竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
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万葉集 集歌121から集歌125

2020年01月30日 | 新訓 万葉集
集歌一二一 
原文 暮去者 塩満来奈武 住吉乃 淺鹿乃浦尓 玉藻苅手名
訓読 夕さらば潮満ち来なむ住吉(すみのえ)の浅香(あさか)の浦に玉藻刈りてな
私訳 夕方になれば潮が満ちて来るでしょう、その住吉の浅香の浦で美しい玉藻(=女性の比喩)を刈りたいものです。

集歌一二二 
原文 大船之 泊流登麻里能 絶多日二 物念痩奴 人能兒故尓
訓読 大船し泊(は)つる泊(とま)りのたゆたひに物思ひ痩(や)せぬ人の児故(ゆえ)に
私訳 大船が停泊する湊で大船が揺れ動くように、あれこれと物思いをして痩せてしまった。私の思い通りにならない貴女のために。
注意 原文の「人能兒故尓」の「人」は、「私」と「他の人」との相対関係で捉えています。特定の他人の意味ではありません。

三方沙弥娶園臣生羽之女、未經幾時臥病作謌三首
標訓 三方(みかたの)沙弥(さみ)の園(そのの)臣(おみ)生羽(いくは)の女(むすめ)を娶(ま)きて、いまだ幾(いくばく)の時を経ずして病に臥して作れる歌三首
集歌一二三 
原文 多氣婆奴礼 多香根者長寸 妹之髪 此来不見尓 掻入津良武香 (三方沙弥)
訓読 束(た)けば解(ぬ)れ束(た)かねば長き妹し髪このころ見ぬに掻(か)き入れつらむか
私訳 束ねると解け束ねないと長い、まだとても幼い恋人の髪。このころ見ないのでもう髪も伸び櫛で掻き入れて束ね髪にしただろうか。

集歌一二四 
原文 人皆者 今波長跡 多計登雖言 君之見師髪 乱有等母 (娘子)
訓読 人皆(ひとみな)は今は長しと束(た)けと言へど君し見し髪乱れたりとも
私訳 他の人は、今はもう長いのだからお下げ髪を止めて束ねなさいと云うけれども、貴方が御覧になった髪ですから、乱れたからと云ってまだ束ねはしません。

集歌一二五 
原文 橘之 蔭履路乃 八衢尓 物乎曽念 妹尓不相而 (三方沙弥)
訓読 橘し蔭(かげ)履(ふ)む路の八衢(やちまた)に物をぞ念(おも)ふ妹に逢はずに
私訳 橘の木陰の下の人が踏む分かれ道のように想いが分かれて色々と心配事が心にうかびます。愛しい恋人に逢えないままに。
コメント
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