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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻2 歌番号134から136まで

2024年08月09日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻2

歌番号 134 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 藤原長能

原文 佐者部奈寸 安良不留加美毛 於之奈部天 个不者奈己之乃 者良部奈利个利

和歌 さはへなす あらふるかみも おしなへて けふはなこしの はらへなりけり

読下 さはへなすあらふる神もおしなへてけふはなこしの祓なりけり

解釈 五月の蠅のようにうるさく騒々しく祟る神も、押し並べて神鎮めとなるように、今日は夏越のお祓い神事を執り行います。

 

歌番号 135

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 毛美知世者 安可久奈利奈无 遠久良也万 安幾末川本止乃 奈尓己曽安利个礼

和歌 もみちせは あかくなりなむ をくらやま あきまつほとの なにこそありけれ

読下 もみちせはあかくなりなんをくら山秋まつほとのなにこそありけれ

解釈 紅葉すると赤く明るくなるでしょう、その小暗の響きを持つ小倉山の名は秋の季節を待つ間までのことだったようです。(今、秋となり真っ赤になっています。)

 

歌番号 136 拾遺抄記載

詞書 右大将定国四十賀に、内より屏風てうしてたまひけるに

詠人 たたみね

原文 於保安良幾乃 毛利乃志多久左 志个利安日天 不可久毛奈川乃 奈利尓个留可那

和歌 おほあらきの もりのしたくさ しけりあひて ふかくもなつの なりにけるかな

読下 おほあらきのもりのした草しけりあひて深くも夏のなりにけるかな

解釈 昔、帝の陵として祀った大荒木の杜の木々の下草が茂り合う、その言葉の響きではありませんが、季節も茂り、時深い夏になったことです。

注意 大荒木の杜は大和にある杜を指すのでしょうが、万葉集の世界では天皇の葬儀や陵を意味しますから、祝賀の歌としては題材に疑問があります。

 

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拾遺和歌集 巻2 歌番号129から133まで

2024年08月08日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻2

歌番号 129 拾遺抄記載

詞書 女四のみこの家の屏風に

詠人 みつね

原文 由久須恵者 万多止遠个礼止 奈川也万乃 己乃志多加計曽 多知宇可利个留

和歌 ゆくすゑは またとほけれと なつやまの このしたかけそ たちうかりける

読下 ゆくすゑはまたとほけれと夏山のこのしたかけそたちうかりける

解釈 これからの道行は遠いけれど、(夏の強い日差しの中、)夏山の木々の下の木陰は立ち去るのが辛いものがあります。(それと同じように、貴女の庇護の下に居たいものです。)

 

歌番号 130

詞書 延喜の御時の御屏風に

詠人 つらゆき

原文 奈川也万乃 可个遠志計美也 堂万本己乃 美知由幾比止毛 多知止万留良无

和歌 なつやまの かけをしけみや たまほこの みちゆくひとも たちとまるらむ

読下 夏山の影をしけみやたまほこの道行く人も立ちとまるらん

解釈 夏山の木々の木陰の下は草葉が茂っているので、寄り道が許されない公務を示す立派な矛を持った道を行く人も、きっと、熱い日差しに立ち留まるでしょう。

 

歌番号 131 拾遺抄記載

詞書 河原院のいつみのもとにすすみ侍りて

詠人 恵慶法師

原文 万川可个乃 為者以乃美川遠 武寸日安个天 奈川奈幾止之止 於毛飛个留可奈

和歌 まつかけの いはゐのみつを むすひあけて なつなきとしと おもひけるかな

読下 松影のいはゐの水をむすひあけて夏なきとしと思ひけるかな

解釈 松の木陰の岩井の清水を手で掬い上げて、その涼しさに、今年は夏が無いのかと思ってしまいました。

 

歌番号 132

詞書 家にさきて侍りけるなてしこを、人のかりつかはしける

詠人 伊勢

原文 以徒己尓毛 佐幾者寸良女止 和可也止乃 也万止奈天之己 多礼尓美世末之

和歌 いつこにも さきはすらめと わかやとの やまとなてしこ たれにみせまし

読下 いつこにもさきはすらめとわかやとの山となてしこたれに見せまし

解釈 何処にでも咲くと貴方は思うでしょうが、私の屋敷に咲いたこの大和撫子の花を、さて、誰に見せましょうか。(ねぇ、貴方。)

 

歌番号 133 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 曽己幾与美 奈可留々可者乃 左也可尓毛 波良不留己止遠 加美者幾可奈无

和歌 そこきよみ なかるるかはの さやかにも はらふることを かみはきかなむ

読下 そこきよみなかるる河のさやかにもはらふることを神はきかなん

解釈 流れの底までが清らかで、流れて行く河の風情がさやかです、その言葉の響きではありませんが、私がこのようにさやかにお祓いをすることを神は聞き届けるでしょう。

 

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拾遺和歌集 巻2 歌番号124から128まで

2024年08月08日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻2

歌番号 124 拾遺抄記載

詞書 春宮にさふらひけるゑに、くらはし山に郭公とひわたりたる所

詠人 藤原実方朝臣

原文 佐川幾也美 久良波之也万乃 本止々幾須 於保川可奈久毛 奈幾和多留可奈

和歌 さつきやみ くらはしやまの ほとときす おほつかなくも なきわたるかな

読下 さ月やみくらはし山の郭公おほつかなくもなきわたるかな

解釈 五月の闇の倉橋山のホトトギスは、その闇暗しの言葉の響きではありませんが、はっきりしない様子で鳴き渡っています。

 

歌番号 125 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 本止々幾須 奈久也左川幾乃 美之可与毛 飛止利之奴礼者 安可之可祢川毛

和歌 ほとときす なくやさつきの みしかよも ひとりしぬれは あかしかねつも

読下 郭公なくやさ月のみしかよもひとりしぬれはあかしかねつも

解釈 ホトトギスが啼く皐月の短い夜も、独り寝をすると、物思いでなかなか明かし辛いものがあります。

注意 和歌の約束では、ホトトギスはカッコウのことで、カッコーカッコーと啼く声を片恋片恋と聴きます。ここでは恋人を思って寝付けないとの歌意になります。拾遺抄では、この歌柿本人まろが集にいれり、とある。

 

歌番号 126 拾遺抄記載

詞書 西宮左大臣の家の屏風に

詠人 源したかふ

原文 保止々幾須 万川尓川个天也 止毛之寸留 比止毛也万部尓 与遠安可寸良无

和歌 ほとときす まつにつけてや ともしする ひともやまへに よをあかすらむ

読下 ほとときす松につけてやともしする人も山へによをあかすらん

解釈 ホトトギスの啼くを待つ、その言葉の響きではないが、松明に火を付けて明りを灯す人も、山辺で夜を明かすようです。

 

歌番号 127 拾遺抄記載

詞書 延喜の御時、月次の御屏風に

詠人 つらゆき

原文 左川幾也万 己乃志多也美尓 止毛寸飛者 之可乃多知止乃 志留部奈利个利

和歌 さつきやま このしたやみに ともすひは しかのたちとの しるへなりけり

読下 さ月山このしたやみにともす火はしかのたちとのしるへなりけり

解釈 五月の山の木の下の、その草葉が生い茂った暗闇に、灯す火の明りは鹿が立っている場所を示す目印でした。

 

歌番号 128 拾遺抄記載

詞書 九条右大臣家の賀の屏風に

詠人 平兼盛

原文 安也之久毛 志可乃多知止乃 美衛奴可奈 遠久良乃也万尓 和礼也幾奴良无

和歌 あやしくも しかのたちとの みえぬかな をくらのやまに われやきぬらむ

読下 あやしくもしかのたちとの見えぬかなをくらの山に我やきぬらん

解釈 どうした訳か、鹿が立っている姿を眺めることが出来ません、小暗いと言う名を持つ小倉山に私はやって来たのでしょうか。

 

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拾遺和歌集 巻2 歌番号119から123まで

2024年08月07日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻2

歌番号 119

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 宇多天比止 於毛者武毛乃遠 本止々幾須 与留之毛奈止可 和可也止尓奈久

和歌 うたてひと おもはむものを ほとときす よるしもなとか わかやとになく

読下 うたて人おもはむものをほとときすよるしもなとかわかやとになく

解釈 どうしようもないと、人は思うでしょうが、ホトトギスよ、夜に限って、どうして、私の屋敷で鳴くのでしょうか。(気になって、寝られないではありませんか。)

 

歌番号 120 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 大伴坂上郎女

原文 本止々幾須 以多久奈々幾曽 飛止利為天 以乃祢良礼奴尓 幾計者久留之毛

和歌 ほとときす いたくななきそ ひとりゐて いのねられぬに きけはくるしも

読下 郭公いたくななきそひとりゐていのねられぬにきけはくるしも

解釈 ホトトギスよ、そんなに片恋、片恋と鳴かないでください。独りで居て、恋人を思い寝られないときに、その声を聴けば心が辛いから。

注意 和歌の約束では、ホトトギスはカッコウのことで、カッコーカッコーと啼く声を片恋片恋と聴きます。

 

歌番号 121

詞書 題しらす

詠人 中務

原文 奈川乃与乃 己々呂遠之礼留 本止々幾寸 者也毛奈可奈无 安計毛己曽寸礼

和歌 なつのよの こころをしれる ほとときす はやもなかなむ あけもこそすれ

読下 夏の夜の心をしれるほとときすはやもなかなんあけもこそすれ

解釈 夏の夜が短いと感じる気持ちを知っているホトトギスは、早く鳴き出して欲しい、夜が明けてしまうといけないので。

 

歌番号 122 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 中務

原文 奈川乃与八 宇良之満乃己可 波己奈礼也 者可奈久安个天 久也之可留良无

和歌 なつのよは うらしまのこか はこなれや はかなくあけて くやしかるらむ

読下 なつのよは浦島のこかはこなれやはかなくあけてくやしかるらん

解釈 夏の夜は、浦島の物語の子の宝箱なのだろうか、あっけなく箱を開けるではないが、すぐに夜が明けて、共寝の夜の短さを残念に思うことでしょう。

 

歌番号 123

詞書 延喜の御時、中宮の歌合

詠人 よみ人しらす

原文 奈徒久礼者 不可久左也万乃 本止々幾須 奈久己恵志計久 奈利万佐留奈利

和歌 なつくれは ふかくさやまの ほとときす なくこゑしけく なりまさるなり

読下 なつくれは深草山の郭公なくこゑしけくなりまさるなり

解釈 夏がやって来ると、深草山のホトトギスの啼く声が、草が深いではありませんが、繁く大きくなってきました。

 

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拾遺和歌集 巻2 歌番号114から118まで

2024年08月06日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻2

歌番号 114

詞書 天暦の御時の屏風に、よとのわたりする人かける所に

詠人 壬生忠見

原文 志个留己止 万己毛乃於不留 与止乃尓八 川由乃也止利遠 比止曽可利个留

和歌 しけること まこものおふる よとのには つゆのやとりを ひとそかりける

読下 しけることまこものおふるよとのにはつゆのやとりを人そかりける

解釈 床に敷いている真菰、その真菰が生い茂る淀の野原には、露を凌ぐかりそめの宿りをする人が、真菰を刈るではないが、宿りを借りているようだ。

 

歌番号 115 拾遺抄記載

詞書 小野宮大臣家の屏風に、わたりしたる所に郭公なきたるかたあるに

詠人 つらゆき

原文 可乃可多尓 者也己幾与世与 本止々幾須 美知尓奈幾川止 比止尓加多良无

和歌 かのかたに はやこきよせよ ほとときす みちになきつと ひとにかたらむ

読下 かの方にはやこきよせよ郭公道になきつと人にかたらん

解釈 向こう岸に早く舟を漕ぎよせよ、ホトトギスが道に懐いて、その道中で鳴いていたと人に物語しましょう。

 

歌番号 116

詞書 さたふんか家の歌合に

詠人 みつね

原文 本止々幾須 遠知可部利奈計 宇奈比己可 宇知多礼可美乃 左美多礼乃曽良

和歌 ほとときす をちかへりなけ うなゐこか うちたれかみの さみたれのそら

読下 郭公をちかへりなけうなゐこかうちたれかみのさみたれのそら

解釈 ホトトギスよ、近寄って鳴け、幼子の前髪を垂らした髪型のような、乱れ模様の五月雨の空ですから。

 

歌番号 117

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 奈遣也奈計 堂可田乃也万乃 本止々幾須 己乃左美多礼尓 己衛奈於之美曽

和歌 なけやなけ たかたのやまの ほとときす このさみたれに こゑなをしみそ

読下 なけやなけたか田の山の郭公このさみたれにこゑなをしみそ

解釈 啼きに啼いてくて、高田の山のホトトギスよ、この五月雨の中、声を惜しまないでくれ。

 

歌番号 118 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 佐美多礼者 以己曽祢良礼子 本止々幾須 世布可久奈可武 己恵遠万川止天

和歌 さみたれは いこそねられね ほとときす よふかくなかむ こゑをまつとて

読下 さみたれは居こそ寝られね郭公夜ふかくなかむこゑをまつとて

解釈 五月雨の夜は床についても寝られない、ホトトギスが夜深くに鳴くでしょう、その声を待っていると。

 

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