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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻15 歌番号995から999まで

2025年04月14日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻15

歌番号 995

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 和礼者可利 和礼遠於毛者武 比止毛可奈 佐天毛也宇幾止 与遠己々呂美无

和歌 われはかり われをおもはむ ひともかな さてもやうきと よをこころみむ

読下 我はかり我をおもはむ人もかなさてもやうきと世を心みん

解釈 私だけを、その私のことを思ってくれる人が居ないでしょうか、それでもこの世が辛いものかと、試してみたいものです。(ねぇ、私の恋焦がれお慕いする貴女)

 

歌番号 996

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 安也之久毛 以止布尓者由留 己々呂可奈 以可尓之天可波 於毛飛多由部幾

和歌 あやしくも いとふにはゆる こころかな いかにしてかは おもひたゆへき

読下 あやしくも厭ふにはゆる心かないかにしてかは思ひたゆへき

解釈 不思議なことに、嫌われると逆に気持ちが馳せるような心がします、どのようにすればこの高ぶった気持ちを穏やかに出来るでしょうか。(試しに抱かれてみませんか)

注意 末句の「たゆ」を「絶つ」と取るか、万葉調に「たゆし」の心を緩めると取るかで意味は大きく違います。

 

歌番号 997

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 於毛不己止 奈寸己曽加美乃 可多可良女 志波之和須留々 己々呂川个奈无

和歌 おもふこと なすこそかみの かたからめ しはしわするる こころつけなむ

読下 おもふ事なすこそ神のかたからめしはしわするる心つけなん

解釈 心に思ったことを成就することは、神でも難しいようだ、それなら、しばし、そのことを忘れる気持ちを持たせて欲しい。

 

歌番号 998

詞書 とほき所に侍りける人、京に侍りけるをとこを、みちのままにこひまかりて、たかさこといふ所にてよみ侍りける

詠人 よみ人しらす

原文 多可左己尓 和可奈久己衛者 奈利尓个利 美也己乃比止者 幾々也川久良无

和歌 たかさこに わかなくこゑは なりにけり みやこのひとは ききやつくらむ

読下 高砂にわかなくこゑは成りにけり宮この人はききやつくらん

解釈 この高砂の地、その言葉の響きではありませんが、私が泣く声が大きく高くなってしまいました、都の私が恋する貴方は私が恋焦がれて泣く声を聞き届けたでしょうか。

 

歌番号 999

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 加之満奈留 徒久万乃加美乃 徒久/\止 和可三比止川尓 己比遠徒美川留

和歌 かしまなる つくまのかみの つくつくと わかみひとつに こひをつみつる

読下 かしまなるつくまの神のつくつくとわか身ひとつにこひをつみつる

解釈 鹿島にある筑摩の神、その言葉の響きではありませんが、つくつくと、我が身一つに恋の遍歴を積み重ねます。

 

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拾遺和歌集 巻15 歌番号990から994まで

2025年04月11日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻15

歌番号 990

詞書 題しらす

詠人 人まろ

原文 止尓加久尓 毛乃者於毛者寸 飛多々久美 宇川寸三奈者乃 多々比止寸知尓

和歌 とにかくに ものはおもはす ひたたくみ うつすみなはの たたひとすちに

読下 とにかくに物はおもはす飛騨匠うつ墨縄のたたひとすちに

解釈 とにもかくにも、もう、あれこれとはものは思いません、飛騨の匠が打つ墨縄のように、ただ、一筋に貴女に恋焦がれます。

 

歌番号 991

詞書 左大臣女御うせ侍りにけれは、ちちおととのもとにつかはしける

詠人 天暦御製

原文 以尓之部遠 佐良尓加遣之止 於毛部止毛 安也之久女尓毛 美川奈美多可奈

和歌 いにしへを さらにかけしと おもへとも あやしくめにも みつなみたかな

読下 いにしへをさらにかけしと思へともあやしくめにもみつなみたかな

解釈 古の出来事を更に気に掛けることはしないと思ってみても、不思議なことに、悲しみに目に涙が満ちて来ます。

 

歌番号 992 拾遺抄記載

詞書 女の許につかはしける

詠人 平忠依

原文 安布己止者 己々呂尓毛安良天 本止不止毛佐 也者知幾利之 和須礼者天祢止

和歌 あふことは こころにもあらて ほとふとも さやはちきりし わすれはてねと

読下 逢ふ事は心にもあらてほとふともさやは契りし忘れはてねと

解釈 あの時に貴女の寝所で逢うことなど心にも思っていませんでしたので、再びに逢えぬ時間が過ぎてしまいましたが、だからと言って、その時に貴女と契ったでしょうか、もう、これっきりで私のことを忘れてしまえと、

 

歌番号 993 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 和須留々加 以左々者和礼毛 和須礼奈无 比止尓志多可不 己々呂止奈良波

和歌 わするるか いささはわれも わすれなむ ひとにしたかふ こころとならは

読下 わするるかいささは我も忘れなん人にしたかふ心とならは

解釈 貴女は私のことを忘れてしまったのか、さぁ、それなら、私も貴女のことを忘れよう、貴女の望みに従えとのお気持ちならば、(まさか、そうではありませんよね)

 

歌番号 994

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 王数礼奴留 幾美者奈可/\ 徒良可良天 以末々天以个留 三遠曽宇良武留

和歌 わすれぬる きみはなかなか つらからて いままていける みをそうらむる

読下 わすれぬる君は中中つらからていままていける身をそ怨むる

解釈 忘れようとして忘れられない貴女の私への態度は、なかなかに冷淡なので、いままで、その仕打ちに耐えて生きて来た我が身自身を恨んでいます。(私が恋死しないように逢いませんか)

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拾遺和歌集 巻15 歌番号985から989まで

2025年04月10日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻15

歌番号 985 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 宇良三天乃 々知左部比止乃 徒良可良者 以可尓以比天可 祢遠毛奈可万之

和歌 うらみての のちさへひとの つらからは いかにいひてか ねをもなかまし

読下 怨みてののちさへ人のつらからはいかにいひてかねをもなかまし

解釈 相手にして欲しいとあの人を恨んだ後であっても、あの人の態度が冷淡なので、どのように言い遣ってから、声を上げて泣けばいいのでしょうか。

 

歌番号 986 拾遺抄記載

詞書 小野宮のおほいまうちきみにつかはしける

詠人 閑院大君

原文 幾美遠奈本 宇良三川留可奈 安満乃可留 毛尓寸武々之乃 奈遠和寸礼川々

和歌 きみをなほ うらみつるかな あまのかる もにすむむしの なをわすれつつ

読下 きみを猶怨みつるかなあまのかるもにすむむしの名を忘れつつ

解釈 貴方をなおもまだ恨み申し上げます、海人の刈る藻に住む虫、その「われから」と虫の名ではありません、貴方に似た、そのような名前を忘れてしまいそうです。

 

歌番号 987

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 安満乃加累 毛尓須武々之乃 奈八幾計止 多々和礼可良乃 川良幾奈利个利

和歌 あまのかる もにすむむしの なはきけと たたわれからの つらきなりけり

読下 あまのかるもにすむむしのなはきけとたた我からのつらきなりけり

解釈 海人の刈る藻に住む虫、「われから」との名前は聞きますが、ただ、恋が終わった理由が「我から」では、辛いことです。

 

歌番号 988

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 己飛和比奴 加奈之幾己止毛 奈久左女无 以川礼奈可寸乃 者万部奈留良无

和歌 こひわひぬ かなしきことも なくさめむ いつれなかすの はまへなるらむ

読下 こひわひぬかなしき事もなくさめんいつれなかすのはまへなるらん

解釈 恋焦がれて心が萎れています、悲しいことも慰めると、どうせ悲しみに泣かすと言う、その言葉の響きですが、いったいどこが長洲の浜なのでしょうか。

 

歌番号 989

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 加久者可利 宇之止於毛飛尓 己比之幾者 和礼左部己々呂 布多川安利个利

和歌 かくはかり うしとおもふに こひしきは われさへこころ ふたつありけり

読下 かくはかりうしと思ふにこひしきは我さへ心ふたつ有りけり

解釈 このように辛いと思うほどに恋しいことは、私でさえ、恋する気持ちと恨む気持ちとの心が二つあったようです。

 

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拾遺和歌集 巻15 歌番号980から984まで

2025年04月09日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻15

歌番号 980

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 徒良个礼止 比止尓者以者須 以者美可多 宇良三曽布可幾 己々呂比止川尓

和歌 つらけれと ひとにはいはす いはみかた うらみそふかき こころひとつに

読下 つらけれと人にはいはすいはみかた怨そふかき心ひとつに

解釈 貴女の態度は冷淡だと、その人には言いません、その言葉の響きのような、石見の潟の浦が深いではありませんが、恨みは深く、私の心の内には。

 

歌番号 981 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 宇良三奴毛 宇多加者之久曽 於毛本由留 堂乃武己々呂乃 奈幾可止於毛部八

和歌 うらみぬも うたかはしくそ おもほゆる たのむこころの なきかとおもへは

読下 怨みぬもうたかはしくそおもほゆるたのむ心のなきかとおもへは

解釈 貴女が私を恨まないことに疑わしく思います、まるで、最初から私が誓った愛へ頼る気持ちが無かったのかと思われるのです。

 

歌番号 982 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 安布三奈留 宇知天乃者万乃 宇知以天川々 宇良三也世末之 比止乃己々呂遠

和歌 あふみなる うちてのはまの うちいてつつ うらみやせまし ひとのこころを

読下 近江なる打出のはまのうちいてつつ怨みやせまし人の心を

解釈 近江にある打出の浜、その言葉の響きのように、打つ出るように言葉に出すと、恨みごとをしましょうか、あの人の心の持ちようを。

 

歌番号 983 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 和多川宇三乃 布可幾己々呂者 安利奈可良 宇良美良礼奴留 毛乃尓曽安利个留

和歌 わたつうみの ふかきこころは ありなから うらみられぬる ものにそありける

読下 渡つ海のふかき心は有りなからうらみられぬる物にそ有りける

解釈 大船を渡すような大きな海のように深い気持ちはありながら、大海の浦ではありませんが、心の裏を覗いたような貴方の振る舞いでありますよ。

 

歌番号 984 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 加春奈良奴 三者己々呂多尓 奈可良奈无 於毛飛志良寸者 宇良三左留部久

和歌 かすならぬ みはこころたに なからなむ おもひしらすは うらみさるへく

読下 かすならぬ身は心たになからなん思ひしらすは怨みさるへく

解釈 人の数には入らない我が身なので、あの人にとってはこの身は心さえも無いようなものでしょう、その相手の気持ちを知らなければ、最初から恨みは無くなるように。

 

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拾遺和歌集 巻15 歌番号975から979まで

2025年04月08日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻15

歌番号 975

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 久礼奈衣乃 也之本乃己呂毛 加久之安良者 於毛飛曽免寸曽 安留部可利个留

和歌 くれなゐの やしほのころも かくしあらは おもひそめすそ あるへかりける

読下 紅のやしほの衣かくしあらは思ひそめすそあるへかりける

解釈 紅の染を何度もした衣、そのように実らぬ恋なのに何度もその恋に染まってしまえば、貴方に思い染める、その言葉の響きのような、思い初めなんて、しなければよかった。

 

歌番号 976

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 保乃可尓毛 和礼遠美之万乃 阿久多飛乃 安久止也比止乃 於止川礼毛世奴

和歌 ほのかにも われをみしまの あくたひの あくとやひとの おとつれもせぬ

読下 ほのかにも我をみしまのあくた火のあくとや人のおとつれもせぬ

解釈 ほのかに私を見る、その言葉の響きのような、三島の芥の火、その言葉の響きのにょうな、飽くとばかりに、あの人は私の許にやっても来ません。

 

歌番号 977

詞書 延喜御時、承香殿女御の方なりける女に、もとよしのみこまかりかよひ侍りける、たえてのち、いひつかはしける

詠人 承香殿中納言

原文 比止遠止久 安久多可者天不 徒乃久尓乃 名尓八多可八奴 毛乃尓曽安利个留

和歌 ひとをとく あくたかはてふ つのくにの なにはたかはぬ ものにそありける

読下 人をとくあくた河てふつのくにの名にはたかはぬ物にそ有りける

解釈 人のことをすぐに飽くとばかりに、その言葉の響きのような芥川が流れ果て行く、津の国の難波、その言葉の響きのように、名に違わぬ、そのようなお人でありました。(実に芥のような人)

 

歌番号 978

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 可幾利奈久 於毛飛曽免天之 久礼奈布乃 比止遠安久尓曽 加部良左利个留

和歌 かきりなく おもひそめてし くれなゐの ひとをあくにそ かへらさりける

読下 限なく思ひそめてし紅の人をあくにそかへらさりける

解釈 限りなく思い初める、その言葉の響きのような、限りなく染めた鮮やかな紅のような貴女、そのような貴女を飽く、その言葉の響きのような、色あせて灰汁で染め直すようなことにはありません。

 

歌番号 979

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 安里曽宇三乃 宇良止堂乃女之 奈己利奈美 宇知与世天个留 和寸礼可比可奈

和歌 ありそうみの うらとたのめし なこりなみ うちよせてける わすれかひかな

読下 ありそ海の浦とたのめしなこり浪うちよせてけるわすれかひかな

解釈 荒磯の海にある浦のように頼れると思う海の、余波の波、その波が打ち寄せてくる忘れ貝のようなものです。(貴方の愛を信じたのに忘れ去れたこの私です。)

 

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