竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

再読、今日のみそひと歌 金

2016年09月30日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと歌 金

集歌112 古尓 戀良武鳥者 霍公鳥 盖哉鳴之 吾戀流其騰
訓読 古(いにしへ)に恋ふらむ鳥は霍公鳥(ほととぎす)けだしや鳴きし吾(わ)が恋(こ)ふるそと
私訳 昔を恋しがる鳥は霍公鳥です。さぞかし鳴いたでしょう。私がそれを恋しく思っているように。

集歌113 三吉野乃 玉松之枝者 波思吉香聞 君之御言乎 持而加欲波久
訓読 み吉野の玉松(たままつ)し枝(え)は愛(は)しきかも君し御言(みこと)を持ちに通はく
私訳 み吉野の美しい松の枝は愛しいものです。物言わぬその松の枝自身が、貴方の御言葉を持って来るように遣って来ました。

集歌114 秋田之 穂向乃所縁 異所縁 君尓因奈名 事痛有登母
訓読 秋し田し穂(ほ)向(むき)のそ寄る片寄りに君に寄りなな事痛(こちた)くありとも
私訳 秋の田の実った穂がきっと風に靡き寄るように、貴方に私の慕う気持ちを寄せたい。貴方にとって面倒なことであったとしても。

集歌115 遺居与戀管不有者 追及武 道之阿廻尓 標結吾勢
訓読 遣(す)て居(い)よと恋ひつつあらずは追ひ及かむ道し隈廻(くまみ)に標(しめ)結(ゆ)へ吾が背
私訳 「家に残って居なさい」と、私の家にやって来て、このまま恋の証を見せてくれないのなら、旅行く貴方の跡を追っていきましょう。追って行く私の為に道の曲がり角毎に目印を結んで下さい。私の愛しい貴方。

集歌116 人事乎 繁美許知痛美 己世尓 未渡 朝川渡
訓読 人(ひと)事(こと)を繁み事痛(こちた)み己(おの)が世にいまだ渡らぬ朝(あさ)川(かは)渡る
私訳 この世の中は人がするべき雑用が沢山あり非常に煩わしく思い、私の生涯で未だした事がなかった、朝に、十王経に示す煩悩地獄の川を渡りましょう。

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再読、今日のみそひと歌 木

2016年09月29日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと歌 木

集歌107 足日木乃 山之四付二 妹待跡 吾立所沽 山之四附二
訓読 あしひきの山し雌伏(しふく)に妹待つと吾(われ)立(た)そ沽(か)れ山し雌伏に
私訳 「葦や檜の茂る山の裾野で愛しい貴女を待っている」と伝えたので、私は辛抱してじっと立ったままで貴女が忍んで来るの待っています。その山の裾野で。
注意 原歌四句目は古書では「吾立所沽」であって、「吾立所沾」ではありません。現在は意訳が出来ないとして「沽」を「沾」と校訂し、想定した訳文に沿わせています。

集歌108 吾乎待跡 君之沽計武 足日木能 山之四附二 成益物乎
訓読 吾を待つと君し沽(か)れけむあしひきの山し雌伏(しふく)に成らましものを
私訳 「私を待っている」と貴方がじっと辛抱して待っている、その葦や檜の生える山の裾野に私が行ければ良いのですが。
注意 原歌三句目は古書では「君之沽計武」であって、「君之沾計武」ではありません。現在は意訳が出来ないとして「沽」を「沾」と校訂し、想定した訳文に沿わせています。

集歌109 大船之 津守之占尓 将告登波 益為尓知而 我二人宿之
訓読 大船し津守し占に告らむとはまさしに知りに我が二人宿(ね)し
私訳 大船が泊まるという難波の湊の住吉神社の津守の神のお告げに出て人が知ってしまったように、貴女の周囲の人が、私が貴女の夫だと噂することを確信して、私は愛しい貴女と同衾したのです。

集歌110 大名兒 彼方野邊尓 苅草乃 束之間毛 吾忘目八
訓読 大名児(おほなご)を彼方(をちかた)野辺(のへ)に刈る草(かや)の束(つか)し間(あひだ)も吾(われ)忘れめや
私訳 大名児よ。新嘗祭の準備で忙しく遠くの野辺で束草を刈るように、ここのところ逢えないが束の間も私は貴女を忘れることがあるでしょうか。

集歌111 古尓 戀流鳥鴨 弓絃葉乃 三井能上従 渡遊久
訓読 古(いにしへ)に恋ふる鳥かも弓絃葉(ゆづるは)の御井(みゐ)の上より渡り遊(あそ)びく
私訳 昔を恋うる鳥だろうか、弓絃葉の御井の上をあちこちと飛び渡っていく

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再読、今日のみそひと歌 水

2016年09月28日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと歌 水

集歌102 玉葛 花耳開而 不成有者 誰戀尓有目 吾孤悲念乎
訓読 玉(たま)葛(かづら)花のみ咲きに成らざるは誰が恋にあらめ吾(わ)が恋ひ念(も)ふを
私訳 美しい藤蔓の花のような言葉の花だけがたくさんに咲いただけで、実際に恋の実が実らなかったのは誰の恋心でしょうか。私は貴方の私への恋心を感じていましたが。

集歌103 吾里尓 大雪落有 大原乃 古尓之郷尓 落巻者後
訓読 吾(わ)が里に大雪降(ふ)れり大原の古(ふ)りにし里に降らまくは後(のち)
私訳 わが明日香の里に大雪が降っている、遠く離れたお前の里の(明日香の)大原の古びた里に雪が降るのはもっと後だね。

集歌104 吾岡之 於可美尓言而 令落 雪之摧之 彼所尓塵家武
訓読 吾(わ)が岡し御神(をかみ)に言ひに落(ふ)らしめし雪し摧(くだ)けし其処(そこ)に散りけむ
私訳 私の里にある丘に祭られる御神である竜神に言いつけた、その降らせた雪のかけらが、そちらに散ったのでしょう。

集歌105 吾勢枯乎 倭邊遺登 佐夜深而 鷄鳴露尓 吾立所霑之
訓読 吾が背子を大和へ遣るとさ夜更けに鷄(かけ)鳴(な)く露に吾(われ)立ちそ濡れし
私訳 私の愛しい貴方を大和へと見送ろうと思うと、二人の夜はいつしか深けてしまった、その鶏が鳴く早朝に去って往く貴方を見送る私は夜露にも立ち濡れてしまいました。

集歌106 二人行杼 去過難寸 秋山乎 如何君之 獨越武
訓読 二人行けど去き過ぎ難き秋山を如何にか君し独り越ゆらむ
私訳 二人で行っても思いが募って往き過ぎるのが難しい秋の二上山を、どのように貴方は私を置いて一人で越えて往くのでしょうか。

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再読、今日のみそひと歌 火

2016年09月27日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと歌 火

集歌97 三薦苅 信濃乃真弓 不引為而 強作留行事乎 知跡言莫君二
訓読 御薦(みこも)刈り信濃(しなの)の真弓(まゆみ)引かずせに強(し)ひさる行事(わさ)を知ると言はなくに
私訳 あの木梨の軽太子は御薦(軽大郎女)を刈られたが、貴方は強弓の信濃の真弓を引きはしないように、無理やりに私を引き寄せて何かを為されてもいませんのに、貴方が無理やりに私になされたいことを、私は貴方がしたいことを知っているとは云へないでしょう。

集歌98 梓弓 引者随意 依目友 後心乎 知勝奴鴨
訓読 梓(あずさ)弓(ゆみ)引かばまにまに依(よ)らめども後(のち)し心を知りかてぬかも
私訳 梓巫女が梓弓を引くによって神依せしたとしても、貴方が私を抱いた後の貴方の心根を私は確かめるができないでしょうよ。

集歌99 梓弓 都良絃取波氣 引人者 後心乎 知人曽引
訓読 梓(あずさ)弓(ゆみ)弦(つら)緒(を)取りはけ引く人は後(のち)し心を知る人ぞ引く
私訳 梓弓に弦を付け弾き鳴らして神を引き寄せる梓巫女は、貴女を抱いた後の私の真心を知る巫女だから神の梓弓を引いて神託(私の真心)を告げるのです。

集歌100 東人之 荷向篋乃 荷之緒尓毛 妹情尓 乗尓家留香問
訓読 東人(あずまひと)し荷前(のさき)し篋(はこ)の荷し緒にも妹し心に乗りにけるかも
私訳 東人が都へと運んできた荷物の入った箱を縛る荷紐の緒にも名前を示す名札を付けるように、貴女への想いに私は名乗りを上げるでしょう。

集歌101 玉葛 實不成樹尓波 千磐破 神曽著常云 不成樹別尓
訓読 玉(たま)葛(かづら)実(み)成(な)らぬ木にはちはやぶる神ぞ着(つ)くといふならぬ樹ごとに
私訳 美しい藤蔓の花の実の成らない木には恐ろしい神が取り付いていると言いますよ。実の成らない木にはどれも。それと同じように、貴女を抱きたいと云う私の思いを成就させないと貴女に恐ろしい神が取り付きますよ。

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再読、今日のみそひと歌 月

2016年09月26日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと歌 月
集歌92 秋山之 樹下隠 逝水乃 吾許曽益目 御念従者
訓読 秋山し樹(こ)し下(した)隠(かく)り逝(ゆ)く水の吾(われ)こそ益(ま)さめ御(おほ)念(も)ひよりは
私訳 秋山の木の下の枯葉に隠れ流れ行く水のように、密やかに思う心は、私の方が勝っています。貴方が私を慕いなされているより。

集歌93 玉匣 覆乎安美 開而行者 君名者雖有 吾名之惜裳
訓読 玉(たま)匣(くしげ)覆ふを安(やす)み開けに行(い)ば君し名はあれど吾(わ)が名し惜しも
私訳 美しい玉のような櫛を寝るときに納める函を覆うように私の心を硬くしていましたが、覆いを取るように貴方に気を許してこの身を開き、その朝が明けきってしまってから貴方が帰って行くと、貴方の評判は良いかもしれませんが、私は貴方とのものとの評判が立つのが嫌です。

集歌94 玉匣 将見圓山乃 狭名葛 佐不寐者遂尓 有勝麻之目
訓読 玉(たま)匣(くしげ)見(み)む円山(まどやま)の狭名(さな)葛(かづら)さ寝(ね)ずはつひに有りかつましめ
私訳 美しい玉のような櫛を寝るときに納める函を開けて見るように貴女の体を開いて抱く、その丸い形の山の狭名葛の名のような丸いお尻の間の翳り。そんな貴女と共寝をしないでいることはあり得ないでしょう。

集歌95 吾者毛也 安見兒得有 皆人乃 得難尓為云 安見兒衣多利
訓読 吾はもや安見児(やすみこ)得たり皆人(みなひと)の得(え)難(か)てに為(す)とふ安見児得たり
私訳 今、私は、本当は安見の名で呼ばれる貴女を抱いて自分のものにすることが出来ました。誰もが恋人にすることが出来ないと云われた貴女は私の愛を受け入れて、本名を教えてくれるような、閨を共にする恋人にすることができました。

集歌96 水薦苅 信濃乃真弓 吾引者 宇真人作備而 不欲常将言可聞
訓読 御薦(みこも)刈り信濃(しなの)の真弓(まゆみ)吾が引かば貴人(うまひと)さびに否(いな)と言はむかも
私訳 あの木梨の軽太子が御薦(軽大郎女)を刈られたように、信濃の真弓を引くように私が貴女の手を取り、体を引き寄せても、お嬢様に相応しい態度で「だめよ」といわれますか。

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