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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻5 歌番号298から300まで

2024年09月26日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻5

歌番号 298 拾遺抄記載

詞書 かかみいさせ侍りけるうらに、つるのかたをいつけさせ侍りて

詠人 伊勢

原文 千止世止毛 奈尓可以乃良无 宇良尓寸武 太川乃宇部遠曽 美留部加利个留

和歌 ちとせとも なにかいのらむ うらにすむ たつのうへをそ みるへかりける

読下 千とせともなにかいのらんうらにすむたつのうへをそ見るへかりける

解釈 最初からの千歳の寿命としても、何かに祈りましょうか、鏡の裏に鋳た、浦に住む鶴の姿にあやかって、千歳の鶴に千歳の命を見るべきなのでしょう。

 

歌番号 299 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 幾美可世者 安満乃者己呂毛 万礼尓幾天 奈徒止毛徒幾奴 以者本奈良奈无

和歌 きみかよは あまのはころも まれにきて なつともつきぬ いはほならなむ

読下 きみか世はあまのは衣まれにきて撫づともつきぬ巌ならなん

解釈 君の世の長さ(寿命)は、天の羽衣も天女が稀に降り来て、優しく撫でるともすり減り尽きることが無い、巌のようであります。

 

歌番号 300

詞書 賀の屏風に

詠人 もとすけ

原文 宇己幾奈幾 以者本乃者天毛 幾美曽美武 遠止女乃曽天乃 奈天徒久寸万天

和歌 うこきなき いはほのはても きみそみむ をとめのそての なてつくすまて

読下 うこきなきいはほのはてもきみそ見むをとめのそてのなてつくすまて

解釈 動くことの無い巌が消え果てるまでも、君だけは見るでしょう、羽衣の天女の乙女がその巌を撫で尽くす様を。

 

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拾遺和歌集 巻5 歌番号293から297まで

2024年09月25日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻5

歌番号 293 拾遺抄記載

詞書 承平四年、中宮の賀し侍りける屏風

詠人 参議伊衡

原文 美曽幾之天 遠毛飛己止遠曽 以乃利川留 也保与呂川与乃 加美乃万尓/\

和歌 みそきして おもふことをそ いのりつる やほよろつよの かみのまにまに

読下 みそきして思ふ事をそ祈りつるやほよろつよの神のまにまに

解釈 禊して、心に願うことを祈りました、その証は八百万の世にいます神の御心のままに。

 

歌番号 294 拾遺抄記載

詞書 天暦の御時、前栽のえんせさせ給ひける時

詠人 小野宮太政大臣

原文 与呂徒世尓 加者良奴者奈乃 以呂奈礼者 以川礼乃安幾可 幾美可美左良无

和歌 よろつよに かはらぬはなの いろなれは いつれのあきか きみかみさらむ

読下 よろつ世にかはらぬ花の色なれはいつれの秋かきみか見さらん

解釈 万世に変わらない花の色でありますので、いづれの秋だとして決めて、貴方がご覧になることは無いでしょう。まず、万世の毎年にご覧になるでしょう。

 

歌番号 295 拾遺抄記載

詞書 廉義公家にて人人にうたよませ侍りけるに、くさむらのなかのよるのむしといふ題を

詠人 平兼盛

原文 知止世止曽 久左武良己止尓 幾己由奈留 己也万川武之乃 己恵尓八安留良无

和歌 ちとせとそ くさむらことに きこゆなる こやまつむしの こゑにはあるらむ

読下 ちとせとそ草むらことにきこゆなるこや松虫のこゑにはあるらん

解釈 千歳、千歳(ちろり、ちろち)とばかりに草むら毎に鳴き声が聞こえる、これは(常緑の松にあやかる)松虫の声なのだろうか。

 

歌番号 296 拾遺抄記載

詞書 右大臣源のひかるの家に、前栽あはせし侍りけるまけわさを、うとねりたちはなのすけみかし侍りける、ちとりのかたつくりて侍りけるに、よませ侍りける

詠人 つらゆき

原文 堂可止之乃 加寸止可者美武 由幾可部利 知止利奈久奈留 者万乃万左己遠

和歌 たかとしの かすとかはみむ ゆきかへり ちとりなくなる はまのまさこを

読下 たが年のかすとかは見むゆきかへり千鳥なくなるはまのまさこを

解釈 どなたの年の数と思えばいいのでしょうか、行き帰りして浜を歩く浜千鳥が鳴いている、その浜の真砂の数を。

注意 詞書の右大臣源光は、当然、同じ時代人ですが源氏物語とは関係がありません。

 

歌番号 297

詞書 天暦の御時、清慎公御ふえたてまつるとて、よませ侍りけれは

詠人 よしのふ

原文 於以曽武留 祢与利曽志留幾 布恵多个乃 寸恵乃世奈可久 奈良无毛乃止八

和歌 おひそむる ねよりそしるき ふえたけの すゑのよなかく ならむものとは

読下 おひそむるねよりそしるきふえ竹のすゑの世なかくならん物とは

解釈 芽生えて育つ根により気づかされる、笛竹の元の節目が長く音が鳴る、その言葉の響きではありませんが、貴方のこれからの世が長くなるものであります。

 

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拾遺和歌集 巻5 歌番号288から292まで

2024年09月24日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻5

歌番号 288 拾遺抄記載

詞書 亭子院歌合に

詠人 みつね

原文 三知止世尓 奈留天不毛々乃 己止之与利 者奈左久者留尓 安比尓个留可奈

和歌 みちとせに なるてふももの ことしより はなさくはるに あひにけるかな

読下 みちとせになるてふもものことしより花さく春にあひにけるかな

解釈 三千年に一度、実がなると言う桃が、今年から花が咲く、その春に出逢ったものです。

注意 中国故事「此桃非世間所有、三千年一実耳云々」を踏まえたもの。

 

歌番号 289 拾遺抄記載

詞書 康保三年、内裏にて子の日せさせ給ひけるに、殿上のをのことも和歌つかうまつりけるに

詠人 藤原のふかた

原文 女川良之幾 知与乃者之女乃 祢乃比尓八 満川个不遠己曽 比久部可利个礼

和歌 めつらしき ちよのはしめの ねのひには まつけふをこそ ひくへかりけれ

読下 めつらしきちよのはしめの子の日にはまつけふをこそひくへかりけれ

解釈 素晴らしい、この千代を祝う歳の始めの子の日の祭りには、まず、今日をこそ、命の勢いの象徴である小松の根を引くべきであります。

 

歌番号 290 拾遺抄記載

詞書 小野宮太政大臣家にて子の日し侍りけるに、下らふに侍りける時、よみ侍りける

詠人 三条太政大臣

原文 由久寸恵毛 祢乃比乃万川乃 多女之尓八 幾美可知止世遠 飛可武止曽遠毛飛

和歌 ゆくすゑも ねのひのまつの ためしには きみかちとせを ひかむとそおもふ

読下 ゆくすゑも子の日の松のためしには君かちとせをひかむとそ思ふ

解釈 これからも先、子の日の松の千歳の長寿の証として、貴方の千歳のような長寿を引き合いにしようと思います。

 

歌番号 291 拾遺抄記載

詞書 延喜の御時、御屏風に

詠人 つらゆき

原文 万川遠乃美 止幾波止遠毛飛尓 与止々毛尓 奈可寸以川三毛 美止利奈利个利

和歌 まつをのみ ときはとおもふに よとともに なかすいつみも みとりなりけり

読下 松をのみときはと思ふに世とともになかす泉もみとりなりけり

解釈 松だけを常盤と思っていましたが、世が経るとともに流れ出る泉からの流れの玉藻も常緑の緑でありました。

 

歌番号 292 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 美奈川幾乃 奈己之乃波良部 須留比止者 知止世乃以乃知 乃不止以不奈利

和歌 みなつきの なこしのはらへ するひとは ちとせのいのち のふといふなり

読下 みな月のなこしのはらへする人は千とせのいのち延ぶといふなり

解釈 六月の夏越の祓いをする人は、千歳の命が延びると言います。

 

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拾遺和歌集 巻5 歌番号283から287まで

2024年09月23日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻5

歌番号 283 拾遺抄記載

詞書 権中納言敦忠、母の賀し侍りけるに

詠人 源公忠朝臣

原文 与呂徒世毛 奈本己曽安可祢 幾美可多女 於毛飛己々呂乃 加幾利奈个礼者

和歌 よろつよも なほこそあかね きみかため おもふこころの かきりなけれは

読下 よろつ世も猶こそあかね君かため思ふ心のかきりなけれは

解釈 万代の世に生きても、猶、飽きることの無いでしょう、その貴女のために長命であって欲しいと願う気持ちに限りはありません。

 

歌番号 284 拾遺抄記載

詞書 五条内侍のかみの賀、民部卿清貫し侍りける時、屏風に

詠人 伊勢

原文 於保曽良尓 武礼多留堂川乃 佐之奈可良 於毛飛己々呂乃 安利計奈留可奈

和歌 おほそらに むれたるたつの さしなから おもふこころの ありけなるかな

読下 おほそらにむれたるたつのさしなから思ふ心のありけなるかな

解釈 大空に群れて飛ぶ鶴が飛ぶ方向を指す、その言葉の響きのような、然しながら(そうではありますが)、目出度い鶴もまた私と同じように貴女の長命を鶴の齢のように願う気持ちがあるのでしょう。

 

歌番号 285 拾遺抄記載

詞書 五条内侍のかみの賀、民部卿清貫し侍りける時、屏風に

詠人 伊勢

原文 者留乃野乃 和可奈々良祢止 幾美可多女 止之乃加寸遠毛 川万无止曽遠毛飛

和歌 はるののの わかなならねと きみかため としのかすをも つまむとそおもふ

読下 春の野のわかなならねときみかため年のかすをもつまんとそ思ふ

解釈 春の野の若菜摘みではありませんが、貴女のために、春の芽吹きの命の勢いを頂く春菜摘みのように、貴女は長命の歳の数をも積むと思います。

 

歌番号 286 拾遺抄記載

詞書 天徳三年、内裏に花の宴せさせ給ひけるに

詠人 九条右大臣

原文 佐久良者奈 己世飛加佐之尓 佐之奈可良 加久天知止世乃 者留遠己曽部女

和歌 さくらはな こよひかさしに さしなから かくてちとせの はるをこそへめ

読下 さくら花今夜かさしにさしなからかくてちとせの春をこそへめ

解釈 桜の花、今夜は花を簪に挿しながら、このようにして千歳を祝う春の宴を過ごしましょう。

 

歌番号 287 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 加徒美川々 知止世乃者留遠 寸久寸止毛 以徒可八者奈乃 以呂尓安久部幾

和歌 かつみつつ ちとせのはるを すくすとも いつかははなの いろにあくへき

読下 かつ見つつちとせの春をすくすともいつかは花の色にあくへき

解釈 このように眺めながら千歳の春を過ごしたとしても、いつかは花の色合いに飽きることがあるでしょうか。いや、そのようなことはありません。

 

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拾遺和歌集 巻5 歌番号278から282まで

2024年09月20日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻5

歌番号 278

詞書 清慎公、五十の賀し侍りける時の屏風に

詠人 もとすけ

原文 安遠也幾乃 三止利乃以止遠 久利可衛之 以久良者可利乃 者留遠部奴良无

和歌 あをやきの みとりのいとを くりかへし いくらはかりの はるをへぬらむ

読下 あをやきの緑の糸をくり返しいくらはかりのはるをへぬらん

解釈 青柳の枝の緑を糸として繰る、その言葉の響きのように、繰り返しどれほどの春の訪れを経たのでしょうか。

 

歌番号 279 拾遺抄記載

詞書 清慎公、五十の賀し侍りける時の屏風に

詠人 かねもり

原文 和可也止尓 佐遣留佐久良乃 者奈左可利 知止世美留止毛 安可之止曽遠毛飛

和歌 わかやとに さけるさくらの はなさかり ちとせみるとも あかしとそおもふ

読下 わかやとにさけるさくらの花さかりちとせ見るともあかしとそ思ふ

解釈 私の屋敷に咲いている桜の花は盛りです、これから貴方が千歳を繰り返し眺めても飽きることは無いと思います。

 

歌番号 280 拾遺抄記載

詞書 おなし人の七十賀し侍りけるに、竹のつゑをつくりて

詠人 よしのふ

原文 幾美可多女 遣不幾留多遣乃 川恵奈礼者 万多毛川幾世奴 与々曽己毛礼留

和歌 きみかため けふきるたけの つゑなれは またもつきせぬ よよそこもれる

読下 君かためけふきる竹の杖なれはまたもつきせぬ世世そこもれる

解釈 貴方のために今日に切った竹の杖ではありますが、今日を区切りとしてまだこれからも尽くさない、世々が竹の杖に願い籠っています。

 

歌番号 281 拾遺抄記載

詞書 おなし人の七十賀し侍りけるに、竹のつゑをつくりて

詠人 よしのふ

原文 久良為也万 美祢万天川个留 川恵奈礼止 以満与呂川与乃 佐可乃多女奈利

和歌 くらゐやま みねまてつける つゑなれと いまよろつよの さかのためなり

読下 位山峯まてつける杖なれと今よろつよのさかのためなり

解釈 飛騨にある位山、その峯の頂まで突いた杖ですが、今は位を極めた貴方がこの後の万代の命の坂を峯まで登り極めるためにあります。

 

歌番号 282 拾遺抄記載

詞書 一条摂政、中将に侍りける時、父の大臣の五十賀し侍りける屏風に

詠人 小野好古朝臣

原文 布久可世尓 与曽乃毛美知者 知利久礼止 幾美可止幾者乃 可个曽乃止个幾

和歌 ふくかせに よそのもみちは ちりくれと きみかときはの かけそのとけき

読下 吹く風によその紅葉はちりくれと君かときはの影そのとけき

解釈 吹く風に他の屋敷の紅葉は散ってしまいましたが、貴方の常盤のお姿は散る心配もなく安心していられます。

 

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