goo blog サービス終了のお知らせ 

竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻8 歌番号507から508まで

2024年11月26日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻8

歌番号 507

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 与乃奈可遠 加久以比/\乃 者天/\者 以可尓也以可尓 奈良无止寸良无

和歌 よのなかを かくいひいひの はてはては いかにやいかに ならむとすらむ

読下 世の中をかくいひいひのはてはてはいかにやいかにならむとすらん

解釈 この世の中のことをあれこれと言いに言い、その言った果ての果ては、さて、如何や如何に、どのようになって行くのでしょうか。

 

歌番号 508

詞書 をとこ侍りける女をせちにけさうし侍りて、をとこのいひつかはしける

詠人 よみ人しらす

原文 伊尓之部乃 止良乃堂久比尓 三遠奈計者 左加止者可利八 止者武止曽遠毛飛

和歌 いにしへの とらのたくひに みをなけは さかとはかりは とはむとそおもふ

読下 いにしへのとらのたくひに身をなけはさかとはかりはとはむとそ思ふ

解釈 昔、釈迦の捨身飼虎の物語のように、貴女が私と言う虎に身を投げたら、貴女の私への思いは然りとばかりに、早速に寝所にお伺いしたいと思います。

注意 四句目めの「さか」は然り(しかり)と釈迦(しゃか)の言葉遊びです。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

拾遺和歌集 巻8 歌番号502から506まで

2024年11月25日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻8

歌番号 502 拾遺抄記載

詞書 神明寺の辺に無常所まうけて侍りけるか、いとおもしろく侍りけれは

詠人 もとすけ

原文 於之可良奴 以乃知也佐良尓 乃飛奴良无 遠者利乃遣布利 志武留乃部尓天

和歌 をしからぬ いのちやさらに のひぬらむ をはりのけふり しむるのへにて

読下 をしからぬいのちやさらにのひぬらんをはりの煙しむるのへにて

解釈 惜しいとは思わない我が命がさらに伸びるのでしょうか、命の終わりの荼毘の煙が身に染みる野辺にあって。

注意 荼毘の煙を護摩供養の煙と見立てての歌です。

 

歌番号 503 拾遺抄記載

詞書 二条右大臣、左近番長佐伯清忠をめしてうたよませ侍りけるを、のそむこと侍りけるかかなひ侍らさりけるころにて、よみ侍りける

詠人 佐伯清忠

原文 可幾利奈幾 奈美堂乃川由尓 武寸者礼天 比止乃志毛止八 奈留尓也安留良无

和歌 かきりなき なみたのつゆに むすはれて ひとのしもとは なるにやあるらむ

読下 限なき涙のつゆにむすはれて人のしもとはなるにやあるらん

解釈 限りなく流す涙が露となって結ばれて、それがひとつの霜の姿になるのでしょうか。(いつまでもの不遇を嘆く涙、ほんの僅かに我が期待が結ばれて、貴方の庇護の下に入れていただいたのでしょうか。)

注意 新日本古典文学大系本とは二句目の「つゆ」の意味の取り方が違うので、比喩する内容が真反対です。

 

歌番号 504

詞書 かかいし侍へかりけるとし、えし侍らて、雪のふりけるを見て

詠人 もとすけ

原文 宇幾世尓者 由幾加久礼奈天 加幾久毛利 布留者遠毛日乃 本可尓毛安留可奈

和歌 うきよには ゆきかくれなて かきくもり ふるはおもひの ほかにもあるかな

読下 うき世には行きかくれなてかきくもりふるは思ひのほかにもあるかな

解釈 憂き世にあって、もう死んでしまいたいと思っても出来ないが、空一面を撫でるように掻き曇りして降る雪、まったくに予想外の風情です。(なぜ、私は加階して身分が上がらなかったのだろうか。全くに恥ずかしく予想外の出来事です。)

 

歌番号 505 拾遺抄記載

詞書 つかさ申すにたまはらさりけるころ、人のとふらひにおこせたりける返事に

詠人 源景明

原文 和飛比止者 宇幾与乃奈可尓 以遣良之止 於毛飛己止佐部 加奈者佐利个利

和歌 わひひとは うきよのなかに いけらしと おもふことさへ かなはさりけり

読下 わひ人はうき世の中にいけらしと思ふ事さへかなはさりけり

解釈 役職を得られない失意の人は、この憂き世の中に生きて行きたくはないと思う事すら、なにもかも適わないようです。

 

歌番号 506

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 与乃奈可尓 安良奴堂己呂毛 恵天之可奈 止之布利尓多留 可多知加久左武

和歌 よのなかに あらぬところも えてしかな としふりにたる かたちかくさむ

読下 世の中にあらぬ所もえてしかな年ふりにたるかたちかくさむ

解釈 この世の中とは違う別な世界を得たいものです、歳を取ってしまった、この容姿を人目から隠したいので。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

拾遺和歌集 巻8 歌番号497から501まで

2024年11月22日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻8

歌番号 497 拾遺抄記載

詞書 小一条左大臣、まかりかくれてのち、かの家に侍りけるつるのなき侍りけるをきき侍りて

詠人 小野宮太政大臣

原文 遠久礼為天 奈久奈留与利者 安之多川乃 奈止可与者日遠 由川良左利个无

和歌 おくれゐて なくなるよりは あしたつの なとかよはひを ゆつらさりけむ

読下 おくれゐてなくなるよりはあしたつのなとかよはひをゆつらさりけん

解釈 主が亡くなったことに後れて生きていて、悲しみに鳴いているのなら、葦鶴よ、どうしてお前の千年の齢を主に譲らなかったのか。

 

歌番号 498

詞書 左大臣のつちみかとの左大臣のむこになりてのち、したうつのかたをとりにおこせて侍りけれは

詠人 愛宮

原文 止之遠部天 堂知奈良志川留 安之多川乃 以可奈留可多尓 安止々々武良无

和歌 としをへて たちならしつる あしたつの いかなるかたに あとととむらむ

読下 年をへてたちならしつるあしたつのいかなる潟にあとととむらん

解釈 長い年月を立ち馴れたその葦鶴が、今度は、一体、どこの干潟にその足跡を残したのだろうか。

 

歌番号 499

詞書 大弐国章、こくのおひをかり侍りけるを、つくしよりのほりて返しつかはしたりけれは

詠人 もとすけ

原文 由久寸恵乃 之乃布久左尓毛 安利也止天 川由乃可多美毛 於可无止曽遠毛飛

和歌 ゆくすゑの しのふくさにも ありやとて つゆのかたみも おかむとそおもふ

読下 ゆくすゑの忍草にも有りやとてつゆのかたみもおかんとそ思ふ

解釈 将来、貴方が私のことを思い出すきっかけのものになればいいと、ほんの僅かな思い出の品でも、貴方の手元に置いて置くと、私は思いましたよ。

 

歌番号 500

詞書 題しらす

詠人 中務

原文 宇部天美留 久左者曽世遠者 志良世个留 於幾天八幾由留 計左乃安左川由

和歌 うゑてみる くさはそよをは しらせける おきてはきゆる けさのあさつゆ

読下 うゑて見る草葉そ世をはしらせけるおきてはきゆるけさの朝露

解釈 植えて眺める草の葉がこの世の有り様を気付かせるようです、置いては消える今朝の朝露の様から。

 

歌番号 501

詞書 ゐなかにてわつらひ侍りけるを、京より人のとふらひにおこせて侍りけれは

詠人 ゆけのよしとき

原文 川由乃以乃知 於之止尓八安良寸 幾美遠末多 美天也止於毛飛曽 加奈之可利个留

和歌 つゆのいのち をしとにはあらす きみをまた みてやとおもふそ かなしかりける

読下 露のいのちをしとにはあらす君を又見てやと思ふそかなしかりける

解釈 露のような儚い命、それが惜しいのではありません、貴方に再びお会いできなくてこの世を去ることが、残念なのです。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

拾遺和歌集 巻8 歌番号492から496まで

2024年11月21日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻8

歌番号 492

詞書 題しらす

詠人 つらゆき

原文 比止之礼寸 己由止遠毛飛良之 安之飛幾乃 也万之多美川尓 加計者美恵川々

和歌 ひとしれす こゆとおもふらし あしひきの やましたみつに かけはみえつつ

読下 人しれすこゆと思ふらしあしひきの山した水にかけは見えつつ

解釈 人に気付かれない内に越えようと思うみたいだ、でも、脚を曳く険しい山の谷間の川面に姿は見せているが。

 

歌番号 493

詞書 伊勢のみゆきにまかりとまりて

詠人 人まろ

原文 於不乃宇美尓 布奈乃利須良无 和幾毛己可 安可毛乃寸曽尓 之本美川良无可

和歌 をふのうみに ふなのりすらむ わきもこか あかものすそに しほみつらむか

読下 おふの海にふなのりすらんわきもこかあかものすそにしほみつらんか

解釈 麻生の海に船乗りをするのでしょう、私の愛しい貴女の官衣である赤い裳裾に、潮が満ちて寄せるだろうか。

注意 万葉集の異伝歌で、万葉集の初句は「鳴呼見之浦」ですし、三句目が「娘子等」です。

 

歌番号 494 拾遺抄記載

詞書 天暦十一年九月十五日、斎宮くたり侍りけるに、内よりすすりてうしてたまはすとて

詠人 御製

原文 遠毛飛己止 奈留止以不奈留 須々加也万 己恵天宇礼之幾 左可日止曽幾久

和歌 おもふこと なるといふなる すすかやま こえてうれしき さかひとそきく

読下 思ふ事なるといふなるすすか山こえてうれしきさかひとそきく

解釈 思い願うことが適うと言う鈴鹿山、旅路にあって国境を越えることは喜ばしい、その境の山とばかりに聞きています。

 

歌番号 495 拾遺抄記載

詞書 円融院の御時、斎宮くたり侍りけるに、母の前斎宮もろともにこえ侍りて

詠人 斎宮女御

原文 世尓布礼者 末多毛己恵个利 寸々可也万 武可之乃以満尓 奈留尓也安留良无

和歌 よにふれは またもこえけり すすかやま むかしのいまに なるにやあるらむ

読下 世にふれは又もこえけりすすか山昔の今になるにやあるらん

解釈 この世に生きて時を過ごせば、またも、越えたことです、鈴鹿山よ、斎宮として下った昔が今にまた立ち戻ったのでしょうか。

 

歌番号 496

詞書 あすかの女王を、をさむる時、よめる

詠人 人まろ

原文 安寸可々波 志可良美和多之 世可万世者 奈可留々美川毛 乃止計加良末之

和歌 あすかかは しからみわたし せかませは なかるるみつも のとけからまし

読下 あすかかはしからみわたしせかませはなかるる水ものとけからまし

解釈 飛鳥川、柵渡し水を堰き止めて水嵩を増せば、流れる川の水も緩やかであるでしょうに。(明日香皇女の命を堰き止めることが出来なく、残念です。)

注意 万葉集の異伝です。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

拾遺和歌集 巻8 歌番号487から491まで

2024年11月20日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻8

歌番号 487

詞書 対馬守をののあきみちかめおきか、くたり侍りける時に、ともまさの朝臣の妻肥前かよみてつかはしける

詠人 肥前

原文 於幾川之満 久毛為乃幾之遠 由幾可部利 布美加与者佐武 万本呂之毛可奈

和歌 おきつしま くもゐのきしを ゆきかへり ふみかよはさむ まほろしもかな

読下 おきつしま雲井の岸を行きかへりふみかよはさむまはろしもかな

解釈 地方に下って行く隠岐と言う名を持つ貴女、沖の島の遥か彼方の雲井が懸かる海岸を行き来して手紙を届けてくれる、そのような仙人術師が居ればいいのですが。(どうにかして消息は取り合いましょう。)

 

歌番号 488

詞書 詠天

詠人 人まろ

原文 曽良乃宇美尓 久毛乃奈美多知 川幾乃布祢 保之乃者也之尓 己幾加久留美由

和歌 そらのうみに くものなみたち つきのふね ほしのはやしに こきかくるみゆ

読下 そらの海に雲の浪たち月の舟星の林にこきかくる見ゆ

解釈 空の海に雲の浪が立ち、三日月の舟が星の林に漕ぎ動き時に隠れるのが見えます。

 

歌番号 489

詞書 もをよめる

詠人 人まろ

原文 可者乃世乃 宇徒万久美礼者 多麻毛可留 知利美多礼多留 加者乃布祢可毛

和歌 かはのせの うつまくみれは たまもかる ちりみたれたる かはのふねかも

読下 河のせのうつまく見れは玉もかるちりみたれたるかはの舟かも

解釈 河の瀬の渦巻くのを眺め(視線を動かすとその先に)、美しい玉藻を刈るため、あちこちに散り乱れている河に浮かぶ舟があります。

 

歌番号 490

詞書 山をよめる

詠人 人まろ

原文 奈留加美乃 遠止尓乃美幾久 万幾毛久乃 比者良乃也万遠 个不美川留可奈

和歌 なるかみの おとにのみきく まきもくの ひはらのやまを けふみつるかな

読下 なる神のおとにのみきくまきもくのひはらの山をけふ見つるかな

解釈 雷鳴の、その鳴る神(雷神)の音ばかりを聞く巻向の檜原の山を、今日の今に、眺めました。

 

歌番号 491

詞書 詠葉

詠人 人まろ

原文 伊尓之部尓 安利个武比止毛 和可己止也 三和乃比者良尓 加左之遠利个无

和歌 いにしへに ありけむひとも わかことや みわのひはらに かさしをりけむ

読下 いにしへに有りけむ人もわかことやみわのひはらにかさし折りけん

解釈 古に生きた人も私と同じなのだろうか、三輪の檜原で鬘を断ち切って亡き人の思い出を振り払ったのでしょうか。

注意 万葉集の歌番号1118の異伝歌ですが、原歌末句は「插頭折兼」の表記で、この時代の「折」の漢字の意味は「又断之也」もあります。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする