集歌一三二三
原文 海之底 奥津白玉 縁乎無三 常如此耳也 戀度味試
訓読 海(わた)し底(そこ)沖つ白玉よしをなみ常かくのみや恋ひわたりなむ
私訳 海の底深く隠れている白玉よ。それを採る方法がなくて、いつもこのように恋い焦がれる思いだけが続いていく。
集歌一三二四
原文 葦根之 懃念而 結義之 玉緒云者 人将解八方
試訓 葦(あし)し根しねもころ念(も)ひて結(ゆ)ひ期しし玉し緒と云はば人解(と)かめやも
試訳 葦の根のように心を尽くして恋い慕って結び誓った玉の紐の緒ですと云ったなら、他の人があえてその紐を解くでしょうか。
注意 原文の「結義之」の「義之」は、標準解釈では王羲之を意味し、書の師から「手師」として「てし」と訓じます。この「結義之」と集歌一三二一の歌の「結大王」とを類似の表記と見なします。また、王羲之・王献之の親子関係から綽名として大王・小王と称します。ただし、ここでは原文のままに訓じています。
集歌一三二五
原文 白玉乎 手者不纒尓 匣耳 置有之人曽 玉令泳流
訓読 白玉を手には纏(ま)かずに匣(はこ)のみに置(お)けりし人ぞ玉泳(およ)がする
私訳 白玉を肌身である己が手に巻かずに、大切なものとして箱の中にしまって置いた人こそは、その玉を水の流れに漂わせてしまう。
集歌一三二六
原文 照左豆我 手尓纒古須 玉毛欲得 其緒者替而 吾玉尓将為
訓読 照左豆(てりさづ)が手に纏(ま)き古(ふる)す玉もがもその緒は替(か)へて吾が玉にせむ
私訳 照左豆が手に巻いて古くなった玉であってもその玉が欲しい。その紐の緒を替えて私の玉にしたい。
集歌一三二七
原文 秋風者 継而莫吹 海底 奥在玉乎 手纒左右二
訓読 秋風は継ぎてな吹きそ海(わた)し底(そこ)奥(おき)なる玉を手し纏(ま)くさへに
私訳 秋風は次々と吹き続くな、せめて海の底の奥深くにある玉を採って手に巻くだけまでは。
原文 海之底 奥津白玉 縁乎無三 常如此耳也 戀度味試
訓読 海(わた)し底(そこ)沖つ白玉よしをなみ常かくのみや恋ひわたりなむ
私訳 海の底深く隠れている白玉よ。それを採る方法がなくて、いつもこのように恋い焦がれる思いだけが続いていく。
集歌一三二四
原文 葦根之 懃念而 結義之 玉緒云者 人将解八方
試訓 葦(あし)し根しねもころ念(も)ひて結(ゆ)ひ期しし玉し緒と云はば人解(と)かめやも
試訳 葦の根のように心を尽くして恋い慕って結び誓った玉の紐の緒ですと云ったなら、他の人があえてその紐を解くでしょうか。
注意 原文の「結義之」の「義之」は、標準解釈では王羲之を意味し、書の師から「手師」として「てし」と訓じます。この「結義之」と集歌一三二一の歌の「結大王」とを類似の表記と見なします。また、王羲之・王献之の親子関係から綽名として大王・小王と称します。ただし、ここでは原文のままに訓じています。
集歌一三二五
原文 白玉乎 手者不纒尓 匣耳 置有之人曽 玉令泳流
訓読 白玉を手には纏(ま)かずに匣(はこ)のみに置(お)けりし人ぞ玉泳(およ)がする
私訳 白玉を肌身である己が手に巻かずに、大切なものとして箱の中にしまって置いた人こそは、その玉を水の流れに漂わせてしまう。
集歌一三二六
原文 照左豆我 手尓纒古須 玉毛欲得 其緒者替而 吾玉尓将為
訓読 照左豆(てりさづ)が手に纏(ま)き古(ふる)す玉もがもその緒は替(か)へて吾が玉にせむ
私訳 照左豆が手に巻いて古くなった玉であってもその玉が欲しい。その紐の緒を替えて私の玉にしたい。
集歌一三二七
原文 秋風者 継而莫吹 海底 奥在玉乎 手纒左右二
訓読 秋風は継ぎてな吹きそ海(わた)し底(そこ)奥(おき)なる玉を手し纏(ま)くさへに
私訳 秋風は次々と吹き続くな、せめて海の底の奥深くにある玉を採って手に巻くだけまでは。