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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻7 歌番号429から431まで

2024年11月04日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻7

歌番号 429

詞書 ね、うし、とら、う、たつ、み

詠人 よみ人しらす

原文 飛止世祢天 宇之止良己曽八 於毛飛个女 宇幾奈多川美曽 和比之可利个留

和歌 ひとよねて うしとらこそは おもひけめ うきなたつみそ わひしかりける

読下 ひと夜ねてうしとらこそは思ひけめうきなたつみそわひしかりける

解釈 貴方と一夜を寝て、後朝の別れが辛いこととは思い知らされた、浮名の噂が立つ我が身は情けないことです。

 

歌番号 430

詞書 むま、ひつし、さる、とり、いぬ、ゐ

詠人 よみ人しらす

原文 武万礼与利 飛徒之川久礼者 也万尓左留 飛止利以奴留尓 比止為天以万世

和歌 むまれより ひつしつくれは やまにさる ひとりいぬるに ひとゐていませ

読下 むまれよりひつしつくれは山にさるひとりいぬるにひとゐていませ

解釈 生まれた時から櫃を作っているので、山に去るのに、独りで去って行くのには大変だから、誰か人を連れて行きなさい。

 

歌番号 431 拾遺抄記載

詞書 四十九日

詠人 すけみ

原文 安幾可世乃 与毛乃也万与利 於乃可之々 布久尓知利奴留 毛美知可奈之奈

和歌 あきかせの よものやまより おのかしし ふくにちりぬる もみちかなしな

読下 秋風のよもの山よりおのかししふくにちりぬるもみちかなしな

解釈 秋風が四方の山からそれぞれの方向に吹くのに木の葉がちりました、紅葉した葉々が愛しいものです。

注意 三句、四句目に、ししふくにち(四十九日)の言葉の文字が取られています。

 

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拾遺和歌集 巻7 歌番号424から428まで

2024年11月01日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻7

歌番号 424

詞書 なかむしろ

詠人 すけみ

原文 宇久飛寸乃 奈可武志呂尓八 和礼曽奈久 者奈乃尓本比也 志波之止末留止

和歌 うくひすの なかむしろには われそなく はなのにほひや しはしとまると

読下 鴬のなかむしろには我そなく花のにほひやしはしとまると

解釈 鶯が鳴く代わりに私が泣きます、花の美しい色合いがしばし留まるかと思って。

注意 二句目に、なかむしろ(長筵)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 425

詞書 へうのかは

詠人 すけみ

原文 曽己部宇乃 可者奈美和計天 以利奴留可 万川本止寸幾天 美衛寸毛安留可那

和歌 そこへうの かはなみわけて いりぬるか まつほとすきて みえすもあるかな

読下 そこへうのかは浪わけていりぬるかまつほとすきて見えすもあるかな

解釈 水底に潜る鵜は川浪を分けて、潜ってしまったのか、いくら待っても姿が見えないままです。

注意 初句と二句目に、へうのかは(豹の皮)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 426

詞書 かのかはのむかはき

詠人 すけみ

原文 加乃加者乃 武可者幾寸幾天 布可々良波 和多良天多々尓 加部留者可利曽

和歌 かのかはの むかはきすきて ふかからは わたらてたたに かへるはかりそ

読下 かのかはのむかはきすきてふかからはわたらてたたにかへるはかりそ

解釈 あの川の水深は脛よりも深いから、渡らないままで帰るばかりです。

注意 初句と二句目に、かのかはのむかはき(鹿の皮の行縢)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 427

詞書 かのえさる

詠人 すけみ

原文 可乃恵左累 布祢万天之波之 己止々者无 於幾乃之良奈美 万多堂々奴万尓

和歌 かのえさる ふねまてしはし こととはむ おきのしらなみ またたたぬまに

読下 かのえさる舟まてしはし事とはんおきのしらなみまたたたぬまに

解釈 あの入り江を去って行く舟、待って、しばしの間、事を尋ねたい、沖の白浪がまだ立たない内に。

注意 初句に、かのえさる(庚申)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 428 拾遺抄記載

詞書 かのと、といふことを

詠人 恵慶法師

原文 左遠之加乃 止毛万止者世留 己恵寸奈利 川万也己比之幾 安幾乃也万部尓

和歌 さをしかの ともまとはせる こゑすなり つまやこひしき あきのやまへに

読下 さをしかの友まとはせる声すなりつまやこひしき秋の山へに

解釈 牡鹿が友を惑わせる声がします、妻が恋しくなる秋の山辺に。

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拾遺和歌集 巻7 歌番号419から423まで

2024年10月31日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻7

歌番号 419

詞書 むなくるま

詠人 すけみ

原文 堂可々比乃 万多毛己奈久尓 徒奈幾以奴乃 者奈礼天以可武 奈久留末川本止

和歌 たかかひの またもこなくに つなきいぬの はなれてゆかむ なくるまつほと

読下 たかかひのまたもこなくにつなきいぬのはなれていかむ汝くるまつほと

解釈 狩りの鷹飼がまだも来なくて、綱に繋いだ犬は離れて行ってしまうだろう、貴方がやって来るのを待つ間に。

注意 四句と末句に、むなくるま(空車)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 420 拾遺抄記載

詞書 いかるかにけ

詠人 みつね

原文 己止曽止毛 幾々多尓和可寸 和利奈久毛 比止乃伊可留可 尓計也之奈末之

和歌 ことそとも ききたにわかす わりなくも ひとのいかるか にけやしなまし

読下 ことそともききたにわかすわりなくも人のいかるかにけやしなまし

解釈 どのような事なのかと、聞き分けもしないで、訳もなく人が怒るので、逃げてしまおうか。

注意 四句と末句に、いかるかにけ(斑鳩二毛)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 421

詞書 ねすみの、ことのはらに、こをうみたるを

詠人 すけみ

原文 止之遠部天 幾美遠乃美己曽 祢寸美川礼 己止波良尓也八 己遠者宇武部幾

和歌 としをへて きみをのみこそ ねすみつれ ことはらにやは こをはうむへき

読下 年をへて君をのみこそねすみつれことはらにやはこをはうむへき

解釈 長年に渡って貴女だけをと共寝をしてきた、別の女の腹に子を産ますことがあるでしょうか。

注意 三句目の、ねすみ、四句目の、ことはらに、末句の、こをはうむ、の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 422

詞書 月のきぬをきて侍りけるに

詠人 すけみ

原文 飛左可多乃 川幾乃幾奴遠者 幾多礼止毛 比可利八曽八奴 和可三奈利个里

和歌 ひさかたの つきのきぬをは きたれとも ひかりはそはぬ わかみなりけり

読下 久方のつきのきぬをはきたれともひかりはそはぬわか身なりけり

解釈 遥か彼方の月の衣を着ましたが、光を身に纏わない我が身でありました。

注意 二句目から三句目の、つきのきぬをはき、の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 423

詞書 きさのきのはこ

詠人 すけみ

原文 世止々毛尓 之本也久安万乃 堂恵世祢者 奈幾左乃幾乃波 己可礼天曽知留

和歌 よとともに しほやくあまの たえせねは なきさのきのは こかれてそちる

読下 世とともにしほやくあまのたえせねはなきさのきのはこかれてそちる

解釈 世の移り替りと共に塩を焼く海人が絶えることが無いので、渚の木の葉は焦がれて散ります。

注意 四句と末句に、きさのきのはこ(象牙細工の箱)の言葉の文字が取られています。

 

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拾遺和歌集 巻7 歌番号414から418まで

2024年10月30日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻7

歌番号 414 拾遺抄記載

詞書 さはやけ

詠人 よみ人しらす

原文 者留可世乃 遣佐者也遣礼者 宇久飛寸乃 者奈乃己呂毛々 本己呂日尓个利

和歌 はるかせの けさはやけれは うくひすの はなのころもも ほころひにけり

読下 春風のけさはやけれは鴬の花の衣もほころひにけり

解釈 春風が吹く今朝は風が速いので、鶯が飛び来る花の衣もほころび咲きました。

注意 二句目で、さはやけ(黄菜)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 415

詞書 まかり

詠人 よみ人しらす

原文 可須美和遣 以末可利可部留 毛乃奈良八 安幾久留万天八 己比也和多良无

和歌 かすみわけ いまかりかへる ものならは あきくるまては こひやわたらむ

読下 霞わけいまかり帰る物ならは秋くるまてはこひやわたらん

解釈 霞を分けて、今、雁が北へと帰って行くものならば、戻って来る秋が来るまでは、恋い続けることでしょう。

注意 二句目で、まかり(環餅:まがりもちい)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 416 拾遺抄記載

詞書 とち、ところ、たちはな

詠人 すけみ

原文 遠毛不止知 止己呂毛加部寸 々美部奈无 多知者那礼奈者 己比之可留部之

和歌 おもふとち ところもかへす すみへなむ たちはなれなは こひしかるへし

読下 思ふとちところもかへすすみへなんたちはなれなはこひしかるへし

解釈 気の合った者同士が場所を変えることもなく住み続けたいものです、離れ離れになると互いが恋しくなるでしょうから。

注意 初句に、とち(橡)、二句目に、ところ(野老)、四句目に、たちはな(橘)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 417

詞書 くちはいろのをしき

詠人 すけみ

原文 安之比幾乃 也万乃己乃者能 於知久知波 以呂乃於之幾曽 安八礼奈利个留

和歌 あしひきの やまのこのはの おちくちは いろのをしきそ あはれなりける

読下 あしひきの山のこのはのおちくちはいろのをしきそあはれなりける

解釈 葦や檜の生える奥深い山の木の葉が散り落ち朽ちたら、紅葉した色に心残りで、風情を感じます。

注意 三句と四句目に、くちはいろのをしき(朽葉色の折敷)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 418 拾遺抄記載

詞書 あしかなへ

詠人 すけみ

原文 徒乃久尓乃 奈尓者和多利尓 川久留田八 安之可奈部可止 衛己曽美和可子

和歌 つのくにの なにはわたりに つくるたは あしかなへかと えこそみわかね

読下 つのくにのなにはわたりにつくる田はあしかなへかとえこそ見わかね

解釈 津の国の難波の辺りに作る田は、葦か稲苗かと、それと見分けることが出来ません。

注意 四句目に、あしかなへ(鼎の鍋)の言葉の文字が取られています。

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拾遺和歌集 巻7 歌番号409から413まで

2024年10月29日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻7

歌番号 409

詞書 火ほしのあゆ

詠人 すけみ

原文 久毛万与比 保之乃阿遊久止 美恵川留八 保堂留乃曽良尓 止不尓曽安利个留

和歌 くもまよひ ほしのあゆくと みえつるは ほたるのそらに とふにそありける

読下 雲まよひほしのあゆくと見えつるは蛍のそらにとふにそ有りける

解釈 雲が乱れ迷い、星が揺れ動くと見えたのは、蛍が空に飛んでいるからでした。

注意 初句、二句目で、火ほしのあゆ(日干しの鮎:押鮎)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 410

詞書 おしあゆ

詠人 すけみ

原文 波之多可乃 遠幾恵尓世无止 加末部多留 於之安由可寸奈 祢寸美止留部久

和歌 はしたかの をきゑにせむと かまへたる おしあゆかすな ねすみとるへく

読下 はしたかのをきゑにせんとかまへたるおしあゆかすなねすみとるへく

解釈 はし鷹の置き餌にしようと用意したネズミ捕り機を動かすな、鼠を捕りたいから。

注意 四句目で、おしあゆ(押鮎)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 411 拾遺抄記載

詞書 つつみやき

詠人 すけみ

原文 和幾毛己可 三遠寸天之与利 左留左八乃 以計乃徒々美也 幾美八己比之幾

和歌 わきもこか みをすてしより さるさはの いけのつつみや きみはこひしき

読下 わきもこか身をすてしよりさるさはの池のつつみやきみはこひしき

解釈 愛しい采女が身投げした猿沢の池の堤、きっと、帝は貴女を恋しいと思うでしょう。

注意 四句、末句で、つつみやき(包み焼き)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 412 拾遺抄記載

詞書 うるかいり

詠人 しけゆき

原文 己乃以部者 宇累可以里天毛 美天之可奈 安留之奈可良毛 加者无止曽遠毛飛

和歌 このいへは うるかいりても みてしかな あるしなからも かはむとそおもふ

読下 この家はうるかいりても見てしかなあるしなからもかはんとそ思ふ

解釈 この屋敷は売るのだろうか、中に入って見て行こう、私の主ともども屋敷を買おうと思う。

注意 二句目で、うるかいり(鮎のうるか煎り)の言葉の文字が取られています。

 

歌番号 413

詞書 したたみ

詠人 よみ人しらす

原文 安徒万尓天 也之奈者礼多留 比止乃己者 志多々美天己曽 毛乃者以飛个礼

和歌 あつまにて やしなはれたる ひとのこは したたみてこそ ものはいひけれ

読下 あつまにてやしなはれたる人のこはしたたみてこそ物はいひけれ

解釈 東国にあって養われた他人の子供は、言葉が訛って物を言います。

注意 四句目で、したたみ(タニシ)の言葉の文字が取られています。

 

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