竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

再読、今日のみそひと謌 金

2019年05月31日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 金

標題 廻来筑紫海路入京到播磨國家嶋之時作歌五首
標訓 筑紫の海路を廻来りて京(みやこ)に入らむと、播磨國の家嶋に至りし時に作れる歌五首
集歌 3718 伊敝之麻波 奈尓許曽安里家礼 宇奈波良乎 安我古非伎都流 伊毛母安良奈久尓
訓読 家島(いへしま)は名にこそありけれ海原(うなはら)を吾(あ)が恋ひ来つる妹もあらなくに
私訳 私の家、家島は名だけにあるようです。海原を私が恋しく還って来たのだが、ここには私の貴女がいないので、

集歌 3719 久左麻久良 多婢尓比左之久 安良米也等 伊毛尓伊比之乎 等之能倍奴良久
訓読 草枕旅に久しくあらめやと妹に云ひしを年の経(へ)ぬらく
私訳 草を枕にするような旅は長くはないでしょうと、貴女に云ったのですが新しい年を経てしまった。

集歌 3720 和伎毛故乎 由伎弖波也美武 安波治之麻 久毛為尓見延奴 伊敝都久良之母
訓読 吾妹子を行きて早(はや)見む淡路島雲居に見えぬ家つくらしも
私訳 私の愛しい貴女の所に行って早く逢いたいと、淡路島の雲の彼方に見える、家に着くらしい。

集歌 3721 奴婆多麻能 欲安可之母布弥波 許藝由可奈 美都能波麻末都 麻知故非奴良武
訓読 ぬばたまの読ぬばたまの夜(よ)明(あか)しも船は漕ぎ行かな御津(みつ)の浜松待ち恋ひぬらむ
私訳 漆黒の夜を明かしても船よ漕ぎ行こう、御津の浜松は私たちを待ち焦がれているでしょう。

集歌 3722 大伴乃 美津能等麻里尓 布祢波弖々 多都多能山乎 伊都可故延伊加武
訓読 大伴の御津(みつ)の泊りに船(ふな)泊(は)てて龍田(たつた)の山をいつか越え行かむ
私訳 大伴の御津の泊りに船を停泊させて、龍田の山を朝廷の帰国の報告のお召があって何時に越えて行くのだろう。
コメント

再読、今日のみそひと謌 木

2019年05月30日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 木

集歌 3713 毛美知婆波 伊麻波宇都呂布 和伎毛故我 麻多牟等伊比之 等伎能倍由氣婆
訓読 黄(もみち)葉(は)は今はうつろふ吾妹子が待たむと云ひし時の経(へ)ゆけば
私訳 黄葉は、今は木々の色が日々変わって逝く。私の愛しい貴女が私の還りを待つと云った時は経ってゆく。

集歌 3714 安藝佐礼婆 故非之美伊母乎 伊米尓太尓 比左之久見牟乎 安氣尓家流香聞
訓読 秋されば恋しみ妹を夢にだに久しく見むを明けにけるかも
私訳 秋がやって来ると恋しい貴女を夢だけでも長く見たいと思うのに、夜は明けてしまったようだ。

集歌 3715 比等里能未 伎奴流許呂毛能 比毛等加婆 多礼可毛由波牟 伊敝杼保久之弖
訓読 一人のみ着寝る衣(ころも)の紐解かば誰れかも結はむ家遠くして
私訳 一人で着て寝る衣の紐を解くと、誰が再び結んでくれるのでしょう、家を遠くにして。

集歌 3716 安麻久毛能 多由多比久礼婆 九月能 毛未知能山毛 宇都呂比尓家里
訓読 天雲のたゆたひ来れば九月(ながつき)の黄葉(もみち)の山もうつろひにけり
私訳 天雲が豊かに流れて来ると九月の黄葉の山の木々の彩りは移り逝った。

集歌 3717 多婢尓弖母毛 奈久波也許等 和伎毛故我 牟須妣思比毛波 奈礼尓家流香聞
訓読 旅にても喪(も)なく早(はや)来(こ)と吾妹子が結びし紐は褻(な)れにけるかも
私訳 旅の道中で、不幸なことがなく早く還って来いと私の愛しい貴女が結んでくれた契の紐は、よれよれに古びてしまったようだ。
コメント

再読、今日のみそひと謌 水

2019年05月29日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 水

集歌 3708 毛能毛布等 比等尓波美要緇 之多婢毛能 思多由故布流尓 都奇曽倍尓家流
訓読 物思ふと人には見えじ下紐の下ゆ恋ふるに月ぞ経(へ)にける
私訳 貴女に恋して物思いをしていると人は気が付かないでしょうが、下に結ぶ紐の下、私がした貴女への恋心に月日が経ってしまった。
左注 右一首、大使
注訓 右は一首、大使

集歌 3709 伊敝豆刀尓 可比乎比里布等 於伎敝欲里 与世久流奈美尓 許呂毛弖奴礼奴
訓読 家づとに貝を拾(ひり)ふと沖(おき)辺(へ)より寄せ来る波に衣手濡れぬ
私訳 家への土産に貝を拾おうとして、沖から打ち寄せる来る波に私の衣の袖が濡れた。

集歌 3710 之保非奈波 麻多母和礼許牟 伊射遊賀武 於伎都志保佐為 多可久多知伎奴
訓読 潮干(しほひ)なばまたも吾(あ)れ来むいざ行かむ沖つ潮騒(しほさゐ)高く立ち来ぬ
私訳 潮が干いたならば、また、私は来ましょう。さあ、行こう、沖からの満ちてくる潮騒の音が高く立ってやって来る。

集歌 3711 和我袖波 多毛登等保里弖 奴礼奴等母 故非和須礼我比 等良受波由可自
訓読 吾(あ)が袖は手本(たもと)通りて濡れぬとも恋忘れ貝取らずは行かじ
私訳 私の腕は、衣の袖口を通して濡れたとしても、苦しい恋を忘れさせる恋忘貝を拾っていかないでは他へは行けない。

集歌 3712 奴波多麻能 伊毛我保須倍久 安良奈久尓 和我許呂母弖乎 奴礼弖伊可尓勢牟
訓読 ぬばたまの妹が乾(ほ)すべくあらなくに吾(あ)が衣手(ころもて)を濡れていかにせむ
私訳 漆黒の夜に人に知られず逢う貴女が乾してくれるのではないので、私の衣の袖口が濡れてしまって、どうしよう。
コメント

再読、今日のみそひと謌 火

2019年05月28日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 火

集歌 3703 多可思吉能 宇敝可多山者 久礼奈為能 也之保能伊呂尓 奈里尓家流香聞
訓読 竹敷(たかしき)の宇敝可多(うへかた)山(やま)は紅(くれなゐ)の八しほの色になりにけるかも
私訳 竹敷の宇敝可多山は紅のたくさんに染めた色になったようです。
左注 右一首、小判官
注訓 右は一首、小判官

集歌 3704 毛美知婆能 知良布山邊由 許具布祢能 尓保比尓米弖弖 伊弖弖伎尓家里
訓読 黄(もみち)葉(は)の散らふ山辺(やまへ)ゆ漕ぐ船のにほひにめでて出でて来にけり
私訳 黄葉の散る落ちる山辺に漕ぐ船は、山が黄葉で染まるのを愛でるように出港してここに来たようです。

集歌 3705 多可思吉能 多麻毛奈比可之 己伎弖奈牟 君我美布祢乎 伊都等可麻多牟
訓読 竹敷(たかしき)の玉藻靡かし漕ぎ出なむ君が御船(みふね)をいつとか待たむ
私訳 竹敷の海中に美しい藻を靡かして漕ぎ出て行かれる貴方の乗る御船が、いつここへ還っていらっしゃるかと待っていましょう。
左注 右二首、對馬娘子名玉槻
注訓 右は二首、對馬娘子、名は玉槻

集歌 3706 多麻之家流 伎欲吉奈藝佐乎 之保美弖婆 安可受和礼由久 可反流左尓見牟
訓読 玉敷ける清き渚(なぎさ)を潮満てば飽(あ)かず吾(あ)れ行く帰(かへ)るさに見む
私訳 玉を敷くような清らかな渚に潮が満ちて来ると、渚を愛でることに飽きることがない私は出発しよう。また、ここに還って来て見ましょう。
左注 右一首、大使
注訓 右は一首、大使

集歌 3707 安伎也麻能 毛美知乎可射之 和我乎礼婆 宇良之保美知久 伊麻太安可奈久尓
訓読 秋山の黄葉(もみち)をかざし吾(あ)が居れば浦(うら)潮(しほ)満ち来いまだ飽(あ)かなくに
私訳 秋山の黄葉を髪に挿して、私がここに居ると浦に潮が満ちて来た。まだ、この風景に飽きてはいないのに。
左注 右一首、副使
注訓 右は一首、副使
コメント

再読、今日のみそひと謌 月

2019年05月27日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 月

集歌 3698 安麻射可流 比奈尓毛月波 弖礼々杼母 伊毛曽等保久波 和可礼伎尓家流
訓読 天離る鄙にも月は照れれども妹ぞ遠くは別れ来にける
私訳 奈良の京から遥か離れた田舎にも月は照るのだけぢ、貴女とは遥か遠く離れてやって来た。

集歌 3699 安伎左礼婆 於久都由之毛尓 安倍受之弖 京師乃山波 伊呂豆伎奴良牟
訓読 秋去れば置く露霜に堪(あ)へずして京の山は色づきぬらむ
私訳 秋がやって来ると天から地に置く露霜にあらがえずに奈良の京の山は色付くでしょう。

標題 竹敷浦舶泊之時各陳心緒作歌十八首
標訓 竹敷の浦に舶泊れりし時に、各(おのおの)の心緒を陳べて作れる歌十八首
集歌 3700 安之比奇能 山下比可流 毛美知葉能 知里能麻河比波 計布仁聞安流香母
訓読 あしひきの山下光る黄(もみち)葉(は)の散りの乱(まが)ひは今日にもあるかも
私訳 葦や檜の茂る山の木の下で光る黄葉の散る乱れる景色は、今日にでもあるでしょうか。
左注 右一首、大使
注訓 右は一首、大使

集歌 3701 多可之伎能 母美知乎見礼婆 和藝毛故我 麻多牟等伊比之 等伎曽伎尓家流
訓読 竹敷(たかしき)の黄葉(もみち)を見れば吾妹子が待たむと云ひし時ぞ来にける
私訳 竹敷の黄葉を見ると私の愛しい貴女が、私の還りを待っていると云ったその時が来てしまった。
左注 右一首、副使
注訓 右は一首、副使

集歌 3702 多可思吉能 宇良末能毛美 知礼由伎弖 可敝里久流末弖 知里許須奈由米
訓読 竹敷(たかしき)の浦廻(うらみ)の黄葉(もみち)吾(あ)れ行きて帰り来るまで散りこすなゆめ
私訳 竹敷の湊付近の黄葉よ、私が行って還って来るまで散ってしまうな、きっと。
左注 右一首、大判官
注訓 右は一首、大判官
コメント