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竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

拾遺和歌集 巻18 歌番号1204から1209まで

2025年06月12日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻18

歌番号 1204 拾遺抄記載

詞書 東三条にまかりいてて、あめのふりける日

詠人 承香殿女御

原文 安女奈良天 毛留比止毛奈幾 和可也止遠 安佐知可波良止 美留曽加奈之幾

和歌 あめならて もるひともなき わかやとを あさちかはらと みるそかなしき

読下 雨ならてもる人もなきわかやとをあさちかはらと見るそかなしき

解釈 雨が降っているので雨が屋根から漏る、この言葉の響きではないが、屋敷を守る人もいない、私の屋敷を浅茅の生い茂った原と見られるのが辛いことです。

 

歌番号 1205

詞書 まかりかよふ所の雨のふりけれは

詠人 大納言朝光

原文 伊尓之部者 多可布留左止曽 於保川可奈 也止毛留安女尓 止日天之良八也

和歌 いにしへは たかふるさとそ おほつかな やともるあめに とひてしらはや

読下 いにしへはたかふるさとそおほつかなやともる雨にとひてしらはや

解釈 昔は、いったい、誰の故郷(お屋敷)なのだろうか、よく判らないが、屋戸を守る、その言葉の響きではないが、屋敷の雨漏りさせるその雨に聞いてみたいものです。

 

歌番号 1206

詞書 中納言平惟仲ひさしくありて、せうそこして侍りける返事にかかせ侍りける

詠人 高階成忠女

原文 由女止乃美 遠毛飛奈利尓之 与乃奈可遠 奈尓以満佐良尓 於止呂可寸良无

和歌 ゆめとのみ おもひなりにし よのなかを なにいまさらに おとろかすらむ

読下 夢とのみ思ひなりにし世の中をなに今更におとろかすらん

解釈 貴方との関係は夢とばかりに思っていましたが、私が生きるこの世の日々を、今更ながらに驚かすのですか。

 

歌番号 1207

詞書 題しらす

詠人 源公忠朝臣

原文 比止毛美奴 堂己呂尓武可之 幾美止和可 世奴和左/\遠 世之曽己比之幾

和歌 ひともみぬ ところにむかし きみとわか せぬわさわさを せしそこひしき

読下 人も見ぬ所に昔きみとわかせぬわさわさをせしそこひしき

解釈 人も見咎めない処で、昔、「あなた」と私が、他の人ではしないようなことを、色々としたことが懐かしく思います。

注意 四句目の「せぬわさわさ」の「わさ」の文学での公式解釈は芸能事です。ただ、「君」の性別、時間と場所を深く追求しないことになっています。なお、源公忠は名前が判っているだけでも九人の子供がいますから、「君」とは同性愛者ではなく、身分が似た女性なのでしょう。

 

歌番号 1208

詞書 左大将済時かあひしりて侍りける女、つくしにまかりくたりたりけるに、実方朝臣宇佐、使にてくたり侍りけるにつけて、とふらひにつかはしたりけれは

詠人 藤原後生か女

原文 遣不万天八 伊幾乃万川者良 以幾多礼止 和可三乃宇左尓 奈个幾天曽布留

和歌 けふまては いきのまつはら いきたれと わかみのうさに なけきてそふる

読下 けふまてはいきの松原いきたれとわか身のうさになけきてそふる

解釈 今日までは、筑前の生の松原、その言葉の響きのように、生きて来たが、豊前の宇佐ではないが、我が身の憂さに嘆いて暮らしています。

 

歌番号 1209

詞書 成房朝臣、法師にならむとて、いひむろにまかりて、京の家にまくらはこをとりにつかはしたりけれは、かきつけて侍りける

詠人 則忠朝臣女

原文 以幾堂留可 志奴留可以可尓 於毛本恵寸 三与利保可奈留 堂万久之計可那

和歌 いきたるか しぬるかいかに おもほえす みよりほかなる たまくしけかな

読下 いきたるかしぬるかいかにおもほえす身よりほかなるたまくしけかな

解釈 生きているのか、死んでいるのか、どのようになっているのか渡しません、これは、我が身の髪から外した美しい櫛を仕舞う櫛笥です。

 

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拾遺和歌集 巻18 歌番号1199から1203まで

2025年06月11日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻18

歌番号 1199

詞書 女のもとにつかはしけるふみのつまをひきやりて、返ことをせさりけれは

詠人 よみ人しらす

原文 安止毛奈幾 加川良木也万遠 布美々礼者 和可和多之己之 加多者之可毛之

和歌 あともなき かつらきやまを ふみみれは わかわたしこし かたはしかもし

読下 あともなきかつら木山をふみみれはわかわたしこしかたはしかもし

解釈 人跡も無い葛城山を踏む、その言葉の響きではないが、文の見ると、私が貴女の許に渡し寄こした、葛城の久米路の橋ではありませんが、片端なのでしょうか。

 

歌番号 1200

詞書 人のさうし、かかせ侍りけるおくにかきつけ侍りける

詠人 よみ人しらす

原文 加幾徒久留 己々呂美恵奈留 安止奈礼止 美天毛志乃者武 比止也安留止天

和歌 かきつくる こころみえなる あとなれと みてもしのはむ ひとやあるとて

読下 かきつくる心見えなるあとなれと見てもしのはむ人やあるとて

解釈 草紙の奥書に書き付けた人の気持ちを覗わせる書き付けではありますが、それを見て、草紙の内容を理解してくれる人が居るのではと、思い記しています。

 

歌番号 1201 拾遺抄記載

詞書 大納言朝光、下らふに侍りける時、女のもとにしのひてまかりて、あかつきにかへらしといひければ

詠人 春宮女蔵人左近

原文 以者々之乃 与留乃知幾利毛 多恵奴部之 安久留和比之幾 可川良幾乃加美

和歌 いははしの よるのちきりも たえぬへし あくるわひしき かつらきのかみ

読下 いははしのよるの契もたえぬへしあくるわひしき葛木の神

解釈 久米路の石橋の工事が途中で終わったように、貴方とのこれらの夜の契りも絶えてしまうでしょう、夜が明けると正体が明らかになり侘しく見える葛城の神のような私ですから。

 

歌番号 1202

詞書 入道摂政まかりかよひける時、女のもとにつかはしけるふみを見侍りて

詠人 春宮大夫道綱母

原文 宇堂可波之 保可尓和多世留 布美々礼者 和礼也止多恵尓 奈良无止寸良无

和歌 うたかはし ほかにわたせる ふみみれは われやとたえに ならむとすらむ

読下 うたかはしほかにわたせるふみみれは我やとたえにならむとすらん

解釈 貴方の恋心が疑わしい、貴方が他の女の許に渡らせる文を見ると、私との関係は今にも絶えるようになってしまったみたいです。

 

歌番号 1203 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 伊可天加者 堂川祢幾川良无 与毛幾不乃 比止毛加与者奴 和可也止乃美知

和歌 いかてかは たつねきつらむ よもきふの ひともかよはぬ わかやとのみち

読下 いかてかはたつねきつらん蓬ふの人もかよはぬわかやとのみち

解釈 いったいどのようなことがあって、尋ねて来たのでしょうか、蓬が生い茂る人も通わない私の屋敷への道を通って。

 

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拾遺和歌集 巻18 歌番号1194から1198まで

2025年06月10日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻18

歌番号 1194 拾遺抄記載

詞書 かたらひける人のひさしうおとせす侍りけれは、たかうなをつかはすとて

詠人 よみ人しらす

原文 幾美止者天 以久与部奴良无 恵呂加部奴 多个乃布留祢乃 於以可者留万天

和歌 きみとはて いくよへぬらむ いろかへぬ たけのふるねの おひかはるまて

読下 きみとはていくよへぬらん色かへぬ竹のふるねのおひかはるまて

解釈 貴方との関係が果て、それからどれだけの時が過ぎたでしょうか、色が変わらないと言う、その竹の古い根が生い代わるほどに。

 

歌番号 1195

詞書 延喜十七年八月宣旨によりてよみ侍りける

詠人 紀貫之

原文 己奴比止遠 志多尓万知川々 飛左可多乃 川幾遠安者礼止 以者奴与曽奈幾

和歌 こぬひとを したにまちつつ ひさかたの つきをあはれと いはぬよそなき

読下 こぬ人をしたにまちつつ久方の月をあはれといはぬよそなき

解釈 やって来ない貴方を心の内にひそめて待ちながら、遥か彼方の月を、ああ、風流だと、声に出さない夜はありません。

注意 伝統では、この歌は女性が夜に男性を待つ風情として鑑賞します。雰囲気は、若い女性が家の門に立ち男がやって来る方向を見ていて、家族に何をしていると問われると、月を見ていると答えるような情景です。

 

歌番号 1196

詞書 不記

詠人 柿本人麿

原文 安川左由美 飛幾美比可寸美 己寸八己寸 己者己曽遠奈曽 与曽尓己曽美女

和歌 あつさゆみ ひきみひかすみ こすはこす こはこそをなそ よそにこそみめ

読下 あつさゆみひきみひかすみこすはこすこはこそをなそよそにこそ見め

解釈 梓弓、その弓を引き、また、緩める、来ないなら来ない、来るのなら来る、はっきりして欲しいのに、どうしてはっきりしないのか、それなら貴方のことを他人事のように扱いましょう。

 

歌番号 1197 拾遺抄記載

詞書 春日使にまかりて、かへりてすなはち女のもとにつかはしける

詠人 一条摂政

原文 久礼者止久 由幾天加多良无 安不己止乃 止遠知乃左止乃 寸美宇可里之毛

和歌 くれはとく ゆきてかたらむ あふことの とをちのさとの すみうかりしも

読下 くれはとく行きてかたらむあふ時のとをちのさとのすみうかりしも

解釈 日が暮れたなら早く出かけて行って貴女と語り合いましょう、逢うことが間遠い、その言葉の響きのような、十市の里が通い住むのが辛くても。

 

歌番号 1198 拾遺抄記載

詞書 あつまよりあるをとこまかりのほりて、さきさきものいひ侍りける女のもとにまかりたりけるに、いかていそきのほりつるそ、なといひ侍りけれは

詠人 よみ人しらす

原文 遠呂可尓毛 於毛者満之可八 安川万知乃 布世也止以比之 能部尓祢奈末之

和歌 おろかにも おもはましかは あつまちの ふせやといひし のへにねなまし

読下 おろかにもおもはましかはあつまちのふせやといひしのへにねなまし

解釈 貴女のことを疎かに思っていましたら、これほど急くことなく、東路の伏屋と言う野辺にずうっと寝ていましたよ。

 

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拾遺和歌集 巻18 歌番号1189から1193まで

2025年06月09日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻18

歌番号 1189 拾遺抄記載

詞書 潅仏のわらはを見侍りて

詠人 よみ人しらす

原文 可良己呂毛 堂川与利於川留 美川奈良天 和可曾天奴良寸 毛乃也奈尓奈留

和歌 からころも たつよりおつる みつならて わかそてぬらす ものやなになる

読下 唐衣たつよりおつる水ならてわか袖ぬらす物やなになる

解釈 唐衣を裁つ、その言葉の響きではありませんが、瀧から落ちる水ではないが、私の袖を濡らすものは、いったい、何でしょうか。(それは、貴方を一目ぼれして焦がれて流す涙です。)

注意 天台宗派の稚児灌頂の秘儀は稚児を仏と見立てて男色技術を伝授するもので、この歌はその稚児を見ての僧侶の気持ちです。ただ、伝統ではBLではなく、潅仏会へ宮中の女御が女童に斎物を持たせて行かせた様とします。この場合は、僧侶が女童に恋をしたことになります。

 

歌番号 1190 拾遺抄記載

詞書 修理大夫惟正か家に方たかへにまかりたりけるに、いたして侍りける枕にかきつけ侍りける

詠人 藤原義孝

原文 徒良可良波 比止尓加多良无 志幾多部乃 万久良加者之天 比止与祢尓幾止

和歌 つらからは ひとにかたらむ しきたへの まくらかはして ひとよねにきと

読下 つらからは人にかたらむしきたへの枕かはしてひとよねにきと

解釈 貴方がつれない態度をしたならば、他の人に告げましょう、敷妙の床で貴方と枕を交わして一夜共寝をしたことがあると。

注意 友人に方違えの宿を借りた時の、いたずらの歌と解釈します。

 

歌番号 1191

詞書 おなし少将かよひ侍りける所に、兵部卿致平のみこまかりて、少将のきみおはしたりといはせ侍りけるを、のちにきき侍りて、かのみこのもとにつかはしける

詠人 藤原義孝

原文 安也之久毛 和可奴礼幾奴遠 幾多留可奈 美可佐乃也万遠 比止尓加良礼天

和歌 あやしくも われぬれきぬを きたるかな みかさのやまを ひとにかられて

読下 あやしくもわかぬれきぬをきたるかなみかさの山を人にかられて

解釈 意外なことに、私は濡れ衣を着たのでしょうか、雨降りに被る笠、その三笠の山ではありませんが、その仇名である少将の名を、他の人に語られて(女性の寝所に行ったとは)

注意 平安時代、少将や中将の位の人を帝の近衛の側立武者を取ることから御笠、この御笠から三笠山と称しています。

 

歌番号 1192

詞書 しのひたる人のもとにつかはしける

詠人 平公誠

原文 加久礼美乃 加久礼可左遠毛 恵天之可奈 幾多利止比止尓 志良礼左留部久

和歌 かくれみの かくれかさをも えてしかな きたりとひとに しられさるへく

読下 かくれみのかくれかさをもえてしかなきたりと人にしられさるへく

解釈 身を隠す隠れ蓑や隠れ笠を手に入れたいものです、貴女の許に通って来たと人に去られないようにと。

 

歌番号 1193 拾遺抄記載

詞書 年月をへてけさうし侍りける人の、つれなくのみ侍りけれは、今はさらに世にもあらしといひ侍りてのち、ひさしくおとつれす侍りけれは、かのをとこのいもうとにさきさきもかたらひてふみなとつかはしけれは、いひつかはしける

詠人 よみ人しらす

原文 己々呂安利天 止不尓八安良寸 与乃奈可尓 安利也奈之也乃 幾可万本之幾曽

和歌 こころありて とふにはあらす よのなかに ありやなしやの きかまほしきそ

読下 心ありてとふにはあらす世の中にありやなしやのきかまほしきそ

解釈 今更に貴方に愛情があるからと、手紙で消息を問うのではありません、貴方がこの世に生きているかどうか、それを聞きたかっただけす。

 

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拾遺和歌集 巻18 歌番号1184から1193まで

2025年06月06日 | 拾遺和歌集 現代語訳 巻18

歌番号 1184 合作歌 拾遺抄記載

詞書 内にさふらふ人をちきりて侍りける夜、おそくまうてきけるほとに、うしみつと時申しけるをききて、女のいひつかはしける

詠人 女/良岑宗貞

原文 比止己々呂 宇之美川以末者 太乃万之与/由女尓美由也止 祢曽寸幾尓个留

和歌 ひとこころ うしみついまは たのましよ/ゆめにみゆやと ねそすきにける

読下 人心うしみついまはたのまじよ/夢に見ゆやとねそすきにける

解釈 貴方の約束を信じて丑三つ刻の今、もう、貴方の言葉は信じません。そうではなく、貴女を夢に見るかと思って、約束の時間に寝すぎしてしまいました。

 

歌番号 1185 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 平定文

原文 飛幾与世者 堂々尓波与良天 者留己満乃 川奈比幾寸留曽 奈者多川止幾久

和歌 ひきよせは たたにはよらて はるこまの つなひきするそ なはたつときく

読下 ひきよせはたたにはよらて春こまの綱引するそなはたつときく

解釈 引き寄せようと思っても簡単には引き寄せられない、その春駒の綱を引きをする、その風情ではありませんが、娘の気持ちを引き寄せようとして、縄を立つの言葉の響きではありませんが、噂の仇名が立ったと聞きました。

 

歌番号 1186 拾遺抄記載

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 者奈乃幾者 満可幾知可久者 宇部天美之 宇川呂不恵呂尓 比止奈良比个利

和歌 はなのきは まかきちかくは うゑてみし うつろふいろに ひとならひけり

詠下 花の木はまかきちかくはうゑて見じうつろふ色に人ならひけり

解釈 花の木は籬の近くに植えて眺めることは致しません、花の色が時と共に失せていくように、人もそれに習って近づかなく失せて行きますから。

 

歌番号 1187

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 奈川者安布幾 布由八比遠个尓 三遠奈之天 川礼奈幾比止尓 与利毛川可者也

和歌 なつはあふき ふゆはひをけに みをなして つれなきひとに よりもつかはや

読下 夏は扇冬は火桶に身をなしてつれなき人によりもつかはや

解釈 夏は扇、冬は火桶に身を変えて、私につれない貴方に寄り添い手に取り使って貰いたい。

 

歌番号 1188

詞書 題しらす

詠人 よみ人しらす

原文 己飛寸留尓 保止計尓奈留止 以者万世者 和礼曽之也宇止乃 安留之奈良末之

和歌 こひするに ほとけになると いはませは われそしやうとの あるしならまし

読下 こひするに仏になるといはませは我そ浄土のあるしならまし

解釈 恋焦がれると仏になると言うのならば、私は、きっと、浄土の主になるでしょう。

 

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