竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
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再読、今日のみそひと謌 木

2019年10月31日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 木

集歌4318 安伎能野尓 都由於弊流波疑乎 多乎良受弖 安多良佐可里乎 須其之弖牟登香
訓読 秋の野に露負へる萩を手折(たお)らずてあたら盛りを裾してむとか
私訳 秋の野に露を帯びた萩を手折ることもしなくて、空しく花の盛りは丘の頂から裾野まで来てしまいました。
注意 原文の「須其之弖牟登香」の「其」は、一般に「具」の誤記として「須具之弖牟登香」と記し「過してむとか」と訓みます。

集歌4319 多可麻刀能 秋野乃宇倍能 安佐疑里尓 都麻欲夫乎之可 伊泥多都良牟可
訓読 高円(たかまと)の秋野の上の朝霧に妻呼ぶ壮(を)鹿(しか)出で立つらむか
私訳 高円の秋の野の上を流れる朝霧に、妻を呼び立てる牡鹿が出で立つのでしょうか。

集歌4320 麻須良男乃 欲妣多天思加婆 左乎之加能 牟奈和氣由加牟 安伎野波疑波良
訓読 大夫(ますらを)の呼び立てしかばさ壮鹿(をしか)の胸別け行かむ秋野萩原
私訳 立派な大夫である私が呼び立てたので、牡鹿が胸で萩の群を分けていくのでしょう、秋の野の萩原を。

天平勝寳七歳乙未二月、相替遣筑紫諸國防人等謌
標訓 天平勝寳七歳乙未二月に、相替りて筑紫に遣(つか)はさえし諸國(くにくに)の防人等(さきもりたち)の謌
集歌4321 可之古伎夜 美許等加我布理 阿須由利也 加曳我牟多祢牟 伊牟奈之尓志弖
訓読 畏(かしこ)きや御言(みこと)被(かがふ)り明日ゆりや草がむた寝む妹なしにして
私訳 畏れ多い御命令を頂いて、明日からは草と共寝するでしょう。愛しい貴女をなしにして。

集歌4322 和我都麻波 伊多久古比良之 乃牟美豆尓 加其佐倍美曳弖 余尓和須良礼受
訓読 吾(わ)が妻はいたく恋ひらし飲む水に影さへ見えて世に忘られず
私訳 私の妻はひどく私を恋しがっているようだ、飲む水に妻の面影が見えて、防人として生きていくのに妻が忘れられない。
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再読、今日のみそひと謌 水

2019年10月30日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 水

集歌4313 安乎奈美尓 蘇弖佐閇奴礼弖 許具布祢乃 可之布流保刀尓 左欲布氣奈武可
訓読 青波に袖さへ濡れて漕ぐ舟の梶(かし)振るほとにさ夜更けなむか
私訳 青波に袖まで濡れて漕ぐ舟の梶棹を振る間に、夜は更けていくのでしょうか。

集歌4314 八千種尓 久佐奇乎宇恵弖 等伎其等尓 佐加牟波奈乎之 見都追思怒波奈
訓読 八千種(やちくさ)に草木を植ゑて時ごとに咲かむ花をし見つつ偲はな
私訳 いろいろに草木を植えて、季節ごとに咲くでしょう花を眺めながら風流を楽しみましょう。

集歌4315 宮人乃 蘇泥都氣其呂母 安伎波疑尓 仁保比与呂之伎 多加麻刀能美夜
訓読 宮人の袖付け衣秋萩に色付(にほひ)よろしき高円(たかまど)の宮
私訳 美しい宮人の袖の長い衣が、秋萩の花と競って艶やかな高円の宮殿よ。

集歌4316 多可麻刀能 宮乃須蘇未乃 努都可佐尓 伊麻左家流良武 乎美奈弊之波母
訓読 高円(たかまと)の宮の裾廻(すそみ)の野づかさに今咲けるらむ女郎花(をみなえし)はも
私訳 高円の宮殿のまわりの、野の小高い丘に、今、咲いているでしょう女郎花よ。

集歌4317 秋野尓波 伊麻己曽由可米 母能乃布能 乎等古乎美奈能 波奈尓保比見尓
訓読 秋野には今こそ行かめ物部(もののふ)の男女(をとこをみな)の花色付(にほひ)見に
私訳 秋の野には、今こそ、行きましょう。大宮に仕える男も女もそろって、花が咲き誇る姿を眺めに。
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再読、今日のみそひと謌 水

2019年10月30日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 水

集歌4339 久尓米具留 阿等利加麻氣利 由伎米具利 加比利久麻弖尓 已波比弖麻多祢
訓読 国(くに)廻(めぐ)るあとりかまけり行き廻り帰り来までに斎(いは)ひて待たね
私訳 国々を飛び回るアトリやマケのように、筑紫の国へ行き廻り、帰って来るまで神に祈って待っていてください。

集歌4340 知〃波々江 已波比弖麻多祢 豆久志奈流 美豆久白玉 等里弖久麻弖尓
訓読 父母え斎(いは)ひて待たね筑紫なる水漬(みずく)く白玉取りて来までに
私訳 父母よ、神に祈って待っていてください。筑紫にある水中の白玉を取って来るまで。

集歌4341 多知波奈能 美袁利乃佐刀尓 父乎於伎弖 道乃長道波 由伎加弖奴加毛
訓読 橘の美袁利(みをり)の里に父を置きて道の長道は行きかてのかも
私訳 橘の美袁利の里に父を置いて、旅路の長い道を行きかねることです。

集歌4342 麻氣波之良 寶米弖豆久礼留 等乃能其等 已麻勢波々刀自 於米加波利勢受
訓読 真木柱(まきはしら)ほめて造れる殿(との)のごといませ母刀自(とじ)面変はりせず
私訳 立派な柱を祝福して造った御殿のように、過ごしてください。母上よ、面変わりすることなく。

集歌4343 和呂多比波 多比等於米保等 已比尓志弖 古米知夜須良牟 和加美可奈志母
訓読 吾(わ)ろ旅は旅と思ほど家にして子持ち痩すらむ吾(わ)が妻(み)愛(かな)しも
私訳 私たちの旅は、旅だからと辛抱します。家にいて子供を抱えて痩せるでしょう、私の妻がいとおしい。

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再読、今日のみそひと謌 火

2019年10月29日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 火

集歌4308 波都乎婆奈 波名尓見牟登之 安麻乃可波 弊奈里尓家良之 年緒奈我久
訓読 初(はつ)尾花(をはな)花に見むとし天の川隔(へ)なりにけらし年の緒長く
私訳 今年初めての尾花の花の穂のように僅かに眺めようとすると、天の川が遮りとなっている。長年に渡って。

集歌4309 秋風尓 奈妣久可波備能 尓故具左能 尓古餘可尓之母 於毛保由流香母
訓読 秋風に靡く川辺の和草(にこくさ)の和(にこ)よかにしも念(おも)ほゆるかも
私訳 秋風に靡く川の辺の柔らかな草のように、心穏やかにして、貴女を恋い慕っています。

集歌4310 安吉佐礼婆 奇里多知和多流 安麻能河波 伊之奈弥於可波 都藝弖見牟可母
訓読 秋されば霧立ち渡る天の川石(いし)並(なみ)置かば継ぎて見むかも
私訳 秋がやってくると霧が立ち渡る天の川よ、その川に飛び石を置いたら、いつでも逢えるでしょうか。

集歌4311 秋風尓 伊麻香伊麻可等 比母等伎弖 宇良麻知乎流尓 月可多夫伎奴
訓読 秋風に今か今かと紐解きてうら待ち居(を)るに月傾ふきぬ
私訳 貴方の訪れを告げる秋風に、今か今かと、衣の紐を解いてひたすら貴方の訪れを待っているのに、月が傾いてしまいました。

集歌4312 秋草尓 於久之良都由能 安可受能未 安比見流毛乃乎 月乎之麻多牟
訓読 秋草に置く白露の飽かずのみ相見るものを月をし待たむ
私訳 秋草に置く白露のように、いつまでも見飽きることがないように、いつもいつも逢いたいのに、二人が逢うことを許された、その月を待ちましょう。
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再読、今日のみそひと謌 月

2019年10月28日 | 再読、今日のみそひと...
再読、今日のみそひと謌 月

集歌4328 於保吉美能 美許等可之古美 伊蘇尓布理 宇乃波良和多流 知々波々乎於伎弖
訓読 大王(おほきみ)の御言(みこと)畏(かしこ)み磯に触(ふ)り海原(うのはら)渡る父母を置きて
私訳 大王のご命令を謹んで、船で磯を望んで海原を渡る。父母を国に残して。

集歌4329 夜蘇久尓波 那尓波尓都度比 布奈可射里 安我世武比呂乎 美毛比等母我母
訓読 八十(やそ)国(くに)は難波に集ひ船かざり吾(あ)がせむ日ろを見も人もがも
私訳 多くの国の人々が難波に集合し、その船の整備を私がする、そのような私の日々を見る人がいて欲しい。

集歌4330 奈尓波都尓 余曽比余曽比弖 氣布能日夜 伊田弖麻可良武 美流波々奈之尓
訓読 難波津(なにはつ)に装(にそ)ひ装(にそ)ひて今日の日や出でて罷らむ見る母なしに
私訳 難波の湊に船を装い装いて、今日の日こそ、出航して去っていく。見送る母を無しにして。

集歌4332 麻須良男能 由伎等里於比弖 伊田弖伊氣波 和可礼乎乎之美 奈氣伎家牟都麻
訓読 大夫(ますらを)の靫(ゆき)取り負ひて出でて行けば別れを惜しみ嘆きけむ妻
私訳 立派な大夫が靫取り背負って出立して行くと、別れを惜しんで嘆くでしょう、妻は。

集歌4333 等里我奈久 安豆麻乎等故能 都麻和可礼 可奈之久安里家牟 等之能乎奈我美
訓読 鶏(とり)が鳴く東男(あづまをとこ)の妻別れ悲しくありけむ年の緒長み
私訳 鶏が鳴く東国の男の、妻との別れは悲しいことでしょう。別れの年月が長いので。
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