集歌2406 狛錦 紐解開 夕戸 不知有命 戀有
試訓 高麗錦(こまにしき)紐(ひも)解(と)き開(あ)けし夕(ゆふへ)戸(と)し知らざる命(みこ)し恋ひつつあらむ
試訳 美しい高麗の錦の紐を解き、夕べには戸を開けておきましょう。今夜、いらっしゃるか判らない貴方様を、私は恋い焦がれていましょう。
注意 原文に「夕戸」の「戸」は一般に「谷」の誤字として「夕だに」と訓みますが、ここでは原文のままに訓んでいます。そこで「不知有命」の「命」を「みこと」と訓んでみました。
集歌2407 百積 船潜納 八占刺 母雖問 其名不謂
訓読 百積(ももつみ)し船隠(かく)り入る八占(やうら)さし母し問ふともその名し告(の)らじ
私訳 沢山の荷を積む大きな船が泊る多くの浦の、その多くの衢で多くの人から辻占をして母が問うても、貴方のその名は告げません。
集歌2408 眉根削 鼻鳴紐解 待哉 何時見 念吾君
訓読 眉根(まよね)削(か)き鼻(はな)ひ紐(ひも)解(と)け待つらむか何時(いつ)しも見むと念(ねが)ふ吾が君
私訳 (あの時と同じように)眉を刮り整へて、甘えた声で下着の紐を解かれる時をいつまで待つのでしょうか。いつ何時でも抱かれたいと思う、私の貴方。
集歌2409 君戀 浦経居 悔 我裏紐 結手徒
訓読 君し恋ひうらぶれ居(を)れば悔(くや)しくも我(わ)が下紐(したひも)し結(ゆ)ふ手いたづら
私訳 貴方を慕って逢えないことを寂しく思っていると、悔しいことに夜着に着替える私の下着を留める下紐を結ぶ手が空しい。
集歌2410 璞之 年者竟杼 敷白之 袖易子少 忘而念哉
訓読 あらたまし年は果(は)つれど敷栲(しきたへ)し袖交(か)へし子し忘れて思へや
私訳 貴女と何もなく今年は終わってしまったけれど、夜寝る床の栲で衣を脱いでお互いの体に掛け合った貴女を、忘れてしまったと思っていますか。
試訓 高麗錦(こまにしき)紐(ひも)解(と)き開(あ)けし夕(ゆふへ)戸(と)し知らざる命(みこ)し恋ひつつあらむ
試訳 美しい高麗の錦の紐を解き、夕べには戸を開けておきましょう。今夜、いらっしゃるか判らない貴方様を、私は恋い焦がれていましょう。
注意 原文に「夕戸」の「戸」は一般に「谷」の誤字として「夕だに」と訓みますが、ここでは原文のままに訓んでいます。そこで「不知有命」の「命」を「みこと」と訓んでみました。
集歌2407 百積 船潜納 八占刺 母雖問 其名不謂
訓読 百積(ももつみ)し船隠(かく)り入る八占(やうら)さし母し問ふともその名し告(の)らじ
私訳 沢山の荷を積む大きな船が泊る多くの浦の、その多くの衢で多くの人から辻占をして母が問うても、貴方のその名は告げません。
集歌2408 眉根削 鼻鳴紐解 待哉 何時見 念吾君
訓読 眉根(まよね)削(か)き鼻(はな)ひ紐(ひも)解(と)け待つらむか何時(いつ)しも見むと念(ねが)ふ吾が君
私訳 (あの時と同じように)眉を刮り整へて、甘えた声で下着の紐を解かれる時をいつまで待つのでしょうか。いつ何時でも抱かれたいと思う、私の貴方。
集歌2409 君戀 浦経居 悔 我裏紐 結手徒
訓読 君し恋ひうらぶれ居(を)れば悔(くや)しくも我(わ)が下紐(したひも)し結(ゆ)ふ手いたづら
私訳 貴方を慕って逢えないことを寂しく思っていると、悔しいことに夜着に着替える私の下着を留める下紐を結ぶ手が空しい。
集歌2410 璞之 年者竟杼 敷白之 袖易子少 忘而念哉
訓読 あらたまし年は果(は)つれど敷栲(しきたへ)し袖交(か)へし子し忘れて思へや
私訳 貴女と何もなく今年は終わってしまったけれど、夜寝る床の栲で衣を脱いでお互いの体に掛け合った貴女を、忘れてしまったと思っていますか。