竹取翁と万葉集のお勉強

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古今和歌集 原文推定 巻六

2020年01月12日 | 古今和歌集 原文推定 藤原定家伊達本
武末幾仁安多留未幾
むまきにあたるまき
巻六

布由乃宇多
冬哥
冬哥

歌番号三一四
多以之良須
題しらす
題知らず

与美比止之良須
よみ人しらす
詠み人知らず

原文 堂川多加者尓之幾遠利加久加美奈川幾志久礼乃安免遠多天奴幾尓之天
定家 龍田河錦をりかく神な月しくれの雨をたてぬきにして
解釈 龍田河錦織りかく神無月時雨の雨をたてぬきにして

歌番号三一五
布由乃宇多止天与女留
冬の哥とてよめる
冬の哥とて詠める

美奈毛堂乃武祢由幾安曽无
源宗于朝臣
源宗于朝臣

原文 夜万左止者布由曽左比之左万佐利个留比止女毛久左毛加礼奴止於毛部八
定家 山里は冬そさひしさまさりける人めも草もかれぬと思へは
解釈 山里は冬ぞ寂しさまさりける人目も草も枯れぬと思へば

歌番号三一六
多以之良須
題しらす
題知らず

与三比止之良寸
読人しらす
詠み人知らず

原文 於保曽良乃川幾乃飛可利之幾与个礼八可計美之美川曽万川己本利个留
定家 おほそらの月のひかりしきよけれは影見し水そまつこほりける
解釈 大空の月の光し清ければ影見し水ぞまづ凍りける

歌番号三一七
原文 由不左礼者己呂毛天左武之三与之乃々与之乃々夜万尓三由幾不留良之
定家 ゆふされは衣手さむしみよしのゝよしのゝ山にみ雪ふるらし
解釈 夕されば衣手寒しみ吉野の吉野の山にみ雪降るらし

歌番号三一八
原文 以万与利八徒幾天布良奈无和可也止乃寸々幾遠之奈美布礼留之良由幾
定家 今よりはつきてふら南わかやとのすゝきをしなみふれるしら雪
解釈 今よりはつぎて降らなん我が宿のすすき押し並み降れる白雪

歌番号三一九
原文 布累由幾者加徒曽个奴良之安之比幾乃夜万乃多幾川世遠止万佐留奈利
定家 ふる雪はかつそけぬらしあしひきの山のたきつせをとまさるなり
解釈 降る雪はかつぞ消ぬらしあしひきの山のたぎつ瀬音まさるなり

歌番号三二〇
原文 己乃加者尓毛美知者流於久夜万乃由幾計乃美川曽以万々佐留良之
定家 この河にもみちは流おく山の雪けの水そ今まさるらし
解釈 この河にもみぢ葉流る奥山の雪消の水ぞ今まさるらし

歌番号三二一
原文 布留左止波与之乃々夜万之知可个礼八比止比毛美由幾不良奴比八奈之
定家 ふるさとはよしのゝ山しちかけれはひと日もみ雪ふらぬ日はなし
解釈 古里は吉野の山し近ければ一日もみ雪降らぬ日はなし

歌番号三二二
原文 和可也止者由幾布利之幾天美知毛奈之布美和計天止不比止之奈个礼八
定家 わかやとは雪ふりしきてみちもなしふみわけてとふ人しなけれは
解釈 我が宿は雪降りしきて道もなし踏み分けて訪ふ人しなければ

歌番号三二三
布由乃宇多止天
冬のうたとて
冬の哥とて

幾乃川良由幾
紀貫之
紀貫之

原文 由幾不礼者布由己毛利世留久左毛幾毛者留尓志良礼奴者那曽左幾个留
定家 雪ふれは冬こもりせる草も木も春にしられぬ花そさきける
解釈 雪降れば冬ごもりせる草も木も春に知られぬ花ぞ咲きける

歌番号三二四
志可乃夜万己衣尓天与女留
しかの山こえにてよめる
志賀の山越えにて詠める

幾乃安幾美祢
紀あきみね
紀秋岑

原文 之良由幾乃止己呂毛和可寸布利之計者以者本尓毛左久者那止己曽美礼
定家 白雪のところもわかすふりしけはいはほにもさく花とこそ見れ
解釈 白雪の所も分かず降りしけば巌にも咲く花とこそ見れ

歌番号三二五
奈良乃美也己尓万可礼利个留止幾尓也止礼利个留止己呂尓天与女留
ならの京にまかれりける時にやとれりける所にてよめる
奈良の京に参れりける時に宿れりける所にて詠める

佐可乃宇部乃己礼乃利
坂上これのり
坂上是則

原文 三与之乃々夜万乃之良由幾徒毛留良之布留左止左武久奈利万佐留奈利
定家 みよしのゝ山の白雪つもるらしふるさとさむくなりまさるなり
解釈 み吉野の山の白雪積もるらし古里寒くなりまさるなり

歌番号三二六
可无部以乃於保无止幾々左以乃美也乃宇多安者世乃宇多
寛平御時きさいの宮の哥合のうた
寛平御時后宮の哥合の哥

布知八良乃於幾可世
ふちはらのおきかせ
藤原興風

原文 宇良知可久布利久留由幾者之良奈美乃寸衣乃末川夜万己寸可止曽美留
定家 浦ちかくふりくる雪は白浪の末の松山こすかとそ見る
解釈 浦近く降り来る雪は白浪の末の松山越すかとぞ見る

歌番号三二七
美不乃多々三祢
壬生忠岑
壬生忠岑

原文 三与之乃々夜万乃之良由幾布美和計天以利尓之比止乃遠止川礼毛世奴
定家 みよしのゝ山の白雪ふみわけて入にし人のをとつれもせぬ
解釈 み吉野の山の白雪踏み分けて入りにし人の訪れもせぬ

歌番号三二八
原文 之良由幾乃布利天川毛礼留夜万左止者寸武比止左部也於毛比幾由良武
定家 白雪のふりてつもれる山さとはすむ人さへや思ひきゆらむ
解釈 白雪の降りて積もれる山里は住む人さへや思ひ消ゆらむ

歌番号三二九
由幾乃布礼留遠美天与女留
雪のふれるを見てよめる
雪の降れるを見て詠める

於保可宇知乃美川子
凡河内みつね
凡河内躬恒

原文 由幾布利天比止毛加与者奴美知奈礼也安止者加毛奈久於毛比幾由良武
定家 ゆきふりて人もかよはぬみちなれやあとはかもなく思きゆ覧
解釈 雪降りて人も通はぬ道なれや跡はかもなく思ひ消ゆらん

歌番号三三〇
由幾乃布利个留遠与三个留
ゆきのふりけるをよみける
雪の降りけるを詠みける

幾与八良乃布可也不
きよはらのふかやふ
清原深養父

原文 布由奈可良曽良与利者那乃知利久留者久毛乃安奈多者者留尓也安留良武
定家 冬なからそらより花のちりくるは雲のあなたは春にやあるらむ
解釈 冬ながら空より花の散り来るは雲のあなたは春にやあるらん

歌番号三三一
由幾乃幾尓布利可々礼利个留遠与女留
雪の木にふりかゝれりけるをよめる
雪の木に降りかかれりけるを詠める

徒良由幾
つらゆき
紀貫之

原文 布由子毛利於毛日加計奴遠己乃万与利者那止美留万天由幾曽布利个留
定家 ふゆこもり思ひかけぬをこのまより花と見るまて雪そふりける
解釈 冬ごもり思ひかけぬを木の間より花と見るまで雪ぞ降りける

歌番号三三二
也末止乃久尓々万可礼利个留止幾尓由幾乃不利个留遠美天与女留
やまとのくにゝまかれりける時にゆきのふりけるを見てよめる
大和国に参れりける時に雪の降りけるを見て詠める

佐可乃宇部乃己礼乃利
坂上これのり
坂上是則

原文 安佐本良遣安利安計乃川幾止美留万天尓与之乃々左止尓布礼留之良由幾
定家 あさほらけありあけの月と見るまてによしのゝさとにふれるしらゆき
解釈 朝ぼらけ有明の月と見るまでに吉野の里に降れる白雪

歌番号三三三
多以之良寸
題しらす
題知らず

与三比止之良須
よみ人しらす
詠み人知らず

原文 遣奴可宇部尓万多毛布利之遣者留可寸美多知奈者美由幾万礼尓己曽美女
定家 けぬかうへに又もふりしけ春霞たちなはみ雪まれにこそ見め
解釈 消ぬが上にまたも降りしけ春霞立ちなばみ雪まれにこそ見め

歌番号三三四
原文 武女乃者那曽礼止毛美衣寸比左可多乃安末幾留由幾乃奈部天礼々八
定家 梅花それとも見えす久方のあまきる雪のなへてれゝは
解釈 梅の花それとも見えず久方の天霧る雪のなべて降れれば

己乃宇多八安留比止乃以者久加幾乃毛止乃比止万呂可宇多奈利
この哥はあるのいはく柿本人まろか哥也
この哥はあるの曰はく柿本人麿か哥也

歌番号三三五
武女乃者那尓由幾乃布礼留遠与免留
梅花にゆきのふれるをよめる
梅の花に雪の降れるを詠める

遠乃々多可武良乃安曽无
小野たかむらの朝臣
小野篁朝臣

原文 者那乃以呂者由幾尓満之里天美衣寸止毛加遠多尓々保部比止乃之留部久
定家 花の色は雪にましりて見えすともかをたにゝほへ人のしるへく
解釈 花の色は雪に混じりて見えずとも香をだに匂へ人の知るべく

歌番号三三六
由幾乃宇知乃武女乃者那遠与女留
雪のうちの梅花をよめる
雪のうちの梅の花を詠める

幾乃川良由幾
きのつらゆき
紀貫之

原文 武女乃可乃布利遠个留由幾尓満可日世者多礼可己止/\和幾天於良末之
定家 梅のかのふりをける雪にまかひせはたれかこと/\わきておらまし
解釈 梅の香の降り置ける雪にまがひせば誰れかことごと分きて折らまし

歌番号三三七
由幾乃布利个留遠美天与女留
ゆきのふりけるを見てよめる
雪の降りけるを見て詠める

幾乃止毛乃利
きのとものり
紀友則

原文 由幾布礼者幾己止尓者那曽左幾尓个留以川礼遠武女止和幾天於良万之
定家 雪ふれは木ことに花そさきにけるいつれを梅とわきておらまし
解釈 雪降れば木ごとに花ぞ咲きにけるいづれを梅とわきて折らまし

歌番号三三八
毛乃部万可利个留比止遠万知天志八寸乃川己毛利尓与女留
物へまかりける人をまちてしはすのつこもりによめる
物へまかりける人を待ちて師走の晦に詠める

美川子
みつね
凡河内躬恒

原文 和可末多奴止之者幾奴礼止布由久左乃加礼尓之比止者遠止川礼毛世寸
定家 わかまたぬ年はきぬれと冬草のかれにし人はをとつれもせす
解釈 我が待たぬ年は来ぬれど冬草のかれにし人は訪れもせず

歌番号三三九
止之乃者天尓与女留
年のはてによめる
年の果てに詠める

安利八良乃毛止可多
在原もとかた
在原元方

原文 安良多満乃止之乃遠者知尓奈留己止尓由幾可和可三毛布利満左利徒々
定家 あらたまの年のをはりになることに雪もわか身もふりまさりつゝ
解釈 あらたまの年の終りになるごとに雪も我が身も古りまさりつつ

歌番号三四〇
可无部以乃於保无止幾々左以乃美也乃宇多安者世乃宇多
寛平御時きさいの宮の哥合のうた
寛平御時后宮の哥合の哥

与三比止之良寸
よみ人しらす
詠み人知らず

原文 由幾布利天止之乃久礼奴留止幾己曽川為尓毛美知奴末川毛美衣个礼
定家 雪ふりて年のくれぬる時こそつゐにもみちぬ松も見えけれ
解釈 雪降りて年の暮れぬる時こそつひにもみぢぬ松も見えけれ

歌番号三四一
止之乃者天尓与女留
年のはてによめる
年の果てに詠める

者留美知乃徒良幾
はるみちのつらき
春道列樹

原文 幾乃布止以飛个不止久良之天安寸可々者流天者也幾川幾比奈利个利
定家 昨日といひけふとくらしてあすかゝは流てはやき月日なりけり
解釈 昨日と言ひ今日と暮らして飛鳥河流れて早き月日なりけり

歌番号三四二
宇多多天万川礼止於保世良礼之止幾尓与美天多天万川礼留
哥たてまつれとおほせられし時によみてたてまつれる
哥奉れと仰せられし時に詠みて奉れる

幾乃川良由幾
きのつらゆき
紀貫之

原文 由久止之乃於之久毛安留可奈万寸可々美美留可計左部尓久礼奴止於毛部者
定家 ゆく年のおしくもある哉ますかゝみ見るかけさへにくれぬと思へは
解釈 行く年の惜しくもあるかなます鏡見る影さへに暮れぬと思へば
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