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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻9 歌番号574から575まで

2024年12月13日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻9

歌番号 574

詞書 なかうた:円融院の御時、大将はなれ侍りてのち、ひさしくまゐらて、そうせさせ侍りける

詠人 東三条太政大臣

原文 安者礼和礼 以徒々乃美也乃 美也比止々 曽乃可寸奈良奴

和歌 あはれわれ いつつのみやの みやひとと そのかすならぬ

三遠奈之天 於毛比之己止八 加遣万久毛 加之己个礼止毛

みをなして おもひしことは かけまくも かしこけれとも

堂乃毛之幾 加遣尓布多々比 於久礼多留 布多者乃久左遠

たのもしき かけにふたたひ おくれたる ふたはのくさを

不久可世乃 安良幾可多尓八 安天之止天 世者幾多毛止遠

ふくかせの あらきかたには あてしとて せはきたもとを

布世幾川々 知利毛寸部之止 美可幾天者 堂万乃飛可利遠

ふせきつつ ちりもすゑしと みかきては たまのひかりを

堂礼可美武止 於毛飛己々呂尓 於保遣奈久 加美川恵多遠者

たれかみむと おもふこころに おほけなく かみつえたをは

佐之己恵天 者奈佐久者留乃 美也比止々 奈利之止幾者々

さしこえて はなさくはるの みやひとと なりしときはは

伊可者可利 志个幾加遣止可 堂乃万礼之 寸恵乃与万天止

いかはかり しけきかけとか たのまれし すゑのよまてと

於毛飛徒々 己々乃加左祢乃 曽乃奈可尓 以徒幾寸部之毛

おもひつつ ここのかさねの そのなかに いつきすゑしも

己止天之毛 堂礼奈良奈久尓 遠也万田遠 比止尓万可世天

ことてしも たれならなくに をやまたを ひとにまかせて

和礼者堂々 多毛止曽遠川尓 三遠奈之天 布多者留三者留

われはたた たもとそほつに みをなして ふたはるみはる

寸久之川々 曽乃安幾布由乃 安佐幾利乃 堂恵万尓多尓毛止

すくしつつ そのあきふゆの あさきりの たえまにたにもと

於毛飛之遠 美祢乃之良久毛 与己佐万尓 多知可波利奴止

おもひしを みねのしらくも よこさまに たちかはりぬと

美天之可八 三遠加幾利止八 於毛比尓幾 以乃知安良波止

みてしかは みをかきりとは おもひにき いのちあらはと

堂乃美之者 比止尓於久留々 奈々利个利 於毛飛毛之留之

たのみしは ひとにおくるる ななりけり おもふもしるし

也万可者乃 美奈志毛奈利之 毛呂比止毛 宇己可奴幾之尓

やまかはの みなしもなりし もろひとも うこかぬきしに

万毛利安个天 志川武美久川乃 者天/\者 加幾奈可佐礼之

まもりあけて しつむみくつの はてはては かきなかされし

加美奈川幾 宇寸幾己保利尓 止知良礼天 止万礼留可多毛

かみなつき うすきこほりに とちられて とまれるかたも

奈幾和不留 奈美多志川美天 加曽布礼者 布由毛三川幾尓

なきわふる なみたしつみて かそふれは ふゆもみつきに

奈利尓个里 奈可幾与那/\ 志幾堂部乃 布左寸也寸万寸

なりにけり なかきよなよな しきたへの ふさすやすます

安計久良之 於毛部止毛奈本 加奈之幾者 也曽宇知比止毛

あけくらし おもへともなほ かなしきは やそうちひとも

阿多良与乃 多女之奈利止曽 佐者久奈留 満之天加寸可乃

あたらよの ためしなりとそ さわくなる ましてかすかの

須幾武良尓 以末多加礼多留 恵多者安良之 於保者良乃部乃

すきむらに いまたかれたる えたはあらし おほはらのへの

徒本寸美礼 徒美遠可之安留 毛乃奈良波 天留比毛美与止

つほすみれ つみをかしある ものならは てるひもみよと

以布己止遠 止之乃遠者利尓 幾与女寸八 和可三曽川為尓

いふことを としのをはりに きよめすは わかみそつひに

久知奴部幾 堂尓乃武毛礼幾 者留久止毛 佐天也々美奈武

くちぬへき たにのうもれき はるくとも さてややみなむ

止之乃宇知尓 者留不久可世毛 己々呂安良波 曽天乃己保利遠

としのうちに はるふくかせも こころあらは そてのこほりを

止計止布可奈武

とけとふかなむ

読下 あはれわれ いつつの宮の 宮人と そのかすならぬ 身をなして おもひし事は かけまくも かしこけれとも たのもしき かけにふたたひ おくれたる ふたはの草を 吹く風の あらき方には あてしとて せはきたもとを ふせきつつ ちりもすゑしと みかきては たまのひかりを たれか見む と思ふ心に おほけなく かみつえたをは さしこえて 花さく春の 宮人と なりし時はは いかはかり しけきかけとか たのまれし すゑの世まてと 思ひつつ ここのかさねの そのなかに いつきすゑしも ことてしも たれならなくに を山田を 人にまかせて 我はたた たもとそほつに 身をなして ふたはるみはる すくしつつ その秋冬の あさきりの たえまにたにもと 思ひしを 峯の白雲 よこさまに たちかはりぬと 見てしかは 身をかきりとは おもひにき いのちあらはと たのみしは 人におくるる ななりけり 思ふもしるし 山河の みなしもなりし もろ人も うこかぬきしに まもりあけて しつむみくつの はてはては かきなかされし 神な月 うすき氷に とちられて とまれる方も なきわふる なみたしつみて かそふれは 冬も三月に なりにけり なかきよなよな しきたへの ふさすやすます あけくらし おもへとも猶 かなしきは やそうち人も あたら世の ためしなりとそ さわくなる ましてかすかの すきむらに いまたかれたる 枝はあらし 大原野辺の つほすみれ つみをかしある 物ならは てる日も見よと いふことを 年のをはりに きよめすは わか身そつひに くちぬへき たにのむもれ木 春くとも さてややみなむ 年の内に 春吹く風も 心あらは そての氷を とけとふかなむ

解釈 ああ、私は、五代の宮の宮人となって、取るに足らない身ではありながら帝に仕え、思ったことは、そのいおうに思うことも畏れ多いのではあるが、頼もしい帝に二度も先立たれ、幼い双葉の葉を吹く風の荒々しいものには当てない、として我が狭い袂で防ぎながら、塵も着かないように、と磨いては、玉の光を私以外に誰が気が付くだろうと身の程も弁えず、上の枝を差し越えて、花咲く春の宮人となった、その時は、これほどのものに茂ったと人々に頼まれ、末の代までお仕えしようと思いながら、九重の重ねの中に拝み奉ることをしたのも、それを言上したのも、誰あろう、私です、小山田を人に任せて、私はただ袖を濡らす、案山子に身を為して、二年の春、三年の春と、時を過ごしつつ、その秋や冬の朝霧の絶え間にさえも、お守りすると思ったのに、峯の白雲が横暴にも立ち替わりするだろうと、思えば、小山田を守るために我が身を掻き取りしようと思ったが、命があれば、いつかは、と頼りにしていた結果として得たものは、人よりも昇進が遅れているとの評判を得ただけです、心配し思った通りに、小山田以外の山河の皆、下だった人をも、動くことのない岸に護り上げて、沈む水屑の行き着く所と言えば、押し流されて、十月の薄い氷に閉ざされれて、留まるところもなく、泣きわびる涙に沈むkぉとを数えると、冬も三月になってしまった。長い夜を夜具に臥すことなく寝ずに明け暮らし、思ってもなお悲しいのは、一門の人々も残念な世の姿を示す例だと騒いでいるのです、まして、春日の杉群れに、まだ枯れた枝はあるまい、大原の野辺に壷菫を摘む、その言葉の響きではないが、私に罪があるものならば、照る日もご照覧あれ、ということを、年の終わりまでに晴らすことが出来なかったなら、我が身は最後には朽ち果ててしまうでしょう。一体、谷の埋もれ木のような我が身は、春が来ても、このままで終わるのでしょうか、年の内に吹く春風も、もし、心があるのであれば、涙で濡れ凍った袖の氷を解かすように吹いて欲しいものです。

 

歌番号 575

詞書 これか御返し、たたいなふねの、とおほせられたりけれは、又御返し

詠人 東三条太政大臣

原文 以可尓世武 和可三久多礼留 以奈布祢乃 志波之者可利乃 以乃知多部寸八

和歌 いかにせむ わかみくたれる いなふねの しはしはかりの いのちたえすは

読下 如何せむわか身くたれるいな舟のしはしはかりのいのちたえすは

解釈 どうしましょう、我が身は沈んだ身の上のままで、あの稲舟の言葉では無いが、この月ばかりはしばし待てとのお言葉ですが、その間にも命が絶えてしまっては。

注意 古今和歌集「最上川上れば下る稲舟のいなにはあらずこの月ばかり」を踏まえたものです。

 

 

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拾遺和歌集 巻9 歌番号569から573まで

2024年12月12日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻9

歌番号 569

詞書 なかうた:よしのの宮にたてまつるうた

詠人 人まろ

原文 知者也布留 和可於本幾美乃 幾己之女寸 安女乃志多良留

和歌 ちはやふる わかおほきみの きこしめす あめのしたなる

久左乃者毛 宇留比尓多利止 也万可者乃 須女留可宇知止

くさのはも うるひにたりと やまかはの すめるかふちと

美己々呂遠 与之乃々久尓乃 者奈左可利 安幾川乃々部尓

みこころを よしののくにの はなさかり あきつののへに

美也波之良 布止之幾万之天 毛々之幾乃 於保美也比止者

みやはしら ふとしきまして ももしきの おほみやひとは

布祢奈良部 安佐可者和多利 布奈久良部 由不可八和多利

ふねならへ あさかはわたり ふなくらへ ゆふかはわたり

己乃可者乃 堂由留己止奈久 己乃也万乃 以也多可々良之

このかはの たゆることなく このやまの いやたかからし

堂万美川乃 太幾川乃美也己 美礼止安可奴可毛

たまみつの たきつのみやこ みれとあかぬかも

読下 ちはやふる わかおほきみの きこしめす あめのしたなる 草の葉も うるひにたりと 山河の すめるかうちと みこころを よしののくにの 花さかり 秋つののへに 宮はしら ふとしきまして ももしきの 大宮人は 舟ならへ あさ河わたり ふなくらへ ゆふかはわたり この河の たゆる事なく この山の いやたかからし たま水の たきつの宮 見れとあかぬかも

解釈 神の磐戸を開けた神代からの続く、我が大君が御承知なさる天の下にある民草の葉も潤っていると、山も河も澄み切っている河内と、御心を寄せる、その吉野の国は花盛りで、秋津の野辺に宮の柱を太く御建てになって、多くの石垣を積む大宮に集う宮人は、吉野河に舟を並べて朝に川を渡り、舟を競わせて夕べに川を渡る、この河の流れは絶えることなく、この山はいよいよ高くそびえるでしょう、珠が満ち溢れるような水飛沫の瀧の都、見ていても飽きることはありません。

 

歌番号 570

詞書 反歌

詠人 人まろ

原文 美礼止安可奴 与之乃々可者乃 奈可礼天毛 多由留止幾奈久 由幾加部利美武

和歌 みれとあかぬ よしののかはの なかれても たゆるときなく ゆきかへりみむ

読下 見れとあかぬよしのの河の流れてもたゆる時なく行きかへり見む

解釈 見ていても飽きることが無い、吉野の河が流れていても、どれだけ流れ出ても絶える時のない、その言葉のように、絶えることなく行きも帰りもこの大宮を眺めましょう。

 

歌番号 571

詞書 なかうた:身のしつみけることをなけきて、勘解由判宮にて

詠人 源したかふ

原文 安良多満乃 止之乃波多知尓 堂良佐利之 止幾者乃也万乃

和歌 あらたまの としのはたちに たらさりし ときはのやまの

也万佐武美 可世毛左八良奴 布知己呂毛 布多々比多知之

やまさむみ かせもさはらぬ ふちころも ふたたひたちし

安佐幾利尓 己々呂毛曽良仁 満止比曽女 美奈之己久左仁

あさきりに こころもそらに まとひそめ みなしこくさに

奈里之与利 毛乃於毛飛己止乃 者遠之計三 遣奴部幾川由乃

なりしより ものおもふことの はをしけみ けぬへきつゆの

与留者越幾天 奈川者美幾者尓 毛恵和多留 本多留遠曽天尓

よるはおきて なつはみきはに もえわたる ほたるをそてに

飛呂比川々 布由八者奈可止 美恵万可比 己乃毛加乃毛仁

ひろひつつ ふゆははなかと みえまかひ このもかのもに

布利徒毛留 由幾遠多毛止仁 安川女徒々 布美々天以天之

ふりつもる ゆきをたもとに あつめつつ ふみみていてし

美知者奈本 三乃宇幾尓乃三 安利个礼者 己々毛加之己毛

みちはなほ みのうきにのみ ありけれは ここもかしこも

安之祢者不 志多尓乃美己曽 志川美个礼 堂礼己々乃川乃

あしねはふ したにのみこそ しつみけれ たれここのつの

佐者美川尓 奈久太川乃祢遠 飛左可多乃 久毛乃宇部万天

さはみつに なくたつのねを ひさかたの くものうへまて

加久礼奈美 堂可久幾己由留 加比安利天 以比奈可之个无

かくれなみ たかくきこゆる かひありて いひなかしけむ

比止者奈本 加比毛奈幾佐尓 美川之本乃 与尓者可良久天

ひとはなほ かひもなきさに みつしほの よにはからくて

寸美乃江乃 万川者以多川良 於以奴礼止 美止利乃己呂毛

すみのえの まつはいたつら おいぬれと みとりのころも

奴幾寸天武 者留者以川止毛 志良奈三乃 奈美知尓以多久

ぬきすてむ はるはいつとも しらなみの なみちにいたく

由幾加与比 由毛止利安部寸 奈利尓个留 布祢乃和礼遠之

ゆきかよひ ゆもとりあへす なりにける ふねのわれをし

幾美志良波 安者礼以万多尓 志川女之止 安満乃徒利奈八

きみしらは あはれいまたに しつめしと あまのつりなは

宇知波部天 飛久止之幾可八 毛乃者於毛者之

うちはへて ひくとしきかは ものはおもはし

読下 あらたまの 年のはたちに たらさりし 時はの山の 山さむみ 風もさはらぬ ふち衣 ふたたひたちし あさきりに 心もそらに まとひそめ みなしこ草に なりしより 物思ふことの 葉をしけみ けぬへきつゆの よるはおきて 夏はみきはに もえわたる ほたるをそてに ひろひつつ 冬は花かと 見えまかひ このもかのもに ふりつもる 雪をたもとに あつめつつ ふみみていてし 道は猶 身のうきにのみ 有りけれは ここもかしこも あしねはふ したにのみこそ しつみけれ たれここのつの さは水に なくたつのねを 久方の くものうへまて かくれなみ たかくきこゆる かひありて いひなかしけん 人は猶 かひもなきさに みつしほの 世にはからくて すみの江の 松はいたつら おいぬれと みとりの衣 ぬきすてむ はるはいつとも しらなみの なみちにいたく ゆきかよひ ゆもとりあへす なりにける 舟のわれをし きみしらは あはれいまたに しつめしと あまのつりなは うちはへて ひくとしきかは 物はおもはし

解釈 新しく年の気が改まる、年の最初の二十歳の折、分別がまだ足りなかった時、常盤の山の山が寒くて、風も通さない厚布の藤衣の喪服を父母のために二度も裁ち調え、立つ朝霧に心は気落ちしてぼんやりとなり、その孤児草になったときから、物を思うことが葉が茂るように頻繁となり、今にも消えそうな露が夜に置くではないが、勉学のために夜は起きて、夏は幹の葉に燃えるような光の蛍を袖に集め、冬は花かと見間違う、こちらもあちらも降る積もれる雪を袂に集め、身は凍てついた、しかしながら、世の道はなおも身の上の辛いことばかりがあるので、ここもあそこも葦の根が地下に生え伸びるように、地下に身分は沈み、いったい誰が九つの沢水に鳴く鶴の音を遥か彼方の雲の上まで、我が身を恥隠すことなく、高く聞こえるように申し上げた甲斐があったと言いうのでしょうか。人はなお、申し上げた甲斐もないままに、貝もいない汀に満ちる潮のように、世の中は辛くて、住之江の松は虚しく老いて行きますが、時が来れば朱く緑の衣(六位の官服)を脱ぎ捨てるでしょう。春はいつでも白浪が浪路にたくさん打ち寄せ返り、そこに繋ぐ舟の底に貯まる赤湯も汲み出すこともなくなった、その面倒を見る人も無い舟のような私ではあるが、貴方がたが、可哀そうだと、今でも身を地下には沈めないと、海人が釣縄を長く延ばして引く、その言葉のように我が身を上に引き上げると聞いたなら、私は物思いをいたしません。

 

歌番号 572

詞書 なかうた:返し

詠人 よしのふ

原文 与乃奈可遠 於毛部者久留之 和寸留礼者 恵毛和寸良礼寸

和歌 よのなかを おもへはくるし わするれは えもわすられす

堂礼毛三那 於奈之三也万乃 万川可恵止 加留々己止奈久

たれもみな おなしみやまの まつかえと かるることなく

須部良幾乃 知与毛也知与毛 徒可部无止 堂可幾多乃三遠

すめらきの ちよもやちよも つかへむと たかきたのみを

加久礼奴乃 志多与利祢左寸 安也女久左 安也奈幾美尓毛

かくれぬの したよりねさす あやめくさ あやなきみにも

比止奈美尓 加々留己々呂遠 於毛飛川々 与尓布留由幾遠

ひとなみに かかるこころを おもひつつ よにふるゆきを

幾美者志毛 布由者止利川美 奈川者万多 久左乃本多留遠

きみはしも ふゆはとりつみ なつはまた くさのほたるを

安徒免川々 飛可利佐也个幾 飛左可多乃 川幾乃可川良遠

あつめつつ ひかりさやけき ひさかたの つきのかつらを

遠留万天尓 之久礼尓曽本知 徒由尓奴礼 部尓个武曽天乃

をるまてに しくれにそほち つゆにぬれ へにけむそての

布可美止利 以呂安世可多尓 以満者奈利 加徒志多八与利

ふかみとり いろあせかたに いまはなり かつしたはより

久礼奈為尓 宇徒良日者天无 安幾尓安者々 万川比良計奈无

くれなゐに うつろひはてむ あきにあはは まつひらけなむ

者奈与利毛 己堂可幾可个止 安不可礼无 毛乃止己曽美之

はなよりも こたかきかけと あふかれむ ものとこそみし

志本可満乃 宇良佐比之个尓 奈曽毛可久 与遠之毛遠毛飛

しほかまの うらさひしけに なそもかく よをしもおもひ

奈寸乃由乃 堂幾留由部遠毛 加満部徒々 和可三遠比止乃

なすのゆの たきるゆゑをも かまへつつ わかみをひとの

三尓奈之天 於毛比久良部与 毛々之幾尓 安可之久良之天

みになして おもひくらへよ ももしきに あかしくらして

止己奈川乃 久毛為者留个幾 美奈比止仁 於久礼天奈比久

とこなつの くもゐはるけき みなひとに おくれてなひく

和礼毛安留良之

われもあるらし

読下 世の中を おもへはくるし わするれは えもわすられす たれもみな おなしみ山の 松かえと かるる事なく すへらきの ちよもやちよも つかへんと たかきたのみを かくれぬの したよりねさす あやめくさ あやなき身にも 人なみに かかる心を 思ひつつ 世にふるゆきを きみはしも 冬はとりつみ 夏は又 草のほたるを あつめつつ ひかりさやけき 久方の 月のかつらを をるまてに 時雨にそほち つゆにぬれ へにけむそての ふかみとり いろあせかたに 今はなり かつしたはより くれなゐに うつろひはてん 秋にあはは まつひらけなん 花よりも こたかきかけと あふかれん 物とこそ見し しほかまの うらさひしけに なそもかく 世をしも思ひ なすのゆの たきるゆゑをも かまへつつ わか身を人の 身になして おもひくらへよ ももしきに あかしくらして とこ夏の くもゐはるけき みな人に おくれてなひく 我もあるらし

解釈 世の中のことをあれこれと思い悩むと辛いです、忘れようとしても忘れることは出来ません。誰もが皆、同じ深山の響きのような身ですから、深山の松が枯れて朱(五位)となること、このようなことは無く、帝に千代も八千代も仕えましょと、高く帝に信頼を寄せて、目に付かない地下より根を生え延ばす菖蒲草、その言葉の響きのような取るに足らない身の上でも、人並みにこのような気持ちを持って、世の中で過ごして行けば、貴方は身分が地下であっても、書を読むために冬は雪を取り積み、夏はまた、草の蛍を集めながら、光が清らかな遥か彼方の月の桂の枝を折るまでに学才を上げ、時雨に身を濡らし、露に濡れ、日々を暮らして来た袖の深緑の色(六位)は色あせるように今はなってしまい、そして、下葉からは紅(五位)に色変わりするでしょう、秋の季節に出逢えば、最初に咲く花よりも、学才が上がれば小高き木の影と人々に仰がれるものと見られでしょう、塩釜の浦が寂しげにし、どうしてそのように、世の中のことをひがみに思い、那須の湯が滾る、その言葉の響きのような、たぎる思いを心に構え、我が身を他人の身の上と置き換えて思い比べなさい。石を積み上げた大宮に明かし暮らしても、常夏の雲居遥かな多くの殿上人に位は遅れて、常夏の撫子のように位人になびく、私のような者もいるのですか。

 

歌番号 573

詞書 なかうた:あるをとこのものいひ侍りける女の、しのひてにけ侍りて、としころありて、せうそこして侍りけるに、をとこのよみ侍りける

詠人 よみ人しらす

原文 以満者止毛 以者佐里之可止 也遠止女乃 堂川也加寸可乃

和歌 いまはとも いはさりしかと やをとめの たつやかすかの

布留佐止尓 加部利也久留止 満川知也万 満川本止寸幾天

ふるさとに かへりやくると まつちやま まつほとすきて

加里可奈乃 久毛乃与曽尓毛 幾己恵祢八 和礼者武奈之幾

かりかねの くものよそにも きこえねは われはむなしき

堂万川佐遠 加久天毛多由久 武寸比於幾天 川天也留可世乃

たまつさを かくてもたゆく むすひおきて つてやるかせの

多与利多尓 奈幾佐尓幾為留 由不知止利 宇良美八不可久

たよりたに なきさにきゐる ゆふちとり うらみはふかく

美徒之本仁 曽天乃美以止々 奴礼川々曽 安止毛於毛八奴

みつしほに そてのみいとと ぬれつつそ あともおもはぬ

幾美尓与利 加飛奈幾己比尓 奈尓之可毛 和礼乃美比止利

きみにより かひなきこひに なにしかも われのみひとり

宇幾布祢乃 己可礼天与尓八 和多留良无 止佐部曽者天八

うきふねの こかれてよには わたるらむ とさへそはては

加也里火乃 久由留己々呂毛 徒幾奴部久 於毛飛奈留万天

かやりひの くゆるこころも つきぬへく おもひなるまて

於止川礼寸 於保川可奈久天 加部礼止毛 遣不美川久幾乃

おとつれす おほつかなくて かへれとも けふみつくきの

安止美礼者 知幾利之己止八 幾美毛末多 和寸礼左利个利

あとみれは ちきりしことは きみもまた わすれさりけり

志可之安良八 堂礼毛宇幾与乃 安左川由尓 飛可利万川万乃

しかしあらは たれもうきよの あさつゆに ひかりまつまの

三尓之安礼者 於毛者之以可天 止己奈川乃 者奈乃宇川呂不

みにしあれは おもはしいかて とこなつの はなのうつろふ

安幾毛奈久 於奈之安多利尓 寸美乃恵乃 幾之乃比女万川

あきもなく おなしあたりに すみのえの きしのひめまつ

祢遠武寸比 与々遠部徒々毛 志毛由幾乃 布留尓毛奴礼奴

ねをむすひ よよをへつつも しもゆきの ふるにもぬれぬ

奈可止奈利奈武

なかとなりなむ

読下 今はとも いはさりしかと やをとめの たつやかすかの ふるさとに かへりやくると まつち山 まつほとすきて かりかねの 雲のよそにも きこえねは 我はむなしき たまつさを かくてもたゆく むすひおきて つてやる風の たよりたに なきさにきゐる ゆふちとり うらみはふかく みつしほに そてのみいとと ぬれつつそ あともおもはぬ きみにより かひなきこひに なにしかも 我のみひとり うきふねの こかれてよには わたるらん とさへそはては かやり火の くゆる心も つきぬへく 思ひなるまて おとつれす おほつかなくて かへれとも けふみつくきの あとみれは ちきりし事は 君も又 わすれさりけり しかしあらは たれもうきよの あさつゆに ひかりまつまの 身にしあれは おもはしいかて とこ夏の 花のうつろふ 秋もなく おなしあたりに すみの江の きしのひめ松 ねをむすひ 世世をへつつも しもゆきの ふるにもぬれぬ なかとなりなむ

解釈 今は別れるとも貴女は言いませんでしたが、八乙女の立ち振る舞い、この言葉の響きのように、立ち退き春日の故郷に帰って行ってしまうと、待乳山、その言葉の響きのように、貴女を待つ時が過ぎて、雁の音の聞こえる雲の彼方にも、貴女の様子が聞こえて来ないので、私は虚しく玉梓の手紙を書く手もつらく、結び文として置いて、伝手を頼って送る、里に行きそうな人の便りすらもなかった、汀に来寄る夕千鳥、浦見ると深いではないが、私の恨みは深く、満ちる潮に袖ばかりが大層に濡れ、後に残す人のことを思いやらない貴女により、甲斐もない恋に、どうして私一人が、浮舟のように心を揺らして恋焦がれて世を過ごすでしょうと、思う気持ちも果てて、蚊遣火が燻るような貴女への気持ちも尽きると思うほどになっても、貴女は訪れず、気がかりのままに過去を振り返って見ても、今日、見た、水草の茎の跡、貴女の筆跡を見れば、昔に恋を契ったことは、貴女もまた、忘れていなかったようです。しかしそうであるならば、誰も憂き世を過ごし、朝露に朝日の光が当たるのを待つ間の儚い我が身であるならば、恨みは思いません、常夏の花に色あせる秋もなく、同じあたりに住み生える、その言葉の響きのような、住之江の岸の媛松が根を生え結び、時代を経ても霜や雪の寒さ厳しい冬にも濡れない、住み良しの家に住む仲となりましょう。

 

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拾遺和歌集 巻9 歌番号564から568まで

2024年12月11日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻9

歌番号 564 拾遺抄記載

詞書 大隅守、さくらしまの忠信か、くにに侍りける時、こほりのつかさに、かしらしろきおきなの侍りけるをめしかむかへんとし侍りける時、おきなのよみ侍りける/このうたによりてゆるされ侍りにけり

詠人 よみ人しらす

原文 於以者天々 由幾乃也万遠者 以多々个止 志毛止美留尓曽 三者比恵尓个留

和歌 おいはてて ゆきのやまをは いたたけと しもとみるにそ みはひえにける

読下 おいはてて雪の山をはいたたけとしもと見るにそ身はひえにける

解釈 私はすっかり老い果てて頭には雪の山のような白髪を載せてはいますが、それでも霜を見ると身は冷えてしまいます。同じようにお勤めし働きを急く笞(しもと)を見ると身は震え上がるでしょう。

 

歌番号 565

詞書 旋頭歌

詠人 よみ人しらす

原文 満須加々美 曽己奈留加遣尓 武可比為天 美留止幾尓己曽

和歌 ますかかみ そこなるかけに むかひゐて みるときにこそ

志良奴於幾奈尓 安不己々地寸礼

しらぬおきなに あふここちすれ

読下 ますかかみそこなるかけにむかひゐて見る時にこそしらぬおきなにあふ心地すれ

解釈 清く澄み切った鏡、その鏡の底に映った姿に向かい合って眺める時にこそ、まったく知らない皺と白髪の老人に出逢う気持ちがします。

 

歌番号 566

詞書 旋頭歌

詠人 柿本人まろ

原文 末寸可々美 々之可止遠毛飛 以毛尓安者武加毛 堂万乃遠乃

和歌 ますかかみ みしかとおもふ いもにあはむかも たまのをの

堂恵多留己比乃 之个幾己乃己呂

たえたるこひの しけきこのころ

読下 ますかかみみしかと思ふいもにあはむかもたまのをのたえたるこひのしけきこのころ

解釈 清く澄み切った鏡に、それを眺めたと思いたい、鏡にでも私の愛しい恋人に逢えないでしょうか、珠飾りの紐の緒が切れたような、ぷっつきと縁が切れた恋を思い出すことが激しい今日この頃です。

 

歌番号 567

詞書 旋頭歌

詠人 柿本人まろ

原文 加乃遠可尓 久左加留遠乃己 志可奈可利曽 安利川々毛

和歌 かのをかに くさかるをのこ しかなかりそ ありつつも

幾美可幾万佐武 美万久左尓世无

きみかきまさむ みまくさにせむ

読下 かのをかに草かるをのこしかなかりそありつつもきみかきまさむみまくさにせん

解釈 あの丘に草を刈る男、そのようにしっかりと草を刈るな、いつまでもそのように草を茂らせて、私の愛しいあの人がやって来ます、そうしたらあの人が乗る馬の飼葉にしましょう。

 

歌番号 568 拾遺抄記載

詞書 女のもとにまかりたりけるに、とくいりにけれは、あしたに

詠人 源かけあきら

原文 安川左由美 於毛者寸尓之天 以里尓之遠 佐毛祢多久

和歌 あつさゆみ おもはすにして いりにしを さもねたく

飛幾止々女天曽 布寸部可利个流

ひきととめてそ ふすへかりける

読下 あつさゆみおもはすにしていりにしをさもねたくひきととめてそふすへかりける

解釈 梓弓、その弓筈の言葉ではありませんが、思いがけず、貴女は部屋に入り込んでしまった、そのように寝たいのなら、引き留め、押し倒して貴女の上に臥すべきでした。

 

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拾遺和歌集 巻9 歌番号559から563まで

2024年12月10日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻9

歌番号 559 拾遺抄記載

詞書 みちのくになとりのこほりくろつかといふ所に、重之かいもうとあまたありとききて、いひつかはしける

詠人 かねもり

原文 美知乃久乃 安多知乃波良乃 久呂川可尓 於尓己毛礼利止 幾久者末己止可

和歌 みちのくの あたちのはらの くろつかに おにこもれりと いふはまことか

読下 みちのくのあたちのはらのくろつかにおにこもれりときくはまことか

解釈 陸奥の安達の原の黒塚という所に、鬼が住んでいると聞いたが、本当ですか。

注意 四句目の「おに」の寓意が不明で、色々な解説があります。鬼=女説、鬼=鬼女伝説、など。

 

歌番号 560 拾遺抄記載

詞書 廉義公家のかみゑに、たひひとのぬす人にあひたるかたかける所

詠人 藤原為頼

原文 奴寸比止乃 堂川多乃也万尓 以利尓个利 於奈之可佐之乃 奈尓也計可礼无

和歌 ぬすひとの たつたのやまに いりにけり おなしかさしの なにやけかれむ

読下 ぬす人のたつたの山に入りにけりおなしかさしの名にやけかれん

解釈 世に身を隠す盗賊が出ると言う、その龍田の山に入った、同じように木の枝をかざして身を隠し、その姿はなんだか身の評判を汚すようです。

 

歌番号 561 拾遺抄記載

詞書 廉義公家のかみゑに、たひひとのぬす人にあひたるかたかける所

詠人 藤原為頼

原文 奈幾名乃美 多川多乃也万乃 布毛止尓八 与尓毛安良之乃 可世毛布可奈无

和歌 なきなのみ たつたのやまの ふもとには よにもあらしの かせもふかなむ

読下 なき名のみたつたの山のふもとには世にもあらしの風もふかなん

解釈 有りもしない噂話だけが立つ、その言葉の響きのような、龍田山の麓には普段では無いような激しい嵐の風が吹いて欲しいものです。

 

歌番号 562 拾遺抄記載

詞書 たかをにまかりかよふ法師に名たち侍りけるを、少将しけもとかききつけて、まことかといひつかはしたりけれは

詠人 八条のおほいきみ

原文 奈幾奈乃美 多可遠乃也万止 以比多川留 幾美者安多己乃 美祢尓也安留良无

和歌 なきなのみ たかをのやまと いひたつる きみはあたこの みねにやあるらむ

読下 なき名のみたかをの山といひたつる君はあたこの峯にやあるらん

解釈 有りもしない噂話だけが名高い、その言葉の響きのような、高雄の山といていますが、貴方はひょっとして、愛宕山の峯、そのその言葉の響きのような、あだなるお人ではありませんか。

 

歌番号 563 拾遺抄記載

詞書 みたけに、年おいてまうて侍りて

詠人 もとすけ

原文 以尓之部毛 乃保利也之个无 与之乃也万 也万与利多可幾 与者比奈留比止

和歌 いにしへも のほりやしけむ よしのやま やまよりたかき よはひなるひと

読下 いにしへものほりやしけんよしの山やまよりたかきよはひなる人

解釈 私のように、昔も登ったでしょう吉野の山、その吉野の山よりも高い、その言葉のような、高齢の人が。

 

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拾遺和歌集 巻9 歌番号554から558まで

2024年12月09日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻9

歌番号 554 拾遺抄記載

詞書 返し

詠人 右大将実資

原文 止々女天毛 奈尓々可波世无 者末知止利 布利奴留安止八 奈美尓幾恵川々

和歌 ととめても なににかはせむ はまちとり ふりぬるあとは なみにきえつつ

読下 ととめてもなににかはせん浜千鳥ふりぬるあとは浪にきえつつ

解釈 留めても何か価値があるでしょうか、浜千鳥の足跡も時間が経てば浪に消えてしまいます、(今の私たちに、書き付けて留め置くものがありません。)

 

歌番号 555

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 美奈曽己乃 和久者可利尓也 久々留良无 与留比止毛奈幾 多幾乃之良以止

和歌 みなそこの わくはかりにや くくるらむ よるひともなき たきのいらいと

読下 みなそこのわくはかりにやくくるらんよる人もなきたきのしらいと

解釈 水底が湧きかえるほどに水は落ちて潜るのだろうと、寄って眺める人もいない、滝の白糸の風情よ。

 

歌番号 556

詞書 清原元輔肥後守に侍りける時、かのくにのつつみのたきといふ所を見にまかりたりけるに、ことやうなる法師のよみ侍りける

詠人 よみ人しらす

原文 遠止尓幾久 川々美乃多幾遠 宇知美礼八 多々也万可者乃 奈留尓曽安利个留

和歌 おとにきく つつみのたきを うちみれは たたやまかはの なるにそありける

読下 おとにきくつつみのたきをうち見れはたた山河のなるにそ有りける

解釈 噂に聞く鼓の滝をやって来て眺めると、ただ、山の川が音を立てて流れているばかりでした。

注意 詞書の「ことやうなる」は「事異様なる」と解釈します。なお、古語の「たぎ」は急流、平安中期語の「たぎ」が滝との、言葉の勘違いで遊ぶ歌です。

 

歌番号 557

詞書 三位国章、ちひさきうりを扇におきて、藤原かねのりにもたせて、大納言朝光か兵衛佐に侍りける時、つかはしたりけれは

詠人 三位国章

原文 遠止尓幾久 己万乃和多留乃 宇里川久利 止奈利可久奈利 奈留己々呂可奈

和歌 おとにきく こまのわたりの うりつくり となりかくなり なるこころかな

読下 おとにきくこまの渡のうりつくりとなりかくなりなる心かな

解釈 噂に聞く、狛からの到来物の瓜を作る者は、ああであろう、こうであろうと、そのように色々と心を悩ますものです。

注意 「うりつくり」に稚児を自分好みに育てるという、裏の意味があります。清少納言はうつくしきものとして「瓜に描きたる稚児の顔」と述べています。

 

歌番号 558

詞書 返し

詠人 大納言朝光

原文 佐多女奈久 奈留奈留宇里乃 川良美天毛 多知也与利己武 己万乃寸幾毛乃

和歌 さためなく なるなるうりの つらみても たちやよりこむ こまのすきもの

読下 さためなくなるなるうりのつら見てもたちやよりこむこまのすきもの

解釈 作り方の方法が定まらず、ああであろう、こうであろうとして、実った瓜の様子を見ても、興味を持って立ち寄って来るでしょう、なにしろ、実った瓜は狛の好き物ですから。

注意 稚児を育てて、家に稚児男色相手として置いている評判の美少年との裏の意味があります。催馬楽「山城の狛のわたりの瓜作り、我を欲しと言ふ、いかにせむ、なりやしなまし、瓜立つまでに」を踏まえた男色の風景があります。

 

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