竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

今日のみそひと歌 金曜日

2014年05月30日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと歌 金曜日

集歌4064 大皇波 等吉波尓麻佐牟 多知婆奈能 等能乃多知婆奈 比多底里尓之弖
訓読 大皇(すめらぎ)は常磐(ときは)にまさむ橘の殿の橘直(ひた)照(て)りにして
私訳 大皇は常盤にいらっしゃるはずです。橘卿の御殿の橘の樹々が優れて輝くように。

集歌4065 安佐妣良伎 伊里江許具奈流 可治能於登乃 都波良都波良尓 吾家之於母保由
訓読 朝開き入江漕ぐなる楫(かぢ)の音(おと)のつばらつばらに吾家(わがへ)し思ほゆ
私訳 朝に湊から船出して入り江を漕いでいる楫の音がつぎつぎとしきりにする、そのようにつぎつぎとしきりに私の故郷が思い出される。

集歌4066 宇能花能 佐久都奇多知奴 保等登藝須 伎奈吉等与米余 敷布美多里登母
訓読 卯の花の咲く月立ちぬ霍公鳥(ほととぎす)来鳴き響(とよ)めよ含(ふふ)みたりとも
私訳 卯の花の咲く月になった。ホトトギスよ、飛び来て鳴き、その声を響かせよ。花がまだつぼみでも。

集歌4067 敷多我美能 夜麻尓許母礼流 保等登藝須 伊麻母奈加奴香 伎美尓妓可勢牟
訓読 二上の山に隠(こも)れる霍公鳥(ほととぎす)今も鳴かぬか君に聞かせむ
私訳 二上の山に隠れているホトトギスよ、今になっても鳴かないのか、大切なお方にその鳴き声を聞かせたい。

集歌4068 乎里安加之母 許余比波能麻牟 保等登藝須 安氣牟安之多波 奈伎和多良牟曽
訓読 居(を)り明かしも今夜は飲まむ霍公鳥(ほととぎす)明けむ朝(あした)は鳴き渡らむぞ
私訳 ここにずっと居て夜を明かすとしても、今夜は酒を飲もう。ホトトギスは、夜が明けるでしょう、その明日の朝には、きっと、鳴き渡るでしょう。

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今日のみそひと歌 木曜日

2014年05月29日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと歌 木曜日

集歌3117 門立而 戸毛閇而有乎 何處従鹿 妹之入来而 夢所見鶴
訓読 門(かど)立(た)てに戸も閉(へ)にたるを何処(いづく)ゆか妹し入り来に夢そ見えつる
私訳 屋敷の入り口を閉じ、戸のカギをかけたのに、どこからか愛しい貴女が入って来て、夢に見えたのだろうか。

集歌3118 門立而 戸者雖闔 盗人之 穿穴従 入而所見牟
訓読 門(かど)立(た)てに戸は閉(さ)したれど盗人(ぬすひと)し穿(ほ)れる穴より入りにそ見けむ
私訳 屋敷の入り口を閉じ、戸のカギをかけたのでしょうが、私の夢姿は、きっと泥棒が開けた穴から入ったから、それを貴方は見たのでしょう。

集歌3119 従明日者 戀乍将去 今夕弾 速初夜従 綏解我妹
訓読 明日よりは恋ひつつ行かむ今夜(こよひ)だに早く初夜(よひ)より綏(ひも)解(と)け我妹(わぎも)
私訳 明日からは、お前を抱いてから旅立って行こう。今夜だけは、早速、宵口から下着の紐を解け。私の愛しい貴女。

集歌3120 今更 将寐哉我背子 荒田麻之 全夜毛不落 夢所見欲
訓読 今さらし寝(ね)めや我が背子新夜(あらたを)し一夜(ひとよ)もおちず夢(いめ)し見えこそ
私訳 今夜一夜の今になって、「早く寝よう」ですか。愛しい貴方。それより、明日からの夜毎、夜毎に一晩も欠かさずに、私の夢に姿を見せて下さい。

集歌3121 吾背子之 使乎待跡 笠不著 出乍曽見之 雨零尓
訓読 吾が背子し使(つかひ)を待つと笠も着ず出でつつぞ見し雨し降らくに
私訳 私の愛しい貴方からの使いがやって来るのを待とうと、笠も着ないで何度も家から出て来て見守っていました。雨が降っているのですが。

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今日のみそひと歌 水曜日

2014年05月28日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと歌 水曜日

集歌2270 道邊之 乎花我下之 思草 今更尓 何物可将念
訓読 道し辺(へ)し尾花(をばな)が下し思ひ草今さらさらに何をか念(おも)はむ
私訳 道のほとりの尾花の下に生える「思い草」のように、今更に打ち萎れて、どのような願いをしましょうか。

集歌2271 草深三 蟋多 鳴屋前 芽子見公者 何時来益牟
訓読 草深み蟋蟀(こほろぎ)さはに鳴く屋前(やと)し萩見に君はいつか来まさむ
私訳 草むらが深いのでコオロギが盛大に鳴いている私の家の庭に、萩を眺めに貴方はいつお出でになるのでしょうか。

集歌2272 秋就者 水草花乃 阿要奴蟹 思跡不知 直尓不相在者
訓読 秋づけば水草(みくさ)し花のあえぬがに思へど知らじ直(ただ)に逢はずば
私訳 秋らしくなると水辺の草の花が咲きこぼれ落ちるほどに、心から溢れるほどに慕っているけど、貴方は知らないでしょう。直にお逢いしていないので。

集歌2273 何為等加 君乎将厭 秋芽子乃 其始花之 歡寸物乎
訓読 何すとか君を厭(い)とはむ秋萩のその初花(はつはな)し歓(うれ)しきものを
私訳 どうして貴女を嫌いだと思うでしょうか。出会うことを待ち焦がれる、秋萩のその初花のように、出会いがあればうれしいものですから。

集歌2274 展轉 戀者死友 灼然 色庭不出 朝容皃之花
訓読 展(こ)い転(まろ)び恋は死ぬともいちしろく色には出でじ朝貌(あさかほ)し花
私訳 身もだえして恋が死に隣り合わせであっても、その思いははっきりとは顔には出しません。朝顔の花のようには。

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今日のみそひと謌 火曜日

2014年05月27日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと謌 火曜日

集歌1386 大船尓 真梶繁貫 水手出去之 奥将深 潮者干去友
訓読 大船に真梶(まかぢ)繁(しじ)貫(ぬ)き水手(かこ)出(い)なし沖つ深けむ潮は干(ひ)ぬとも
私訳 大船に立派な梶を刺し貫いて水夫たちが出航していった。沖はきっと大船に相応しく深いのでしょう。潮は引いていても。

集歌1387 伏超従 去益物乎 間守尓 所打沾 浪不數為而
訓読 伏超(ふせこえ)ゆ行かましものを守らひに打ち濡らさえぬ浪数(よ)まずしに
私訳 伏超から行けばよかったのに、浪間を見計らっている間に波に打ち濡らされてしまった。浪を十分に考慮しなくて。

集歌1388 石灑 岸之浦廻尓 縁浪 邊尓来依者香 言之将繁
訓読 石(いは)灑(そそ)く岸し浦廻(うらみ)に寄する浪(なみ)辺(へ)に来寄らばか言(こと)し繁(しげ)けむ
私訳 岩に水が飛び散る岸の浦辺に打ち寄せる浪、岸辺に打ち寄せ来たら、きっと、話題が激しく立つでしょう。

集歌1389 礒之浦尓 来依白浪 反乍 過不勝者 雉尓絶多倍
訓読 礒し浦に来寄る白浪反(かへ)りつつ過ぎかてなくは雉にたゆたへ
私訳 磯の入り江に寄せ来る白浪が打ち返すように、何度も振り返りながら行き過ぎていかないのは、片使いの雉のようにためらっているから。

集歌1390 淡海之海 浪恐登 風守 年者也将經去 榜者無二
訓読 淡海(あふみ)し海(み)浪(なみ)恐(かしこ)みと風守り年はや経なむ榜(こ)ぐとはなしに
私訳 近江の海の浪が恐ろしいと風の様子をうかがって、年はもう過ぎて行く。船を操ることをしないのに。

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今日のみそひと歌 月曜日

2014年05月26日 | 万葉 みそひと謌
今日のみそひと歌 月曜日

集歌494 吾妹兒乎 相令知 人乎許曽 戀之益者 恨三念
訓読 吾妹子を相知らしめし人をこそ恋しまされば恨めしみ念(おも)へ
私訳 愛しい貴女を私に会わせた人をこそ、恋い慕う気持ちが募ると、恨めしく思えます。

集歌495 朝日影 尓保敝流山尓 照月乃 不厭君乎 山越尓置手
訓読 朝日(あさひ)影(かげ)色付(にほへ)る山に照る月の飽(あ)かざる君を山越(やまごし)に置きて
私訳 朝日の光に染まる山の、夜通し照る月のように見飽きることのない貴方を、月の隠れるその山の彼方に置いて(私は貴方を慕っています)。

集歌496 三熊野之 浦乃濱木綿 百重成 心者雖念 直不相鴨
訓読 御熊野(みくまの)し浦の浜(はま)木綿(ゆふ)百重(ももへ)なす心は思(も)へど直(ただ)に逢はぬかも
私訳 御熊野の有馬の浦の浜の花窟の伊邪那美命をお祭りする幣の木綿の糸が折り重なるように私の気持ちは幾重にも貴女を想っています。直接には会えませんが。

集歌497 古尓 有兼人毛 如吾歇 妹尓戀乍 宿不勝家牟
訓読 古(いにしへ)にありけむ人も吾がごとか妹に恋ひつつ寝(い)ねかてずけむ
私訳 天之日矛の伝説のように昔の人の天之日矛も私のように貴女を恋しく夜も眠れなかったのでしょうか。(そして、私が貴女を追ってきたように阿加流比売神を追って来たのでしょう。)

集歌498 今耳之 行事庭不有 占 人曽益而 哭左倍鳴四
訓読 今のみし行事(わざ)にはあらず古(いにしへ)の人ぞまさりに哭(ね)にさへ泣きし
私訳 男性が女性を邪険にするのは今に始まったことではありません。昔の人の阿加流比売神は相手の男性につれなくされて、今の私以上にもっと恨んで泣いたのでしょう。

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