ひたすら縋って走り終えたんだ。目標の2時間20分以内もダメ、何より、体中のダメージが凄まじい。足はもちろん、腕から肩から腹筋、背筋に至るまで、がちんこに固まっちまった。走ってる最中は、足指が攣りそうだったし、着替えの時にゃ手の指先が痺れた!こんなの初めての体験だぜ。
何よりショックなのは、この2年半のブランクでご老体の域にたどり着いちまったことだな。過去なんて振り返るもんかい!の俺だが、大会に出始めた頃の記録が頭の中を駆け巡ってた。ハーフ、1時間47分で走れたんだ、ってことは、もう今頃はゴールしてるんだ、7年前の俺は。なのに、まだこの先2周回、5キロも走らにゃならんのだ。あの頃、かすかな優越感とともに追い抜いて行った高齢者ランナー、今は、こっちが次々追い抜かれる番だ。それも、周回コースなんで、何度も何人も追い越して行く。中には同年齢のジイサンランナーもいて、これも精神衛生上すこぶる良くないよ。
まったくの平坦コースで2時間22分30秒、ってことは制限時間2時間20分の高畠ハーフからは締め出されちまったってことだし、当然、フルマラソンなんて、過去の栄光?高嶺の花、80歳まで走るぞ、ってなに寝言言ってんだい!これからはハーフだって、必死に縋りついて行くしかないってことだぜ。
こうやって、自分の限界、老いの実態を突きつけられたら、落ち込んで当然って話しだ。天童からの1時間半の車の運転の辛かったこと!アクセルに乗せた足をさすりさすりだからな。疲労と眠気に覆いかぶさられて、何度目覚ましのビンタを張ったことか。
とは言え、空腹にも攻められて、せめて一人で完走のお祝いと、チャーシュートッピングの担々麺と餃子1皿、おいおい、欲張ってそんなに食えるのか?胃袋だって、痛めつけられてんだぜ。絶対、無理!って思いながらも、気が付けばすべて完食!(汁は除く)おぉ、すげえなぁ、この食欲!
まっ、食欲って奴は究極の生きる力だから、これはまだ失われていない、ってことをお喜びするとしようぜ。
遅っそいなぁ、大会まで1週間だぜ。もしかして中止になるんじゃないか?
って、取り越し苦労の杞憂だったぜ。ほれほれ、届いた、案内と参加賞のTシャツ、それと一番大切なゼッケン、もちろんICタグ付きだ。
ふひゃぁぁぁ、久しぶりだなぁ!2年半ぶりか?たしか2019年秋の長井フルマラソン以来じゃないか。なんか、参加案内見てるだけでどきどきしちまうぜ。
やっぱりなぁ、運動公園内2.64キロの周回コース8周だってよ。飽きるんだよなぁ、同じコースぐるぐる回るってのは。ラスト2週あたりになると何周目かわからなくなったりしてな。でも、公園内ってことはべたっと平坦コースだろうから、坂道ない分楽だけど。これは老化著しいジジイランナーにゃ有難い。
そう、このコロナの2年半、一気に体力落ちちまった。時々思い出したように走っちゃいたんだけど、やっぱり折々のレースがないとね、甘くなるんだよ、自分に。5キロ走りゃいいか、まず、健康ジョギングだな、目標は、なんて、気力の面でも衰えは疑いようもないのさ。
一昨日走ってみた15キロ走なんて、いやぁ、ひでぇ、ひでぇ!12キロ過ぎたら、ずどーんとキロ8分台、ほぼ速足散歩のペースに落ちたぜ。しかも、走り終わった後の消耗が凄い!呼吸は元に戻らず、足はガチガチで靴脱ぐのだって、ひーこらだった。1日休養入れても疲労は取れず、どうする?こんな調子でレース前の調整なんて出来っこないぜ。
もはや、2時間切りなんて縁ない話し、制限時間2時間40分内になんとかゴールにたどり付けりゃ御の字ってもんさ。スタート区分もEブロック、もちろん、どん尻だ。いいさ、いいさ、ともかくキロ7分をなんとか保って走り切ろうぜ。
以前と違って、疲労はどっかり居座るから、水曜か木曜に直前最後、軽く走ってあとは本番までゆっくり体を休めるってことにしよう。って、計画立てても、その時期、ちょうど代掻き時なんだよなぁ。まっ、トラクター運転だけにして波板張りはレース後に、なんて、いかんよ、そんな!大会もだが、田んぼと田植えだって待っちゃくれないんだぜ!
うーん、って唸るなよ、最初からわかってて申し込んだレースなんだからさ。
田んぼの準備終わったら、ちょっとは長いとこ走らにゃな。ほれほれ、天童ハーフマラソン、2週間後だぜ。
よしっ、午前中にトラクター耕耘済ませて、午後は走るぞ。って固い決意もこの暑さ!日差し突き刺さって、真夏だぜぇ。しかも予報に逆らって、風も吹いて来やがった。晴天で風速5メートルって、それ違反だろ。ますます、萎える。決意はしぼむ。
が、この先1週間近く、こんな夏日が続くらしいし、だったら、やっぱり走っちまおう。夕方、少しは涼しくなってからな。距離も短くしてな。
身体、重っ!足上がらねぇ。久しぶりってわけじゃないのに、ははぁん、これは農作業疲れだな。そうだろそうだろ、肥料散布、堆肥撒き、そしてトラクター耕耘、連日働きづめだものな、疲労もたまるさ。これじゃせいぜい7キロが限界だな。軽く回って帰って来よう、って走り出して2キロ、おおっ!
見事な菜の花群生!そうかぁ、毎日茎立ちの花芽摘んで食べてんだもの、花の季節なんだよな。この明るく伸びやかな光景見たら、ちょっと元気になった。すぐに戻らずも少し先まで行くか。
亀岡通過して、果樹地帯に入ったら、今度はリンゴの花が満開だぜ!
桜と違って葉も一緒に出るから、目立たないけど、ほんのりピンクの蕾といい、純白の花びらといい、よく見れば美しいんだよ。なんか、止まってばかりだけど、これは写真におさめなくっちゃ。
さて、6キロ走行、ぐるっと回って帰り道、あっ、芝桜!そうそう、この家はいつも道端にきれいに咲かせてくれてくれてるんだった。ありがとう。
コースに戻れば、あらっ、向かい側にも不思議な色合いの、八重咲の桜かな?ぼってりと贅沢な花付きだぜ。
気分が晴れてきた分だけ。体も軽くなってきて、ペースは上がらないものの、足は軽やかに前に出るぞ。さぁ、元のコースに戻ってきた。あと、3キロでゴールだ。と、先を見れば、なんと、なんと見事な遅咲き桜の群落!
へぇー、こんなところに植わってたんだ。道路から奥に入った川沿いの農道、こんな道歩いたこともなかった。堤防上の道、どこまで続くんだ。この先の小学校裏の親水公園には通じているはずだが、その先は?我が家近くの桜堤にもつながってるのか?30年以上も暮らして来て、通ったことがないなんて!
よしっ、この道を走って帰ろう。途中、行き止まりってこともないだろう。
畑の横を走り、小さな林を抜けて、さながら林間コースだ。適度に起伏もあって、クロスカントリーの気分も味わえる。なぁんだ、こんな心地よいコースがあったんだ。これからはこの農道も、ランニングコースに昇格だな。
結局、川沿いの農道は、二つの川の合流地点で途切れて、そこからは横に橋を渡って、元の舗装道路に戻ることになった。ラスト1キロ、強い向かい風に押し戻されながらもどうにか走り切って、10.8キロ、平均ペース6分31秒/キロ。何だかんだ、そこそこ走れちまったじゃないか。
花に癒され、花に励まされた10キロランだったぜ。それにしても、スマホのカメラ、精度悪いなぁ、遠景になるとたちまち粒子粗くなる。まぁ、安物だから仕方ないけど。