歌番号 429
詞書 ね、うし、とら、う、たつ、み
詠人 よみ人しらす
原文 飛止世祢天 宇之止良己曽八 於毛飛个女 宇幾奈多川美曽 和比之可利个留
和歌 ひとよねて うしとらこそは おもひけめ うきなたつみそ わひしかりける
読下 ひと夜ねてうしとらこそは思ひけめうきなたつみそわひしかりける
解釈 貴方と一夜を寝て、後朝の別れが辛いこととは思い知らされた、浮名の噂が立つ我が身は情けないことです。
歌番号 430
詞書 むま、ひつし、さる、とり、いぬ、ゐ
詠人 よみ人しらす
原文 武万礼与利 飛徒之川久礼者 也万尓左留 飛止利以奴留尓 比止為天以万世
和歌 むまれより ひつしつくれは やまにさる ひとりいぬるに ひとゐていませ
読下 むまれよりひつしつくれは山にさるひとりいぬるにひとゐていませ
解釈 生まれた時から櫃を作っているので、山に去るのに、独りで去って行くのには大変だから、誰か人を連れて行きなさい。
歌番号 431 拾遺抄記載
詞書 四十九日
詠人 すけみ
原文 安幾可世乃 与毛乃也万与利 於乃可之々 布久尓知利奴留 毛美知可奈之奈
和歌 あきかせの よものやまより おのかしし ふくにちりぬる もみちかなしな
読下 秋風のよもの山よりおのかししふくにちりぬるもみちかなしな
解釈 秋風が四方の山からそれぞれの方向に吹くのに木の葉がちりました、紅葉した葉々が愛しいものです。
注意 三句、四句目に、ししふくにち(四十九日)の言葉の文字が取られています。