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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻9 歌番号524から528まで

2024年11月29日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻9

歌番号 524

詞書 歌合のあはせすなりにけるに/この歌詠人 つらゆきか集にあり

詠人 よみ人しらす

原文 美川野安者也 多祢止奈留良无 宇幾久左乃 満久比止奈美乃 宇部尓於不礼八

和歌 みつのあわや たねとなるらむ うきくさの まくひとなみの うへにおふれは

読下 水のあわやたねとなるらんうきくさのまく人なみのうへにおふれは

解釈 水面に浮かぶ泡、それが種となるのでしょうか、浮草の種を蒔く人もいないのに、水面に生えているからには。

 

歌番号 525 拾遺抄記載

詞書 草合し侍りける所に

詠人 恵慶法師

原文 堂祢奈久天 奈幾毛乃久左者 於以尓个利 万久天不己止者 安良之止曽遠毛飛

和歌 たねなくて なきものくさは おひにけり まくてふことは あらしとそおもふ

読下 たねなくてなき物草はおひにけりまくてふ事はあらしとそ思ふ

解釈 種もないのに、なきもの草は生えて来ました、それならば、種を蒔くと言う努力はしないでもいいと思いました。

注意 「なきもの草」は未詳です。勝手自然に生えた草の総称とも考えられています。

 

歌番号 526 拾遺抄記載

詞書 なそなそものかたりしける所に

詠人 そねのよしたた

原文 和可己止者 恵毛以者之呂乃 武須比万川 知止世遠布止毛 多礼可止久部幾

和歌 わかことは えもいはしろの むすひまつ ちとせをふとも たれかとくへき

読下 わか事はえもいはしろの結松ちとせをふともたれかとくへき

解釈 我々の謎問答の答えはあなた方では答えられないでしょう、岩代の結松ではないが、千歳の年月を経ても、さて、誰が答えられるでしょうか。

注意 天元四年の謎歌合わせの宴の口切の歌です。相対する側の歌が「おくて稲の今はさ苗と生ひ立ちてまくてふ種もあらじとぞ思ふ」となっています。

 

歌番号 527

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 安之飛幾乃 也万乃己天良尓 寸武比止者 和可以不己止毛 加奈者左利个利

和歌 あしひきの やまのこてらに すむひとは わかいふことも かなはさりけり

読下 あしひきの山のこてらにすむ人はわかいふこともかなはさりけり

解釈 葦や檜の生える山深い山の小寺に住む人(僧侶)は、己の現世で願うことも適わなかったことだ。

 

歌番号 528

詞書 健守法師、仏名の、のふしにてまかりいてて侍りけるとし、いひつかはしける

詠人 源経房朝臣

原文 也万奈良奴 須美可安満多尓 幾久比止乃 々布之尓止久毛 奈利尓个留可奈

和歌 やまならぬ すみかあまたに きくひとの のふしにとくも なりにけるかな

読下 山ならぬすみかあまたにきく人の野ふしにとくも成りにけるかな

解釈 山ではなく、他に住処がたくさんあると聞く人は、山伏ではなく、野に宿をとるとの言葉の響きのような、野伏に早くもなってしまったのか。

注意 野に臥す=里の娘を抱くの寓意があります。

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拾遺和歌集 巻9 歌番号519から523まで

2024年11月28日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻9

歌番号 519

詞書 こたふ

詠人 みつね

原文 武可之与利 以飛之幾尓个留 己止奈礼者 和礼良者以可々 以満者佐多女无

和歌 むかしより いひしきにける ことなれは われらはいかか いまはさためむ

読下 昔よりいひしきにける事なれは我らはいかか今はさためん

解釈 昔から言い慣わしたことであるので、私たちは、今、どのように別な言葉を当てることが出来るでしょうか、それは出来ません。

 

歌番号 520

詞書 又とふ

詠人 これひら

原文 加遣美礼者 飛可利奈幾遠毛 己呂毛奴不 以止遠毛奈止可 与留止以不良无

和歌 かけみれは ひかりなきをも ころもぬふ いとをもなとか よるといふらむ

読下 かけ見れはひかりなきをも衣ぬふいとをもなとかよるといふらん

解釈 日の光を考えるとその光が無いことも、布を縫う糸も、どうして、「よる」と言うのでしょうか。

 

歌番号 521

詞書 こたふ

詠人 みつね

原文 武者多満乃 与留者己比之幾 比止尓安比天 以止遠毛与礼八 安不止也者美奴

和歌 むはたまの よるはこひしき ひとにあひて いとをもよれは あふとやはみぬ

読下 むはたまのよるはこひしき人にあひていとをもよれはあふとやは見ぬ

解釈 漆黒の闇の夜には恋しい人に逢いますが、糸を撚っても逢うとは思いませんが。

 

歌番号 522

詞書 又とふ

詠人 伊衡

原文 与累比留乃 加寸者美曽知尓 安万良奴遠 奈止奈可川幾止 以飛者之女个无

和歌 よるひるの かすはみそちに あまらぬを なとなかつきと いひはしめけむ

読下 よるひるのかすはみそちにあまらぬをなと長月といひはしめけん

解釈 夜と昼との日にちの数は三十日に余らないのに、どうして長月と言い始めたのでしょうか。

 

歌番号 523

詞書 こたふ

詠人 みつね

原文 安幾布可美 己比寸留比止乃 安可之可祢 与遠奈可川幾止 以不尓也安留良无

和歌 あきふかみ こひするひとの あかしかね よをなかつきと いふにやあるらむ

読下 秋ふかみこひする人のあかしかね夜を長月といふにやあるらん

解釈 秋が深まり恋する人が寝られずに夜を明かし過ごす、そのような夜の月だから長月と言うのではないでしょうか。

 

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拾遺和歌集 巻9 歌番号514から518まで

2024年11月28日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻9

歌番号 514 拾遺抄記載

詞書 こたふ

詠人 みつね

原文 佐遠之可乃 志可良美布寸留 安幾於幾者 志多者也宇部尓 奈利可部留良无

和歌 さをしかの しからみふする あきはきは したはやうへに なりかへるらむ

読下 さをしかのしからみふする秋萩はしたはやうへになりかへるらん

解釈 雄鹿が足を絡ませて臥する秋萩の葉は、下葉が上に裏返ってしまうからでしょう。

 

歌番号 515 拾遺抄記載

詞書 こたふ

詠人 たたみね

原文 安幾者幾者 満川左寸恵与利 宇川呂不遠 川由乃和久止八 於毛者佐良奈武

和歌 あきはきは まつさすえより うつろふを つゆのわくとは おもはさらなむ

読下 秋はきはまつさすえよりうつろふをつゆのわくとは思はさらなむ

解釈 秋萩は、まず、差し伸びた枝から色付いて来るので、置く露が上の葉、下の葉と分けているとは思いません。

 

歌番号 516

詞書 又とふ

詠人 これひら

原文 知止世布留 万川乃志多者乃 伊呂川久八 堂可志多可美尓 加个天可部寸曽

和歌 ちとせふる まつのしたはの いろつくは たかしたかみに かけてかへすそ

読下 ちとせふる松のしたはのいろつくはたかしたかみにかけてかへすそ

解釈 千歳を過ぎた松の下葉が色付くのは、誰が下葉を上葉とばかりに、足を絡ませてひっくり返したのか。

注意 これは歌番号514の答歌に対する追加の質問です。

 

歌番号 517

詞書 こたふ

詠人 みつね

原文 万川止以部止 知止世乃安幾尓 安比久礼者 之乃比尓於川留 志多八奈利个利

和歌 まつといへと ちとせのあきに あひくれは しのひにおつる したはなりけり

読下 松といへとちとせの秋にあひくれはしのひにおつるしたはなりけり

解釈 千歳の寿命の松と言いますが、さすがに千歳の年を過ごした秋に出逢って年を暮れると、ひっそりと落葉する松の下葉です。

 

歌番号 518

詞書 又とふ

詠人 これひら

原文 之呂多部乃 志呂幾川幾遠毛 久礼奈為乃 恵呂遠毛奈止可 安可之止以不良无

和歌 しろたへの しろきつきをも くれなゐの いろをもなとか あかしといふらむ

読下 白妙のしろき月をも紅の色をもなとかあかしといふらん

解釈 白妙のように白い月であっても、紅の色であっても、なぜ、「あかし」と言うのでしょうか。

 

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拾遺和歌集 巻9 歌番号509から513まで

2024年11月27日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻9

拾遺和歌集

 

巻九:雑下

 

歌番号 509 拾遺抄記載

詞書 あるところに、春秋いつれかまさるととはせ給ひけるに、よみてたてまつりける

詠人 紀貫之

原文 者留安幾尓 於毛飛美多礼天 和幾加祢川 止幾尓徒遣徒々 宇川留己々呂者

和歌 はるあきに おもひみたれて わきかねつ ときにつけつつ うつるこころは

読下 春秋に思ひみたれてわきかねつ時につけつつうつる心は

解釈 春と秋とがどちらが優れているかについて思い悩んで区別することが出来ず、時節に応じて動いてしまう私の気持ちです。

 

歌番号 510

詞書 元良のみこ、承香殿のとしこに、春秋いつれかまさるととひ侍りけれは、秋もをかしう侍りといひけれは、おもしろきさくらをこれはいかかといひて侍りけれは

詠人 承香殿のとしこ

原文 於保可多乃 安幾尓己々呂者 与世之可止 者奈美留止幾者 以川礼止毛奈之

和歌 おほかたの あきにこころは よせしかそ はなみるときは いつれともなし

読下 おほかたの秋に心はよせしかと花見る時はいつれともなし

解釈 大体においては秋の風情に心を寄せますが、春に桜を眺める時には、春と秋とどちらがまさると言う気分はありません。

 

歌番号 511

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 者留者堂々 者奈乃飛止部尓 佐久者可利 毛乃々安者礼八 安幾曽万佐礼留

和歌 はるはたた はなのひとへに さくはかり もののあはれは あきそまされる

読下 春はたた花のひとへにさくはかり物のあはれは秋そまされる

解釈 春はただ、桜の花がそれだけと咲くばかりです、風情の趣は秋の風景が優ります。

 

歌番号 512

詞書 円融院のうへ、うくひすとほとときすといつれかまさると申せとおほせられけれは

詠人 大納言朝光

原文 遠利可良尓 以川礼止毛奈幾 止利乃祢毛 以可々佐多女武 止幾奈良奴身八

和歌 をりからに いつれともなき とりのねも いかかさためむ ときならぬみは

読下 折からにいつれともなき鳥のねもいかかさためむ時ならぬ身は

解釈 それぞれの季節の折にあってはいづれが優るとは出来ない、その鶯とホトトギスの鳥の音も、お尋ねになるからに、どのようにして優劣を定めましょう、ただ、時節に不遇な我が身の上で。

 

歌番号 513 拾遺抄記載

詞書 みつね、たたみねにとひ侍りける

詠人 参議伊衡

原文 之良川由者 宇部与利遠久遠 以可奈礼者 於幾乃志多者乃 末川毛美徒良无

和歌 しらつゆは うへよりおくを いかなれは おきのしたはの まつもみつらむ

読下 白露はうへよりおくをいかなれは萩のしたはのまつもみつらん

解釈 白露は草葉の上より置くものですが、どうして、萩の下葉が、まず、紅葉するのでしょうか。

 

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拾遺和歌集 巻8 歌番号507から508まで

2024年11月26日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻8

歌番号 507

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 与乃奈可遠 加久以比/\乃 者天/\者 以可尓也以可尓 奈良无止寸良无

和歌 よのなかを かくいひいひの はてはては いかにやいかに ならむとすらむ

読下 世の中をかくいひいひのはてはてはいかにやいかにならむとすらん

解釈 この世の中のことをあれこれと言いに言い、その言った果ての果ては、さて、如何や如何に、どのようになって行くのでしょうか。

 

歌番号 508

詞書 をとこ侍りける女をせちにけさうし侍りて、をとこのいひつかはしける

詠人 よみ人しらす

原文 伊尓之部乃 止良乃堂久比尓 三遠奈計者 左加止者可利八 止者武止曽遠毛飛

和歌 いにしへの とらのたくひに みをなけは さかとはかりは とはむとそおもふ

読下 いにしへのとらのたくひに身をなけはさかとはかりはとはむとそ思ふ

解釈 昔、釈迦の捨身飼虎の物語のように、貴女が私と言う虎に身を投げたら、貴女の私への思いは然りとばかりに、早速に寝所にお伺いしたいと思います。

注意 四句目めの「さか」は然り(しかり)と釈迦(しゃか)の言葉遊びです。

 

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