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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

後撰和歌集 巻13 歌番号981から985まで

2024年02月29日 | 後撰和歌集 現代語訳
歌番号九八一
原文 越止己乃加礼者天奴尓己止於止己遠安飛之利天
者部利个留尓毛止乃於止己乃安川万部万可利个留遠幾々天
徒可者之个留
読下 男のかれ果てぬに、異男をあひ知りて
侍りけるに、元の男の東へまかりけるを聞きて
つかはしける

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 安利止多尓幾久部幾毛乃遠安不左可乃世幾乃安奈多曽者留計加利个留
和歌 ありとたに きくへきものを あふさかの せきのあなたそ はるけかりける
読下 有りとだに聞くべきものを相坂の関のあなたぞはるけかりける
解釈 都に居るとばかりに噂を聞くはずのものですが、東下りでの相坂の関の彼方である、東の国は遥かなのでしょう。(もう、噂も聞くことも出来ず、逢うための坂を急いた貴方は、もう、遥か彼方ですね。)

歌番号九八二
原文 可部之
読下 返し

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 世幾毛利可安良多万留天不安不左可乃由不川計止利者奈幾川々曽由久
和歌 せきもりか あらたまるてふ あふさかの ゆふつけとりは なきつつそゆく
読下 関守があらたまるてふ相坂のゆふつけ鳥は鳴きつつぞ行く
解釈 関守が新しい人に変わるらしい、相坂の関に神の木綿(ゆふ)を付けた鶏が居て鳴くように、私は、貴女には、もう、私と変わって身を守る人が居て、それを悲しみ泣きながら東に下って行きます。
注意 古今和歌集「相坂の木綿付け鶏も我がごとく人や恋しき音のみなくらむ」を引用している。

歌番号九八三
原文 満多於无奈乃川可者之个留
読下 又、女のつかはしける

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 由幾加部利幾天毛幾可奈无安不左可乃世幾尓加者礼留飛止毛安利也止
和歌 ゆきかへり きてもきなかむ あふさかの せきにかはれる ひともありやと
読下 行き帰り来ても聞かなん相坂の関にかはれる人も有りやと
解釈 泣き泣き行くと言いますが、東に行き、また、都に帰り来て、私に聞き尋ねてみたらどうですか、相坂の関守に新しく入れ替わった人が居たかどうかと。

歌番号九八四
原文 可部之
読下 返し

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 毛留飛止乃安留止八幾計止安不左可乃世幾毛止々女奴和可奈美多加奈
和歌 もるひとの あるとはきけと あふさかの せきもととめぬ わかなみたかな
読下 守る人のあるとは聞けど相坂の関も止めぬ我が涙かな
解釈 関守のように厳重に貴女の身を守る、私以外の人がいると噂に聞いていますが、その逢坂の堰も、止めることが出来ない私の別れの悲しみに泣く涙です。

歌番号九八五
原文 加礼尓个留於止己乃於毛比以天々万天幾天毛乃奈止以日天
加部利天
読下 かれにける男の思ひ出でて、まで来て、物など言ひて
帰りて

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 加川良幾也久女知尓和多寸以者々之乃奈可/\尓天毛可部利奴留加奈
和歌 かつらきや くめちにわたす いははしの なかなかにても かへりぬるかな
読下 葛木や久米路にわたす岩橋のなかなかにても帰りぬるかな
解釈 役行者が作らせたと言う葛木山の久米路に渡す岩橋が、途中までしかできなかったように、その言葉の響きではありませんが、私も貴女の屋敷の路の中ほどまで来ましたが、なぜか引き返して帰ってしまいました。

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後撰和歌集 巻13 歌番号976から980まで

2024年02月28日 | 後撰和歌集 現代語訳
歌番号九七六
原文 安女尓毛佐者良寸万天幾天曽良毛乃加多利奈止
之个留於止己乃加止与利和多留止天安女乃以多久布礼八
奈无満可利春幾奴留止以比多礼八
読下 雨にも障らずまで来て、そら物語りなど
しける男の、門よりわたるとて、雨のいたく降れば
なん、まかり過ぎぬる、と言ひたれば

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 奴礼川々毛久留止三衣之八奈従比幾乃天比幾尓多衣奴以止尓也安利个无
和歌 ぬれつつも くるとみえしは なつひきの てひきにたえぬ いとにやありけむ
読下 濡れつつも来ると見えしは夏引きの手引きに絶えぬ糸にや有りけん
解釈 今回、屋敷の前を通り過ぎましたが、雨に濡れながらもやって来て声を掛けたのは、「夏引きの手引きに絶えぬ糸」の歌ではありませんが、これからも繰り返し繁くやって来ると言うことですね。
注意 古今和歌集「夏引きの手引きの糸を繰り返し言しげくとも絶えむと思うな」を引用。古今の解釈により歌意は変わります。

歌番号九七七
原文 飛止尓和寸良礼天者部利个留止幾
読下 人に忘られて侍りける時

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 加寸奈良奴三者宇幾久左止奈利奈々无川礼奈幾飛止尓与留部之良礼之
和歌 かすならぬ みはうきくさと なりななむ つれなきひとに よるへしられし
読下 数ならぬ身は浮草となりななんつれなき人に寄るべ知られじ
解釈 物の数にも入れて貰えない我が身は、あの「浮草の歌」に詠う浮草になってしまいたい気持ちです、つれない態度の貴方に、もう、流れ着く場所を失った根無しの浮草のように、流れ去ってしまいたい。
注意 古今和歌集「わびぬれば身はうき草の根を絶えて誘ふ水あらばゐなむとぞ思ふ」を引用。

歌番号九七八
原文 於毛比和寸礼尓个留飛止乃毛止尓満可利天
読下 思ひ忘れにける人のもとにまかりて

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 由不也美者美知毛三衣祢止布留左止者毛止己之己万尓万可世天曽久留
和歌 ゆふやみは みちもみえねと ふるさとは もとこしこまに まかせてそくる
読下 夕闇は道も見えねど古里はもと来し駒にまかせてぞ来る
解釈 夕闇では道ははっきりと見えませんが、通い馴れた里は以前にやって来たことのある駒に道案内を任せてやって来ました。

歌番号九七九
原文 可部之
読下 返し

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 己万尓己曽満可世多利个礼安也奈久毛己々呂乃久留止於毛比个留加奈
和歌 こまにこそ まかせたりけれ あやなくも こころのくると おもひけるかな
読下 駒にこそまかせたりけれあやなくも心の来ると思ひけるかな
解釈 駒の気持ちに任せてやってきたのですね、根拠もなく貴方の私を慕うお気持ちでやって来たものと思っていました。

歌番号九八〇
原文 安左川奈乃安曾无乃武寸女尓布美川可者之个留遠
己止武寸女尓以比川幾天飛左之宇奈利天安幾止布良日天者部利个礼八
読下 朝綱朝臣の、女に文などつかはしけるを、
異女に言ひつきて久しうなりて、秋訪らひて侍りければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 伊川加多尓己止川天也利天加利可祢乃安不己止万礼尓以末八奈留良无
和歌 いつかたに ことつてやりて かりかねの あふことまれに いまはなるらむ
読下 いづ方に言づてやりて雁が音の遇ふことまれに今はなるらん
解釈 どちらのお方に貴方は言伝を送るのか、故事で手紙を運ぶと言う、その雁が音に遇うことも稀なことと、今はなっています。

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後撰和歌集 巻13 歌番号971から975まで

2024年02月27日 | 後撰和歌集 現代語訳
歌番号九七一
原文 加久以比加与者寸本止尓美止世者可利尓奈利者部利尓个礼八
読下 かく言ひ通はすほどに、三年ばかりになり侍りにければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 安良堂満乃止之乃美止世者宇川世美乃武奈之幾祢遠也奈幾天久良左武
和歌 あらたまの としのみとせは うつせみの むなしきねをや なきてくらさむ
読下 荒霊の年の三年はうつせみのむなしき音をや泣きて暮さむ
解釈 年神の霊が改まる新たな年、その三年の間、空蝉のような実の無い虚しいままに、また、今年も命短い蝉のように声を上げて泣いて暮らしましょう。

歌番号九七二
原文 堂以之良寸
読下 題知らす

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 奈加礼以川留奈美多乃加八乃由久寸恵者川為尓安布美乃宇美止多乃万无
和歌 なかれいつる なみたのかはの ゆくすゑは つひにあふみの うみとたのまむ
読下 流れ出づる涙の河の行く末は遂に近江の海と頼まん
解釈 お逢い出来ないで、淋しさに流れ出す涙の河の流れ行く末は、ついには近江の海となるのでしょう、その言葉の響きのような、逢う身になることに私は期待しましょう。

歌番号九七三
原文 安女乃布留比飛止尓川可八之个留
読下 雨の降る日、人につかはしける

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 安女布礼止布良祢止奴留々和可曽天乃加々留於毛比尓加八可奴也奈曽
和歌 あめふれと ふらねとぬるる わかそての かかるおもひに かわかぬやなそ
読下 雨降れど降らねど濡るる我が袖のかかる思ひに干わかぬやなぞ
解釈 雨が降っても降らなくても、貴女に恋焦がれて流す涙に濡れてしまう私の袖が、このような恋焦がれる思いの火に乾かないのは、さて、どうしてなのだろうか。

歌番号九七四
原文 可部之
読下 返し

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 川由者可利奴留良无曽天乃加者可奴者幾美可於毛日乃本止也寸久奈幾
和歌 つゆはかり ぬるらむそての かわかぬは きみかおもひの ほとやすくなき
読下 露ばかり濡るらん袖の乾かぬは君が思ひのほどや少なき
解釈 ほんのちょっと、その露ほどのに濡れるのでしょう、その貴方の袖がちっとも乾かないのは、ちょっとの雨でやって来ない貴方の私への恋焦がれる気持ち程度に、焦がれが少ないからでは。

歌番号九七五
原文 於无奈乃毛止尓満可利多留尓堂知奈可良加部之多礼八
美知与利川可八之个留
読下 女のもとにまかりたるに、立ちながら帰したれば、
道よりつかはしける

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 従祢与利毛万止不/\曽可部利川留安不美知毛奈幾也止尓由幾川々
和歌 つねよりも まとふまとふそ かへりつる あふみちもなき やとにゆきつつ
読下 常よりもまどふまどふぞ帰りつる逢ふ道もなき宿に行きつつ
解釈 いつもよりも心を乱して路に迷い迷って帰りました、逢う手立てもなく、帰り路に適う路の無い屋敷に行ったために。

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後撰和歌集 巻13 歌番号966から970まで

2024年02月26日 | 後撰和歌集 現代語訳
歌番号九六六
原文 飛止遠於毛比加个天以比和多利者部利个留遠
万知止遠尓乃美者部利个礼者
読下 人を思ひかけて言ひわたり侍りけるを、
待ち遠にのみ侍りければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 加春奈良奴身者也万乃者尓安良祢止毛於本久乃川幾遠寸久之川留加奈
和歌 かすならぬ みはやまのはに あらねとも おほくのつきを すくしつるかな
読下 数ならぬ身は山の端にあらねども多くの月を過ぐしつるかな
解釈 貴女にとって人の数にも入らない我が身は、山の端、その言葉の響きのような、恋焦がれる男たちの順番の端ではありませんが、貴女が私への心持を示すことに、たくさんの月日を過ごしたことです。

歌番号九六七
原文 飛左之久以飛和多利者部利个留尓川礼奈久乃三者部利个礼八
読下 久しく言ひわたり侍りけるに、つれなくのみ侍りければ

原文 奈利比良
読下 業平朝臣(在原業平)

原文 堂乃女川々安者天止之布留以徒者利尓己利奴己々呂遠飛止者志良奈无
和歌 たのめつつ あはてとしふる いつはりに こりぬこころを ひとはしらなむ
読下 頼めつつ逢はで年経る偽りに懲りぬ心を人は知らなん
解釈 貴女の私への心持ちに期待を抱きながら、貴女の閨で逢わないままに年月が過ぎてしまった、貴女の私への心持の偽りにも、まったく、懲りずに恋い慕う私の気持ちを、貴女は気が付かないのでしょうか。

歌番号九六八
原文 可部之
読下 返し

原文 以世
読下 伊勢

原文 奈川无之乃志留/\末与不於毛飛遠者己利奴加奈之止多礼可三左良无
和歌 なつむしの しるしるまよふ おもひをは こりぬかなしと たれかみさらむ
読下 夏虫の知る知るまどふ思ひをば懲りぬ悲しと誰れか見ざらん
解釈 夏虫が己が身を焼き焦がすことを知っていても篝火の周りを飛び惑う、そのような心持を、懲りない辛さだ、と誰がそのような夏虫の様子を見ているでしょうか。(貴方の様子も、夏虫が篝火の周りを飛んでいるのと同じじゃありませんか。)

歌番号九六九
原文 加部之己止世奴飛止尓川可者之个留
読下 返事せぬ人につかはしける

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 打和比天与者々武己恵尓也万比己乃己多部奴曽良八安良之止曽於毛不
和歌 うちわひて よははむこゑに やまひこの こたへぬやまは あらしとそおもふ
読下 うちわびて呼ばはむ声に山彦の答へぬそらはあらじとぞ思ふ
解釈 恋焦がれて辛い気持ちで呼びかける声に山彦は答えない様子は無いと思います。(同じように、返事だけでも頂きたいものです。)

歌番号九七〇
原文 可部之
読下 返し

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 也万比己乃己恵乃末尓/\止比由可八武奈之幾曽良尓由幾也加部良无
和歌 やまひこの こゑのまにまに とひゆかは むなしきそらに ゆきやかへらむ
読下 山彦の声のまにまに問ひ行かばむなしき空に行きや帰らん
解釈 山彦の返事の声にそのままに従って訪ねて行ったなら、何もない空間を行って帰ってくることになりませんか。(でも、山彦のように返事は、この通り。)

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後撰和歌集 巻13 歌番号961から965まで

2024年02月23日 | 後撰和歌集 現代語訳
歌番号九六一
原文 志乃比天美久之計止乃々部多宇尓安比可多良不止
幾々天知々乃比多利乃於本以万宇知幾三乃世以之者部利个礼者
読下 忍びて御匣殿の別当にあひ語らふと
聞きて、父の左大臣の制し侍りければ

原文 安川多々乃安曾无
読下 あつたたの朝臣(藤原敦忠)

原文 以加尓之天加久於毛不天不己止遠多尓飛止徒天奈良天幾美尓加多良无
和歌 いかにして かくおもふてふ ことをたに ひとつてならて きみにかたらむ
読下 いかにしてかく思ふてふ事をだに人づてならで君に語らん
解釈 何とかして、このように思っていることだけでも、人を介してではなく、父である貴方に直接に説明したいものです。

歌番号九六二
原文 幾美与利乃安曾无乃武寸女尓志乃比天寸三者部利个留尓
和徒良不己止安利天志奴部之止以部利个礼八川可者之个留
読下 公頼朝臣の女に忍びて住み侍りけるに、
わづらふ事ありて、死ぬべしと言へりければ、つかはしける

原文 安佐多々乃安曾无
読下 朝忠朝臣(藤原朝忠)

原文 毛呂止毛尓以左止以者寸者志天乃也満己由止毛己左武毛乃奈良奈久尓
和歌 もろともに いさといはすは してのやま こゆともこさむ ものならなくに
読下 もろともにいざと言はずは死出の山越ゆとも越さむ物ならなくに
解釈 一緒に、さあ、出発しよう、と私が貴女に言わなければ、貴女が旅にあって死出の山を越えたいと思っても、独りで越えられるものではありません。(だから、貴女が患いで死ぬことはありませんよ。)

歌番号九六三
原文 止之遠部天加多良不飛止乃川礼奈久乃美者部利个礼者
宇川呂日多留幾久尓川个天徒可者之个留
読下 年を経て語らふ人のつれなくのみ侍りければ、
移ろひたる菊につけてつかはしける

原文 幾与可个乃安曾无
読下 きよかけの朝臣(源清蔭)

原文 加久者加利布可幾以呂尓毛宇川呂不遠奈保幾美幾久乃者奈止以者奈无
和歌 かくはかり ふかきいろにも うつろふを なほきみきくの はなといはなむ
読下 かくばかり深き色にも移ろふをなほ君菊の花と言はなん
解釈 時とともに、このように深く濃き色に変わって行く菊の花、その言葉の響きのような、恋の気持ちが他の男へと移って行ったと、貴女の噂を聞くが、それでもなお、まだ、恋慕っている私の願いを、貴女に、それを聞いた(=受け止めた)と言って欲しいものです。

歌番号九六四
原文 飛止乃毛止尓満可利多利个留尓加止与利乃美加部之
个留尓加良宇之天春多礼乃毛止尓与比与世天加宇
天左部也己々呂由可奴止以比以多之多利个礼者
読下 人のもとにまかりたりけるに、門よりのみ帰し
けるに、からうじて簾のもとに呼び寄せて、かう
てさへや心行かぬ、と言ひ出だしたりければ

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 伊左也万多飛止乃己々呂毛志良川由乃遠久尓毛止尓毛曽天乃美曽比川
和歌 いさやまた ひとのこころも しらつゆの おくにもとにも そてのみそひつ
読下 いさやまだ人の心も白露の置くにも外にも袖のみぞひつ
解釈 始めて貴方をこのように部屋先の簾近くにお呼びしましたが、それでも、さぁ、どうでしょうか、また、貴方の私への本当のお気持ちが知れない、白露を置く、その言葉の響きのような、屋敷の奥に居ても、このように部屋の外にいても、不安な気持ちで涙ぐみ袖ばかりが濡れています。

歌番号九六五
原文 飛止乃毛止尓万可利个留遠安者天乃三可部之者部利个礼者
美知与利以比川可者之遣留
読下 人のもとにまかりけるを、逢はでのみ返し侍りければ、
道より言ひつかはしける

原文 与美比止之良寸
読下 詠み人知らず

原文 与留志本乃美知久留曽良毛於毛本衣寸安不己止奈美尓加部留止於毛部八
和歌 よるしほの みちくるそらも おもほえす あふことなみに かへるとおもへは
読下 寄る潮の満ち来るそらも思ほえず逢ふこと浪に帰ると思へば
解釈 寄せ来る潮が満ちて来る様子も、まったくに覚えていません、その潮の様子を見ることなく帰って来たと思うと、(朝に日が満ちて来る空の様子も、まったくに覚えていません、貴女に逢うことなく帰って来たことなので。)

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