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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻13 歌番号847から848まで

2025年03月03日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻13

歌番号 847 拾遺抄記載

詞書 たえて年ころになりにける女の許にまかりて、雪のふり侍りけれは

詠人 源景明

原文 三与之乃々 由幾尓己毛礼留 也万比止毛 布留美知止女天 祢遠也奈久良无

和歌 みよしのの ゆきにこもれる やまひとも ふるみちとめて ねをやなくらむ

読下 三吉野の雪にこもれる山人もふる道とめてねをやなくらん

解釈 み吉野の雪に降り籠れる山人も雪が降るので路が止まり、辛いとばかりに声を上げて泣いている、その風情ではありませんが、私の通い馴れた古き道行きが止まり、貴女は私の振る舞いに声を上げて泣いていたでしょうか。

 

歌番号 848 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 人麿

原文 堂乃免徒々 己奴世安万多尓 奈利奴礼者 満多之止於毛不曽 満川尓万佐礼留

和歌 たのめつつ こぬよあまたに なりぬれは またしとおもふそ まつにまされる

読下 たのめつつこぬ夜あまたに成りぬれはまたしと思ふそまつにまされる

解釈 心を寄せた貴方が通って来ない夜が度重なったので、もう、貴方の訪れを待たないと思う、その方が貴方を待つ気持ちよりも心が楽なようです。

 

 

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拾遺和歌集 巻13 歌番号842から846まで

2025年02月28日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻13

歌番号 842

詞書 女の許につかはしける

詠人 つらゆき

原文 以呂毛奈幾 己々呂遠比止尓 曽女之与利 宇川呂者武止者 和可於毛者奈久尓

和歌 いろもなき こころをひとに そめしより うつろはむとは わかおもはなくに

読下 色もなき心を人にそめしよりうつろはむとはわかおもはなくに

解釈 色に染まっていなかった私の心を、貴女と言う色に染めてから、決して、その色が色あせようとは、私は思ってもいませんでした。(まさか、貴女が色変わりするとは)

 

歌番号 843

詞書 女の許につかはしける

詠人 よみ人しらす

原文 加数奈良奴 三遠宇知可者乃 安之呂木尓 於本久乃飛遠毛 寸久之川留可奈

和歌 かすならぬ みをうちかはの あしろきに おほくのひをも すくしつるかな

読下 かすならぬ身をうち河のあしろ木におほくの日をもすくしつるかな

解釈 人の数にも入らない我が身を打ち捨てる、その言葉ではありませんが、宇治川の網代木に寄る氷魚(ひお)ではないが、貴女に恋焦がれる多くの日々を過ごしてしまいました。

 

歌番号 844

詞書 女の許につかはしける

詠人 よみ人しらす

原文 志多毛美知 春留遠者志良天 万川乃幾乃 宇部乃三止利遠 多乃美个留可那

和歌 したもみち するをはしらて まつのきの うへのみとりを たのみけるかな

読下 したもみちするをはしらて松の木のうへの緑をたのみけるかな

解釈 下葉が紅葉することに気が付かなくて、松の木の上の常緑の緑だけを常のものと信頼していました。(まさか、貴方が飽き来て、心代わりをするとは。)

 

歌番号 845

詞書 女の許につかはしける

詠人 人麿

原文 和可世己遠 和可己飛遠礼者 和可也止乃 久左々部於毛比 宇良可礼尓个利

和歌 わかせこを わかこひをれは わかやとの くささへおもひ うらかれにけり

読下 わかせこをわかこひをれはわかやとの草さへ思ひうらかれにけり

解釈 私の愛しい貴方を私は恋焦がれていると、私の屋敷の草さえも、同情するかのようにすこし枯れて来ました。

 

歌番号 846

詞書 さたふんか家歌合に

詠人 よみ人しらす

原文 之毛乃宇部尓 布留者川由幾乃 安佐己保利 止个寸毛々乃於 於毛飛己呂可奈

和歌 しものうへに ふるはつゆきの あさこほり とけすもものを おもふころかな

読下 霜のうへにふるはつ雪のあさ氷とけすも物を思ふころかな

解釈 霜の上に降る初雪が朝になって氷となり融けないでいる、その言葉ではありませんが、(貴女の仕打ちに)心を解けさすことなく、物思いに浸っている今日この頃です。

 

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拾遺和歌集 巻13 歌番号837から841まで

2025年02月27日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻13

歌番号 837

詞書 題しらす

詠人 赤人

原文 己比之久者 加多美尓世武止 和可也止尓 宇部之安幾者幾 以満左可利奈利

和歌 こひしくは かたみにせむと わかやとに うゑしあきはき いまさかりなり

読下 こひしくはかたみにせむとわかやとにうゑし秋はき今さかりなり

解釈 あの人ことを恋焦がれる、その思い出にしようと、私の屋敷に植えた秋萩が、今、盛りに咲いています。

 

歌番号 838

詞書 中将のみやす所のもとに、はきにつけてつかはしける

詠人 広平親王

原文 安幾者幾乃 志多者遠美寸者 和寸良留々 比止乃己々呂遠 以可天志良末之

和歌 あきはきの したはをみすは わすらるる ひとのこころを いかてしらまし

読下 秋はきのしたはを見すはわすらるる人の心をいかてしらまし

解釈 (時が過ぎ、秋がやって来て、その時の流れを知る)秋萩の色ずく下葉を見なければ、時の流れの中で私のことをすっかり忘れてしまった、その貴女の気持ちを、どうやって、私は理解すればいいのでしょうか。

 

歌番号 839

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 志女由者奴 乃部乃安幾者幾 可世布遣者 止布之加久布之 毛乃遠己曽遠毛部

和歌 しめゆはぬ のへのあきはき かせふけは とふしかくふし ものをこそおもへ

読下 しめゆはぬのへの秋はき風ふけはとふしかくふし物をこそ思へ

解釈 禁制のしめ縄を張っていない野辺の秋萩、風が吹けばあちらに伏しこちらに伏し靡くように、ふらふらと定めなく物思いをします。

注意 「しめゆはぬのへの秋はき」は明確な夫婦の契りをしていない女性の比喩と取るのが通例です。知人以上恋人未満の彼女が複数の男の申し出に揺れている様を詠うものです。

 

歌番号 840

詞書 題しらす

詠人 中宮内侍

原文 宇徒呂不者 志多波者可利止 美之本止尓 也可天毛安幾尓 奈利尓个留可奈

和歌 うつろふは したははかりと みしほとに やかてもあきに なりにけるかな

読下 うつろふはしたははかりと見しほとにやかても秋になりにけるかな

解釈 色変わりするのは下葉だけと眺めていたが、やがて、すべてが色付く秋になった、その言葉では無いが、あの人の私の気持ちも時と共に飽きになってしまったようです。

 

歌番号 841 拾遺抄記載

詞書 女の許につかはしける

詠人 よしのふ

原文 己止乃者毛 之毛尓者安部寸 加礼尓个利 己也安幾者川留 之累之奈留良无

和歌 ことのはも しもにはあへす かれにけり こやあきはつる しるしなるらむ

読下 事の葉も霜にはあへすかれにけりこや秋はつるしるしなるらん

解釈 噂話も下々のものにも飽きられて終わってしまいました、これは、逆に貴女と私とに飽き風が吹く兆しなのでしょうか。

注意 特別に解釈しています。

 

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拾遺和歌集 巻13 歌番号832から836まで

2025年02月26日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻13

歌番号 832

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 安幾乃能乃 久左者毛王遣奴 和可曾天乃 川由个久乃美毛 奈利万左留可奈

和歌 あきののの くさはもわけぬ わかそての つゆけくのみも なりまさるかな

読下 秋の野の草葉もわけぬわか袖のつゆけくのみもなりまさるかな

解釈 秋の野の草葉も押し分けてもいない、私の袖が、それなのにどんどん湿っぽくなっていきます。(それは秋の風情への感傷の涙のせいです。)

 

歌番号 833 拾遺抄記載

詞書 三首六十首のなかに

詠人 曾禰好忠

原文 和可世己加 幾万佐奴与為乃 安幾可世者 己奴比止与利毛 宇良女之幾可奈

和歌 わかせこか きまさぬよひの あきかせは こぬひとよりも うらめしきかな

読下 わかせこかきまさぬよひの秋風はこぬ人よりもうらめしきかな

解釈 私の愛しい貴方がやって来ない宵の秋風は、そのやって来ない貴方よりも肌寒く恨めしく感じます。

 

歌番号 834

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 宇良也万之 安左比尓安多留 之良川由遠 和可三止以満八 奈寸与之毛可奈

和歌 うらやまし あさひにあたる しらつゆを わかみといまは なすよしもかな

読下 うら山しあさひにあたる白露をわか身と今はなすよしもかな

解釈 羨ましい、朝日に当たり儚く消える白露を、我が身と今は為す手立てがあればいいのですが。(貴女に恋焦がれる恋の苦しみに露のように儚くなりたいものです。)

 

歌番号 835

詞書 題しらす

詠人 人まろ

原文 安幾乃田乃 保乃宇部尓於个留 志良川由乃 計奴部久和礼者 於毛本由留可奈

和歌 あきのたの ほのうへにおける しらつゆの けぬへくわれは おもほゆるかな

読下 秋の田のほのうへにおけるしらつゆのけぬへく我はおもほゆるかな

解釈 (貴女のつれない態度から)秋の田の稲穂の上に置ける白露のように、儚く消えるべき私なんだと、感じられます。

 

歌番号 836

詞書 題しらす

詠人 人まろ

原文 須美与之乃 幾之遠多尓本利 万幾之以祢乃 加留本止万天毛 安者奴幾美可奈

和歌 すみよしの きしをたにほり まきしいねの かるほとまても あはぬきみかな

読下 住吉の岸を田にほりまきしいねのかるほとまてもあはぬきみかな

解釈 住吉の岸を田として掘り蒔いた稲を刈る時期までも、まったくに逢わない貴方ですね。

 

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拾遺和歌集 巻13 歌番号827から831まで

2025年02月25日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻13

歌番号 827

詞書 題しらす

詠人 人まろ

原文 比止己止波 奈川乃々久左乃 志計久止毛 幾美止和礼止之 堂川左八利奈八

和歌 ひとことは なつののくさの しけくとも きみとわれとし たつさはりなは

読下 人ことは夏野の草のしけくとも君と我としたつさはりなは

解釈 人の噂話は夏の野の草が茂るように繁くとも、貴方と私、共に連れ添っているなら構わない。

 

歌番号 828

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 乃毛也万毛 志个利安比奴留 奈川奈礼止 比止乃川良佐者 己止乃波毛奈之

和歌 のもやまも しけりあひぬる なつなれと ひとのつらさは ことのはもなし

読下 野も山もしけりあひぬる夏なれと人のつらさは事のはもなし

解釈 野も山も草木が茂り合っている夏ではありますが、あの人のあのつれない素振りでは、私との噂話もありません。

 

歌番号 829

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 奈川久左乃 志計美尓於不留 万呂己寸計 万呂可万呂祢与 以久与部奴良无

和歌 なつくさの しけみにおふる まろこすけ まろかまろねよ いくよへぬらむ

読下 夏草のしけみにおふるまろこすけまろかまろねよいくよへぬらん

解釈 夏草の茂みに生えている「まろ小菅」、その言葉の響きではありませんが、私と丸寝しなさい、さて、そうしたら、幾夜、貴女と共寝をしましょうか。

注意 「まろ小菅」は「ウキヤガラ」と言う草の名です。

 

歌番号 830

詞書 天暦の御時、ひろはたの宮す所ひさしくまゐらさりけれは、御ふみつかはしけるに

詠人 御製

原文 也万可川乃 加幾本尓於不留 奈天之己尓 於毛飛与曽部奴 止幾乃万曽奈幾

和歌 やまかつの かきほにおふる なてしこに おもひよそへぬ ときのまそなき

読下 山かつのかきほにおふるなてしこに思ひよそへぬ時のまそなき

解釈 山人の家の垣根に生える撫子に貴女への思いを寄せます、貴女を思わない時の間なんて、ありませんよ。

 

歌番号 831

詞書 廉義公家の障子のゑに、なてしこおひたる家の心ほそけなるを

詠人 清原元輔

原文 於毛飛志累 比止尓美世者也 与毛寸可良 和可止己奈川尓 於幾為多留川由

和歌 おもひしる ひとにみせはや よもすから わかとこなつに おきゐたるつゆ

読下 思ひしる人に見せはやよもすからわかとこ夏におきゐたるつゆ

解釈 風流を理解する貴方に見せましょう、一晩中、私の屋敷に咲く常夏(なでしこ)に置きたる露の風情を。

 

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