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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻11 歌番号696から697まで

2025年01月17日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻11

歌番号 696

詞書 題しらす

詠人 人まろ

原文 己飛徒々毛 个布八安利奈无 堂万久之遣 安个无安之多遠 以可天久良左武

和歌 こひつつも けふはありなむ たまくしけ あけむあしたを いかてくらさむ

読下 恋ひつつもけふは有りなんたまくしけあけんあしたをいかてくらさむ

解釈 貴方に恋焦がれながらも、今日はまだ命を保っています、美しい櫛を納める箱、その箱を開ける、その言葉ではありませんが、明ける明日を、さて、どのように過ごせばいいのでしょうか。

注意 玉櫛笥の言葉から女歌と解釈しています。

 

歌番号 697

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 幾美遠乃美 於毛飛加計己乃 堂万久之計 安遣多徒己止尓 己飛奴日者奈之

和歌 きみをのみ おもひかけこの たまくしけ あけたつことに こひぬひはなし

読下 君をのみ思ひかけこのたまくしけあけたつことにこひぬ日はなし

解釈 貴方のことだけを恋焦がれ、その言葉の響きのような、懸籠の美しい櫛を入れる箱を開ける、そのように明け立つ日々に、貴女を恋慕うことの無い日はありません。

注意 玉櫛笥の言葉から女歌と解釈しています。

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拾遺和歌集 巻11 歌番号691から695まで

2025年01月16日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻11

歌番号 691

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 奈可礼天止 堂乃武留与利者 也万可者乃 己飛之幾世々尓 和多利也者世奴

和歌 なかれてと たのむるよりは やまかはの こひしきせせに わたりやはせぬ

読下 流れてとたのむるよりは山河のこひしきせせにわたりやはせぬ

解釈 川の水がおのずと流れて行く、その自然の成り行きに期待を寄せるよりは、山河の心を寄せるせせらぎ、その言葉の響きではありませんが、貴女は自分から恋の瀬を渡ることをしないのですか。(男女のことを怖がり躊躇する必要はありません。)

 

歌番号 692 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 安比美天者 志尓世奴身止曽 奈利奴部幾 多乃武留尓太尓 乃不留以乃知八

和歌 あひみては しにせぬみとそ なりぬへき たのむるにたに のふるいのちは

読下 あひ見てはしにせぬ身とそなりぬへきたのむるにたにのふるいのちは

解釈 貴女とお逢いしたら、そのために命を交換したのですから死ぬことの無い我が身になるはず、貴女との逢う約束のごとに、きっと、伸びるでしょう、我が命は。

 

歌番号 693 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 伊可天可止 於毛飛己々呂乃 安留止幾者 於本女久佐部曽 宇礼之可利个留

和歌 いかてかと おもふこころの あるときは おほめくさへそ うれしかりける

読下 いかてかと思ふ心のある時はおほめくさへそうれしかりける

解釈 どうにかして、貴女に逢いたいと思う気持ちがある時、知って知らない素振りをする、その貴女の態度に嬉しい気持ちがします。

 

歌番号 694 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 和飛川々毛 幾乃不者可利者 春久之天幾 遣不也和可身乃 加幾利奈留良无

和歌 わひつつも きのふはかりは すくしてき けふやわかみの かきりなるらむ

読下 わひつつも昨日はかりはすくしてきけふやわか身のかきりなるらん

解釈 気落ちして昨日ばかりは過ごしました、きっと、今日は、私の命が尽きる日になりでしょう。(貴女につれない態度をされたので。)

 

歌番号 695 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 人まろ

原文 己飛川々毛 遣不者久良之川 可寸三多知 安寸乃者留比遠 以可天久良左无

和歌 こひつつも けふはくらしつ かすみたつ あすのはるひを いかてくらさむ

読下 こひつつもけふはくらしつ霞立つあすのはる日をいかてくらさん

解釈 貴女に恋焦がれながら、今日を過ごしました、霞が立つ明日の春の日を、さて、どのように過ごせばいいのでしょうか。

 

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拾遺和歌集 巻11 歌番号686から690まで

2025年01月15日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻11

歌番号 686 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 源経基

原文 安者礼止之 幾美多尓以者々 己比和日天 志奈无以乃知毛 於之加良奈久尓

和歌 あはれとし きみたにいはは こひわひて しなむいのちも をしからなくに

読下 あはれとしきみたにいははこひわひてしなんいのちもをしからなくに

解釈 貴方が気にかかる、それだけでも貴女が言えば、恋焦がれて死んでしまいそうな我が命も惜しくはありません。

 

歌番号 687

詞書 けさうし侍りける女の家のまへをわたるとて、いひいれ侍りける

詠人 よみ人しらす

原文 飛止之礼寸 於毛飛己々呂遠 止々女川々 以久多比幾美可 也止遠春久良无

和歌 ひとしれす おもふこころを ととめつつ いくたひきみか やとをすくらむ

読下 ひとしれす思ふ心をととめつついくたひ君かやとをすくらん

解釈 貴女に気付かれることも無く、恋焦がれる気持ちを心の内に留めながら、何度も貴女の屋敷の前を通り過ぎました。

 

歌番号 688

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 志久礼尓毛 安女尓毛安良天 幾美己不留 止之乃布留尓毛 曾天八奴礼个利

和歌 しくれにも あめにもあらて きみこふる としのふるにも そてはぬれけり

読下 しくれにも雨にもあらて君こふる年のふるにも袖はぬれけり

解釈 時雨でも雨でもありません、貴女に恋焦がれて年月を過ごすと、辛い恋の思いに流す涙で袖は濡れたのです。

 

歌番号 689

詞書 ちきりけることありける女につかはしける

詠人 菅原輔昭

原文 川由者可利 堂乃女之本止乃 寸幾由个者 幾恵奴者可利乃 己々地己曽寸礼

和歌 つゆはかり たのめしほとの すきゆけは きえぬはかりの ここちこそすれ

読下 露はかりたのめしほとのすきゆけはきえぬはかりの心地こそすれ

解釈 露、ほんのつゆほどに、私を頼りにするとの約束事の期日が過ぎて行くと、儚く露が消えるように、貴女との縁が立ち消えてしまうような気分になります。

 

歌番号 690

詞書 返し

詠人 よみ人しらす

原文 徒由者可利 太乃武留己止毛 奈幾毛乃遠 安也之也奈尓々 於毛飛遠幾个无

和歌 つゆはかり たのむることも なきものを あやしやなにに おもひおきけむ

読下 つゆはかりたのむることもなきものをあやしやなにに思ひおきけん

解釈 露、ほんのつゆほどにも、貴方を頼りにするとの約束事などありませんが、不思議なことに、貴方は何を勘違いしたのですか。

 

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拾遺和歌集 巻11 歌番号681から685まで

2025年01月14日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻11

歌番号 681

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 安布己止遠 以徒止毛志良天 幾美可以者武 止幾者乃也万乃 万川曽久留之幾

和歌 あふことを いつともしらて きみかいはむ ときはのやまの まつそくるしき

読下 あふ事をいつともしらて君かいはむ時はの山の松そくるしき

解釈 貴方と逢う日のことがいつになるかを知らないで、貴方が告げるでしょう、その逢う時、野山の松、その言葉の響きではありませんが、待っている私は辛い気持ちです。

 

歌番号 682 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 伊乃知遠者 安不尓加不止可 幾々之可止 和礼也多女之尓 安八奴志尓世无

和歌 いのちをは あふにかふとか ききしかと われやためしに あはぬしにせむ

読下 いのちをは逢ふにかふとかききしかと我やためしにあはぬしにせん

解釈 己の命を恋人との出会いに引き換えると聞きましたが、この私は世の試しのように、貴女に逢えないことで死んでしまいそうです。

 

歌番号 683

詞書 題しらす

詠人 つらゆき

原文 由幾寸恵者 徒為尓寸幾川々 安不己止乃 止之川幾奈幾曽 和比之可利个留

和歌 ゆくすゑは つひにすきつつ あふことの としつきなきそ わひしかりける

読下 行末はつひにすきつつ道ふウの年月なきそわひしかりける

解釈 恋の行く末はついに過ぎてしまいました、貴女と逢うことが、年月を過ぎる間にもありません、実に辛いことです。

 

歌番号 684

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 以幾多礼者 己比寸留己止乃 久留之幾遠 奈本以乃知遠者 安不尓可部天无

和歌 いきたれは こひすることの くるしきを なほいのちをは あふにかへてむ

読下 いきたれはこひする事のくるしきを猶いのちをはあふにかへてん

解釈 生きていれば恋することの辛さを感じますが、それでもなお、この我が命を貴女に逢うことに交換しましょう。

 

歌番号 685 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 大伴百世

原文 己飛之奈武 乃知者奈尓世无 以遣留比乃 多女己曽比止乃 美万久本之个礼

和歌 こひしなむ のちはなにせむ いけるひの ためこそひとの みまくほしけれ

読下 こひしなむのちはなにせんいける日のためこそ人の見まくほしけれ

解釈 恋に死にそうです、その恋に死んだ後はどうしましょうか、そうでは無く、生きているこの日々の為に、私は貴女にお逢いしたいのです。

 

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拾遺和歌集 巻11 歌番号676から680まで

2025年01月13日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻11

歌番号 676 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 飛止之礼寸 於川留奈美堂者 徒乃久尓乃 奈可寸止美恵天 曾天曽久知奴留

和歌 ひとしれす おつるなみたは つのくにの なかすとみえて そてそくちぬる

読下 ひとしれすおつる涙はつのくにのなかすと見えて袖そくちぬる

解釈 貴女が気が付かない恋焦がれる思いに落とす涙は、津の国の中州、その言葉の響きではありませんが、流すとは見えなくて、袖が濡れ朽ちるばかりです。

 

歌番号 677 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 己比止以部者 於奈之奈尓己曽 於毛飛良女 以可天和可三遠 比止尓志良世无

和歌 こひといへは おなしなにこそ おもふらめ いかてわかみを ひとにしらせむ

読下 恋といへはおなしなにこそ思ふらめいかてわか身を人にしらせん

解釈 ただ、恋と言えば、同じ名とばかりに思わないでください、どうにかして、我が身の恋焦がれる気持ちを、貴女に気付いて貰いたいものです。

 

歌番号 678

詞書 天暦の御時の歌合に

詠人 中納言朝忠

原文 安不己止乃 堂恵天之奈久者 奈可/\尓 比止遠毛三遠毛 宇良三佐良末之

和歌 あふことの たえてしなくは なかなかに ひとをもみをも うらみさらまし

読下 あふ事のたえてしなくは中中に人をも身をも怨みさらまし

解釈 貴女と逢うことが絶えてしまうことが無いのであれば、どうして、恋する貴女も恋焦がれる我が身も、恋をしたことを恨むなどしましょうか。

 

歌番号 679

詞書 題しらす

詠人 かねもり

原文 安不己止者 加多為左利寸留 美止利己乃 多々武川幾尓毛 安者之止也春留

和歌 あふことは かたゐさりする みとりこの たたむつきにも あはしとやする

読下 逢ふ事はかたゐさりするみとりこのたたむ月にもあはしとやする

解釈 逢うことを、幼児が擦り寄りハイハイをする、その幼児が初めて立ち上がるでしょう月、そのような先の月まで私と逢わないと貴女は言うのですか。

 

歌番号 680

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 阿不己止遠 川幾比尓曽部天 万川止幾者 个不由幾寸恵尓 奈利祢止曽遠毛飛

和歌 あふことを つきひにそへて まつときは けふゆくすゑに なりねとそおもふ

読下 あふことを月日にそへてまつ時はけふ行末になりねとそ思ふ

解釈 貴方と逢う日のことを月日の暦に合わせて待つ時は、今日がその逢うでしょう月末に、なって欲しいとおもいます。

 

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