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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻16 歌番号1060から1064まで

2025年05月02日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻16

歌番号 1060

詞書 屏風のゑに、花のもとにあみひく所

詠人 菅原輔昭

原文 宇良比止者 加寸美遠安美尓 武寸部者也 奈美乃者奈於毛 止女天比久良无

和歌 うらひとは かすみをあみに むすへはや なみのはなをも とめてひくらむ

読下 浦人はかすみをあみにむすへはや浪の花をもとめてひくらん

解釈 入り江の浜の漁師は霞を網として刺し結ぶのだろうか、浪の花も留めて引き寄せるようです。

 

歌番号 1061

詞書 延喜御時、御屏風に

詠人 つらゆき

原文 也奈美礼者 可者可世以多久 布久止幾曽 奈美乃者奈左部 於知万佐利个留

和歌 やなみれは かはかせいたく ふくときそ なみのはなさへ おちまさりける

読下 やな見れは河風いたくふく時そ浪の花さへおちまさりける

解釈 魚を獲る簗の様子を見ると、河風が激しく吹いている時には、浪の花までが一層に落ちて簗に掛かるようです。

 

歌番号 1062

詞書 亭子院京極のみやす所にわたらせたまうて、ゆみ御覧してかけ物いたさせ給ひけるに、ひけこに花をこきいれて、さくらをとくらにして、山すけをうくひすにむすひすゑて、かくかきてくはせたりける

詠人 一条のきみ

原文 己乃満与利 知里久留者奈遠 安徒左由美 恵也八止々女奴 者留乃加多美尓

和歌 このまより ちりくるはなを あつさゆみ えやはととめぬ はるのかたみに

読下 このまよりちりくる花をあつさゆみえやはととめぬはるのかたみに

解釈 木の間から散り来る花、梓弓は獲物を仕留めると言う、その言葉の響きではありませんが、どうにかして留められないか、この春の思い出として。

 

歌番号 1063 拾遺抄記載

詞書 ひえの山にすみ侍りけるころ、人のたき物をこひて侍りけれは、侍りけるままに、すこしを梅の花のわつかにちりのこりて侍るえたにつけてつかはしける

詠人 如覚法師

原文 者留寸幾天 知利者天尓个留 武女乃者奈 堂々加者可利曽 衛多尓乃己礼留

和歌 はるすきて ちりはてにける うめのはな たたかはかりそ えたにのこれる

読下 春すきてちりはてにける梅の花たたかはかりそ枝にのこれる

解釈 春が過ぎ去って散り果ててしまった梅の花よ、ただ、香りだけは枝に残っている。

 

歌番号 1064

詞書 右衛門督公任こもり侍りけるころ、四月一日にいひつかはしける

詠人 左大臣

原文 堂尓乃戸遠 止知也者天川留 宇久飛寸乃 満川尓遠止世天 者留毛寸幾奴留

和歌 たにのとを とちやはてつる うくひすの まつにおとせて はるもすきぬる

読下 谷の戸をとちやはてつる鴬のまつにおとせてはるもすきぬる

解釈 飛び来るはずの谷の戸を、すっかり閉じてしまったのか、鶯は、待っていても鳴き声もしません、春は過ぎて行くのに。

 

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拾遺和歌集 巻16 歌番号1055から1059まで

2025年05月01日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻16

歌番号 1055 拾遺抄記載

詞書 延喜御時、南殿にちりつみて侍りける花を見て

詠人 源公忠朝臣

原文 止乃毛利乃 止毛乃美也徒許 己々呂安良波 己乃者留者可利 安左幾与女寸奈

和歌 とのもりの とものみやつこ こころあらは このはるはかり あさきよめすな

読下 とのもりのとものみやつこ心あらはこの巻はかりあさきよめすな

解釈 主殿寮に詰める御用の伴の御奴ども、風流を楽しむ心があるならば、この春ばかりは、朝、桜花散る御殿の庭を掃き掃除するな。

 

歌番号 1056

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 佐久良者奈 美可佐乃也万乃 加遣之安礼者 由幾止布礼止毛 奴礼之止曽於毛飛

和歌 さくらはな みかさのやまの かけしあれは ゆきとふれとも ぬれしとそおもふ

読下 さくら花みかさの山のかけしあれは雪とふれともぬれしとそ思ふ

解釈 桜花、三笠の山の景色であるなら、雪のように花吹雪が降っても濡れることはないと思います。

注意 山桜の見え方で、山に降る積もる雪と見立てたとしています。正統では三笠、陰、雪、濡れる、の縁語関係で鑑賞します。

 

歌番号 1057

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 止之己止尓 者留乃奈可女者 世之可止毛 三左部布留止毛 於毛者左里之遠

和歌 としことに はるのなかめは せしかとも みさへふるとも おもはさりしを

読下 年ことに春のなかめはせしかとも身さへふるともおもはさりしを

解釈 毎年のことですが、春の眺めは(桜花の咲くのは今か今かと)急かしいけれど、他方、我が身も年老いて行くとは、気が付きませんでした。

 

歌番号 1058

詞書 題しらす

詠人 したかふ

原文 止之己止尓 者留者久礼止毛 以計美川尓 於不留奴奈者々 多恵寸曽安利个留

和歌 としことに はるはくれとも いけみつに おふるぬなはは たえすそありける

読下 としことに春はくれとも池水におふるぬなははたえすそ有りける

解釈 毎年に春は来るのですが、池の水に生えるジュンサイ(ねなは)は、摘み取っても摘み取っても絶えず、そこにあります。

 

歌番号 1059 拾遺抄記載

詞書 三月うるふ月ありける年、やへ山吹をよみ侍りける

詠人 菅原輔昭

原文 者留可世者 乃止遣加累部之 也部与利毛 加左祢天尓本部 也万不久乃者奈

和歌 はるかせは のとけかるへし やへよりも かさねてにほへ やまふきのはな

読下 春風はのとけかるへしやへよりもかさねてにほへ山吹の花

解釈 春風はのどかであって欲しい、八重よりもさらに花びらを重ねて咲き誇る、山吹の花、それを散らすな。

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拾遺和歌集 巻16 歌番号1050から1054まで

2025年04月30日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻16

歌番号 1050

詞書 清慎公家のさふらひに、ともし火のもとにさくらの花ををりてさして侍りけるをよみ侍りける

詠人 兼盛弟

原文 飛乃毛止尓 佐遣留佐久良乃 者奈美礼者 比止乃久尓々毛 安良之止曽於毛飛

和歌 ひのもとに さけるさくらの はなみれは ひとのくににも あらしとそおもふ

読下 ひのもとにさけるさくらの色見れは人のくににもあらしとそ思ふ

解釈 このお屋敷の火の明りの下に咲く桜の色合いを見ると、他の地方の国にはない景色だろうと思います。

注意 初句を「日の本」の掛詞ととし四句目の「人の国」を外国と解釈する、国粋の鑑賞もあります。

 

歌番号 1051

詞書 山さくらを見侍りて

詠人 平きむさね

原文 美也万幾乃 布多波美川波尓 毛由留末天 幾恵世奴由幾止 美恵毛寸留可奈

和歌 みやまきの ふたはみつはに もゆるまて きえせぬゆきと みえもするかな

読下 み山木のふたはみつはにもゆるまてきえせぬ雪と見えもするかな

解釈 あの山の木が二葉三葉と芽生え萌えるまで、その言葉の響きではないが、燃える火で消えもしない雪とばかりに想像できます。

 

歌番号 1052

詞書 こむくうち侍りける時に、はたやき侍りけるを見て、よみ侍りける

詠人 藤原長能

原文 加多也万尓 波多也久於乃己 加乃美由留 三也万佐久良者 与幾天者多也遣

和歌 かたやまに はたやくをのこ かのみゆる みやまさくらは よきてはたやけ

読下 かた山にはたやくをのこかの見ゆるみ山さくらはよきてはたやけ

解釈 ほんのちょっとした山で焼畑を焼く男、あの見える山桜は避けて、焼畑をしなさい。

 

歌番号 1053

詞書 石山のたうのまへに侍りけるさくらの木にかきつけ侍りける

詠人 よみ人しらす

原文 宇之呂女多 以可天加部良无 也万佐久良 安可奴尓本日遠 可世尓万可世天

和歌 うしろめた いかてかへらむ やまさくら あかぬにほひを かせにまかせて

読下 うしろめたいかてかへらん山さくらあかぬにほひを風にまかせて

解釈 後ろ髪が引かれる思いです、どうやって家に帰りましょうか、山桜よ、飽きることのない花色を風の思うように任せて揺れている。

 

歌番号 1054

詞書 敦慶式部卿のみこのむすめ、伊勢かはらに侍りけるか、ちかき所に侍るに、かめにさしたる花をおくるとて

詠人 つらゆき

原文 飛佐之可礼 安多尓知留奈止 佐久良者奈 加女尓佐世礼止 宇川呂日尓个里

和歌 ひさしかれ あたにちるなと さくらはな かめにさせれと うつろひにけり

読下 ひさしかれあたにちるなとさくら花かめにさせれとうつろひにけり

解釈 いつまでも咲いていて欲しい、無駄に散るなと、その桜花の枝を瓶に差したけど、色あせてしまいました。

 

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拾遺和歌集 巻16 歌番号1045から1049まで

2025年04月29日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻16

歌番号 1045

詞書 京極御息所、かすかにまうて侍りける時、国司のたてまつりける歌あまたありける中に

詠人 藤原忠房朝臣

原文 布累佐止尓 佐久止和比川留 佐久良者奈 己止之曽幾美尓 美恵奴部良奈留

和歌 ふるさとに さくとわひつる さくらはな ことしそきみに みえぬへらなる

読下 ふるさとにさくとわひつるさくら花ことしそ君に見えぬへらなる

解釈 古の都に咲くと見る人無く寂しく思う桜花、でも、今年こそは御幸の君にお目にかかっています。

 

歌番号 1046

詞書 京極御息所、かすかにまうて侍りける時、国司のたてまつりける歌あまたありける中に

詠人 藤原忠房朝臣

原文 者留可須美 加寸可乃々部尓 多知和多利 美知天毛美由留 美也己比止可奈

和歌 はるかすみ かすかののへに たちわたり みちてもみゆる みやこひとかな

読下 春霞かすかののへに立ちわたりみちても見ゆるみやこ人かな

解釈 春霞、春日の野辺に立ち渡り、霞が満ちる、その言葉の響きのように、野辺に人々が満ちると見える、御幸での都人達です。

 

歌番号 1047

詞書 円融院御時、三尺御屏風に、花の木のもとに人人あつまりゐたる所

詠人 かねもり

原文 与乃奈可尓 宇礼之幾毛乃者 於毛飛止知 者奈美天寸久須 己々呂奈利个利

和歌 よのなかに うれしきものは おもふとち はなみてすくす こころなりけり

読下 世の中にうれしき物は思ふとち花見てすくす心なりけり

解釈 世の中で嬉しいと思うものは、親しき友と花を眺めて過ごす、その風流の心持ちであります。

 

歌番号 1048 拾遺抄記載

詞書 清慎公家にて、池のほとりのさくらの花をよみ侍りける

詠人 もとすけ

原文 佐久良者奈 曽己奈留加遣曽 於之末留々 志川女留比止乃 者留止於毛部八

和歌 さくらはな そこなるかけそ をしまるる しつめるひとの はるとおもへは

読下 さくら花そこなるかけそをしまるるしつめる人のはるとおもへは

解釈 桜花、池の底に見える姿を残念に思われる、その姿と同じように、除目の終わった後、職得られず身を沈める人の、それが春だと思うと。

 

歌番号 1049 拾遺抄記載

詞書 上総よりのほりて侍りけるころ、源頼光か家にて人人さけたうへけるついてに

詠人 藤原長能

原文 安徒万知乃 々地乃由幾万遠 和个天幾天 安者礼美也己乃 者奈遠美留可奈

和歌 あつまちの のちのゆきまを わけてきて あはれみやこの はなをみるかな

読下 あつまちののちの雪まをわけてきてあはれ宮この花を見るかな

解釈 東路の野路の雪の間を掻き分けてこの宴に来て、感慨深くも都の花を眺めることです。

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拾遺和歌集 巻16 歌番号1040から1044まで

2025年04月28日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻16

歌番号 1040 拾遺抄記載

詞書 みつし所にさふらひけるに、蔵人所のをのことも、さくらの花をつかはしけれは

詠人 壬生忠見

原文 毛呂止毛尓 和礼之於良祢者 左久良者奈 於毛飛也利天也 者留遠久良左无

和歌 もろともに われしをらねは さくらはな おもひやりてや はるをくらさむ

読下 もろともに我しをらねは桜花思ひやりてやはるをくらさん

解釈 一緒に我が手折ったわけでもないこの桜花、貴方たちの春の野辺の様子を思い浮かべながら、この春を過ごすのでしょうか。(気を利かせて、私も野遊びに呼べよ)

 

歌番号 1041

詞書 ある人のもとにつかはしける

詠人 御導師浄蔵

原文 可須美多知 也万乃安奈多乃 左久良者奈 於毛飛也利天也 者留遠久良左武

和歌 かすみたつ やまのあなたの さくらはな おもひやりてや はるをくらさむ

読下 霞立つ山のあなたの桜花思ひやりてやはるをくらさむ

解釈 霞が立つ山の彼方の桜花、昔、貴女と楽しんだ桜の花、その時の花の様子を思い浮かべて、この春を暮らしましょう。

 

歌番号 1042

詞書 題しらす

詠人 つらゆき

原文 於知可多乃 者奈毛美留部久 之良奈美乃 止毛尓也和礼毛 多知和多良万之

和歌 をちかたの はなもみるへく しらなみの ともにやわれも たちわたらまし

読下 をち方の花も見るへく白浪のともにや我もたちわたらまし

解釈 向こう岸の花も眺めるべき、白浪の立っている流れと共に、私もこの川を渡りましょう。

 

歌番号 1043 拾遺抄記載

詞書 春、花山に亭子法皇おはしまして、かへらせたまひけれは

詠人 僧正遍昭

原文 満天止以者々 以止毛加之己之 者奈也万尓 志者之止奈可无 止利乃祢毛可奈

和歌 まてといはは いともかしこし はなやまに しはしとなかむ とりのねもかな

読下 まてといははいともかしこし花山にしはしとなかん鳥のねもかな

解釈 お帰りを待てと言うと畏れ多い、この花山にしばし留まれと、鳴く鳥の音があって欲しいものです。

 

歌番号 1044

詞書 京極御息所、かすかにまうて侍りける時、国司のたてまつりける歌あまたありける中に

詠人 藤原忠房朝臣

原文 宇久飛寸乃 奈幾川留奈部尓 加須可乃々 个不乃美由幾遠 者奈止己曽美礼

和歌 うくひすの なきつるなへに かすかのの けふのみゆきを はなとこそみれ

読下 鴬のなきつるなへにかすかののけふのみゆきを花とこそ見れ

解釈 鶯の鳴いているのにつれて、春日野の今日に降る雪を御幸を飾る華やぎの花と擬えてみなさい。

 

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