竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
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今日のみそひと歌 金曜日

2012年11月30日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと歌 金曜日

集歌 3647 和伎毛故我 伊可尓於毛倍可 奴婆多末能 比登欲毛於知受 伊米尓之美由流
訓読 吾妹子がいかに思へかぬばたまの一夜(ひとよ)もおちず夢(いめ)にし見ゆる
私訳 私の愛しい貴女がどのように思うでしょか、私は漆黒の一夜も欠かすことなく貴女を夢に見ています。

集歌 3648 宇奈波良能 於伎敝尓等毛之 伊射流火波 安可之弖登母世 夜麻登思麻見無
訓読 海原(うなはら)の沖辺(おきへ)に灯(とも)し漁(いさ)る火は明(あか)して灯(とも)せ大和島見む
私訳 海原の沖合に灯す漁火を明るく照らしなさい、その明かりに照らされるでしょう、大和島を見たい。

集歌 3649 可母自毛能 宇伎祢乎須礼婆 美奈能和多 可具呂伎可美尓 都由曽於伎尓家類
訓読 鴨じもの浮寝(うきね)をすれば蜷(みな)の腸(わた)か黒(かぐろ)き髪に露ぞ置きにける
私訳 鴨のように沖合で浮寝をすると、蜷の腸のような真黒な髪に波の飛沫で露が降りたようです。

集歌 3650 比左可多能 安麻弖流月波 見都礼杼母 安我母布伊毛尓 安波奴許呂可毛
訓読 ひさかたの天照る月は見つれども吾(あ)が思ふ妹に逢はぬころかも
私訳 遥か彼方の天空に照る月を眺めるのですが、私が心に想う貴女には逢えないこのころです。

集歌 3651 奴波多麻能 欲和多流月者 波夜毛伊弖奴香文 宇奈波良能 夜蘇之麻能宇倍由 伊毛我安多里見牟
訓読 ぬばたまの夜(よ)渡る月は早も出でぬかも海原(うなはら)の八十島(やそしま)の上ゆ妹があたり見む
私訳 漆黒の夜を渡って行く月は早くでないかな。海原の多くの島々の先に貴女の住む方向を見ましょう。

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今日のみそひと歌 木曜日

2012年11月29日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと歌 木曜日

集歌2728 淡海之海 奥津嶋山 奥間經而 我念妹之 言繁
訓読 淡海(あふみ)し海(うみ)奥(おき)つ島山(しまやま)奥(おく)まへて我(あ)が念(も)ふ妹し言(こと)の繁けく
私訳 淡海の海の沖の島山の奥の、その奥底に秘めて私が恋い慕う貴女に、世の噂話が絶えないことです。

集歌2729 霰零 遠大浦尓 縁浪 縦毛依十万 憎不有君
訓読 霰(あられ)降り遠(とほ)つ大浦(おほうら)に寄する波よしも寄すとも憎(にく)あらなくに
私訳 霰が降る、遠つ大浦に打ち寄せる波、その言葉のひびきではありませんが、えい、そのようにひたすらに私に心を寄せてもかまいません。嫌いではない貴方ですから。

集歌2730 木海之 名高之浦尓 依浪 音高鳧 不相子故尓
訓読 紀(き)し海し名高(なだか)し浦に寄する波音(おと)し高けり逢はぬ子ゆゑに
私訳 紀の海にある名高の浦に打ち寄せる波音が激しいように、聞こえて来る世間の評判が激しい。逢ってもいないあの娘のために。

集歌2731 牛窓之 浪乃塩左猪 嶋響 所依之君尓 不相鴨将有
訓読 牛窓(うしまど)し波の潮騒(しほさゐ)島(しま)響(とよ)み寄そりし君に逢はずかもあらむ
私訳 牛窓の波の潮騒が島中に響くように、辺り一面に噂が立つので、私が心を寄せた貴方に逢えないままなのでしょうか。

集歌2732 奥波 邊浪之来縁 左太能浦之 此左太過而 後将戀可聞
訓読 沖つ波辺波(へなみ)し来(き)寄(よ)る佐太(さた)の浦しこの時(さた)過ぎて後(のち)恋ひむかも
私訳 沖からの波、岸辺からの波が、打ち寄せる佐太の浦のように、このひと時(逢瀬)が過ぎ去ると、後で恋しくなるのでしょう。

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今日のみそひと歌 水曜日

2012年11月28日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと歌 水曜日

集歌1877 春之雨尓 有来物乎 立隠 妹之家道尓 此日晩都
訓読 春し雨にありけるものを立ち隠(かく)り妹し家道(いへぢ)にこの日暮らしつ
私訳 柔らかな春の雨だのに雨宿りのために木立の下に雨宿りしていて、愛しい貴女の家への道中だのに、この一日を過ごしてしまった。

集歌1878 今徃而 聞物尓毛我 明日香川 春雨零而 瀧津湍音乎
訓読 今行きて聞くものにもが明日香川春雨(はるさめ)降りて激(たぎ)つ湍(せ)し音(と)を
私訳 今行って聞けたらいいなあ、明日香川に春雨が降って水の流れがたぎる早瀬の川音を。

集歌1879 春日野尓 煙立所見 感嬬等四 春野之菟芽子 採而煮良思文 (感は、女+感の当字)
訓読 春日野(かすがの)に煙(けぶり)立つ見し娘子(をとめ)らし春野しうはぎ採みて煮らしも
私訳 春日野に煙が立つのを見ました。宮の官女たちが春の野の野遊びで嫁菜を摘んで煮ているようです。

集歌1880 春日野之 淺茅之上尓 念共 遊今日 忘目八方
訓読 春日(はるひ)野し浅茅(あさぢ)し上に念(おも)ふどち遊ぶ今(いま)し日忘らえめやも
私訳 春の日差しが射す野原の浅茅の上で、心を同じくする人と風流を楽しむ、この今日の一日を忘れられるでしょうか。

集歌1881 春霞 立春日野乎 徃還 吾者相見 弥年之黄土
訓読 春霞立つ春日(はるひ)野を行き返り吾(あれ)は相見むいや毎年(としのは)に
私訳 春霞が立つ春の一日を野原に往き帰る、私は貴方と再びここで逢いましょう、きっと、毎年に。

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今日のみそひと謌 火曜日

2012年11月27日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと謌 火曜日

集歌991 石走 多藝千流留 泊瀬河 絶事無 亦毛来而将見
訓読 石(いは)走(ばし)り激(たぎ)ち流るる泊瀬川絶ゆることなくまたも来て見む
私訳 磐の上をしぶきをあげほとばしり流れる泊瀬川よ。その流れが絶えることがないように、絶えることなく再び来て眺めましょう。

集歌992 古郷之 飛鳥者雖有 青丹吉 平城之明日香乎 見樂思好裳
訓読 古郷(ふるさと)し飛鳥はあれどあをによし平城(なら)し明日香を見らくしよしも
私訳 旧都の飛鳥に飛鳥寺(=法興寺)は残っているが、その飛鳥寺が青葉美しい奈良の都の明日香に遷ってきて新しい飛鳥寺(=元興寺)として見るのは楽しいことです。

集歌993 月立而 直三日月之 眉根掻 氣長戀之 君尓相有鴨
訓読 月立ちてただ三日月し眉根(まよね)掻き日(け)長く恋ひし君に逢へるかも
私訳 月が変わり、空に姿を現す三日月。その細い三日月のような細い眉を描きました。言い伝えで眉を掻くと恋しい人に逢えるといいますから、私は日一日をずっと慕う貴方に逢えるのでしょうか。

集歌994 振仰而 若月見者 一目見之 人乃眉引 所念可聞
訓読 振り仰(さ)けて若月(みかつき)見れば一目見し人の眉引(まよひき)そ念(も)ゆるかも
私訳 振り仰いで三日月を眺めると、一目見たあの女(ひと)の三日月のような細い眉の面立ちを思い出します。

集歌995 如是為乍 遊飲與 草木尚 春者生管 秋者落去
訓読 如(かく)しつつ遊び飲みこそ草木すら春は生(もえ)つつ秋は落(か)りゆく
私訳 このように風流を楽しみ飲食してください。草木ですら春は春を楽しみ萌え出でて、秋には季節を彩り黄葉として散っていきます。

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今日のみそひと歌 月曜日

2012年11月26日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと歌 月曜日

集歌61 丈夫之 得物矢手挿 立向 射流圓方波 見尓清潔之
訓読 丈夫(ますらを)し得物(さつ)矢手挟み立ち向ひ射る円方(まとかた)は見るに清潔(さや)けし
私訳 頑強な男たちが武器の得物の矢を手挟み、的に立ち向かって射る、その的。そのような名を持つこの円方(まとかた)の地は、眺めていて清々しいものがあります。

集歌62 在根良 對馬乃渡 々中尓 弊取向而 早還許年
訓読 ありねよし対馬(つしま)の渡り海中(わたなか)に弊(ぬさ)取り向けて早帰り来ね
私訳 山波が美しい、その対馬への渡りの、その海に向かって御弊を手に持ち捧げ向けて願う、早く帰って来て下さい。

集歌63 去来子等 早日本邊 大伴乃 御津乃濱松 待戀奴良武
訓読 いざ子ども早く日本(やまと)へ大伴の御津の浜松待ち恋ひぬらむ
私訳 さあ、大和の国から離れて大唐に来た皆の者、早く大和の国に帰ろう。難波の大伴の御津の浜の松も、その名のように吾ら健士を待ちわびているだろう。

集歌64 葦邊行 鴨之羽我比尓 霜零而 寒暮夕 和之所念
訓読 葦辺(あしへ)行く鴨し羽交(はが)ひに霜降りて寒き夕へし大和しそ念(も)ふ
私訳 葦の茂る岸辺を泳ぐ鴨の羽を畳んだ背に霜が降りるような寒い夕べは、大和の貴女だけを思っています。

集歌65 霰打 安良礼松原 住吉之 弟日娘与 見礼常不飽香聞
訓読 霰打つあられ松原住吉(すみのえ)し弟日(おとひ)娘(をとめ)と見れど飽かぬかも
私訳 霰が大地を降り打つ、その言葉のひびきのような、あられ松原の松を伝説の住吉の弟日娘の後の姿として眺めるが、見飽きることはありません。

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