竹取翁と万葉集のお勉強

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今日のみそひと歌 木曜日

2013年02月28日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと歌 木曜日

集歌2793 玉緒之 間毛不置 欲見 吾思妹者 家遠在而
訓読 玉し緒し間(あひだ)も置かず見まく欲(ほ)り吾が思ふ妹は家(いへ)遠(とほ)くありに
私訳 玉とそれを貫く緒との隙間がないほどに、間を置かず、常に逢いたいと思う。私が恋い慕う愛しい貴女の家は遠くにあるので。

集歌2794 隠津之 澤立見尓有 石根従毛 達而念 君尓相巻者
訓読 隠(こもり)津(つ)し沢たつみなる石根(いはね)ゆも通しに思(おも)ふ君に逢はまくは
私訳 人目に付かない谷間の沢の泉にある巨石でも、通すほどに恋い焦がれる。貴女に逢いたいことを。

集歌2795 木國之 飽等濱之 礒貝之 我者不忘 羊者雖歴
訓読 紀(き)し国し飽等(あくら)し浜し磯貝(いそかい)し我れは忘れじ遥か経ぬとも
私訳 紀の国にある飽等の浜の磯の貝。その「忘れ貝」ではないが、私は貴女を忘れることはありません。遥かに時が経っても。

集歌2796 水泳 玉尓接有 礒貝之 獨戀耳 羊者經管
訓読 水(みな)潜(くく)る玉にまじれる磯貝(いそかひ)し片恋ひのみに遥か経につつ
私訳 水に潜る玉にまじる磯貝の、その「忘れ貝」の「片貝」ではないが、片思いのままで遥かに時が経っていく。

集歌2797 住吉之 濱尓縁云 打背貝 實無言以 余将戀八方
訓読 住吉(すみのへ)し浜に寄るといふうつせ貝(かひ)実(み)なき言(こと)もち余(あ)れ恋ひめやも
私訳 住吉の浜辺に打ち寄せると云う、その「忘れ貝」の「片貝」である「空(うつ)せ貝」のような、実の無い言葉で私が恋を誓うでしょうか。

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今日のみそひと歌 水曜日

2013年02月27日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと歌 水曜日

集歌1943 月夜吉 鳴霍公鳥 欲見 吾草取有 見人毛欲得
訓読 月夜(つくよ)よみ鳴く霍公鳥(ほととぎす)見まく欲(ほ)り吾(わ)れ草取れり見む人もがも
私訳 月夜が美しいと鳴くホトトギス、そのホトトギスを眺めてみたいと私は野草を採っている。私と眺めたいと思う人がいればよいのに。

集歌1944 藤浪之 散巻惜 霍公鳥 今城岳叨 鳴而越奈利
訓読 藤波(ふぢなみ)し散らまく惜(を)しみ霍公鳥(ほととぎす)今城(いまき)し岳(をか)と鳴きに越ゆなり
私訳 藤浪の花が散ってしまうのを惜しんで、ホトトギスが貴方が今、やって来ましたねと、今城の丘を鳴きながら越していく。

集歌1945 旦霧 八重山越而 霍公鳥 宇能花邊柄 鳴越来
訓読 朝し霧八重山(やへやま)越えに霍公鳥(ほととぎす)卯の花辺(はなへ)から鳴きて越え来ぬ
私訳 朝霧の八重山を越えるように、ホトトギスが卯の花が咲いているあたりから鳴きながら越えて来た。

集歌1946 木高者 曽木不殖 霍公鳥 来鳴令響而 戀令益
訓読 木(こ)高くはそし木(き)し植ゑじ霍公鳥(ほととぎす)来鳴き響(とよ)めに恋まさらしむ
私訳 木高くなるなら、そのような木は植えないようにしよう。梢が高ければ、ホトトギスが飛び来りて「カツコヒ(片恋)、カツコヒ」とその声を鳴き響かせるから、私の恋心を募らせるだろう。

集歌1947 難相 君尓逢有夜 霍公鳥 他時従者 今杜鳴目
訓読 逢ひかたき君に逢へる夜霍公鳥(ほととぎす)他(あした)時(とき)ゆは今こそ鳴かめ
私訳 逢い難いあの御方に(夢に)逢える夜、ホトトギスよ他の時よりまして、今こそ「カツコヒ(片恋)」と鳴いてください。

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今日のみそひと謌 火曜日

2013年02月26日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと謌 火曜日

集歌1058 狛山尓 鳴霍公鳥 泉河 渡乎遠見 此間尓不通
訓読 狛山(こまやま)に鳴く霍公鳥泉川渡りを遠(とほ)みここに通(かよ)はず
私訳 狛山に啼くホトトギスは、泉川の渡りが広く遠いので、ここには通って来ない。

集歌1060 三香原 久邇乃京者 荒去家里 大宮人乃 遷去礼者
訓読 三香(みか)し原久迩(くに)の京(みやこ)は荒れにけり大宮人の遷(うつろ)ひぬれば
私訳 三香の原にある久邇の京は荒れ果ててしまった。大宮人が遷っていってしまったので。

集歌1061 咲花乃 色者不易 百石城乃 大宮人叙 立易去流
訓読 咲く花の色は易(かは)らずももしきの大宮人ぞ立ち易(かは)りさる
私訳 咲く花の色は変わることもない。多くの岩を積み作る大宮の宮人だけが立ち替わり去って行った。

集歌1063 有通 難波乃宮者 海近見童女等之 乗船見
訓読 あり通ふ難波の宮は海(うみ)近(ちか)み童女(わらはをみな)し乗れる船そ見ゆ
私訳 御通いなされる難波の宮は海が近いので、童女たちが乗った船が見える。

集歌1064 塩干者 葦邊尓参 白鶴乃 妻呼音者 宮毛動響二 (参は、足+参の当字)
訓読 潮干(しほひ)れば葦辺に参(さへ)く白鶴(しらたづ)の妻呼ぶ声は宮もとどろに
私訳 潮が引けば葦辺により来る白鶴の妻を呼び声が、宮に響き渡る。

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今日のみそひと歌 月曜日

2013年02月25日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと歌 月曜日

集歌127 遊士尓 吾者有家里 屋戸不借 令還吾曽 風流士者有
訓読 遊士(みやびを)に吾はありけり屋戸(やと)貸さず還しし吾(われ)ぞ風流士(みやびを)にはある
私訳 風流人ですよ、私は。神話の伊邪那岐命と伊邪那美命との話にあるように、女から男の許を娉うのは悪(あし)ことですよ。だから、女の身で訪ねてきた貴女に一夜の寝屋をも貸さず、貴女に何もしないでそのまま還した私は風流人なのですよ。だから、今、貴女とこうしているではないですか。

集歌128 吾聞之 耳尓好似 葦若未乃 足痛吾勢 勤多扶倍思
訓読 吾(わ)が聞きし耳に好(よ)く似る葦(あし)若未(うれ)の足(あし)痛(う)む吾が背(せ)勤(つと)め給(た)ふべし
私訳 私が聞くと発音がよく似た葦(あし)の末(うれ)と足(あし)を痛(う)れう私の愛しい人よ。神話の伊邪那岐命と伊邪那美命との話にあるように、女から男の許を娉うのは悪(あし)ことであるならば、今こうしているように、風流人の貴方は私の許へもっと頻繁に訪ねて来て、貴方のあの逞しい葦の芽によく似たもので私を何度も何度も愛してください。

集歌129 古之 嫗尓為而也 如此許 戀尓将沈 如手童兒
試訓 古(いにしへ)し嫗(おふな)にせにや如(か)くばかり恋に沈まむ手(た)童(わらは)し如(ごと)
試訳 昔、その年老いた女が恋心を持ったように、私もこの石川女郎と大伴田主との恋の物語のように昔のように恋の思い出に心を沈みこませています。まるで、一途な子供みたいに。

集歌130 丹生乃河 瀬者不渡而 由久遊久登 戀痛吾弟 乞通来祢
訓読 丹生(にふ)の河(かは)瀬は渡らずにゆくゆくと恋(こひ)痛(た)き吾弟(わがせ)乞(こ)いで通(かよ)ひ来(こ)ね
私訳 この世とあの世とを結ぶ丹生の川瀬を渡ることをしないで。常久しく心に留め心配している私の愛しい弟よ、お願いだ、あの世への丹生の川瀬から私の元に通って来い。

集歌132 石見乃也 高角山之 木際従 我振袖乎 妹見都良武香
訓読 石見(いはみ)のや高角山(たかつのやま)し木(こ)し際(ま)より我が振る袖を妹見つらむか
私訳 石見にある高い津野の山の木々の葉の間から、私が振る袖を恋人は見ただろうか。

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柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌 11

2013年02月24日 | 柿本朝臣人麻呂歌集及び万葉集に載る歌集
柿本朝臣人麻呂の歌並びに人麻呂歌集の歌

泊瀬朝倉宮御宇大泊瀬幼武天皇御製謌一首
標訓 泊瀬朝倉宮に天の下知(し)らしめしし大泊瀬幼武天皇の御製謌一首
集歌1664 暮去者 小椋山尓 臥鹿之 今夜者不鳴 寐家良霜
訓読 夕されば小倉し山に臥す鹿し今夜は鳴かず寝ねにけらしも
私訳 夕方になると小倉の山に棲む鹿が、今宵は鳴かない。もう、棲家で寝てしまったようだ。
右、或本云、崗本天皇御製。不審正指。因以累載。
注訓 右は或る本に云はく、「崗本天皇の御製なり」といへり。正指(せいし)を審(つまび)らかにせず。これに因りて以ちて累ねて載す。

崗本宮御宇天皇幸紀伊國時謌二首
標訓 崗本宮に天の下知(し)らしめしし天皇(すめらみこと)の紀伊国に幸(いでま)しし時の歌二首
集歌1665 為妹 吾玉拾 奥邊有 玉縁持来 奥津白波
訓読 妹しためわれ玉拾ふ沖辺なる玉寄せ持ち来沖つ白波
私訳 愛しい恋人のために私は玉を拾う。沖辺にある玉を寄せ持って来る沖の白波よ。

集歌1666 朝霧尓 沾尓之衣 不干而 一哉君之 山道将越
訓読 朝霧に濡れにし衣干さずして独りか君し山道越ゆらむ
私訳 朝霧に濡れた衣を干すこともなく、独りで貴方が山道を越えて行くようです。
右二首、作者未詳
注訓 右の二首は、作者いまだ詳(つばひ)らかならず。

大寶元年辛丑冬十月、太上天皇大行天皇幸紀伊國時謌十三首
標訓 大宝元年辛丑の冬十月に、太上天皇(おほきすめらみこと)大行天皇(さきのすめらみこと)の紀伊国に幸(いでま)しし時の歌十三首
集歌1667 為妹 我玉求 於伎邊有 白玉依来 於伎都白浪
訓読 妹しため我玉求む沖辺(おきへ)なる白玉寄せ来(こ)沖つ白浪
私訳 貴女のために私は真珠の玉が欲しい。沖の方から白い真珠の玉を波とともに寄せて来い。沖に立つ美しい玉のような波立つ白浪よ。
右一首、上見既畢。但、謌辞小換、年代相違。因以累載。
注訓 右の一首は、上に見ゆること既に畢(をは)りぬ。ただ、歌の辞(ことば)小(すこ)しく換(かは)り、年代相(あひ)違(たが)へり。これに因りて以ちて累ねて載す。

集歌1668 白埼者 幸在待 大船尓 真梶繁貫 又将顧
訓読 白崎は幸(さき)をあり待つ大船に真梶(まかぢ)繁(しじ)貫(ぬ)きまたかへり見む
私訳 由良の白崎は御幸のふたたびの訪れを待っている。大船に立派な梶を差し込んで船を出し、また紀伊国の御幸の帰りに見ましょう。

集歌1669 三名部乃浦 塩莫満 鹿嶋在 釣為海人 見戀来六
訓読 三名部(みなべ)の浦潮(しほ)な満ちそね鹿島なる釣りする海人(あま)を見て帰り来(こ)む
私訳 紀伊国の三名部の浦に磯の道を閉ざす潮よ満ちるな。鹿嶋で釣をする海人を見に行って来たいから。

集歌1670 朝開 滂出而我者 湯羅前 釣為海人乎 見反将来
訓読 朝(あさ)開(ひら)き漕ぎ出に我は由良(ゆら)し崎釣りする海人(あま)を見変(みかへ)り来まむ
私訳 朝が開け船を漕ぎ出すから、私は由良の岬で釣をする海人の色々な姿を見ることが出来るでしょう。

集歌1671 湯羅乃前 塩乾尓祁良乎志 白神之 磯浦箕乎 敢而滂動
訓読 由良(ゆら)の崎潮(しほ)干(ひ)にけらし白神(しらかみ)し礒し浦廻(うらみ)を敢(あ)へに漕ぐなり
私訳 由良の岬の潮は引き潮のようです。白浪が打ち寄せる白神の磯の浦の辺りを、敢えて船を楫を漕いでいく。

集歌1672 黒牛方 塩干乃浦乎 紅 玉裙須蘇延 往者誰妻
訓読 黒牛潟(くろうしがた)潮干(しほひ)の浦を紅(くれなゐ)し玉裳(たまも)裾(すそ)引(ひ)き行くは誰(た)が妻
私訳 黒牛の潟の潮が干いた浜辺を紅の美しい裳の裾を引いて歩いているのは誰の恋人でしょうか。

集歌1673 風莫乃 濱之白浪 従 於斯依久流 見人無
訓読 風莫(かぜなし)の浜し白波いたづらしここし寄せ来(く)る見る人しなみ
私訳 風があっても風莫の浜と呼ばれる浜の白波は、ただ無性に寄せてくる。見る人もいないのに。
一云、於斯依来藻
訓読 一(あるひ)は云はく、ここに寄せ来も
右一首、山上臣憶良類聚歌林曰、長忌寸意吉麿、應詔作此謌。
注訓 右の一首は、山上臣憶良の類聚歌林に曰はく「長忌寸意吉麿、詔(みことのり)に応(こた)へてこの歌を作る」といへり。

集歌1674 我背兒我 使将来歟跡 出立之 此松原乎 今日香過南
訓読 我が背子が使(つかひ)来(こ)むかと出立(いでたち)しこの松原を今日(けふ)か過ぎなむ
私訳 私の愛しい子が父からの便りの使いが来ないかと家の外に出て立つように、まだかまだかと待っていた出立のこの松原を今日は行き過ぎます。

集歌1675 藤白之 三坂乎越跡 白栲之 我衣手者 所沾香裳
訓読 藤白(ふぢしろ)し御坂を越ゆと白栲し我が衣手(ころもて)は濡れにけるかも
私訳 藤白の御坂を越えると、有馬皇子の故事を思うと白栲の私の衣の袖は皇子を思う涙に濡れるでしょう。

集歌1676 勢能山尓 黄葉常敷 神岳之 山黄葉者 今日散濫
訓読 背の山に黄葉(もみち)常敷く神岳(かむたけ)し山し黄葉(もみちは)は今日か散るらむ
私訳 有馬皇子の藤白の御坂の山は黄葉で覆われています、大和の明日香の雷丘の黄葉はもう散っているでしょうか。

集歌1677 山跡庭 聞往歟 大我野之 竹葉苅敷 廬為有跡者
訓読 大和には聞こえ往(い)かぬか大我野(おほがの)し竹葉(たかは)刈り敷き廬(いほり)せりとは
私訳 大和にはその評判が聞こえているでしょうか、大我野にある珍しい竹葉を刈り取って仮の宿に敷いていることを。

集歌1678 木國之 昔弓雄之 響矢用 鹿取靡 坂上尓曽安留
訓読 紀(き)し国し昔弓雄(さつを)し響矢(なりや)用(も)ち鹿取り靡けし坂上(さかへ)にぞある
私訳 紀の国で、昔、弓の勇者が神の響矢で鹿を取り従わせた熊野荒坂です。

集歌1679 城國尓 不止将往 妻社 妻依来西尼 妻常言長柄
訓読 紀(き)し国にやまず通(かよ)はむ妻し杜(もり)妻寄しこせね妻と言(い)ひながら
私訳 紀の国には止むことなくいつも通いましょう。仁徳天皇の妻の磐姫命皇后の御綱柏の社の故事のように、妻を御綱柏を採りに寄せ来させましょう。貴女は妻と言ひながら。
一云、嬬賜尓毛 嬬云長良
訓読 一(あるひ)は云はく、妻賜はにも妻と言ひながら
右一首、或云、坂上忌寸人長作。
注訓 右は一首は、或は云はく「坂上忌寸人長の作なり」といへり。

後人謌二首
標訓 後(のこる)人(ひと)の歌二首
集歌1680 朝裳吉 木方往君我 信土山 越濫今日曽 雨莫零根
訓読 朝も吉(よ)し紀(き)へ行く君が信土山(まつちやま)越ゆらむ今日(けふ)そ雨な降りそね
私訳 今朝は日よりも良いようです。紀の国に行く貴方が大和と紀の国との境の信土山を今日は越えていく。雨よ降らないで。

集歌1681 後居而 吾戀居者 白雲 棚引山乎 今日香越濫
訓読 後(おく)れ居(い)に吾(わ)が恋ひ居(を)れば白雲し棚(たな)引(ひ)く山を今日(けふ)か越ゆらむ
私訳 後に残って居るので私が貴方を恋慕っていると、彼方に見える白雲の棚引く山を、貴方は今日は越えるのでしょうか。

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