竹取翁と万葉集のお勉強

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資料編 墨子 巻四 兼愛上

2021年01月31日 | 墨子 原文と訓じ
資料編 墨子 巻四 兼愛上
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https://drive.google.com/file/d/1EDtxXuUTuR1Zvl2GEoflpfXcvL8eL6Yq/view?usp=sharing

《兼愛上》
聖人以治天下為事者也、必知乱之所自起、焉能治之、不知乱之所自起、則不能治。譬之如医之攻人之疾者然、必知疾之所自起、焉能攻之、不知疾之所自起、則弗能攻。治乱者何獨不然、必知乱之所自起、焉能治之、不知乱之所自起、則弗能治。聖人以治天下為事者也、不可不察乱之所自起。
當察乱何自起、起不相愛。臣子之不孝君父、所謂乱也。子自愛不愛父、故虧父而自利。弟自愛不愛兄、故虧兄而自利。臣自愛不愛君、故虧君而自利。此所謂乱也。雖父之不慈子、兄之不慈弟、君之不慈臣、此亦天下之所謂乱也。父自愛也不愛子、故虧子而自利、兄自愛也不愛弟、故虧弟而自利、君自愛也不愛臣、故虧臣而自利。是何也。皆起不相愛。
雖至天下之為盜賊者亦然、盜愛其室不愛其異室、故竊異室以利其室。賊愛其身不愛人、故賊人以利其身。此何也。皆起不相愛。雖至大夫之相乱家、諸侯之相攻國者亦然。大夫各愛其家、不愛異家、故乱異家以利其家、諸侯各愛其國、不愛異國、故攻異國以利其國、天下之乱物具此而已矣。察此何自起。皆起不相愛。
若使天下兼相愛、愛人若愛其身、猶有不孝者乎。視父兄與君若其身、悪施不孝。猶有不慈者乎。視弟子與臣若其身、悪施不慈。故不孝不慈亡有、猶有盜賊乎。故視人之室若其室、誰竊。視人身若其身、誰賊。故盜賊亡有。猶有大夫之相乱家、諸侯之相攻國者乎。視人家若其家、誰乱。視人國若其國、誰攻。故大夫之相乱家、諸侯之相攻國者亡有。
若使天下兼相愛、國與國不相攻、家與家不相乱、盜賊無有、君臣父子皆能孝慈、若此則天下治。故聖人以治天下為事者、悪得不禁悪而勧愛。故天下兼相愛則治、交相悪則乱。故子墨子曰、不可以不勧愛人者、此也。

字典を使用するときに注意すべき文字
起、舉也。猶行也。猶發也。 ゆらいする、おこる、の意あり。
亡、逃也。失也。同無。 なし、の意あり。


《兼愛上》
聖人の天下を治むるを以って事と為す者は、必ず乱の自(よ)りて起(た)つ所を知り、焉(すなは)ち能く之を治め、乱の自(よ)りて起る所を知らずは、則ち治むるは能(あた)はず。之を譬(たとえ)へば医の人の疾(やまい)を攻むものの如くに然(しか)り、必ず疾(やまひ)の自りて起(た)つ所を知り、焉(すなは)ち能く之を攻め、疾(やまい)の自りて起(た)つ所を知らずは、則ち能く攻るはなし。乱を治める者は何ぞ獨り然(しか)らざらむ、必ず乱の自りて起(た)つ所を知り、焉(すなは)ち能く之を治め、乱の自りて起(た)つ所を知らずは、則ち能く治むるはなし。聖人の天下を治めるを以って事と為す者は、乱の自(よ)りて起つ所を察(さっ)せず可(べ)からず。
當(まさ)に乱が何に自(よ)りて起(た)つを察(さっ)せは、相(あい)愛(あい)せざるに起(た)つ。臣子の君父に孝ならざるは、謂う所は乱なり。子が自らを愛し父を愛せずは、故に父を虧(か)き而(しかる)に自(みずか)らを利する。弟が自ら愛し兄を愛せずは、故に兄を虧(か)き而に自(みずか)らを利する。臣が自らを愛し君を愛せずは、故に君を虧(か)き而に自らを利する。此の謂う所は乱なり。父は子を慈(いつく)しまず、兄は弟を慈(いつく)しまず、君は臣を慈(いつく)しまずと雖(いへど)も、此れ亦た天下の謂う所の乱なり。父は自らを愛し子を愛せず、故に子を虧(か)き而に自らを利し、兄が自らを愛し弟を愛せず、故に弟を虧(か)き而に自らを利し、君の自らを愛し臣を愛せず、故に臣を虧(か)き而に自らを利す。是れ何ぞや。皆相(あい)愛(あい)せずに起(おこ)る。
天下の盜賊(とうぞく)を為す者に至ると雖(いへど)も亦た然(しか)り、盜(とう)は其の室を愛し其の異室を愛さず、故に異室を竊(ぬす)みて以って其の室を利す。賊(ぞく)は其の身を愛し人を愛さず、故に賊は人を以って其の身を利する。此れ何ぞや。皆相(あい)愛(あい)せずに起(おこ)る。大夫の家は相(あい)乱(みだ)れ、諸侯が國を相(あい)攻(せ)むるものに至ると雖(いへど)も、亦た然り。大夫は各(おのおの)の其の家を愛し、異家を愛さず、故に異家の乱れを以って其の家を利し、諸侯は各(おのおの)の其の國を愛し、異國を愛さず、故に異國を攻め以って其の國を利し、天下の乱物(らんぶつ)此に具(そな)え而して已(や)まむ。此は何に自(よ)りて起(た)つを察するに、皆相(あい)愛(あい)ぜすに起(おこ)る。
若(も)し天下をして兼(けん)にして相(あい)愛(あい)し、人を愛し其の身を愛するが若(ごと)くなら使(し)めば、猶(なお)不孝の者有らむや。父兄と君とを其の身の若(ごと)く視(み)れば、悪(いずくむ)ぞ不孝を施(な)さむ。猶(なお)慈(いつくし)みならざる者有るや。弟子と臣を其の身の若く視(み)れば、悪(いずくむ)ぞ不慈(ふじ)を施(な)さむ。故に不孝(ふこう)不慈(ふじ)の有ること亡(な)し、猶(なお)盜賊(とうぞく)は有らむや。故に人の室を其の室の若(ごと)く視れば、誰が竊(ぬす)む。人の身を其の身の若(ごと)く視れば、誰か賊せむ。故に盜賊(とうぞく)は有るは亡(な)し。猶(なお)大夫の家の相(あい)乱(みだ)れ、諸侯の國を相(あい)攻(せ)む者は有らむや。人の家を其の家の若(ごと)く視れば、誰か乱(みだ)さむ。人の國を其の國の若(ごと)く視れば、誰か攻めむ。故に大夫の家の相(あい)乱(みだ)れ、諸侯の國を相(あい)攻(せ)むの有るは亡(な)し。
若(も)し天下をして兼(けん)にして相(あい)愛(あい)し、國と國とは相攻めず、家と家とは相乱れず、盜賊の有るを無(な)から使(し)めば、君臣父子は皆能(よ)く孝慈(こうじ)ならむ、此の若(ごと)きに則ち天下は治まる。故に聖人の天下を治めるを以って事と為す者、悪(いずくむ)ぞ悪(あく)を禁じ而して愛を勧(すす)むを得ざらむや。故に天下は兼(けん)にして相(あい)愛(あい)すば則ち治(おさ)まり、交(こもご)も相(あい)悪(にく)めば則ち乱れる。故に子墨子の曰く、以って人を愛するを勧(すす)めざる可からずは、此(こ)れなり。

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万葉集 集歌1428から集歌1432まで

2021年01月29日 | 新訓 万葉集巻八
草香山謌一首
標訓 草香山(くさかやま)の謌一首
集歌一四二八 
原文 忍照 難波乎過而 打靡 草香乃山乎 暮晩尓 吾越来者 山毛世尓 咲有馬酔木乃 不悪 君乎何時 徃而早将見
訓読 おし照る 難波(なには)を過ぎて うち靡く 草香(くさか)の山を 夕暮れに 吾が越え来れば 山も狭(せ)に 咲ける馬酔木(あしび)の 悪(あ)しからぬ 君をいつしか 往(い)きて早見む
私訳 空と海の両方から照り輝く難波を過ぎて、草が靡く草香の山を夕暮れに私が越えて来れば、山の道を狭めるように咲く馬酔木の、その心憎くない貴女に、何時逢えるのか。此の路を行って早く貴女に会いたい。
左注 右一首、依作者微不顕名字
注訓 右の一首は、作る者の微(いや)しきに依りて名字(な)を顕(あら)はさず。

櫻花謌一首并短謌
標訓 櫻花の謌一首并せて短謌
集歌一四二九 
原文 感嬬等之 頭挿乃多米尓 遊士之 蘰之多米等 敷座流 國乃波多弖尓 開尓鶏類 櫻花能 丹穂日波母安奈何 (感は、女+感の当字)
訓読 官嬬(をとめ)らし挿頭(かざし)のために 遊士(みやびを)し蘰(かづさ)しためと 敷き坐(ま)せる 国のはたてに 咲きにける 桜し花の 色付(にほひ)はもあなか
私訳 宮女達が髪に刺すために、風流な男が髪飾りにするようにと、大王が統治なされる国の果てまでに咲いた桜の花の、美しさは格別です。

反謌
集歌一四三〇 
原文 去年之春 相有之君尓 戀尓手師 櫻花者 迎来良之母
訓読 去年(こぞ)し春逢へりし君に恋ひにてし桜の花は迎へけらしも
私訳 去年の春に御逢いした貴方を尊敬してきた桜の花は、今年も貴方を歓迎しているようです。
左注 右二首、若宮年魚麻呂誦之
注訓 右の二首は、若宮(わかみやの)年魚麻呂(あゆまろ)の之を誦(うた)へり。

山部宿祢赤人謌一首
標訓 山部宿祢赤人の謌一首
集歌一四三一 
原文 百濟野乃 芽古枝尓 待春跡 居之鴬 鳴尓鶏鵡鴨
訓読 百済(くだら)野(の)の萩し古枝(ふるえ)に春待つと居(を)りし鴬鳴きにけむかも
私訳 百済野の萩の古い枝に春を待つように留まっている鶯は、もう、啼き出したかなあ。

大伴坂上郎女柳謌二首
標訓 大伴坂上郎女の柳の謌二首
集歌一四三二 
原文 吾背兒我 見良牟佐保道乃 青柳乎 手折而谷裳 見綵欲得
訓読 吾が背児が見らむ佐保(さほ)道(ぢ)の青柳(あをやなぎ)を手(た)折(を)りてだにも見しめてもがも
私訳 私の愛しいあの児が見たでしょう。あの佐保の道の青柳を、その手折った枝だけでも、見せて飾ってあげたいものです。
注意 原文の「見綵欲得」は標準解釈では「見縁欲得」と校訂して「見るよしもがも」と訓じます。

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万葉集 集歌1423から集歌1427まで

2021年01月28日 | 新訓 万葉集巻八
中納言阿倍廣庭卿謌一首
標訓 中納言阿倍廣庭卿の謌一首
集歌一四二三 
原文 去年春 伊許自而殖之 吾屋外之 若樹梅者 花咲尓家里
訓読 去年(こぞ)し春い掘(こ)じて植ゑし吾が屋外(やと)し若樹し梅は花咲きにけり
私訳 昨年の春に掘って植えた私の家の若木の梅に花が咲きました。

山部宿祢赤人謌四首
標訓 山部宿祢赤人の謌四首
集歌一四二四 
原文 春野尓 須美礼採尓等 来師吾曽 野乎奈都可之美 一夜宿二来
訓読 春し野にすみれ摘みにと来(こ)し吾そ野をなつかしみ一夜(ひとよ)寝(ね)にける
私訳 春の野にすみれを摘みにと、来た私です。この野に心が引かれ、ここで夜を過しました。

集歌一四二五 
原文 足比奇乃 山櫻花 日並而 如是開有者 甚戀目夜裳
訓読 あしひきの山桜花日(け)並(なら)べてかく咲きたらばいたく恋ひめやも
私訳 足を引くような険しい山の山桜の花、何日もこのように咲いているのならば、どうして桜の花に心を引かれるでしょうか。

集歌一四二六 
原文 吾勢子尓 令見常念之 梅花 其十方不所見 雪乃零有者
訓読 吾が背子に見せむと念(おも)ひし梅の花それとも見えず雪の降れれば
私訳 私の愛しい貴方に見せましょうと想った梅の花、その花がどこにあるのか判らない。雪が降ったので。

集歌一四二七 
原文 従明日者 春菜将採跡 標之野尓 昨日毛今日毛 雪波布利管
訓読 明日(あす)よりは春菜摘まむと標(し)めし野に昨日(きのふ)も今日(けふ)も雪は降りつつ
私訳 明日からは春の若菜を摘もうと。その人の立ち入りが禁じられた野に、昨日も今日も雪が降り続く。

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万葉集 集歌1418から集歌1422

2021年01月27日 | 新訓 万葉集巻八
春雜謌
標訓 春の雑歌(くさぐさのうた)

志貴皇子懽御謌一首
標訓 志貴皇子の懽(よろこび)の御歌一首
集歌一四一八 
原文 石激 垂見之上乃 左和良妣乃 毛要出春尓 成来鴨
訓読 石(いは)激(たぎ)し垂水(たるみ)し上のさわらびの萌よ出づる春になりにけるかも
私訳 滝の岩の上をはじけ降る垂水の上に緑鮮やかな若いワラビが萌え出る春になったようです。
注意 原文の「石激」は、標準解釈では「いははしる」と訓じます。このため滝の水の弾け飛ぶ景色が違います。

鏡王女謌一首
標訓 鏡王女の謌一首
集歌一四一九 
原文 神奈備乃 伊波瀬乃社之 喚子鳥 痛莫鳴 吾戀益
訓読 神奈備(かむなび)の伊波瀬(いはせ)の社(もり)し呼子鳥(よぶこどり)いたくな鳴きそ吾が恋まさる
私訳 神様が神下りになる龍田の磐瀬の社の呼子鳥よ、そんなに悲痛に鳴かないで、亡くなったあの人への思い出と想いが益々悲しく募ってきます。

駿河采女
標訓 駿河(するがの)采女(うねめ)
集歌一四二〇 
原文 沫雪香 薄太礼尓零登 見左右二 流倍散波 何物之花其毛
訓読 沫雪(あわゆき)かはだれに降ると見るさへに流らへ散るは何物(なにも)し花ぞも
私訳 沫雪なのでしょうか、まだら模様に空から降ると見るほどに空から流れ散るのは何の花でしょうか

尾張連謌二首 (名闕)
標訓 尾張連の謌二首 (名は闕(か)けたり)
集歌一四二一 
原文 春山之 開乃乎為黒尓 春菜採 妹之白紐 見九四与四門
訓読 春山し咲きの愛(を)しくに春菜摘む妹し白紐(しらひも)見らくし良しも
私訳 春山の桜の花の咲くのをめでいつくしむ。春菜を摘む恋人の衣の白い(下)紐を眺めるのも快いことです。
注意 原文の「乎為黒尓」は、標準解釈では「乎為里尓」と校訂して「ををりに」と訓じます。

集歌一四二二 
原文 打麾 春来良之 山際 遠木末乃 開徃見者
訓読 うち麾(まね)く春来(き)たるらし山し際(は)し遠き木末(こぬれ)の咲きゆく見れば
私訳 望んでいた春がやって来たらしい。山の稜線にある遠くの樹の梢に花が咲いているの見ると。
注意 原文の「打麾」は、標準解釈では「打靡」と校訂して「うち靡く」と訓じます。
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万葉集 集歌1413から集歌1417まで

2021年01月26日 | 新訓 万葉集巻七
集歌一四一三 
原文 庭津鳥 下鷄乃垂尾乃 乱尾乃 長心毛 不所念鴨
訓読 庭つ鳥(とり)下鶏(しと)の垂(たり)尾(を)の乱(みだれ)尾(を)の長き心も念(おも)ほえぬかも
私訳 庭にいる地上に降りた鶏の垂れた尾羽が乱れる、その尾羽のように心も乱れ、貴女と末永くと思う気持ちも、今は願うことが出来ない。

集歌一四一四 
原文 薦枕 相巻之兒毛 在者社 夜乃深良久毛 吾惜責
訓読 薦(こも)枕(まくら)相(あひ)纏(ま)きし子もあらばこそ夜(よ)の更(ふ)くらくも吾(あ)が惜(を)しみ責(せ)む
私訳 薦で造った枕を共にして二人で抱き合って寝た貴女が居たからこそ、夜が更けていくことを私は慈しみかつ残念に思ったのです。

集歌一四一五 
原文 玉梓能 妹者珠氈 足氷木乃 清山邊 蒔散染
訓読 玉梓の妹は珠かもあしひきの清(きよ)き山辺(やまへ)に蒔(ま)けば散り染(そ)む
私訳 玉梓の使いが知らせをもたらした貴女は、まるで大切な珠や渡来の毛氈です。寒さ厳しい木々の茂る清らかな山に貴女の灰を撒くと、山は珠や毛氈のように美しく黄葉に染まりました。

或本謌曰
標訓 或る本の歌に曰はく、
集歌一四一六 
原文 玉梓之 妹者花可毛 足日木乃 此山影尓 麻氣者失留
訓読 玉梓し妹は花かもあしひきのこの山(やま)蔭(かげ)に蒔(ま)けば失せぬる
私訳 玉梓の使いが知らせをもたらした貴女は、花なのかもしれません。足や檜の生えるこの山陰に貴女の灰を撒くと、灰とともにこの花も散り失せるでしょう。

羈旅謌
標訓 羈旅(たび)の謌
集歌一四一七 
原文 名兒乃海乎 朝榜来者 海中尓 鹿子曽鳴成 可怜其水手
訓読 名児(なご)の海を朝榜(こ)ぎ来れば海中(わたなか)に鹿子(かこ)ぞ鳴くなるあはれその水手(かこ)
私訳 名児の海を朝に船を操ってやって来ると、海の中に鹿が鳴いている。しみじみと感動する、舟を漕ぐように泳ぐその鹿よ。
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