竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

再読、今日のみそひと謌 木

2017年11月30日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 木

集歌1667 為妹 我玉求 於伎邊有 白玉依来 於伎都白浪
訓読 妹しため我玉求む沖辺(おきへ)なる白玉寄せ来(こ)沖つ白浪
私訳 貴女のために私は真珠の玉が欲しい。沖の方から白い真珠の玉を波とともに寄せて来い。沖に立つ美しい玉のような波立つ白浪よ。

集歌1668 白埼者 幸在待 大船尓 真梶繁貫 又将顧
訓読 白崎は幸(さき)をあり待つ大船に真梶(まかぢ)繁(しじ)貫(ぬ)きまたかへり見む
私訳 由良の白崎は御幸のふたたびの訪れを待っている。大船に立派な梶を差し込んで船を出し、また紀伊国の御幸の帰りに見ましょう。

集歌1669 三名部乃浦 塩莫満 鹿嶋在 釣為海人 見戀来六
訓読 三名部(みなべ)の浦潮(しほ)な満ちそね鹿島なる釣りする海人(あま)を見て帰り来(こ)む
私訳 紀伊国の三名部の浦に磯の道を閉ざす潮よ満ちるな。鹿嶋で釣をする海人を見に行って来たいから。

集歌1670 朝開 滂出而我者 湯羅前 釣為海人乎 見反将来
訓読 朝(あさ)開(ひら)き漕ぎ出に我は由良(ゆら)し崎釣りする海人(あま)を見返(みかへ)り来まむ
私訳 朝が開け船を漕ぎ出すと、私は由良の岬で釣をする海人の色々な姿を見ることが出来るでしょう。

集歌1671 湯羅乃前 塩乾尓祁良乎志 白神之 磯浦箕乎 敢而滂動
訓読 由良(ゆら)の崎潮(しほ)干(ひ)にけらをし白神(しらかみ)し磯し浦廻(うらみ)を敢(あ)へに漕ぐなり
私訳 由良の岬の潮は引き潮のようです。白浪が打ち寄せる白神の磯の浦の辺りを、敢えて船を楫を漕いでいく。

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再読、今日のみそひと謌 水

2017年11月29日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 水

集歌1662 沫雪之 可消物乎 至今 流經者 妹尓相曽
訓読 沫雪(あわゆき)し消(け)ぬべきものを今までに流らへぬるは妹に逢はむそ
私訳 沫雪のように恋心はすぐに融けて消えてしまうはずなのに、今に至るまで心に残り胸の内を流れ続けるのは愛しい恋人に逢いたいがため。

集歌1663 沫雪乃 庭尓零敷 寒夜乎 手枕不纒 一香聞将宿
訓読 沫雪(あわゆき)の庭に降り敷き寒(さむ)き夜を手枕(たまくら)纏(ま)かず独(ひと)りかも寝(ね)む
私訳 沫雪が庭に降り積もり寒い夜を、恋人の手枕を身に絡めることなく独りだけで寝る。

集歌1664 暮去者 小椋山尓 臥鹿之 今夜者不鳴 寐家良霜
訓読 夕されば小倉し山に臥す鹿し今夜は鳴かず寝ねにけらしも
私訳 夕方になると小倉の山に棲む鹿が、今宵は鳴かない。もう、棲家で寝てしまったようだ。

集歌1665 為妹 吾玉拾 奥邊有 玉縁持来 奥津白波
訓読 妹しためわれ玉拾ふ沖辺なる玉寄せ持ち来(き)沖つ白波
私訳 愛しい恋人のために私は玉を拾う。沖辺にある玉を寄せ持って来る沖の白波よ。

集歌1666 朝霧尓 沾尓之衣 不干而 一哉君之 山道将越
訓読 朝霧に濡れにし衣干さずしに独りや君し山道(やまぢ)越ゆらむ
私訳 朝霧に濡れた衣を干すこともなく、独りで貴方が山道を越えて行くようです。

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再読、今日のみそひと謌 火

2017年11月28日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 火

集歌1657 官尓毛 縦賜有 今夜耳 将欲酒可毛 散許須奈由米
訓読 官(つかさ)にも許(ゆる)したまへり今夜(こよひ)のみ飲まむ酒(さけ)かも散りこすなゆめ
私訳 天皇は「酒は禁制」とおっしゃっても、太政官はお許しくださっている。今夜だけ特別に飲む酒です。梅の花よ、決して散ってくれるな。

集歌1658 吾背兒与 二有見麻世波 幾許香 此零雪之 懽有麻思
訓読 吾が背子とふたり見ませば幾許(いくばく)かこの降る雪し嬉しくあらまし
私訳 私の愛しい幼い娘と二人で眺めたら、どれほどに、この降る雪が嬉しかったでしょう。

集歌1659 真木乃於尓 零置有雪乃 敷布毛 所念可聞 佐夜問吾背
訓読 真木の上(へ)に降(ふ)り置ける雪のしくしくもそ念(も)ほゆるかもさ夜(よ)問(と)へ吾が背
私訳 りっぱな木の枝の上に降り積もる雪が次々と積もるでしょう。そのように次から次と貴方を恋い慕っているでしょう。その夜に、私の許に妻問うてください。私の愛しい貴方。

集歌1660 梅花 令落冬風 音耳 聞之吾妹乎 見良久志吉裳
訓読 梅し花落(ち)らす冬風(あらし)し音(おと)しのみ聞きし吾妹(わぎも)を見らくしよしも
私訳 梅の花を散らす冬の嵐の音だけを聞いて、そのような大きく鳴り響く噂に聞いた私の愛しい貴女に遇うのがうれしい。

集歌1661 久方乃 月夜乎清美 梅花 心開而 吾念有公
訓読 久方(ひさかた)の月夜(つくよ)を清(きよ)み梅し花心し開きに吾が念(も)へる公
私訳 遥か彼方の月のその月夜が清らかで、梅の花の花が開くように心の思いを開いて、私がお慕いする貴い御方です。

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再読、今日のみそひと謌 月

2017年11月27日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 月

集歌1652 梅花 折毛不折毛 見都礼杼母 今夜能花尓 尚不如家利
訓読 梅し花折(を)りも折らずも見つれども今夜(こよひ)の花になほ如(し)かずけり
私訳 梅の花の手折ったものや手折らないそのままの花の姿を眺めたとしても、今夜、貴方が訪ねる床に咲く白肌の花には、到底、及びませんよ。

集歌1653 如今 心乎常尓 念有者 先咲花乃 地尓将落八方
訓読 今し如(ごと)心を常に念(おも)へらばまづ咲く花の地(つち)に落(ふ)らめやも
私訳 今のように気持ちを平静に保っていたのなら、人を慕う時に真っ先に咲く恋の花(乙女の体)、その恋の花を地に散らしたでしょうか。

集歌1654 松影乃 淺茅之上乃 白雪乎 不令消将置 言者可聞奈吉
訓読 松蔭(まつかげ)の浅茅(あさぢ)し上の白雪(しらゆき)を消(け)たずて置かむことはかも無き
私訳 松の木陰の浅茅の上の白雪を融け消さないで、そのまま留め置くことは出来ないでしょうか。

集歌1655 高山之 菅葉之努藝 零雪之 消跡可曰毛 戀乃繁鶏鳩
訓読 高山(たかやま)し菅(すが)し葉(は)凌(しの)ぎ降る雪し消(け)ぬと云ふかも恋の繁けく
私訳 高い山で菅の葉を押し靡かせて降る雪のように解けて消えると云うべきか、この貴女を慕う気持ちのときめきを。

集歌1656 酒杯尓 梅花浮 念共 飲而後者 落去登母与之
試訓 酒杯(さかづき)に梅し花浮け思ふどち飲みに後(のち)しは落(ち)りぬともよし
私訳 酒盃に梅の花びらを浮かべ、風流を共にするものが酒を飲んだ後は、花が散ってしまっても良い。

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万葉集 長歌を鑑賞する 集歌3289

2017年11月26日 | 万葉集 長歌を楽しむ
万葉集 長歌を鑑賞する 集歌3289

集歌3289 御佩乎 劔池之 蓮葉尓 渟有水之 徃方無 我為時尓 應相登 相有君乎 莫寐等 母寸巨勢友 吾情 清隅之池之 池底 吾者不忍 正相左右二

<標準的な解釈(「萬葉集 釋注」伊藤博、集英社文庫)>
訓読 御佩(みはかし)を 剣し池し 蓮(はちす)葉(は)に 溜(た)まれる水し ゆくへなみ 我がする時に 逢ふべしと 逢ひたる君を な寝(い)ねそと 母聞(き)こせども 我が心 清隅(きよすみ)の池の 池の底 我れは忘(わす)れじ 直(ただ)に逢ふまでに
標準 お佩きにばる剣の名の剣の池、その池の蓮葉に溜っている水玉がどちらへも行けないように、私がどうしてよいのか途方に暮れている時に、逢うべき定めなのだとのお告げによってお逢いしたあなた、そんなあなたなのに一緒に寝てはいけないと母さんはおっしゃるけど、私の心は、清隅の池のように清く澄んでおり、その池の底のように心の底からあなたを思っている私は、忘れるなんてことを致しますまい、もう一度じかにお逢いできるその日まで。

<西本願寺本万葉集の原文を忠実に訓むときの解釈>
訓読 み佩(はかし)を 剣の池の 蓮(はちす)葉(は)に 溜(た)まれる水の ゆくへなみ 我がする時に 逢ふべしと 逢ひたる君を な寐(い)寝(ね)そと 母聞(き)こせども吾が心 清隅(きよすみ)し池し 池し底 吾れは忍(しの)びず 直(ただ)に逢ふさへに
私訳 貴方が身に帯びる剣の、その剣の池の蓮の葉の上に溜まっている水のように恋の行方を私は知らない。貴方が私のことを恋想う時に私に逢えるはずと私に逢いに来る貴方を、共寝をしてはいけないと母はおっしゃるけれど、私の気持は清隅の池のその池の底の水が絶えないように、私は共寝を断ることに耐えることが出来ない。直接、貴方に逢うからには。
注意 末二句「吾者不忍 正相左右二」の解釈が大きく違います。
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